2023年10月

目次

売れ筋は団地サイズの福の笹 ひとこと

やまだみのる  

(うれすじはだんちさいずのふくのささ)

みのる作品の合評はこれが最後です。ご協力を感謝します。年内はお休みとし新年から新しい企画を考える予定です。


合評 ひとこと

福笹を提げて立喰そばすする ひとこと

やまだみのる  

(ふくざさをさげてたちぐひそばすする)

合評

パチンコ屋不況知らずよ初戎 ひとこと

やまだみのる  

(ぱちんこやふきやうしらずよはつえびす)

合評

巫女二人比翼の舞や初神楽 ひとこと

やまだみのる  

(みこふたりひよくのまひやはつかぐら)

合評

初便り一筆箋に二三行 ひとこと

やまだみのる  

(はつだよりいつぴつせんににさんぎやう)

合評

膝撫ぜて満を待す手や歌がるた ひとこと

やまだみのる  

(ひざなぜてまんをじすてやうたがるた)

合評

吉兆の鯛福耳に触れにけり ひとこと

やまだみのる  

(きつちやうのたいふくみみにふれにけり)

合評

冬日しりぞきしベンチに我孤独 ひとこと

やまだみのる  

(ふゆひしりぞきしベンチにわれこどく)

合評

舌頭に千転せむと懐手 ひとこと

やまだみのる  

(ぜつとうにせんてんせむとふところで)

合評

羽づくろひ余念なき鳩神迎へ ひとこと

やまだみのる  

(はづくろひよねんなくはとかみむかへ)

合評

山を守る苦労話や薬喰 ひとこと

やまだみのる  

(やまをもるくろうばなしやくすりぐひ)

合評

息を継ぐ間もあらばこそ鳰潜く ひとこと

やまだみのる  

(いきをつぐまもあらばこそにほかづく)

合評

冬菜畑震禍の更地らしきかな ひとこと

やまだみのる  

(ふゆなばたしんかのさらちらしきかな)

合評

土に帰す花ひひらぎのこぼれかな ひとこと

やまだみのる  

(つちにきすはなひひらぎのこぼれかな)

合評

炉の埃天井遊泳して落ちず ひとこと

やまだみのる  

(ろのほこりてんじやうゆうえいしておちず)

合評

碧天に千手ひろげし枯木かな ひとこと

やまだみのる  

(へきてんにせんじゆひろげしかれきかな)

合評

砲列のカメラに潜く鴨遠し ひとこと

やまだみのる  

(ほうれつのカメラにかづくかもとほし)

カメラに凝りだすと最初は何でもいいから撮りたい…から始まりますが、やがてひとつの被写体に絞ってよりふかく掘り下げて撮りたいと思うようになります。鉄道を専門に撮る人たちのことを「撮り鉄(とりてつ)」といいますが、野鳥専門の「撮り鳥(とりとり)」という人たちもいます。潜った水鳥が水面に浮かぶ瞬間はとても写真になるので、昆陽池あたりの池塘には大砲のような超望遠レンズをつけて狙いを定めるのです。なかでも被写体の鳥の目がカメラ目線になるのが最高だと言われるので、何度も何度も挑戦するのです。

合評

漣をさ走りて鴨翔ちにけり ひとこと

やまだみのる  

(さざなみをさばしりてかもたちにけり)

鴨はおしりが重いので着水するときも「ざぶん!」という感じで水飛沫が上がります。

大き尻ざぶんと鴨の着水す 青畝

逆に翔びたつときもおしりが重いので一瞬で離水できずにしばらく水面を助走するようにとびたちます。この鴨の特徴を理解していないと鶴でも白鳥でも川鵜でも同じということになり季語が動きます。

合評

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