みのる選:2022年度
俳句 | 作者 |
カップルの待つ豚まんの湯気浴びて | あひる |
震災禍モニュメントとす園小春 | あひる |
芝ロールちやくちやく敷かれ春を待つ | あひる |
陽を返したゆたふ池の薄氷 | あひる |
豚まんの湯気競ひあふ中華街 | あひる |
豚まんの湯気の風向き変わりけり | あひる |
豚まん屋どこも元祖や冬うらら | うつぎ |
真珠店覗き見もしてクリスマス | うつぎ |
湯気立てて赤が氾濫中華街 | うつぎ |
年の暮ブランド街は素通りす | うつぎ |
彼彼女豚まんを蒸す湯気隠れ | うつぎ |
震災禍遺し園とす波止小春 | うつぎ |
人まばら湯気立つ朝の中華街 | わかば |
波止小春海王丸の帆を下ろし | わかば |
震災の跡いまもなほ身にぞ入む | わかば |
波止小春震災跡の生々し | わかば |
着膨れの路地に列なす中華街 | 豊実 |
園小春記念写真はBEKOBE | 豊実 |
湯気立てて路地へ迫り出す中華街 | 豊実 |
日あたりの海煌めきて山眠る | ふさこ |
歳晩の街駆け足で吟行す | ふさこ |
湯気の立つ軒を連ねて中華街 | こすもす |
長安門潜れば異国街小春 | たか子 |
身に入むや震禍の波止をモニュメント | ぽんこ |
震災禍残す突堤苔の花 | よう子 |
俳句 | 作者 |
イエス像もろ手を翳す天高し | うつぎ |
な踏みそマリアの前の彩紅葉 | うつぎ |
修女らの自給自足の冬菜畑 | うつぎ |
マリア像恋ふやに来たる小鳥かな | うつぎ |
磔像の部屋まで届け紅葉影 | うつぎ |
冬菜畑生き生き修道女は見えず | うつぎ |
出現のマリアはここと櫨紅葉 | あひる |
黙想の庭其処此処に笹鳴ける | あひる |
ピエタ像トラピスチヌの庭小春 | あひる |
どんぐりの幾許祈りの道に敷く | あひる |
穏やかな日差がつつむ実万両 | わかば |
影落とすマリアに水の澄めりけり | わかば |
照紅葉白亜のイエス御手ひろげ | わかば |
どんぐりの礫は神のみ告げかも | わかば |
木洩れ日の道をつづりし石蕗の花 | ふさこ |
背の紅葉映すガラス戸万華めく | ふさこ |
芝庭に足投げ出して日向ぼこ | ふさこ |
老松に命吹き入れ蔦紅葉 | もとこ |
朽ちかけの鳥居に隣る木守柿 | もとこ |
朝霧を脱ぎて比叡は全容を | もとこ |
一とかけの雲なき美空鳥渡る | 小袖 |
冬菜畑トラピスチヌの裏庭に | 小袖 |
碧眼のシスターと逢ふ紅葉山 | よう子 |
どんぐりの祈りの道や足裏爆ず | よう子 |
照紅葉宮の一隅明るうす | たか子 |
分け入れば祈りの道の秋深し | 豊実 |
陽射し燦トラピスチヌの冬菜畑 | ぽんこ |
俳句 | 作者 |
楚々と咲く十月桜愛ほしむ | もとこ |
雑木山踏みどころなき木の実かな | もとこ |
点描のごとき花弁や時鳥草 | もとこ |
園児らの黄色き声に木の実降る | もとこ |
はぐれなよ点描なして雁渡る | もとこ |
裏木戸を開ければひそと貴船菊 | もとこ |
底石の黒々として秋の川 | あひる |
川風に吹き攫はれし蜆蝶 | あひる |
彼の一樹ネイルのごとくもみづれる | あひる |
昇龍のごとき老松秋天へ | あひる |
半眼の不動尊へと薄紅葉 | 小袖 |
秋風にざわめきやまぬ神の杜 | 小袖 |
大岩に二タ分かれせる秋の水 | 小袖 |
神の磐走る裂け目や身にぞ入む | 小袖 |
磊々に急ぎ高鳴る秋の水 | せいじ |
土手小春紙吹雪めく群雀 | せいじ |
水澄むや鷺の一歩に立つ波紋 | せいじ |
黄落に波紋ひろごる川面かな | せいじ |
黄落す風倒木の寧かれと | たか子 |
身に入むや神苑を占む風倒樹 | たか子 |
クラス会めきし吟行秋天下 | たか子 |
秋冷や五体投地に風倒樹 | たか子 |
小流れの岩間岩間に石蕗黄なり | わかば |
裏山を紅葉に染めし茶庭かな | わかば |
秋の苑栞りたきものそちこちに | わかば |
秋の風山湖をとゆき斯くゆきぬ | わかば |
紅葉影揺れ通しなる力石 | なおこ |
秋日いま光と影に力石 | なおこ |
斯く斯くと水の六訓小鳥来る | こすもす |
渓を吹く風に大揺れやまぶだう | ぽんこ |
小鳥来て和らぐ杜や力石 | 豊実 |
俳句 | 作者 |
梅天の仄と明るみ遥拝所 | うつぎ |
あめんぼの滑るに倦みて大ジャンプ | うつぎ |
