2013年3月の日記

2013年03月19日(Tue)

垂水なぎさ街道吟行

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昨日の春嵐から一転、汗ばむほどの GH日和になりました。本当に不思議です(^_^)

みのるの吟行句を近詠にアップしました。家に帰ってから少し推敲しましたので、また感想など教えてください。

鑑賞掲示板が賑やかになって嬉しいです。感謝! 遡った作品でも大歓迎です。一句一句鑑賞することで必ず成果が現れることを保証します。是非頑張って下さい。うつぎさんから嬉しいメールが届いたので引用します。うつぎさんごめんなさいね。

四季別俳句鑑賞、私はどの本を読むよりも勉強になっています。
参加することで改めて気づくことも多いのです。
決まった人ばかりでなく皆参加するべきですね。

決して社交辞令ではなく多分実感だと思いますよ(^_^)

2013年03月18日(Mon)

今週の秀句

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下萌に紙飛行機の着陸す     さつき

下萌ゆる大地(緑)にふんわりと着陸する紙飛行機(白)が連想されうららかな感じがある。下萌も紙飛行機の様子も説明していないのに情景が見えてくるのは季語の力と写生の力です。

カーナビは旧道が好き山笑ふ   うつぎ

カーナビのデータは最新版であっても既に二年くらい前のものだという。道路標識は目的地への新道を案内しているのにナビは横道へ曲がれという。山笑ふの季語によって里山路のドライブだと分かる。

蜷の道思案の如くうろうろす   よし子

作者は何度も蜷の句に挑戦している。新しい視点、句材を求めておられるその努力を買う。時間をかけて観察し連想を広げることで佳句がさずかる。ただし、連想が思考に脱線して飛躍しすぎてはいけない。

最近の傾向として、類想や二番煎じと思われる作品の多いことが気がかりです。マンネリ的な感性から脱して新鮮さを感じる句に挑戦して欲しい。あいかわらず、字余りのままであったり、旧仮名遣いに対して無頓着な作品もみられ残念に思います。

今日の神戸は朝から雨催いの空ですが今は持ちこたえています。明日の垂水吟行のお天気は何とかも守られそうですね。

2013年03月11日(Mon)

今週の佳句

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啓蟄や試し掃きなるスニーカー  よし女 

温かくなってきたので買ってあった新調のスニーカーを試し履きしてみた・・と鑑賞するのが正解。 この句を選んだ人もそう感じて採ったはず。談話室にあった作者解は少し違うようだけれど・・・ 「啓蟄の」ではなく「啓蟄や」としなければならない。

摘草の袋見せ合ふ親子かな    さつき

親子が仲良く野に遊んでいる微笑ましい姿が連想できる。純客観写生の中に親子の愛情が伝わってくる。

豆雛マッチの箱を高御座     うつぎ

豆粒ほどの内裏びながなんとマッチ箱の上にという驚き。マッチ箱の細かい説明は不要。

家宝なる三百年の雛飾る     菜 々 

何代も受け継がれてきた古雛を家宝として大切に扱っているのである。「守り来し」は説明になる。

 

