みのる選:2017年度
俳句 | 作者 |
境内が迷路となりし年の市 | せいじ |
裸木にとり囲まれし鏡池 | せいじ |
冬日燦池塘の松にかげろひぬ | せいじ |
下馬標深き落葉に埋もれけり | せいじ |
霜晴に凛と義太夫始祖の墓 | 菜々 |
冬晴へ反る本堂の大甍 | 菜々 |
これ何と問へば叱られ年の市 | 菜々 |
営業中らしき茶室に冬灯 | たか子 |
似て非なる千体地蔵冬うらら | たか子 |
極楽の庭に千両万両と | はく子 |
堂屋根に鳩の居並び日向ぼこ | はく子 |
冬鳥の極楽浄土なる寺苑 | 宏虎 |
一穢なき空へ万朶や冬木の芽 | 宏虎 |
一服す茶室の庭の実万両 | 満天 |
冬うらら浄土の庭に点茶受く | 満天 |
裸木のグチョキパーと仁王立つ | 有香 |
寒あやめ玉の日和をことほげり | 有香 |
幾何模様なせる斎庭の枯木影 | 明日香 |
天を突く裸木八岐の大蛇めく | うつぎ |
二等身地蔵冬日にうづくまる | 小袖 |
冬日燦輝く金の鯉の鰭 | やよい |
仁王門影を正せる冬日かな | よし子 |
枯木立水辺に影を正しけり | わかば |
(参加者16名)
俳句 | 作者 |
濃もみぢに染まるルルドの泉かな | はく子 |
冬ぬくし祈りの小径もとほれば | はく子 |
碧天へ大王松の色変へず | はく子 |
谷道のここだ打ち敷く木の実かな | はく子 |
瞑想の森のベンチに日向ぼこ | はく子 |
聖堂のマリアに障子明かりかな | うつぎ |
縺れ飛ぶ蝶に見紛ふ散黄葉 | うつぎ |
空青し青しと見れば鳥渡る | うつぎ |
神の庭天降るがごとき黄葉かな | うつぎ |
昼暗き祈りの道は紅葉坂 | せいじ |
冬の蠅イエスの像のみ衣に | せいじ |
塵ひとつなき参磴に一葉落つ | せいじ |
庭紅葉大王松の下照らす | せいじ |
二重丸もらへたやうな今日小春 | よし子 |
門前のイエスの像に小鳥来る | よし子 |
ゴーギャンの色に染まりし庭紅葉 | よし子 |
真白なる聖母マリアに紅葉晴 | よし子 |
小春日のスポットライト | 小袖 |
十字架に空の青さや冬の晴 | 小袖 |
冬の鯉池面のマリア像揺らぐ | 小袖 |
聖母像映しルルドの池澄める | たか子 |
ゴルゴダの丘模す山路紅葉影 | たか子 |
仰ぎ見る頬に触れもす散紅葉 | たか子 |
錦繍の祈りの小道たもとほり | みどり |
姫神を祀る社へ冬紅葉 | みどり |
竹春の小径の洩れ日瑞々し | みどり |
支え棒されて古木の紅葉燃ゆ | かかし |
孤高なる大王松や冬の晴 | かかし |
覗き見る塀の死角に冬菜畑 | こすもす |
たもとほる祈りの道の小春かな | こすもす |
黙想の家凛として白障子 | 菜々 |
天からの書信のごとく木の葉散る | 菜々 |
冬日燦両手広げしイエス像 | 満天 |
落葉積む祈りの道は渓深く | 満天 |
トラピストへと歩を運ぶ紅葉坂 | わかば |
社殿いま昼を灯して神の留守 | わかば |
一末社裏参道に年木積む | よう子 |
な滑りそ仰向き歩く紅葉坂 | よう子 |
木洩れ日を踏みゆく山の落葉道 | 明日香 |
ご受難のレリーフ見つつ落葉道 | ぽんこ |
