(新約聖書 テモテへの手紙第一 6章12節)
2024年7月3日 11:13 コメントを書く Feedback
言い訳するようで恥ずかしいのですが、みのるの添削には幾通りかのパターンがあります。
選者としてはタブーの領域だと思いつつも、俳句を通して作者の境涯を知っているとどうしても斯く直したいという誘惑に負けてしまうのです。
今週のみのる選でもそのパターンがいくつかありました。作者の了解を得ず勝手に添削してしまったことはお詫びするしかないのですが、意を汲んでいただいてご寛容いただければ幸甚です。
亡き夫の部屋の窓開け夏の月
原句:使はれぬ部屋の窓開け夏の月
「使はれぬ部屋」としたのは、作品に主観が現れることを自戒している作者らしいと思った。何故に使われなくなった部屋なのかということは鑑賞者の連想に委ねたのである。
でも私には地域の山野草を愛し研究に打ち込んでおられたご主人の部屋のことではないかと直ぐに分かった。永年の思い出が詰まっているのでなかな片付けられずにそのままになっているのである。
春の月でも秋の月でも同じでは…と思うかもしれないが決してそうではないのである。
閉め切りがちな部屋ゆえにこの梅雨の時期、虫干しを兼ねて窓を開いて風を入れ、涼し気な月を仰いで天国のご主人に思いを馳せ「なんとか守られて生きてるから安心してね」と語りかけている作者の姿が見えてこないだろうか。
実際作者にはそこまでしたたかな作意はない。切磋琢磨の修練によって身についた季節感、俳句感が無意識のうちにごく自然に揚句を詠ませたのである。
落し文三刀殿の便りかも
原句:落し文かの世より来し便りかも
この作者とご主人との鴛鴦ぶりは知る人ぞ知るところである。
俳句経験でいえばご主人よりも作者の方が先輩だと思うが、決して批判したり表立つようなことは微塵もなかった。
ときどきみのる宛に届くメールでも「三刀殿が、三刀殿が…」といつもご主人の話題が先であった。ご主人が佳句を得て入選されたときも我が事のように喜んでおられた姿はとても麗しかった。
最愛のご主人を天に見送られてはや三年近い月日が経とうとしています。ご主人亡き後の整理、ご自身の終活にもとり組まれご高齢ながらも毎日句会にリバイバルしてくださったことは私にとって何よりの励みです。
深い悲しみの日々も時間の癒やしによって落ち着かれたからであろう。そこで得たのが揚句である。
原句のままでも十分作者の思いは伝わってくる。むしろ添削句では分かる人にしか伝わらない。でも私はどうしてもこの句を短冊に書いてご主人の霊前に手向けてほしいと願ったので斯く添削させていただいた。
万人に安らぎと共感をあたえるような作品づくりを目指すことが の理念であることは言うまでもないのですが、他の人には解らなくても自分だけの宝物としての作品も又ゴスペル俳句だと思うのです。
2024年7月2日 09:28 コメントを書く Feedback
親睦を目的とした新生月例句会は、席題でスタートすることになりました。
頑なに自然賛美を提唱している が「何故いまさら席題なの?」と云われそうですが、これを説明するには、俳諧の歴史「連歌と俳諧と連句」について触れる必要があります。
俳句の起こりは「俳諧の連歌」つまり連句の最初の五・七・五を独立させたものです。連歌は五・七・五だけではなく、五・七・五を発句として次に七・七をつけ、この繰り返しを三十六回行う「連句」だったのです。
座に招かれた正客が挨拶代わりの発句をたて、座を主催した宿主が脇句で迎えます。第三句からはシーンを一変して新しい展開が始まり、車座に集まった連衆が輪番に平句を繰り返しつつ連句を巻いていくのです。
共同で一巻の物語を創作するという遊びなので、粛々とストーリーが展開していく必要があります。つまり「前句の内容に憑きすぎないように詠み進むこと」が何よりも大事なのです。
ゆえに連句には、機知に富む想像力や連想力が求められ、熟達した経験も必要になります。初心者が安易に極められるものではありませんが、その面白さ嵌ると中毒になるとも云われています。
即興で掛け合いの面白さを楽しむ連歌は、風流人たちの高貴なことば遊びの座であったのでしょう。
連歌の発句には季語を入れるのがマナーとされていたので、俳句でも季語を入れることが必須となりました。俳句には、座の文芸としての連句の伝統が根強く残っており、席題俳句もまた連句を詠む要領に似ているのです。
席題で詠む俳句はある意味虚構です。上級者には抽斗が沢山あるので写生風に創作出来ますが、連想力が未熟な初学者は得てして季語の説明になりやすいです。常識的な類想を避けるために次のことを意識して作句してみて下さい。
小説のワンシーンを切り取ったかのようにドラマチックに創作する
と言ったほうがイメージしやすいですかね。小説家になった気分で挑戦すると楽しいですよ。
座の協調が必要な連句では長考できませんから即吟が求められます。限られた時間内で詠む席題俳句も同じです。でもこうした訓練の成果は写生句を詠むときにもよい傾向となって現れます。
恥ずかしい…という思いを払拭しなければ挑戦できない世界です。
席題句会で秀作を授かるのはまぐれでない限り難しいです。でも言葉巧みにこねくり回して作るよりも即吟で素直に詠んだ作品のほうが遥かに佳句となる確率が高く、それはそれで楽しいものです。
2024年7月1日 09:28 コメントを書く Feedback
みのる庵の庭の半夏生が色づきました。緑の葉が白変するのかと思っていたのですが違うようで、花穂が揚がると同時に白く半化粧した葉っぱが出てくるみたいです。
今年は6月21日が夏至(ウツボグサが枯れだす)、そして今日7月1日が半夏生、7日が小暑(温かい風が吹き始める)、23日が大暑と続き、8月7日には早くも立秋となります。
