みのる選:2013年度
みのる選:2013年度
(加者15名)
俳句 | 作者 |
---|---|
マスクしてゐても姦しをみなどち | うつぎ |
ルイビィトン欲しクリスマスショッピング | 〃 |
レシートに膨るる財布十二月 | 〃 |
法の庭一鉢ポインセチア置く | ひかり |
石仏の顔染めて草紅葉 | 〃 |
ウエディングドレス聖樹のウインドに | 有香 |
冬雲を抜け出して飛機着陸す | 〃 |
開店を待つ人垣や街師走 | きづな |
日銀の閉せし門へ黄落す | 〃 |
小春日の苑に野鳥の水飲場 | はく子 |
社会鍋軍服托鉢僧和服 | 〃 |
常盤木の古墳を抱きて山眠る | 宏虎 |
石庭に山茶花紅をこぼしけり | わかば |
石庭の要の松の色変へず | つくし |
風花のこぼれ高舞ふアーケード | こすもす |
着膨れてハグの手背にとどかざる | 小袖 |
銀杏散り敷いて華やぐ御堂筋 | 満天 |
喧騒の人波に年惜しみけり | 〃 |
(加者12名)
俳句 | 作者 |
---|---|
小春日を窓に小犬の美容院 | 菜々 |
夜叉のごと風にうち伏す枯尾花 | 〃 |
冬たんぽぽ人麻呂歌碑の辺に黄なり | 〃 |
ハングライダー峰より放ち山眠る | 〃 |
枯葎歌碑は読み人知らずかな | 〃 |
にぎやかに声とぶ保育園小春 | はく子 |
錦木の極みと見たるもみぢかな | 〃 |
枯尾花伏して小径を通せんぼ | 〃 |
散もみぢ綾なす万葉歌碑の径 | 〃 |
真青なる空にもみづる大欅 | 〃 |
古井戸のほとりは殊に石蕗明かり | わかば |
陣二つ争ひもなく鴨の池 | 〃 |
走り根も隠るるほどや落葉嵩 | 〃 |
オルガンの響く聖堂寒からず | ぽんこ |
浅瀬なる石の間に間に鴨あそぶ | 〃 |
一陣の風に駈け出す落葉かな | 〃 |
暖房の床屋の椅子にまどろみぬ | 宏虎 |
老かこつ吾を一喝冬の雷 | 〃 |
業平の歌碑おほひたる散紅葉 | こすもす |
短日や携帯電話電池切れ | 〃 |
ローカル線子等の絵吊るし冬ぬくし | 小袖 |
切り株に仲よく隣る冬帽子 | 〃 |
参道はさながら紅葉浄土かな | よう子 |
裸木に一葉の残る虚空かな | 〃 |
柿一つ残し大空暮れなんと | 有香 |
枯蓮相討つごとく寄りかかり | よし子 |
あぢさゐの枯るるといへど色仄と | 満天 |
植物園疎なる梢に冬日燦 | 〃 |
散紅葉万葉歌碑に堆く | 〃 |
(加者14名)
俳句 | 作者 |
---|---|
祈りゐるマリアの像へ秋しぐれ | 菜々 |
聖壇へ彩窓洩るる春日かな | 〃 |
うすずみに霧立ちのぼる主峰かな | 〃 |
立ち並ぶ埴輪に秋思ありにけり | 〃 |
石畳仄と染めたる薄紅葉 | わかば |
万葉の碑に佇めば木の実落つ | 〃 |
破れ蓮池は修羅場と化しにけり | 〃 |
疎に咲いて秋バラ雨にうなだるる | こすもす |
ビロードの色の褪せたる秋のバラ | 〃 |
走り根の苔に珠なす秋時雨 | 〃 |
万葉碑めぐりて苑の秋惜しむ | つくし |
大石に座して秋思の人となる | 〃 |
石仏にはりつく蔦の薄紅葉 | 小袖 |
巡拝の岨の細道薄紅葉 | 〃 |
今年米湯立の釜へ投げ入れる | 有香 |
口開けし通草をさげて句座の友 | 〃 |
水亭の大磐石へ色鳥来 | きづな |
黄落と紛ふあえかな秋の蝶 | 〃 |
万葉の恋歌の碑に秋思憑く | ぽんこ |
ガラス窓涙走りす秋の雨 | よし子 |
塚の蟻せわしなげなる秋天下 | よう子 |
池塘の木葛をまとひて立ち尽くす | はく子 |
聖堂の四方の彩窓春日射す | 満天 |
葛の葉のなだれ落ちたる水際かな | 〃 |
(加者12名)
俳句 | 作者 |