裏白の風にダンスをするごとく | 有香 |
(参加者17名)
俳句 | 作者 |
芝庭の落葉紛れに雀どち | うつぎ |
秋霖や残念石の濡れそぼつ | うつぎ |
団栗の掛かりし蜘蛛の留守囲かな | うつぎ |
とび翔ちて雀とわかる庭落葉 | うつぎ |
霧深しダム湖は隠沼のごとし | せいじ |
どんぐりを踏まねば行けぬ深山道 | せいじ |
秋天へ祈るすがたの天使像 | せいじ |
木の実落つ雨の石段な滑りそ | せいじ |
雨だれが穿ちて池の水澄まず | たか子 |
古民家の煙ひとすじ秋時雨 | たか子 |
総玻璃のビル秋霖に歪むごと | たか子 |
茶室への小径は石蕗の花あかり | 満天 |
雨に耐へ皇帝ダリア花掲ぐ | 満天 |
庭園の曲水に沿ふ石蕗の花 | 満天 |
水底に筏組むごと木の実敷く | わかば |
実むらさきしとどの雨に垂るるなり | わかば |
四囲紅葉して湖の藍深む | わかば |
すがれ虫残念石のうしろから | かかし |
五線譜をこぼるるごとく萩散りぬ | かかし |
ほ句の秋句材求めて万歩計 | 宏虎 |
園めぐるどの径行くも木の実路 | 宏虎 |
薄紅葉水音高鳴る沢の道 | はく子 |
萩雨に伏して山路をせばめけり | はく子 |
きのこ展実物見よと小雨中 | 小袖 |
採れたるはみなこの辺てふきのこ展 | 菜々 |
草紅葉石仏多き能勢の里 | 有香 |
絨毯のごと木の実敷く森の道 | よう子 |
(参加者14名)
俳句 | 作者 |
四散して斑猫我を惑はしむ | せいじ |
つくばひの水面に立ちし秋の風 | せいじ |
小流れの岩間岩間に蛍草 | せいじ |
せせらぎに和して合唱つくつくし | せいじ |
草の花森の洩れ日に笑むごとし | 菜々 |
歩を止む吾を虜とす群蜻蛉 | 菜々 |
せせらぎへ枝垂れし一枝薄もみぢ | 菜々 |
御簾のごと萩の枝垂るる石畳 | よう子 |
こぼれ萩沙弥の箒に掃かれけり | よう子 |
彼岸花延命橋の橋袂 | よう子 |
斑猫の出迎え多き山路かな | わかば |
秋の日を弾きて湖の藍深し | わかば |
石走る著き瀬音や秋山路 | わかば |
ほろほろと連理の句碑にこぼれ萩 | うつぎ |
豪勢な精進料理子規祀る | うつぎ |
磊々の汀を綴る彼岸花 | ぽんこ |
道をしへ日の射す岩に玉びかり | ぽんこ |
天辺は萌黄の風や竹の春 | たか子 |
朱の中に一茎白き彼岸花 | はく子 |
秋澄むや天使の像に日の燦と | 満天 |
蹲居に木賊の影の揺れやまず | 宏虎 |
法話聞きつつ句作しぬ彼岸寺 | 有香 |
(参加者14名)
俳句 | 作者 |
ロープウエイ涼し樹海をひとまたぎ | 菜々 |
仏母寺の庭に数えて秋七草 | 菜々 |
爽籟やオリーブの葉をひるがへし | 菜々 |
牧涼し吾を見る牛の目の澄みて | 菜々 |
礎は峠茶屋跡草紅葉 | 菜々 |
爽やかや宝前砂紋乱れなし | 菜々 |
秋うらら牧に仔牛の保育園 | うつぎ |
仏母へと灯明ゆらぐ堂清か | うつぎ |
行き着かぬ廃寺の路秋思憑く | うつぎ |
秋の雲へと高牧の馬柵のびる | うつぎ |
チーズ工場目指して牧を避暑散歩 | うつぎ |
峰寺の白砂の庭の風は秋 | 小袖 |
六甲の標高千の秋を聞く | 小袖 |