実際にはまだまだ猛暑のさなかで厳しい残暑と続くのですが、気分だけでも季節を先取りして心を遊ばせることのできるのは俳人の特権ですね。
2024年6月30日 18:43 コメントを書く Feedback
のネット句会システムは時代とともに変化してきました。
看板コンテンツでもある毎日句会は、多くのネット句会がWEB上に反乱していますが他には例のないシステムだと自負しています。日々の生活の感動と感謝を俳句日記として綴っていくことこそゴスペル俳句なのではと思うのです。
次に吟行句会ですが、永年続けてきた定例吟行句会が継続がメンバーの高齢化で叶わなくなり、今年から小グループごとに吟行のみ実施し、後日合同でネット句会を実施するという仕組みに変わりました。幸い関東エリアで誕生した女性4人の小グループの活動によって新風が吹き込まれ、せいじさんらのご尽力で能勢、大阪合同のグループ活動も定着、互いに刺激しあって後日吟行句会のシステムが目的通りに機能し始めました。感謝です。
そこで各小グループがオンラインで交流できる場をと願って構築したのが、LINEミーティングも取り入れた月例オンライン句会なのです。他のシステムとの差別化を図るためにあえて席題とし、開催日時の設定やタイムテーブルを試行錯誤しているのはそのためだということをぜひご理解いただきたいのです。
毎日句会はしんどいし、外出も大義なので吟行句会もパス、比較的楽な雑詠句会だけ参加…という方が増えているのは詮無きことと思います。でも、やはり原点である毎日句会に戻って欲しいというのが管理人としての切なる願いなのです。そのためにあえて雑詠句会をやめる決断をしました。みなさまのご理解とご協力を祈ります。
兼題句会、雑詠句会の過去データは月例句会のシステムに引継ぎますので検索可能です。
個人名を出して申し訳ないのですが大先輩である宇部のよし女さんが、終活の目処がついたからと三年ぶりに毎日句会に復活してくださいました。選句のみですが三原の董雨さんも応援してくださっています。大感謝です。
2024年6月29日 15:28 コメントを書く Feedback
今日のオンライン句会の試運転はトラブルなく無事終わりました。参加者はみのるを含めて8名、LINEミーティングは5名でした。宇部のよし女さんもLINEでつながってくださって十数年ぶりの再会で懐かしかったです。
LINE参加メンバーは席題方式に違和感はないとのご意見でしたが、それが嫌で参加を敬遠された方がいらっしゃるかもしれませんね。
みのるとしては、学びの場と言うよりはふれあいの場として月始めの吟行句会とは少し差別化を図りたいと願っています。その意味で3句くらいで気軽に参加できる現状案がいいかなと考えました。
いろいろご意見も届いています。全ての方のご要望に応えるのは難しいですが、奇譚のないご意見をお聞きしたく下記のWEBアンケートを作りましたのでご協力下さい。FeedbackやSlackのDMでお聞かせいただいても感謝です。
当面は第四土曜日案で継続して実績を積み、それを踏まえたうえで見直しを図りたいと思います。今日実践してみてやや間延び感がありましたのでタイムテーブルだけは見直そうと思います。
2024年6月28日 09:14 コメントを書く Feedback
数名の方が月例オンライン句会試運転への参加を申告してくださってありがとうございます。参加が無理な方でもスマホで進捗をご覧になれますのでよろしければチラ見してみてください。
セキュリティーを考えてLINEミーティングへのリンクアイコンは基本非表示にしています。
15:00-16:00のミーティング時間帯にのみタイムテーブルの上に アイコンが出現します。
LINEアプリがインストールされているスマホからこれをタップすると直ぐにLINE画面に切り替わるので入室して下さい。基本的にパソコン環境からのLINE利用はできません。
2024年6月26日 21:10 コメントを書く Feedback
投句から互選結果までを一日で実施するオンライン句会のシステムが完成しました。他と区別するために仮称「月例句会」としています。TOPページ[SELECT.Me]にリンクを貼りました。
7月度からは現在の雑詠句会と置き換える予定ですが、運用の詳細についてはもうひと工夫して緊張感のあるルールをと検討中です。
たとえば予め予告する兼題ではなくて投句開始のタイミングで発表する席題で詠む…というようなものです。席題は兼題のように長考する時間がないので即興性や連想力が求められます。これは多作即吟の訓練にもなるので効果的ではないかなと思います。
またLINEミーティングはおしゃべり会ではなくて一句評という形を取ります。自分の選句した中の特選一句を鑑賞して輪番に発表するというものです。互選集計の前なのでこの段階で作者は名乗ってはいけません。
とり急ぎ今週の土曜日29日に席題での試運転句会を予定していますのでぜひご協力下さい。席題は投句開始と同時に公開されます。投句選句は3句に設定しています。ぜひ本物の句会に近い緊張感を体験していただいたうえで皆様の具体的なご意見をお聞かせください。
たとえば次回は「ひばり」を題材にして作りましょうとか「色」という文字を句の中に織り込んで作りましょうなどと、あらかじめ宿題が出されることがあります。 これを「兼題」と言います。 一方句会に出席すると一番最初に会場に着いた人に題を出してもらうというような方法もあります。 これを「席題」といいます。
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