下闇に子丑寅の方位盤 | うつぎ |
青竹の筧を走る水涼し | うつぎ |
湧き出ずるごとくに梅雨の水輪かな | うつぎ |
雨垂れの音に風鈴黙しけり | うつぎ |
祈祷殿前なる五葉松涼し | 明日香 |
岩陰へ雨粒さけて水馬 | 明日香 |
雨だれのテラスの卓にをどりをり | 明日香 |
大小の水輪がせめぐ梅雨の池 | 明日香 |
総玻璃の茶処四囲に花菖蒲 | 明日香 |
青銅の駿馬へ注ぐ緑雨かな | せいじ |
梅雨じめりしたるおみくじ吉とでし | せいじ |
万緑に千木の金色極めけり | せいじ |
玉砂利ににじむ緑雨の潦 | せいじ |
万緑の宮へとまたぐ朱大門 | せいじ |
亡き句友悼みつ茶屋のわらび餅 | こすもす |
序破急を告ぐる雨音梅雨寒し | こすもす |
な滑りそ梅雨しとどなる太鼓橋 | こすもす |
橋裏に雨宿りするあめんぼう | こすもす |
戎絵の団扇置かるる甘処 | 小袖 |
梅雨の茶屋守りし媼の恵比寿顔 | 小袖 |
白玉や緑射し込む宮の茶屋 | たか子 |
今日夏至の六甲連山棚曇り | たか子 |
神域の一歩に深き木下闇 | ぽんこ |
老松が傘なす梅雨の遥拝所 | ぽんこ |
跳ね橋の跳ねるや否やつばくらめ | 凡士 |
砲台の沖を過ぎゆくヨットかな | 凡士 |
花菖蒲残る一輪池統ぶる | よう子 |
神苑の太鼓一打や梅雨迎え | よう子 |
あめんぼう雨の水輪にとまどひぬ | あひる |
練塀に沿ひて吟行梅雨しとど | わかば |
砲台を埋めつくして姫女苑 | 豊実 |
梅天へ神迎えなる大太鼓 | もとこ |
俳句 | 作者 |
吹く風にしばらく薔薇の香をまとふ | 素秀 |
リュックの背反らせてくぐる薔薇アーチ | 素秀 |
薔薇を剪る鋏に迷ひなかりけり | 素秀 |
園丁の薔薇の鋏の潔し | 素秀 |
離陸機のいま旋回す花樗 | 明日香 |
大空へ楓の若葉の幾重にも | 明日香 |
梅天の日輪白く滲みけり | 明日香 |
青蔦がすつぽり覆ふ古墳かな | ぽんこ |
薔薇アーチ花弁を散らす石畳 | ぽんこ |
身体より大きなリュック遠足児 | ぽんこ |
夢叶ひさうな真つ赤な薔薇アーチ | 小袖 |
夏衣さりときなし太極拳 | 小袖 |
大空に溶けいりさうや花樗 | たか子 |
まくなぎの虜となりし古墳道 | たか子 |
色ごとに陣を分かちぬ薔薇の苑 | 豊実 |
色変はるたび歩の緩む薔薇の苑 | 豊実 |
むらさきにけぶる空あり花樗 | もとこ |
万緑を砦としたる古墳かな | もとこ |
古墳へと広枝差し掛く花樗 | わかば |
曇天にまぎれて淡し花樗 | わかば |
オフィーリアのドレスとしたし白薔薇 | よう子 |
梅天や古墳覚めよと飛機の音 | よう子 |
薔薇の虻みもだえてをる花心かな | うつぎ |
薔薇薫るコロナマスクを外したし | なおこ |
俳句 | 作者 |
道をしへ会ひたき人に会へしごと | 明日香 |
山つつじ樹間樹間を彩りて | 明日香 |
奥池へ幾重の緑さしにけり | 明日香 |
新緑の木洩れ日浴びて瀬をわたる | 明日香 |
茶室への細道つづるえびね蘭 | 明日香 |
蹲の花屑仄と彩とどむ | 明日香 |
岩を咬み己が影咬む糸蜻蛉 | 明日香 |
若楓重なり谷の空覆ふ | わかば |
囀を心に満たし山路ゆく | わかば |
藍深き湖へ五彩の緑さす | わかば |
瀬の石を咬んではなさぬ糸蜻蛉 | わかば |
石楠花にやはらかき風生まれけり | わかば |
川風が捩れをほどく鯉幟 | 小袖 |
緑青の庇へ翳す若楓 | 小袖 |
春日透く汀へ稚魚の寄りきたる | 小袖 |
花園に蝶々ひらり又ひらり | 小袖 |
行厨は桜しべ敷く樹の下で | せいじ |
花虻のホバリングして道塞ぐ | せいじ |
花虻をいなしつつ園巡りけり | せいじ |
道をしへ鏡池へと招きけり | もとこ |
薫風に誘はれゆく山路かな | もとこ |
そよ風が運ぶ鳥語や竹の秋 | もとこ |
若楓そのうす緑目にぞ沁む | 千鶴 |
山路ゆく囀遠くまた近く | 千鶴 |
桜しべ踏みて吟行また愉し | 千鶴 |
行厨は大緑陰の傘の中 | ぽんこ |
暦年の残念石へ緑さす | ぽんこ |
那智黒の径をつづるは花あしび | ぽんこ |
斑猫に出会ひてうれしつき行きぬ | あひる |
うららかや小さき靴下げベビーカー | あひる |
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