一湾を眼下に山のバス涼し | 小袖 |
新涼の牧のベンチに瞑想す | 小袖 |
雷激し車軸を流す雨となる | よう子 |
少年の牧駈け上がる白い靴 | よう子 |
友の腕頼みにのぼる露の磴 | よう子 |
風抜ける鎮守の杜や豊の秋 | はく子 |
夕映えの川面をなぜる秋の風 | はく子 |
小流れの水面をなぞる枝垂れ萩 | わかば |
水澄むや堰落つ水の音もまた | わかば |
カーブまたカーブ山上バス涼し | こすもす |
牧場のスタッフ腰に蚊遣香 | こすもす |
一望の夕日輝く蕎麦の花 | 宏虎 |
那智黒の小径を綴る秋海棠 | ぽんこ |
夕映をきらきら返す秋の川 | 満天 |
(参加者12名)
俳句 | 作者 |
万緑の嶺にゴンドラの見え隠れ | 明日香 |
幾つもの滝壺を経し瀞場かな | 明日香 |
万緑を洗ふ雨脚しるきかな | 明日香 |
滝壺の深淵魔物棲むならむ | 明日香 |
幽谷の岩間を裂きて滝落つる | ぽんこ |
岩窪を高御座とす滝不動 | ぽんこ |
遠雷の聞こゆ茶店に梅雨やどり | ぽんこ |
岩襖晒すがごとく滝落つる | ぽんこ |
布引の滝落ちてより瀞碧し | うつぎ |
雷神を呼びよせたるか飛滝神 | うつぎ |
鼓滝とはいひがたし梅雨の滝 | うつぎ |
眼福の現代アート館涼し | せいじ |
出し抜けの雨に四散す蝉つぶて | せいじ |
緑雨かな塵ひとつなき石畳 | せいじ |
滝壺の際立つ白と深緑 | たか子 |
一条にはた二条にと滝落つる | たか子 |
滝壺を見せぬ樹林の深緑 | たか子 |
煤こけて蝋涙しるき滝不動 | わかば |
大岩の奈落に響く鼓滝 | わかば |
一瀑布樹間隠れに轟きぬ | わかば |
滝道の一歩に涼し沢の音 | 小袖 |
滝茶屋の窓に古びし登山靴 | 小袖 |
水晶の杯翳すごと大噴水 | 菜々 |
川跨ぐホームに佇てば風涼し | 菜々 |
夏つばめグランドゴルフ囃すかに | こすもす |
安寧の風通ひくる滝不動 | なおこ |
松籟の涼しといゆく川堤 | はく子 |
大滝のマイナスイオン深呼吸 | 宏虎 |
一陣の滝風木々を揺らしけり | 有香 |
乗換のホームの長し駅薄暑 | よう子 |
(参加者15名)
俳句 | 作者 |
羊歯涼し森の洩れ日をうち煽ぎ | はく子 |
せせらぎに沿ひてカラフル七変化 | はく子 |
蝶縺れつつ木洩れ日に紛れけり | はく子 |
人声に泥かぐらたて蝌蚪消ゆる | はく子 |
蜂猪に注意と札や登山道 | はく子 |
乱舞せる水輪と見ればあめんぼう | うつぎ |
大蒜の棒のごとくに茎立ちぬ | うつぎ |
空谷のなぞへを埋む羊歯涼し | うつぎ |
漣の生れては消ゆる池涼し | うつぎ |
空梅雨や河原は石の庭のごと | せいじ |
せせらぎに和して四葩の毬揺るる | せいじ |
友の手を杖と頼みて避暑散歩 | せいじ |
木洩れ日と戯るるごと羊歯涼し | せいじ |
逍遥す森に序破急青葉風 | ぽんこ |
エンゼルを囲みて園の薔薇香る | ぽんこ |
日矢こぼれ落つ群落の羊歯涼し | ぽんこ |
小蘭亭青葉隠れに飛簷かな | ぽんこ |
展けたたるダム湖に望む青嶺かな | わかば |
谷川の磊々洗ふ音涼し | わかば |