---|---|
澄む池の向ふ岸より友の声 | せいじ |
くわりんの実木偶のごとくに個性あり | 〃 |
鹿垣の戸に鍵はなし深山道 | 〃 |
起ち直る河原の芒台風禍 | 〃 |
台風一過吟行日和を賜りぬ | 百合 |
奈落なる川音もまた秋の声 | 〃 |
たもとほる薬草園の風は秋 | 〃 |
行厨のベンチに群るる赤蜻蛉 | 〃 |
磊磊の瀬を過ぎてより水澄める | 宏虎 |
左見右見薬草園の花とりどり | 〃 |
一と叢のパンパスグラス秋日影 | ひかり |
水の秋なれや瀬音も逞しき | 〃 |
園に舞ふ貴婦人のごと黒揚羽 | ぽんこ |
欄干を虜にしたる蔦紅葉 | 〃 |
くわりんの実ごと転びたる根方かな | わかば |
小流れを辿り秋草数へけり | 〃 |
里の山暮れて始まる村芝居 | よし子 |
山並の斯くもさやけし秋の晴 | 〃 |
嵐峡を泥の海とす台風禍 | はく子 |
つくつくし鳴きつぐ深山道辿る | 〃 |
さはやかや植木鋏のリズムまた | 有香 |
秋高し水あふれしむ天使像 | 満天 |
王羲之の達筆の書や館涼し | 〃 |
四阿に憩へば四方の昼の虫 | 〃 |
(加者14名)
俳句 | 作者 |
---|---|
翻る葉裏にちらと葛の花 | わかば |
四阿に憩へば通ふ秋の風 | 〃 |
秋の雲白し六甲際やかに | 〃 |
千羽鶴涼し戦争記念館 | 満天 |
洞ろなる埴輪のまなこ秋思あり | 〃 |
身に入むや千人針の斯く古りて | 〃 |
澄む水に魚影日の斑をまき散らし | 宏虎 |
と見る間に霧に失せたる千枚田 | 〃 |
浮かみ出し五重塔や万灯会 | ぽんこ |
墓洗ふ土に沁みこむ閼伽の水 | 〃 |
蒲の穂の風にうながされて揺るる | せいじ |
紅蓮の炎のごとく立ちにけり | 〃 |
身に入むや慰問袋の旭日旗 | 菜々 |
千羽鶴古りて秋思や遺品展 | 〃 |
林立のマスト眩しき晩夏光 | ひかり |
秋水の魚影のスクランブルを見よ | つくし |
下校子のカバンが並ぶ葛の土手 | 有香 |
鐘連打して始まりし盆写経 | 小袖 |
声はずむリュックの親子風の盆 | こすもす |
夾竹桃戦争資料館の窓 | きづな |
内海の風に傾くヨットかな | はく子 |
上がり根をベンチとしたる樹下涼し | 〃 |
身に入むや展示の慰問袋古り | 〃 |
(加者16名)
俳句 | 作者 |
---|---|
山鉾の並ぶ大路をたもとほり | せいじ |
背もたれは垂直登山電車かな | 〃 |
エジソンの碑へ直立す今年竹 | 〃 |
冷奴あれば足りると病める夫 | うつぎ |
山の駅待つのも楽し合歓の花 | 〃 |
野仏のトタン屋根打ち夕立来る | 〃 |
四阿の影に屯す鯉涼し | ひかり |
風の出て蒲の葎の騒ぎ出す | 〃 |
尖塔の鐘は亭午や秋澄める | 〃 |
扉の開くや否や飛び込む蝉時雨 | わかば |
美しき彩窓仰ぐ堂涼し | 〃 |
池広し蓮の大葉の波打てる | 〃 |
読み聞かせ教室窓に金魚玉 | 小袖 |
渇水のダム湖に安堵返り梅雨 | 〃 |
風涼し砂丘の渚ロードかな | 〃 |
草茂るここが梅田の一等地 | きづな |
睡蓮の風に四阿去り難し | 〃 |
近道やへくそ葛に触れまじく | 〃 |
海の日や山また山の里に住み | はく子 |
道祖神へくそかづらをまとひけり | 〃 |
青田風鎮守の杜へ通ひ来る | 〃 |
草野球回し呑みする麦茶かな | 宏虎 |
雨垂れの調べまたよし夏座敷 | 〃 |
風狂や物干竿に釣忍 | こすもす |
夏野菜盛る自家製のスパゲティ | 〃 |
磊磊を見せて細りし夏の川 | ぽんこ |
蒲の穂を揺らして泳ぐ錦鯉 | つくし |
戻り梅雨組みし足場もそのままに | 有香 |