今週の添削

添削された作品については、ほぼ趣旨を理解していただけると思いますが、いくつかをピックアップしておきます。

 洋蘭展賞は付かねど香りけり→賞の札付く洋蘭のよく香る

ひねりすぎると月並みに陥る。幼子のような素直さを忘れずに。

 コンサートホールへ木の芽の道ますぐ→コンサートホールへますぐ木の芽道

正調に整えるという意識を強く持って推敲してほしい。

 さりげなく歩調を揃へ青き踏む→相互ひ歩調を揃へ青き踏む

さりげなく・・では実景が見えてこない。実景が見えるように推敲することで連想が広がる。

 大瓶や口いっぱいの桃の花→大甕の口いっぱいに桃生ける

や、で切ると意味不明の句となる。

 アイゼンの掴む雪踏み日の出待つ→雪嶺にアイゼン立てて日の出待つ

掴む、踏む、一句に動詞が二つになるのはいけない。アイゼンは「爪」の意なので「立てる」が自然。

 園帽の色彩跳ねる木の芽道→園児らの色帽跳ねる木の芽道

園帽は、言葉としてやや未熟。

 鎮まりて箒目著き梅の尼寺→石庭の箒目著き梅の寺

石庭の箒目と言わないと場所が曖昧。字余りにしてまで「尼寺」という必要はない。

 錆びまさる銀の宝冠古ひひな→いぶし銀なる宝冠や古ひひな

錆びまさる・・は、古雛に対してやや憑きすぎ。錆びまさる様子を具体的なことばで・・・

 啓蟄の一と鍬土竜塚崩す→春耕の一と鍬土竜塚崩す

啓蟄と土竜塚は憑きすぎ。

 おおどかに古代女雛は袖ひろぐ→おおどかに袖ひろげたる古代雛

男びなでは絵にならないから、女雛と言わなくても連想で分かる。

 瓔珞の灯にきらめくも古雛→瓔珞のこころもとなき古雛

瓔珞が灯に煌めくだけなら古雛である必要がない。瓔珞に着目し古雛を詠むならこのような視点になる。但し古雛を直接写生した句は星の数ほどあるので類句があるかもしれない。

耳にたこができるかも知れませんが、投句するまえに必ずチェックして欲しいこと。

  • 必ず正調に推敲すること
  • 虚構を詠まないこと
  • 季語が正しく活かされているか否か(季語が動かないか)をチェックすること

2013年03月10日(Sun)

四季別俳句鑑賞に感謝

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みなさまのご協力で少しずつ鑑賞掲示板に活気が出てきているので嬉しいです。感謝します。

一句を鑑賞して感じたことを短く文章で綴るという行為が、知らず知らずのうちに具体的に表現するという感性をも育みます。 ぱらぱらと句集を繰りながら読み流していくのとは、全く効果が違うのです。鑑賞するために、意味のわからない言葉を調べるという行為だけでも確実に語彙が増えていきますし、他の人の鑑賞を読むことで教えられることも多いはずです。

作品を褒めていただくことを望んでいるわけではありません。作品の中からみなさんが具体的に何を感じられ、何を発見されたかを知ることがとても励みになるのです。そして一読、「なるほど・・・」という新しい感覚で連想してくださったとき、得も知れない冥利を覚えて思わず頬がゆるみます。

四季別俳句鑑賞は、学びであるとともに、みのるを励ます手段でもあると思って続いてご協力よろしくお願いします。

2013年03月07日(Thu)

文字コードについて

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いろいろ設定を再確認しているため、みのるの日記や近詠のページの更新情報が乱れてご迷惑をおかけします。

じつは、ホームページで日本語を表示する場合に、「文字コード」というのを宣言します。 GHの場合、これまでは、Shift-JIS という設定をしていたのですが、俳句で使う文字の中には、Shift-JIS では表示されないものがあるため、UTF-8 という文字コードに移行中です。

近詠の作品中にある、琅玕(ろうかん)、丿乀(へつふつ)というような文字がそれに当たります。 現在、みのるの日記と近詠のページは、UTF-8 に移行済みで、他のページはまだ、Shift− JIS のままです。これから徐々に移行していくことになります。

文字コードを変更するとページの右上にある「検索」にこ影響が出ますし、Feedbackで使っているフォームメールも改造が必要です。 検索機能は先ほど修正完了しました。現在フォームメールのほうはまだ調整中です。落ち着くまでは、更新情報が乱れますがご寛容下さい。

2013年03月06日(Wed)

2013.3.19 垂水なぎさ街道吟行計画

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取り急ぎ、以下のとおり計画をまとめました。

★ 集合・句会

10:00 JR垂水駅(東口改札)集合

JR垂水駅は、西口改札(姫路方)と東口改札(神戸方)があります。

集合は、「東口改札前」です。 神戸・大阪方面からだと最後尾の車両に乗ると東口が近いです。 お弁当は、改札を出て北側に「たるせん」という高架下のショッピングセンターがるのでそこで買えます。

