阿波野青畝先生の俳話のなかに 個性と写生 というページがあります。そしてそのお話しの中に、
写真で見たその人よりも、漫画のように省筆して描かれたその人のほうが、格段とその人の真が伝わって感じられるという場合が多い。
という行(くだり)がありますが、まさにこれが省略写生の極意だと思うのです。
一枚の絵をキャンバスに描くように、俳句の場合は、ことばで絵をかくのだと紫峡先生から教わりました。 十七文字の表現から具体的な情景が連想できるように、そのように詠みなさいと。
絵を描くのは専門ではないのであくまで想像なのですが、大景の中から切り取って一点景を描こうとするとき、その画角のなかに何を主役にするかをまず決めるのではないでしょうか、これが写生俳句で言うところの焦点になると思います。主役があってそれを引き立てるために脇役がある。どちらも大切です。
俳句の場合、いつも季語が主役になるわけではなく、むしろ脇役になる場合も多いです。けれどもどんな場合でも季感というものは主役なのです。季語と季感とは同じではありません。
秋口といふそのことば待たれゐし 青畝
何度も例として出てくる青畝先生の作品ですが、季語は「秋口」でも季感は「晩夏」です。 この違い、解りますよね。
吟行における写生の壺は、まずこの主役を見つけること、感じること、決めることなのです。
ところでちょっと脱線するのですが、虚子先生の有名な無季作品にこんなのがあります。
祇王寺の留守の扉(とぼそ)や推せば開く 虚子
この虚子先生の無季俳句にみなさんは季感を見いだせますか。 ある説に寄れば
祇王寺の草の扉や推せば開く 虚子
が原句で、「草」としていたのを「留守」と推敲したものだとあります。
もし「草の扉」であれば、わずかに春の季感が感じられますが、「留守の」になると全く季感はありません。 俳句としての資格を捨ててまで、あえて「留守」に推敲された虚子先生の真意がどこのあったのかは解りませんが、 「十七文字の詩」として、その主役を大事にしたかった・・・ということなのかも知れないですね。
布引ハーブ園の吟行楽しかったですね。
来月28日のスワン吟行(嵐山・嵯峨野)の情報について不安だと仰る方が多かったので取り急ぎ速報です。
行程(案) 阪急嵐山駅集合出発10:00 | |渡月橋を渡り直進、野々宮で左折 |野々宮神社まで竹林の細道を通ります。 |約20分 野宮神社←クリックして下さい(無料) | |徒歩10分 ↓ 常寂光寺←クリックして下さい(入場料400円、入り口からちらっと紅葉を見る程度でいいかも) | |徒歩4分 ↓ 落柿舎(入場料200円、何度も行っている人は入らなくて OK、裏の墓地に去来墓あり) | |徒歩5分 ↓ 二尊院(入場料500円、紅葉は綺麗けど入場料ほどではない) | |徒歩6分 ↓ 祇王寺←クリックして下さい(入場料300円) | |徒歩25分(来た道を戻って句会場へ) ↓ 全国手話研修センター・コミュニティ嵯峨(句会場:JR嵯峨嵐山駅徒歩1分) 歩くだけでもフルコースで1時間強必要。 1時間吟行するとして合計2時間です。 阪急嵐山駅を10時出発、句会場に12時着くらいですね。 30分位をどこかに重点を置いて吟行し、あとはさっと流す感じでしょう。 ぼくは妓王子が好きなのでここを重点にする予定。 足に自信の無い人は、同士を募ってタクシーで祇王寺まで行って 吟行しながら句会場まで歩くのがいいかもしれません。 ゆっくりと吟行できます。
携帯端末への対応や縦書き表示の正常化作業で時間がかかりましたがようやく落ち着きました。
2006年に毎日句会を閉じてから僕自身も句が詠めなくなっていました。けれどもその間忍耐して待っていてくださったスワン句会を中心とするメンバーのお陰で二年ほど前からなんとか復活することが出来、いまはみなさんと一緒に吟行に出かけるのが一番の楽しみになりました。本当に感謝です。
GHのメンテナンスをしていると、いろいろ頓挫しているページも見つかり、反省しています。
” 初心忘るるべからず ”
少し原点に返って、サイトだけではなく自分自身も見直さねば・・と思いました。