緑風に窓全開すケアハウス | 満天 |
(加者12名)
俳句 | 作者 |
---|---|
靄脱ぎて全容現るる青嶺かな | 菜々 |
カフェテラス水の階段見て涼し | 〃 |
風涼し天空ガーデン楽流れ | 〃 |
御座船の朱を連ねゆく万緑裡 | 〃 |
皮脱ぎしままにたけのこ伸びに伸び | こすもす |
木道を先導するはとかげかな | 〃 |
山並を写して植田展けけり | 〃 |
青田風右近の里に広ごりぬ | 小袖 |
楼門の朱の際立ちし若楓 | 〃 |
ドクダミの大群落に薬師堂 | 〃 |
蔦若葉われもわれもと伸びにけり | よし子 |
若葉して山ほっこりと太りけり | 〃 |
総玻璃のビル立並ぶ街薄暑 | 〃 |
ビル屋のテラスガーデン風薫る | はく子 |
御座船をながめの堤に風薫る | 〃 |
対岸へ飛石渡る川涼し | わかば |
泳ぐかに川面の影や鯉のぼり | 〃 |
若楓コートに響くラリー音 | 宏虎 |
蒲の穂を揺らすは鯉と分りけり | ぽんこ |
駅員の手すさびならめ豆の花 | 有香 |
若葉風厨の窓に通ひけり | よう子 |
もみ洗ふらっきょ手のひら逃げんとす | 満天 |
(加者16名)
俳句 | 作者 |
---|---|
鯉跳ねて水面煌めく新樹光 | せいじ |
花屑を吸ひ込む鯉の深呼吸 | 〃 |
たもとほる桜蕊降る池塘かな | 〃 |
蒲公英の絮風待ちに揺れにけり | 〃 |
展けたる武庫川堤風薫る | 〃 |
外つ国の漂流物や磯遊び | こすもす |
春愁や次のバスまで一時間 | 〃 |
女坂登りたる先余花にあふ | 〃 |
延命根撫づる遍路のご一行 | 〃 |
教へあふ春スカーフの結び方 | 〃 |
青深む土手に蒲公英黄を散らす | わかば |
花屑の影を過りて鯉泳ぐ | 〃 |
洩れ日射す樹下のベンチに春惜しむ | 〃 |
推敲の句帳に落花また落花 | ひかり |
残り鴨鳴けば寄りくる連れのをり | 〃 |
餌にあらず花屑を呑む鯉の口 | 〃 |
かくれんぼ花下のベンチがお気に入り | 菜々 |
水底の影ひきつれて花筏 | 〃 |
泣き止まぬ子の背に肩に花の散る | 〃 |
たゆたへるペットボトルや春の川 | 宏虎 |
ホバリングしてをる虻や春花壇 | 〃 |
桜しべ降る行厨のベンチかな | ぽんこ |
鯉跳ねて散らす水面の花筏 | 〃 |
水温む鯉はダイブをくりかへし | 小袖 |
鳩群るる池の汀に春惜しむ | 〃 |
伏流の小川となりて花筏 | よし子 |
まさおなる空に高舞ふ落花かな | 〃 |
花吹雪ベンチの人の背に肩に | よう子 |
老木に深き傷痕花吹雪 | 〃 |
川名札囲み堤の菜の花黄 | きづな |
駆け上がる武庫川堤風光る | 〃 |
鯉はねし波紋に揺らぐ落花屑 | 有香 |
甲羅干す亀どち眺め春惜しむ | 百合 |
蹴り上ぐるボールに舞ひし春落葉 | 満天 |
(加者13名)
俳句 | 作者 |
---|---|
まなびやの塔抽ん出し花の雲 | 菜々 |
ロザリオの丘へ誘ふ花の坂 | 〃 |
花ミモザルルドのマリア像の辺に | 〃 |
草萌の丘の要にマリア像 | 〃 |
百年の白亜の学舎風光る | 〃 |
躑躅咲き雑木の山に色添へる | わかば |
ロザリオの丘もとほれば初蝶来 | 〃 |
花の下額づく小さきマリア像 | 百合 |
ぺちゃくちゃと花の道行く吟行子 | 〃 |
花守となりし守衛に一礼す | 英一 |
ロザリオの丘の四方より囀れる | 〃 |
花の昼窓から洩るる聖歌かな | 宏虎 |
学舎へと坂がかる道花盛り | ひかり |
トラピスト畠の真中に山茱萸黄 | ぽんこ |
初蝶来マリアの像の裳裾恋ひ | うつぎ |
楠若葉白亜の塔と並び立つ | 小袖 |
雪柳なびく小聖堂への径に | せいじ |