  • 句会場:西垂水開館 神戸市垂水区宮本町2-9 078-708-2400
  • 〆切:14時 出句:7句 選句:5句

★ MAP

地図をクリックすると拡大表示されます。地図の左端真ん中あたりに句会場「西垂水会館」があるのを確認して下さい。

今回の吟行は、上記ルートガイドの 1 と 2 です。

★ 当日のタイムテーブル(おおよそです)

  • 10:00~10:10 垂水漁港へ移動
  • 10:10~11:00 垂水漁港吟行(50分)
  • 11:00~11:10 恋人岬へ移動
  • 11:10~12:00 吟行(50分)
  • 12:00~12:30 昼食(お弁当)
  • 12:30~12:45 句会場へ移動(往路を逆に戻り、漁港横の道路を直進すると右手に見えてくる)

当日の漁港の状況によって時間配分を修正。イカナゴ運搬船が入港して荷降ろししていたり競りがあれば時間を割きましょう。

★ 乗り換え案内

■香里園
|  京阪本線準急(淀屋橋行)   14.6km   後
|  08:30-08:47[17分]
◇京橋(大阪)    3番線発 [6分待ち]
|  大阪環状線大阪方面(大阪行)   4.2km   中前~後
|  08:53-09:00[7分]
◇大阪    1番線着・4番線発 [4分待ち]
|  JR神戸線新快速(姫路行)   46.2km
|  09:04-09:26[22分]
|   ↓
◇三ノ宮     [4分待ち]
|  JR神戸線快速(姫路行)   ↓
|  09:30-09:49[19分]
|   ↓
■垂水    1番線着


■光風台(大阪)
|  能勢電鉄妙見線妙見急行(川西能勢口行)   10.3km
|  08:22-08:41[19分]
◇川西能勢口
|  徒歩
|  (08:41)-(08:50)[9分]
|  
◇川西池田
|  JR宝塚線丹波路快速(大阪行)   11.0km   やや前・やや後
|  08:51-09:03[12分]
◇尼崎(兵庫)    7番線着・4番線発 [3分待ち]
|  JR神戸線快速(姫路行)   38.5km
|  09:06-09:49[43分]
|   ↓
■垂水    1番線着


■光風台(大阪)
|  能勢電鉄妙見線(川西能勢口行)   10.3km
|  08:13-08:24[11分]
◇平野(兵庫)     [2分待ち]
|  日生エクスプレス(阪急梅田行)   ↓   前・後
|  08:26-08:34[8分]
|   ↓
◇川西能勢口     [2分待ち]
|  阪急宝塚線(宝塚行)   7.3km   中前
|  08:36-08:49[13分]
◇宝塚     [6分待ち]
|  阪急今津線(西宮北口行)   7.7km   前
|  08:55-09:09[14分]
|   ↓
◇西宮北口     [5分待ち]
|  阪急神戸線通勤特急(新開地行)   16.7km   やや後
|  09:14-09:28[14分]
|   ↓
◇阪急三宮/三ノ宮     [7分待ち]
|  JR神戸線(西明石行)   15.6km
|  09:35-09:56[21分]
■垂水    1番線着

 

垂水恋人岬(下見)

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下見を兼ねて、恋人岬まで行ってきましたがイカナゴ漁の船団は全く見えず空振りでいた。

いつもならこの灯台の向こうに船団が見えるのですが・・・水曜日は漁が休み?と言うような筈は多分ないと思うのですが。

恋人岬は福田川の河口付近にあるため鴨や百合鴎たちがたくさん遊んでいます。

恋人岬には愛の鍵をかける柵があって、こんなのがたくさん吊してあります。

垂水観光推進協議会のページに「なぎさ街道」のルートマップがありました。 垂水駅から一気に恋人岬へ行って、復路で漁港に立ち寄るというパターンをイメージしていましたが、このガイドマップの順路のほうが良さそうです。

