今日は久しぶりに 神戸文学館 で紫峡先生の句集「風の翼」の合評をしながら楽しい勉強会の時を持ちました。
曇り予想がはずれて GH日和になったので、少し早めにでかけて王子動物園のなかにある異人館(旧ハンター邸)のお庭で一人お弁当を食べながら行く春を惜しみました。
お庭は、リニューアルされたようで煉瓦敷の遊歩道と芝庭とのコントラストがことに綺麗でした。動物園内は平日でもかなりの人出で、保育園児、幼稚園児と思われる団体で賑わっていましたが、ハンター邸のお庭は貸し切り状態でラッキーでした。
勉強会といっても半分は雑談、難しく構えることはなくストレス解消にピッタリと思うので、ぜひ次の機会には加わってください。
今週の毎日句会は秀句が多く嬉しかったです。
新しいメンバーも増えて活気も出てきました。新鮮な感覚で詠まれたものをとりあげてみました。
叩かれて香りを放つ芽山椒 よう子
手のひらで軽く叩いて新筍のお吸い物に芽山椒をいれる。なんとも言えない香りに酔う。今年もまたこの季節が到来したかという実感とともに、幸せを感じるひとときでもある。
パン種のふくらむを待つ日永かな とろうち
自家製のパンを焼くために整形したパン種が発酵するのをまっている。温度の低い冬の季節はのんびり構えていても大丈夫だが、温かくなってくると過発酵になる恐れがあるので油断できない。日永の季語の斡旋によって句が生きている。
春憂ふ明るきニュース欲しきかな 明日香
元来報道されるニュースというのは、どちらかという暗いものが多い。次から次と悲惨なニュースがつづくと直接関係がなくとも憂つが募る。気分が晴れるような明るいニュースはないものかとため息がでるのである。
亀鳴くや否補聴器の電池切れ 菜々
ちゃんと補聴器をしているのになぜかいつものようによく聞こえない。まるで亀でも鳴いているのかと思いたくなるような小さい音しか聞こえないのである。故障したのかしらと思って外して調べてみると、なんということはなく電池切れだと合点した。実際には亀が鳴くことはなく感覚的な季語なので上級者でないと扱うのは難しい。
圏外となりし電話や山桜 なつき
みごとな山桜にであって嬉しくなり、携帯電話ですぐにでも誰かに伝えたいと思ったけれど圏外で繋がらない。山桜の説明は全くしていないのがよい。季語の説明をせずとも季語そのものが大道具として働いて連想を広げてくれるのである。
靴底に残る昨日の花の屑 泰山
朝、出かけるために靴を磨こうと手にしたら、靴底に花屑が付いているのに気づいた。昨日、花見に行って落下畳の道を歩いた時に付いたものであろう。しばしの間、綺麗であった昨日の余韻が蘇ったのである。
添削の目的は、作者の代わりに推敲することではなくて正しい感性を養うためです。
感性のトレーニングだと考えるとわかりやすいでしょう。トレーニングは継続することが大事ですね。ダイエットもそれにあてはまると思いますが、休み休みでは成果が上がりません。俳句の学びも同じで、マイペースでいいので継続することが大切です。
もう一点誤解しやすいことは、頭で考えた理屈の句をいくら量産しても訓練にはならないということです。感性を働かせて詠むゴスペル俳句では、心を無にして自然からのメッセージを受け止める訓練をしますので、吟行で詠むというのが基本姿勢なのです。
毎日句会に投句するために毎日吟行して句を詠むというのは難しいですよね。だから仕方がなく考えて作る。これをやりだすと感性の働きが退化してしまいます。まずは、一週間に一度(出来れば二度)吟行して、10〜20句と多作する訓練をしてください。それをよく推敲しながら毎日小出しに投句するというのが正しい毎日句会とのつきあい方です。
もし頑張れるならその2倍、3倍(一週間に30〜50句)詠んで無料添削に送ってください。そして◎のついた作品を毎日句会に投稿するようにするのが、添削による学びの理想的なスタイルです。みのるに騙されたと思って一年間これを継続してみてください。あなたにとってかけがえのない本物の俳句ライフを見出されるでしょう。
伝統俳句の世界では基本的に「歴史的仮名遣い」という約束になっています。
俳句を始めたばかりの初心者に対しては、それほど厳しく指導していませんが、何年も句を詠んでいる人がそのことに無頓着というのは感心できません。
厳しい指導者になると仮名遣いが間違っているだけで没にするケースもあります。他流試合で GH以外の句会に参加されたり、結社に投稿されるというケースもあると思うので、基本的なことは少しずつマスターして置かれたほうがいいと思います。
もっとも基本的なものをいくつか紹介しましょう。
まず、現代仮名遣いで「っ、ゃ、ゅ、ょ」と書く促音ですが、歴史的仮名遣いでは、「つ、や、ゆ、よ」と大文字できます。
あった → あつた ちゃんと → ちやんと
また、一つの言葉の最初の位置以外に現れる「わ、い、う、え、お」は、旧仮名遣いではそれぞれ「は、ひ、ふ、へ、ほ」と書きます。
会う、あう → あふ 舞う、まう → まふ 上、うえ → うへ 顔、かお → かほ
「い、え、お」が「ゐ、ゑ、を」、「じ、ず」が「ぢ、づ」となるというのも間違いやすいですね。
井戸、いど→ 末、すえ→ 踊る、おどる→
「歴史的仮名遣い」をキーワードにしてネット検索するといろいろと情報が見つかるので分かりやすいものを見つけてお気に入りに入れておくといいでしょう。