GH四季選集 というページをご覧になったことはあるでしょうか。 GHの初期のみのる選から更に厳選して編纂した作品集です。懐かしいお名前が並んでいますが、それぞれの作品もまた輝いています。 これらの作品集は、現在 GHで学んでおられるメンバーのみなさんにも十分評価していただけると思います。
毎日句会を再開して早くも二年が近づこうとしています。 僕のライフワークとして、この毎日句会みのる選の再選はもっとも重要な課題かも知れませんね。
もう一つの課題は、 新 dForum に書いた、ゲスト用の毎日句会です。 月に一回のペースでゲストの投稿を受け付けている結社サイトは多いです。 毎日句会というのは GHにしかありません。
ゲスト用毎日句会の運営は、十分に検討し工夫をして始めないといけないので、この一年間、祈りつつあれこれと構想を練ってきました。 そのなかで示されたのが 新 dForum に書いた内容です。 具体的に推進するためには GHメンバーの協力が必須になるのでみなさんのアドバイスをお聞きしながら具体化を進めたいと考えています。 ぜひ、ご意見をお寄せください。
今日の「みのる選」の中から、ご自分で句を推敲されるときのヒントになるポイントをお喋りします。
不老水汲む目前のむかごかな → 不老水汲場のむかご頂きぬ
不老水を汲みに来てついでにその辺の零余子も頂いた・・・というストーリにしたほうが俳諧味が出ます。
踏むまいと人の後行く草紅葉 → 踏むまじと汝の後行く草紅葉
汝と私とするほうが具体的だし、睦まじい二人連れが連想できます。
野晒の雀啄む捨案山子 → 捨てられし案山子存問する雀
原句だと「案山子」が「野ざらしの雀」を啄んでいることになります。残酷なイメージではなく ”ほっ” する景に写生したほうがいいです。
アカペラの響く聖堂秋気澄む → アカペラの洩るる聖堂秋気澄む
「秋気澄む」は屋外で使う季語です。堂内を詠むなら「爽やか」と言う季語になるでしょうか。
病院の自動ピアノのうそ寒し → 奏者なき自動ピアノのうそ寒し
「病院」はやや憑きすぎ。自動ピアノだから当たり前なんですが、あるべき姿がないことにうそ寒さを感じたのだと思います。
肌寒や朝餉の湯呑み手のひらに → 朝寒の双手に包む湯呑みかな
お膳立てがよすぎると作為と見られます。素直に表現しましょう。
ポニー肥ゆ子の声嬉々と牧の柵 → 子らに声かけられ牧のポニー肥ゆ
原句は子らが主役になっています。ポニーを主役に詠むべき。
喧騒の中に森あり昼の虫 → 喧騒に小さき苑あり昼の虫
喧騒と言えば町中は連想できます。「小さな苑」としたほうが昼の虫の季語が活きてきます。
秋灯し音盤78回転 → 秋惜しむ音盤78回転
とても斬新な作品で感心しました。季語の斡旋が一寸惜しかったです。78回転は昔のSP盤のレコードを意味します。
朝霧の中に静まる風見鶏 → 朝霧に濡れ風見鶏身じろがず
「静まる」は抽象的。
電柱に尋ね猫あり秋惜しむ → 身に入むや電柱に貼る尋ね猫
「秋惜しむ」では季語が動きます。
もつれては離れもつれて秋の蝶 → 縺るるということのなき秋の蝶
作者には不満の残る添削かも知れません。縺れそうで縺れないのが秋の蝶の雰囲気です。秋蝶の季語が動かないように詠む。
コスモスの迷路辿れば一万歩 → コスモスの迷路めぐりて一万歩
迷路は辿るより巡る感じかと思います。「れば」は説明的。
しばらくメンテナンスをしていなかったので、GH全体のデーターを再チェックしています。 その作業をしていて、昨日とても重要な記事が壊れて埋もれているのに気づきました。早速修復して、 作句の壺 に追加しておきました。 お時間があるときにお読みになってください。
TOPページに Googleカレンダーを貼ってみました。
個人用に Googleカレンダーを利用しています。アカウントは一つでいくつでもカレンダーを作ることが出来て、それを一元的に管理できます。僕の場合、教会要、GH用、個人用の三つに分けてます。アラームも設定できますし、定期的な行事は繰り返し設定が出来るので便利です。