風あそぶ羊歯群落の目に涼し | わかば |
倒木を沈めて山湖澄めりけり | わかば |
渓あぢさゐ木々の漏れ日に色深め | 菜々 |
筆洗ひ池へ傾く花擬宝珠 | 菜々 |
せせらぎへ枝うち重ね若楓 | 菜々 |
登山道譲りあひては相会釈 | 有香 |
山の影映して青田昏れなんと | 有香 |
晩鐘のごとくに峡の遠蛙 | 有香 |
なだれうつ羊歯の群落夏木立 | 明日香 |
茶室への径擬宝珠の花明かり | 明日香 |
楊梅の味見などして吟行す | こすもす |
老鶯の声が歓迎深山路 | こすもす |
清流の畔はことに濃紫陽花 | 小袖 |
水漬く枝の先は蜻蛉の休み処 | 小袖 |
一茎に二三は白し半夏生 | たか子 |
病葉を沈めて澱む山湖かな | たか子 |
山峡を縫ひ七曲りバス涼し | 宏虎 |
緑化園奥へ奥へと青葉満つ | 宏虎 |
走り根に足なとられそ木下闇 | よう子 |
亀の首遠見するごと梅雨晴間 | よう子 |
寄りあふて頭突きす風の葱坊主 | よし子 |
(参加者16名)
俳句 | 作者 |
椋鳥らかくれんぼせる苜蓿 | うつぎ |
園丁ら横一列に草を引く | うつぎ |
川風に高舞ひもして蝶遊ぶ | うつぎ |
草笛を吹き休憩の合図とす | うつぎ |
水難碑訪へば裏から雨蛙 | うつぎ |
水飲場はとが占領園薄暑 | せいじ |
バス停によき影落とす楠若葉 | せいじ |
疲れ見ゆ昨日の薔薇と今日の薔薇 | せいじ |
たもとほる猪名堤草芳しき | 菜々 |
若葉していよよ明るき楡の天 | 菜々 |
膝ついて侍者のごとくに薔薇手入れ | 菜々 |
野の草をあれこれ摘みつおしゃべりす | 満天 |
慰霊碑へ千手を翳す楠若葉 | 満天 |
車椅子みんな笑顔や薔薇の園 | 満天 |
バラの園犬づれ子づれ車椅子 | 明日香 |
草笛を鳴らし先導吟行子 | 明日香 |
薔薇百花繚乱の園たもとほる | はく子 |
野に遊ぶ名草醜草隔てなく | はく子 |
一斉に駆け出す風の竹落葉 | 有香 |
天降るごと浴びる新緑鳥語また | 有香 |
喬木のグリーンシャワーや風薫る | わかば |
緑陰におしゃべりしつつバスを待つ | わかば |
ひたすらに薔薇に顔寄す車椅子 | ぽんこ |
草の秀をのぼりつめたる天道虫 | ぽんこ |
(参加者12名)
俳句 | 作者 |
黒雲を押上げ六甲山笑ふ | 菜々 |
夙川のなぞへに傾ぎ緑立つ | 菜々 |
堰落つる水に揉まるる落花かな | 菜々 |
川堤海へまつすぐ風光る | 菜々 |
鎮魂の童像たつ花は葉に | 満天 |
花吹雪いまし特急通過中 | 満天 |
花の道抜けて海坂一望に | 満天 |
園児らの双手をあげし花吹雪 | 満天 |
園までの道に迷ひし薄暑かな | せいじ |
園統ぶるメタセコイアの芽吹きかな | せいじ |
公園の樹間を埋む八重桜 | せいじ |
ジョギングの歩を緩めたる花の径 | よし子 |
急流に足早となる花筏 | よし子 |
昨夜の風公園中を花畳 | よし子 |
一頭の蝶の紛れし花吹雪 | うつぎ |
飛びきては落花畳を乱す鳩 | うつぎ |
一叢の著莪に歩をとむ散歩かな | 小袖 |
園庭の花の遅速にめぐりけり | 小袖 |
桜蘂つもる坂道な滑りそ | こすもす |
