2020年の作品

2020 年 12 月 13 日

小春


母の髪すけば小春の日の匂ひ

園児らの列はどんぐり拾ひ隊

落下傘部隊さながら鴨着水

舌頭に飴玉あそぶ小春かな

寄り道の旅の足湯にしぐれけり

ドヤ街の焚火にあたる巡査かな

放牧の牛呼ぶ声や日短

厨より妻のハミング明易し

巻き癖の玄関マット冬支度

(コロナ禍後期)

2020 年 12 月 13 日

花の雲


大伽藍もちあげてをる花の雲

三線にうたふ故郷や花筵

忽然と花の雲よりケーブルカー

路上ジャズ拍手喝采花吹雪

蓑虫のもろ肌脱ぎに貌だしぬ

秋風や歴百年の老舗閉づ

畦に買ふ百円野菜曼珠沙華

一揆の碑山田錦の稔り田に

ワルツはたサンバや風の秋桜

(コロナ禍前期)

2020 年 2 月 18 日

園田競馬


寒紅の騎手が先導返し馬

差し脚の疾風迅雷競べ馬

馬券手に贔屓駒追ふ遠眼鏡

並ばれて必死の鞭や競べ馬

懐手して立ち尽くす負け競馬

ゴール前怒号飛び交ふ競べ馬

勝馬の馬群抜け出てより一気

接戦やクビ差ハナ差といふ競馬

騎手乗りてよりの気合や競べ馬

2 月度定例句会

2020 年 2 月 10 日

市ノ池公園


扇状につる伸べてバラ剪定す

春山の尾根より届く子らの声

のどけさに緊張を解く飛行雲

降りたてば水無川も下萌ゆる

春山の尾根より立ちし飛行雲

園丁のほぐす手鍬に地虫出づ

紅くまた萌黄に芽ぐむ森の道

もとほれば草芳しき池塘かな

売地札寝転んでをる枯野かな

2 月度落穂句会吟行

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