  1. JR垂水駅から海神社まで(徒歩2分)ここは通過するだけ。
  2. 海神社から垂水漁港まで(徒歩3分)うまくいけばイカナゴ運搬船の様子がみられるかも・・
  3. 垂水漁港から恋人岬まで(徒歩10分)途中ビオトープがありメダカが泳いでいるのが見えます。
  4. 恋人岬から平磯緑地まで(徒歩10分)お弁当を食べるにはいいかも・・
  5. 平磯緑地から万葉歌碑まで(徒歩30分)ここまで行くのは時間的に無理かも。往復で1時間かかる。

当日の様子を見て、イカナゴ運搬船が漁港に入港していたら 2 を、そうでなければ 3 をメインにしましょう。恋人岬から句会場までは徒歩15分見ておけば大丈夫なので、恋人岬出発12:30~13:00でいいと思います。 この条件でもう一度タイムテーブルを作り直してみます。

2013年03月04日(Mon)

渚、汀、水際 /水脈、水尾

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みぎわ:汀/水際、なぎさ:渚 だと思い込んで使い分けていたのですが、きちんと辞書で調べるとどうも紛らわしい。 

なぎさ【渚/汀】:海・湖などの、波が打ち寄せる所。
みぎわ【水際/汀/渚】:陸地の、水に接する所。

意味合いは微妙に違うんですが、漢字としてはどちらも同じ・・・読み数も「みぎわ/なぎさ」なので全く同数。 となると句の雰囲気で判断するしかないのですかね。

 春禽の煌めき翔たちぬ汀石     みのる

「なぎさいし」というのはなさそうなので、これは「みぎわいし」と読んでもらえるでしょうかね。

 物芽でて切っ先たてし水際かな  みのる

「なぎさ」と読まれるのがいやで「水際」にしたのでしょうか? あまり意識してなかった(^_^)

みぎわは「水際」と書けるけど、渚の場合は「なぎさ」とひらがなをあてておくほが無難だろうか。

みお【水脈/水尾】の使い方も混乱していますね。

水鳥のそれの場合、水尾を使われる方があるようですが、広辞苑には出ていないようで、あて字ということになりそうですね。 正しくは、「水脈」と書く方がいいみたい。

すまのうらわ・・などの「うらわ」は、浦曲が正解、浦和は地名です。

間違いに気づかず適当に使ってしまうことが多いですが、出来るだけ正しく使う方がいいので、いつも座右に広辞苑をおいてチェックする 習慣をつけましょう。でも日本語って難しいですね。

2013年03月03日(Sun)

俳句手帳の使い方と投句控

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俳句手帳の使い方、「ぼくの場合」をご紹介しましょう。 特にルールがある訳ではありませんので、ご自身のやりやすい方法に工夫されたらいいです。 ぼくは、結社時代に次のようなシステムで管理していました。

  1. 俳句手帳(句帳)・・吟行時のメモとして使います。小型の大学ノートや使い古しの手帳でも十分です。
  2. 投句控え・・・・・どこへどの句を投句したかという控え。成績結果とかも書き込みます。
  3. 俳句整理帳・・・・永久保存したい作品を記録します。

1 は、年度あるいは年月別に残しておき数年後でも見直しできるように手帳として製本されているものが望ましいです。主婦が家計簿を残しておいて後々の検討資料として活用されるのに似ています。同じ吟行地に行くときにも前はどんな句を詠んでいたかというチェックができるし、前回未完成だった作品がヒントになって一句を得ることも少なくありません。

俳句は記憶が財産です。そのためにも日頃の整理は大事な作業なのです。メモ用紙を小さく切ってホッチキス止めにしたようなのを句帳として使っている人を見かけますが感心しません。

2 と 3 もノートで記録しておかれるほうが実用的です。 パソコンで管理されてもいいですが、その場合は、適宜印刷したものをファイリングして、手元資料として使われたほうがいいと思います。 同じ作品を二度投句するというミスを繰り返さないためにも、投句控えは必須と思います。