さらに特定のカレンダー情報だけをホームページに公開することも出来るんです。今回は、月例句会の予定表を貼ってみました。 場所名を正しく入れると地図は自動的にリンクしてくれるようで感心しました。
あまり格好良くないので気は進まないのですが一寸試してみましょう。複数のユーザーで管理することも出来そうなので調べてみます。
ところで dForum も新しいのを作ってみました。G-FORUM のマルチ掲示板は、句会案内やみのる選などの情報通知用には使いやすいのですが、対話型に使うとどうも盛り上がりません。新しいのは面白い機能もありますのでうまく動くようなら移行しようと思います。
試運転の様子では Photo掲示板として使うのも楽しいかも・・・(^_^)
クリスチャンでプログラーマーの結城浩さんとの出会いが、いろんな意味でぼくの GH運営での大きな支えであり、且つ進むべき方向を見失わないための大切な指針となっています。
著書「数学ガール」の大ヒットによって、現在の結城さんはとても多忙になられ、昔のように気軽に相談できるような存在では無くなったけれど、迷ったときはいつも結城さんのサイトを覗いてヒントを頂いています。
なかでも、 結城浩の心がけ という読み物シリーズが僕の座右の指針です。結城さんのホームページ制作法、システム管理等をお手本にしているので、GHのページレイアウトはソックリでしょう。結城さんの理念に心酔する余り、文章まで真似てしまって叱られました。当たり前ですね。
いろいろな心がけは、私たちの日常生活や俳句ライフにも大いに参考になるエッセンスが多く、是非みなさんにもご紹介したいと思いました。
毎日句会みのる選を発表しました。
句会の席でもお話ししたと思いますが、「釣瓶落とし」という措辞だけでは季語としては扱えないと言うことを阿波野青畝師から何度も教えられました。
正しく「釣瓶落としの日」という表現にした方がいいと思います。省略形でも季語として認めている指導者もいらっしゃいますが、言葉の扱いを決して疎かにしないようにと仰った先生のお言葉を僕は大切に継承していきたいです。
今週の毎日句会の投稿作品は、「日」のない釣瓶落としの句が多かったのでよく見直してみてください。「日」のない作品は、句意が曖昧になっています。
誤解しないで欲しいのですが、必ず「釣瓶落としの日」という表現で使いなさいと言う意味ではありません。もちろん「日」の文字が入っていなくても、日が感じられるような句の内容であれば許されます。「ことばの魔術師」と言われた青畝師の作品を例に挙げておきますね。
海の日の釣瓶落としや親不知 青畝
父帰る釣瓶落としの影法師 青畝
iPhoneで GHのページがちゃんと見えるのかをチェックしてみました。
左が TOPページ、右が毎日句会のページです。小さい表示ですがきちんと見えていて感動しました。 一応、全てのページをチェックしてみました。
毎日句会の時計表示は、FLASHというプログラムなのでその機能を持たない iPhoneでは表示されないことも解ったので検討します。 また選句のページが文字化けしていたので修正しました。吟行先から携帯端末で毎日句会に投稿する・・・と言うような時代が来るかも知れないですね。みのる選は無理かも知れませんが(^_^)
ぼくはまだ iPhoneをもってません。この画像はパソコン上からシミュレーションできるソフトで再現したものです。
昨日、 結社「ひいらぎ」のホームページ を見ていたら、主宰の部屋というリンクに「ひいらぎ9月号」に掲載された主宰の「思うこと」という記事が転載されていました。 内容は選句の大切さを説かれたもので、初学時代に先生から何度もお聞きした内容でしたが、GHメンバーにもぜひお伝えしたいので転載します。ひいらぎのページは表示が乱れていてよく見えませんので・・・
選句の勉強
吟行をして作句の経験を積み重ねることは勿論、大切なことであるが、先輩方の句集や諸先生(虚子先生や青畝先生)の作品を暗記して、作品の技術を理解し、作品に活かして欲しいものである。
句集の作品を読むには、文庫本であれば鞄に携帯して、車中のわずかな時間でも読むことができて便利である。