桜蕊混じる玉砂利踏めりけり | こすもす |
一陣の風四阿へ花吹雪 | よう子 |
雨ふふみ伏し目がちなる八重桜 | よう子 |
園めぐるどの径も草芳しき | 宏虎 |
老幹の洞に嵩なす春落葉 | ぽんこ |
手をつなぐ試歩の二人に花万朶 | 有香 |
花屑を虜としたる潦 | わかば |
(参加者13名)
俳句 | 作者 |
裸木の珠と散りばむ雨雫 | うつぎ |
立浪のごとくに丘の梅白し | うつぎ |
鎖樋せせらぎの楽春の雨 | うつぎ |
春雨の珠こぼれ落つ鎖樋 | うつぎ |
梅が枝の蕾に紛る雨滴 | せいじ |
春の雨彩色しるき多宝塔 | せいじ |
佇めば珊瑚礁めく梅の丘 | せいじ |
春雨のリズム生まるる鎖樋 | 小袖 |
朱の門の一歩に園の梅香る | 小袖 |
白梅のなだれ咲く丘匂ひけり | 小袖 |
亡き友の思ひ出語り梅探る | 菜々 |
あたたかや水子地蔵は供華囲ひ | 菜々 |
梅真白石の櫃の門へかざし | 菜々 |
紅白の梅綾なして丘埋む | はく子 |
芽吹き初む枝に雨粒滂沱なる | はく子 |
花あせび雨滴に鈴を落しさう | はく子 |
梅の丘読経を流すスピーカー | こすもす |
Vサインしてもの芽出づ汀かな | こすもす |
梅林の雨のベンチは役立たず | たか子 |
閻王と目の合ひてより春愁ふ | たか子 |
堅く閉じ雨を拒みし椿かな | なおこ |
参磴を春雨傘の登りくる | なおこ |
適適と春の雨音くさり樋 | 宏虎 |
梅林の奈落に響く読経かな | ぽんこ |
満開の梅林迷路めきにけり | よう子 |
楼門の甍を濡らす春の雨 | よし子 |
石棺へ雨の羨道春寒し | 満天 |
石窟の羨道暗く菜種梅雨 | わかば |
(参加者16名)
俳句 | 作者 |
裸木の珠と散りばむ雨雫 | うつぎ |
立浪のごとくに丘の梅白し | うつぎ |
鎖樋せせらぎの楽春の雨 | うつぎ |
春雨の珠こぼれ落つ鎖樋 | うつぎ |
梅が枝の蕾に紛る雨滴 | せいじ |
春の雨彩色しるき多宝塔 | せいじ |
佇めば珊瑚礁めく梅の丘 | せいじ |
春雨のリズム生まるる鎖樋 | 小袖 |
朱の門の一歩に園の梅香る | 小袖 |
白梅のなだれ咲く丘匂ひけり | 小袖 |
亡き友の思ひ出語り梅探る | 菜々 |
あたたかや水子地蔵は供華囲ひ | 菜々 |
梅真白石の櫃の門へかざし | 菜々 |
紅白の梅綾なして丘埋む | はく子 |
芽吹き初む枝に雨粒滂沱なる | はく子 |
花あせび雨滴に鈴を落しさう | はく子 |
梅の丘読経を流すスピーカー | こすもす |
Vサインしてもの芽出づ汀かな | こすもす |
梅林の雨のベンチは役立たず | たか子 |
閻王と目の合ひてより春愁ふ | たか子 |
堅く閉じ雨を拒みし椿かな | なおこ |
参磴を春雨傘の登りくる | なおこ |
適適と春の雨音くさり樋 | 宏虎 |
梅林の奈落に響く読経かな | ぽんこ |
満開の梅林迷路めきにけり | よう子 |
楼門の甍を濡らす春の雨 | よし子 |
石棺へ雨の羨道春寒し | 満天 |
石窟の羨道暗く菜種梅雨 | わかば |
(参加者16名)
俳句 | 作者 |
ピエタ像篭に野の花溢れしめ | はく子 |