投句控えの実際例として、日記ダイジェストの記事の中に「 俳句整理法 」という記事がありますので参考にして下さい。

俳句手帳の書き方ですが、まず見出しとして吟行の日時、句会名、吟行地などを朱書きして、そのあとに吟行句を連ねてメモしていかれるといいです。 このとき、汎用の手帳などで行間の狭いものを流用する場合は、一、二行空白をあけて句を書き込みます。 推敲したり、思い出せなかった漢字をあとで辞書を引いて書き込んだり、その他いろいろな情報を書き足すためのスペースをあけておくのです。俳句手帳 兼 投句控えという使い方は感心しません。

最後に、自分の作品として残しておきたいたいと思うものを別途整理帳に控えておきます。 年度別に、いつどこで詠んだかというような情報も備考に書いておくと、俳句日記として読み返しても楽しいですし、将来句集を纏められるときにも便利です。

2013年03月02日(Sat)

佐藤家のひな祭り・道明寺の梅

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今年も藤井寺佐藤家のひな祭りにいってきました。ここ二、三年続けて訪ねていますが毎回新鮮な感じがします。

先ずはお庭から拝見、ユニークな陶雛がお庭のあちこちに飾ってあって楽しいです。ことに池に浮かぶ渡御雛は、俳人の私らにとってセラピー度100%(^_^)

渡 御 雛 陶 の 小 舟 に 傾 き ぬ       みのる

豆雛のコレクション。毎年新参組が増えているようで一つ一つ存問(^_^)

カ メ ラ マ ン 土 下 座 し て 撮 る 豆 雛   みのる

2センチ四方くらいの小箱の中にマクロサイズの雛が犇めいているのがありました。 マクロレンズで接近して撮ったのですが、すべてぶれぶれで絵にならず NG、残念でした。

豆 雛 ル ー ペ が あ れ ば な と 思 ふ     みのる

今年は句会がなかったので、二駅先にある道明寺という尼寺を訪ねてみました。 道明寺駅を降りて徒歩5分、商店街の細い路地を抜けると、右手に道明寺天満宮の楼門が見えてきます。 天満宮にも古木の梅が咲いていましたが、どことなく商業的な雰囲気が強く詩情が湧きません。 早々に失礼してすぐ隣りにあるお目当ての尼寺・道明寺へ

山門を潜ると美しく整えられた境内の石庭に目を見張ります。 丁寧に剪定して管理されているのでしょう惚れ惚れとする美形の白梅が迎えてくれます。 その側に「以春風接人」と彫られた碑が建っていました。

以春風接人 以秋霜慎自

春風(しゅんぷう)を以って人に接し、秋霜(しゅうそう)を以ってみずからを慎む。

【解説】
祥雲寺の仏間の入口にかけてある軸。
江戸時代の儒者・佐藤一斎の『言志録』の中にある言葉。
他人に対しては春の風のような暖かさを以って接し、自分自身に対して厳しさがあってこそ、はじめて他に対して和らかく人に接することが出来るという意味。

いい言葉ですね。

境内を奥へすすむと塔頭と思われるひなびたお庭があり、ここにも美しい紅白の枝垂れ梅が見事に咲いていました。

梅 宮 に 隣 り て ひ そ と 尼 の 寺    みのる

俗化が進んだ天満宮の雰囲気に比べて、尼の寺・道明寺には禅寺独特の威厳があり、落ち着いた安らぎが得られます。 来年のひなまつりには、ぜひここへ吟行に行きましょう。

佐藤家の様子を見ていると、お昼前後にお客さんが空いてくるので俳句が作りやすいです。 朝、道明寺駅に集合して、天満宮・道明寺を吟行し、そのあと佐藤家へ移動というのがベストな感じがしました。

2013年03月01日(Fri)

俳句鑑賞法

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鑑賞に慣れておられない方もいらっしゃるようなので、俳句鑑賞法について書いてみようと思います。