自分で努力せず、先輩に添削してもらう人が多いのが今日の世相のようだ。
句会に投句した当人の俳句は巧くても、句会の選句の稚拙なことは恥ずかしい。 選句力と本人の作句力との大きな落差により、誰かに添削されて投句していることが分かる。
作句力と選句力は車の両輪と同様、どちらも大切である。
ひいらぎ9月号 <思うこと 連載370>転載
この記事は、結社ひいらぎで学ばれている誌友に対して発信されたもので、必ずしも GHに当てはまるものではありませんが、選句をおろそかにしてはいけない・・という先生の強い意志として受け止められたらいいと思います。
僕のお勧めは、朝日文庫から発刊されていた「ホトトギス雑詠選集」(春の部、夏の部、秋の部、冬の部)です。 20年ほど前になりますが、常時携帯してぼろぼろにちぎれるまで読みました。
残念ながら現在新本は発刊されていないようで、中古本がプレミア価格で流通しています。 ネット検索等で格安のを見つけられたら購入されるといいです。いつかはまた再版されると思うのですが・・・
一度触り出すとあちこち気になるところが多く、修復途中でご迷惑をおかけしたかも知れません。ごめんなさい。
大幅にダイエットしました。また縮小された携帯端末からでも一応見られるように手直ししました。
IE8、GoogleChrome、Firefox、safariで全てチェックしたので多分大丈夫と思いますが、おかしな表示になっている方は教えてください。
IE8はかなり癖があって苦労しました。
今日も素晴らしい秋晴れのお天気です。
来週火曜日の定例句会ですが、阪急夙川駅から8~10分くらい歩いたところにある西田公園へ吟行に行こうと思います。 それほど大きな公園ではないですが、公園の一部が万葉植物苑があります。 町中の公園なので幼子とお母さんたちが遊んでいる姿も見られるのでそうした様子も句になるかと思います。
菜々さんから紹介いただいた、武庫川女子大学(旧甲子園ホテル)も素晴らしいところです。11月あたりに吟行できないかと考えているのですが、一般見学可の日程があらかじめ決まっているようなので難しいかもしれません。
このところ初心者に方からのフィードバックが随分増えてきました。
GHの TOPページは、かなり情報過多のため初めての方に伝えたい情報がモニターの下に隠れてしまい、スクロールしないと読めませんでした。とりいそぎ、スクロールしなくても伝えたい情報だけは見えるように少しリニューアルしてみました。
最近は、小型の携帯端末などからもご覧になっておられるので、更にシンプルにして工夫する必要があるかも知れません。メンバーのこすもすさんは、スマホからも毎日句会へ投稿しておられるとのこと、時代は変わっていくんですよね。
情報発信の方法も工夫がいるかも知れません。今後は、談話室をメンバー共有の twitterにような使い方をしていこうと思います。 誰かに情報を伝えたいときだけではなくて、気軽に独り言を書き込んでください。 句会の詳細情報や出欠れんらくなども談話室でいいと思っています。
ネットによるトラブルが社会問題にまでなってきている昨今ですので、システム的にも再整備して備える必要があります。 メンバーのみなさんのお気づきの点があれば、アドバイスをお願いします。
先週の GH定例の日は、秋晴れに恵まれて素晴らしい吟行日和でした。
"のんびりと心を遊ばせて・・・" とアドバイスしたのですがみなさん苦しそうでした。 吟行の場合、あちこち気を散らせると集中できないので佳い句は授かりにくいです。 先の植物園の場合なら、ざっと見て回ってここという材料を見つけら同じ場所で出来るだけ時間を割いて集中することが大事です。
園の奥にある北山墨華亭のほとりには彼岸花がたくさん咲いていました。 その道をやり過ごして北山池へとたどる細道で今年の初夏の頃にあった斑猫とまた出会いました。 今度は、たくさんのメンバーが対面できてよかったです。 斑猫は、俳句では「みちをしへ」と詠まれることが多く、俳諧味のある小動物です。
みちをしへの句をたくさん詠みましたので、 みのるの近詠 に発表しました。またご感想を聞かせてください。