風光る双手ひろげしイエス像 | 満天 |
老松の裳裾となりて山つつじ | はく子 |
ひた走る部活乙女ら花の昼 | 〃 |
ミモザ咲くほとりルルドのマリア像 | 〃 |
(加者11名)
俳句 | 作者 |
---|---|
窯出しの素焼の棚の春埃 | せいじ |
老幹のねじれ傾ぎて芽吹きけり | 〃 |
山麓の窯元訪へば雪しぐれ | 〃 |
コンクリの川床滑る春の水 | 〃 |
雪化粧松子の書なる谷崎碑 | 〃 |
松子書の谷崎の碑に風花す | うつぎ |
石人の背ナ丸めたる余寒かな | 〃 |
春水の階なせる芦屋川 | 〃 |
荒東風や治水の板碑そそり立ち | 〃 |
陶房に轆轤回して春を待つ | 〃 |
ろくろ引くをみな春愁なしといふ | 菜々 |
下萌に立つ石人は四頭身 | 〃 |
妹背なる石の羊へ春の雪 | 〃 |
春雪のベールふはりと甲山 | 〃 |
雪げむる指呼の六甲山うす化粧 | はく子 |
と見る間に雪と変はりし車窓かな | 〃 |
高階へ吹き上りたる春の雪 | 〃 |
春灯下陶器窯入れパズルめく | 〃 |
豪邸の閉ざす門より梅ふふむ | 小袖 |
公家雛の稚児まんまるの立姿 | 〃 |
陶房のぬくしろくろの軽やかに | 〃 |
ライト坂花の蕾のまだ固く | 〃 |
窯入れを待つ陶の棚春寒し | よう子 |
陶土練るブーツの女春灯 | 〃 |
下萌に翁の句碑や暴れ川 | 〃 |
雪しまく海の昏さを思ひけり | わかば |
下萌の碑文が話題ぺちゃくちゃと | 〃 |
傘さして歩くに狭き梅の径 | ひかり |
雨の園訪ふは吾のみ梅三分 | 〃 |
覗き見る我は映らぬ雛鏡 | よし子 |
細雪碑に添ふ桜芽ぶきけり | 満天 |
春灯に釉薬つける眼差しを | 〃 |
山々の墨絵となりて雪しまく | 〃 |
(加者18名)
俳句 | 作者 |
---|---|
大樽の箍ゆるびなし寒造り | 菜々 |
冠雪の六甲指呼に灘五郷 | 〃 |
寒造り手擦れに光る自在櫂 | 〃 |
拳ほどの道具にも名や寒造り | 〃 |
蔵人の膳隔てなき炉端かな | 〃 |
金色の千木にあまつ日春隣 | ひかり |
句仇も呉越同舟寒の茶屋 | 〃 |
宮四温神事を告ぐる大太鼓 | 〃 |
神の池へと岩走る寒の水 | 〃 |
姦しく鳥語降る森春近し | せいじ |
風下に立ちてどんどの灰かぶる | 〃 |
くべられてほむら鎮まるどんどかな | 〃 |
美しく老いたしと思ふ福寿草 | 宏虎 |
初空へ前肢上ぐる神馬像 | 〃 |
満面の笑みを添へたり福娘 | 〃 |
達筆と見えし吉書も灰となる | 有香 |
寒禽の声良くひびく神の森 | 〃 |
園児らの黄色い声や吉書揚ぐ | 〃 |
六甲の嶺々の靄ひて雪催ひ | わかば |
囀を包容したる宮の森 | 〃 |
園児らの頬みなまっ赤とんど燃ゆ | よし子 |
天日を遮る雲に山眠る | 〃 |
社務所にもゆとりの見えし小正月 | 小袖 |
どんど焼き火だるまとなる熊手かな | 〃 |
愛猫もゐて端近に日向ぼこ | 百合 |
冬木の芽朝日を浴びて震へけり | 〃 |
中空へ灰遊泳すどんど焼き | ぽんこ |
火かき棒に現るる達筆吉書揚 | うつぎ |
年男駈けし参道吟行す | こすもす |
高舞ひて渇筆しるき吉書揚 | かかし |
遠巻きに幼なが囲むどんど焚き | よう子 |
大吟醸のクリームひびの手にやさし | きづな |
酒蔵の湯気立ちのぼる初御空 | 満天 |
六甲の天辺仄と雪被く | はく子 |
寒禽の来よもちの実の熟れたるに | 〃 |
2022 | 2021 | 2020 | 2019 |2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010