英会話の上達で大事なのはヒアリングだそうで、聞きとりができるようになれば勝手にしゃべれるようになるといいます。 石川遼君のコマーシャル、スピードラーニングというのがそれを売りにしていますね。

俳句もまた自然との会話(存問)なので、自然からの語りかけを受け止めるための感性を養う必要があります。 俳句にはスピードラーニングのような秘策はなさそうですが、鑑賞の学びがそれに近いのではないかと思うのです。

句を鑑賞するときには、次の二点を意識されると鑑賞文らしくなります。

  1. 十七文字を表面的に理解(直訳)するだけではなく、連想力を働かせて写生に包み込まれた作者の思いを感じとる。
  2. 自然や風景であれば、連想を膨らませて写生されていない周辺や背景の情景をも感じとる。

ことばの的確さなどを評価することは構いませんが、「この句は素晴らしい。感動した!」「私にも同じ体験がある。こんな風に詠みたかった。」というのは鑑賞とはいえないのです。

優れた俳句は作者が意図的に主観を省略して詠んでいるので、連想を広げていくことでそれを読みとることができます。どれだけ深く、広く連想を飛躍できるかは鑑賞する人次第ということになります。

そこまで意識して詠んだわけではないのに選者の鑑賞によって一躍名句になったというような経験は誰でもありますね。 鑑賞力を訓練することで自然とそのような深みのある句が詠め、またそうした句を選べるようになってくるのです。

人は失敗の経験を重ねて成長するといいます。それを恐れていてはいつまでも進歩はありません。 積極的に鑑賞文を書き、上手な人の鑑賞文を読み、それを繰り返して感性を磨くのです。 ぜひ、あなたも俳句のスピードラーニングを始めて下さい。

百聞は・・・なので、青畝先生が書かれたごく短い鑑賞文を参考例として引用しておきます。 じつは、みのるの作品もとりあげて下さっています。

あめんぼの衝突大事なかりけり  山田 実

大事なかりけりという詠嘆に心をとめて欲しい。これは只の報告の言葉ではない。あらかじめ勢よく衝突した小動物を目撃し驚いている。ところがなんのことはなかったという結果を知って安心の気分をうけたのである。うっとうしい梅雨であることも考えられる。

 

啓蟄の大地漫画の描かれけり  山田 実

現代は漫画流行する世の中になった。絵本とかテレビとかで既にありふれて見ているけれど、あたたかになった地面に描かれた漫画に作者は驚いた。啓蟄とは時候を表わすと共に地上へ出てくる虫類をも指すのであるから漫画の普及として面白い新しい作である。

 

あっと声出てまちがひし夏書かな  二塚 元子

よっぽど気をつけて丁寧に筆を運んでいるのにどうしたことか間違ったところへ筆を下ろして声が出た。アッしまったなとつぶやくその瞬間の模様がよく詠まれている。緊張しすぎたのがいけないのだなと反省したのである。

 

鳥雲に蜑は磯節口ずさみ  野島寿美子

秋渡ってきた鳥が日本ですごし春北へ帰るのだが、その別れを惜しむ心をこめて鳥雲に入るという季語が出来た。雲に消えてゆく鳥を見上げたりして漁士たちはしぜんと歌っている。いつも口に出る磯節なのである。

 

明易き水洗式は潔し  吉富平太翁

粗っぽい単純化の表現が効く。しかも素材は不潔を想像しやすい便所ときている。近代的な水洗式という一語によってスッキリと洗い去ったことが分かってみると楽しみがある。今日の一日の始まる気分が漲ってくるではないか。

上の実例は、選者としての鑑賞なのでやや視点が違うかも知れませんが、参考になると思います。 朱書きにしたところが鑑賞のポイントだと思います。 鑑賞文には、必要以上のほめ言葉や賛辞は不要です。 自分が選者になったくらいのつもりで上から目線で鑑賞すればいいのです。

青畝師と紫峡先生の作品をぼくが鑑賞した 秀句鑑賞 というページも参考になるかと思います。

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