尖塔を過るま白き春の雲 | はく子 |
堂に満つオルガンの音の温かし | はく子 |
彩窓を貫く春日木椅子へと | はく子 |
桜の枝川面へなだれ芽吹きけり | はく子 |
磔像の胸に一条春日さす | うつぎ |
真紅なる聖體ランプ四旬節 | うつぎ |
白マスクして賛美歌を弾く乙女 | うつぎ |
うららかや案内の司祭唄ひだす | うつぎ |
春愁やピエタの像に佇ちてより | わかば |
照り翳りなす彩窓の春日かな | わかば |
尖塔の十字架光る春の天 | わかば |
聖堂の木椅子の堅さ春寒し | かかし |
聖堂の車椅子席春日燦 | かかし |
手を堅く組みて祈れば悴まず | せいじ |
尖塔のクルス仰げば風花す | せいじ |
草萌えに立ちし震禍のモニュメント | 菜々 |
手づくりの命のしをり温かし | 菜々 |
静粛の札立てし堂冴返る | ひかり |
彩窓に透きて揺らげる枯木影 | ひかり |
蒼天へ尖るクルスに風光る | 満天 |
白梅の奥にルルドの聖母像 | 満天 |
梅ま白ルルドの聖母像もまた | よう子 |
接収を逃れしカリオン復活祭 | よう子 |
瑕のあるチャペルの木椅子春寒し | よし子 |
絵硝子の堂に綾なす春日影 | よし子 |
教会の庭のものの芽存問す | 小袖 |
電車混む肩に淡雪のる人も | こすもす |
聖塔の余寒の空へ尖りけり | 宏虎 |
(参加者17名)
俳句 | 作者 |
鴨の陣俄に乱れ小競りあひ | 明日香 |
鴨の陣つかず離れず進みけり | 明日香 |
鈍色の空裂けて洩る冬日かな | 明日香 |
飛び石をエイと気合で初渡り | 明日香 |
対岸の句友と交はす御慶かな | せいじ |
地すべりの跡地に芽吹く柳かな | せいじ |
梅ふふむ震災復興なりし町 | せいじ |
一穢なきみ空に阪神忌を悼む | せいじ |
楝の実ミルクキャンデー散らすごと | なおこ |
口笛を吹けばこち向く日向鴨 | なおこ |
奏で初む待春の川見て飽かず | なおこ |
冬日燦池はダイヤの漣す | なおこ |
欄四温水かげらふを見て飽かず | 小袖 |
あふちの実万朶の小鈴散らすごと | 小袖 |
そここに小枝の刎ねる雪解かな | 小袖 |
地すべりの震禍の跡地冴返る | 菜々 |
冬萌に仁川の奏でそめにけり | 菜々 |
飛び翔つも阿吽の呼吸番鴨 | 菜々 |
磊々はみな丸き石水温む | うつぎ |
鵜に追はれ汀へ退避日向鴨 | うつぎ |
身に入むや震災資料館を出て | たか子 |
吟行の寒しカフェーへエスケープ | たか子 |
大池に伝はる神話鴨群るる | ぽんこ |
強風にちぎれちぎるるどんどの火 | ぽんこ |
高台に立つ慰霊碑や阪神忌 | 満天 |
青空を支ふるごとし辛夷の芽 | 満天 |
自づから序列をなして鴨進む | 有香 |
初雪がどか雪となり屋根悲鳴 | 有香 |
梢より洩るる鳥語や春隣 | わかば |
コロニーを棲み分く鷺と汀鴨 | わかば |
絵灯篭みな手作りや阪神忌 | はく子 |
風神の一と吹きに揺るとんどの火 | ひかり |
阪神忌未明の闇に祈りけり | よう子 |
(参加者16名)
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