2023年の作品
2023年の作品
京ことばもて大涅槃解かれけり
舎利殿の白骨格子冬日燦
庭清浄白砂と苔と散紅葉
雨粒を綺羅とやどせる著莪葎
苔の面を覆ひかつ散る庭紅葉
息を呑む御座所の庭の照紅葉
紅葉且つ黄葉御座所を荘厳す
官女の間とて絵屏風と緋毛氈
錦繍の御座所にアブストラクト展
12月6日能勢、枚方、大阪小グループ納会吟行
秀枝洩る日の目潰しや寺紅葉
山気満つ朝まだきなる紅葉寺
疎に密に峪へしぐるる散紅葉
朱の欄の足下八重なす峪紅葉
着膨れて菩薩に念ずぼけ封じ
たたら踏むほど磴埋む散紅葉
ひれ伏して撮る苔庭の散紅葉
句ともがら寄りて宴や枯木宿
琅玕に綺羅の日あそぶ竹の春
12月6日能勢、枚方、大阪小グループ納会吟行
白亜なるトラピスチヌへ紅葉坂
たらちねの抱擁に似し日向ぼこ
豪邸のパノラマなせる庭紅葉
玉の日や冬帝われを洗礼す
天辺に陽の絡みをる谷紅葉
我ここにありと大王松落葉
一穢なき冬天支ふ大王松
錦繍の梢に透きて空ま青
出現の聖母を染めて庭紅葉
11月定例句会:宝塚黙想の家(修道院)
古城址の秋を聞けとぞ松騒ぐ
秋風や城址といへど土塁のみ
秋草の土塁は子らの秘密基地
此処にまた鬼貫の碑や郷の秋
鬼貫の大盤石碑より秋の声
塚なせる秋天高く忠魂碑
古塚を虜としたる藪枯らし
異な千草おまんは誰ぞ野路愉し
別れの手翳し振り向く秋の人
10月度有志吟行
虚子門の女流ギャラリー文字涼し
露けしと佇つ石庭の白洲かな
石庭の陸なすところ苔の花
柿衞翁偲ぶお庭は柿の秋
酒蔵の今昔縷々と笑みさやか
焼杉の家並み清かや伊丹郷
路地さやか一直線に石畳
秋灯下和む酒蔵レストラン
爽やかや励ます方が励まされ
10月度有志吟行
相聞の歌碑誦してより秋思憑く
槙野師に負けじと野路の秋探る
万葉の歌碑もとほれば残る虫
露の歌碑犬飼節の聞こえずや
歌碑に添ふ万葉園の千草かな
猛々しく盗人萩の咲く野かな
園荒れて盗人萩が席巻す
野路の秋名草醜草あひ睦み
樹下通ふ風に寛ぐ残暑かな
9月度定例句会:西田公園・万葉園
一渓へつづら折るみち濃紫陽花
瀬の楽にこころ洗はれ避暑散歩
どことなく渦巻いてをる瀞涼し
目高の子躍如す瀞のみぎはかな
堰く岩に七折れ八折れ渓涼し
大岩に二タ分れして渓涼し
岩走りては瀞となる渓涼し
一水の奈落を走る渓涼し
瑠璃の尾をひるがへし消ゆ蜥蜴かな
歩をとめて吾を訝しむ蜥蜴の子
7月度定例句会:北山緑化植物園
磴一歩一歩に迫る青嶺かな
力石涼し白玉砂利の上に
御手洗の涼し那智黒へと溢れ
奥宮の涼し山気に満てりけり
天鵞絨の苔潤すは岩清水
神の鹿辞儀繰りかへし草を喰む
鹿垣の内なる神の若木かな
屁糞葛親のかたきと引かれけり
紅殻の小堂神の緑陰に
宮の木々トトロの森のごと茂る
山気に満ちていて、ゆくりなく鹿とも出会う
建学の旨彫りし碑や門涼し
橋涼し奈落は木下闇の径
茶庭涼し見得切つてをる五葉松
芝涼し湖面のごとく刈り込まれ
景石の多島海めく芝涼し
瓢の笛吹き比べしつ吟行す
歌口に添はす朱唇や瓢の笛
高櫓涼し蔀戸全開す
高欄の涼し城下をパノラマに
浮舞台涼し水面に雲あそぶ
よく整備された城址公園で広々した芝庭が印象的
大梁涼しと仰ぐ長屋門
邸涼し壁に大きな肖像画
逸翁の終の住処ぞ諸所涼し
プロペラの回る高天井涼し
貴賓椅子涼し高足組んでみる
歴代のヅカガール笑む壁涼し
二の足や冷房の扉を出づるとき
捩花に触るる汝は左巻き
躙口涼し茶室は二畳の間
冷房の茶房お尻に根が生える
仕事で何度か訪ねていたが吟行したのは初めて、新鮮な感動を得た
ヘリの音太鼓打ちせる梅雨晴間
白拍子めく神奈備の梅雨きのこ
梅天を持ち上げてをる神の楠
神の岩侍る巨木の樹下涼し
白杖の佇ちあふぎゐる百千鳥
暑気祓ふやに打ち響く宮太鼓
泥神楽刎ねて躍如や梅雨の鯉
神の池島嶼模したる岩涼し
ひしめきて万華を描く錦鯉
6月度定例句会:西宮神社
白薔薇の花芯のしべは檸檬色
薔薇小径網代模様に煉瓦敷く
らんまんの香に包まれて薔薇に佇つ
老骨に秘むる闘志や薔薇燃ゆる
大緑陰塚を要となせりけり
箍ゆるむ大輪の薔薇寧からず
機影いまはがねびかりす五月晴
ひろげ見る謎の古墳の落し文
散華せし薔薇剪る鋏潔し
5月度定例句会:大井戸公園
朱の堂の要に金ンの寝釈迦かな
獣みな四肢折りて哭く涅槃絵図
寝釈迦いままどろむさまに腕枕
月まどか涅槃の釈迦の寧かれと
涅槃の図衆生の嘆き封じ込め
涅槃図の迦陵頻伽は唄ふやに
塗り忘れかも涅槃図の象真白
涅槃の図頭北面西教へけり
涅槃像御目あけませ風花す
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