2014年の作品
2014年の作品
蓮根掘泥の曼荼羅踏み分けて
蓮根掘媼は泥の顔で笑む
蓮根掘り尽くされ池は泥鏡
エアホースもんどりうつは蓮根掘
真青なる空秋嶺を抱擁す
秋天を支ふポプラの大樹かな
車駐む桜紅葉の天蓋下
鏡池縁どる桜紅葉かな
さざなみて小春日を揉む汀かな
露の珠おく天鵞絨の苔の上
蹲の苔秋水を溢れしむ
苔庭の瑞々しさよ菊日和
五指そつと触る苔庭の露けさに
苔庭に洩る鉾杉の秋日影
星屑に似し杉苔の露けさよ
金風や極楽院の三尊に
錦繍の樹間に往生極楽院
屈み見るわらべ地蔵に秋思あり
露けしや苔に埋もれし稚児仏
人面の鯉と目の合ふ秋思かな
錦鯉散らして水の澄めりけり
色鳥の一擲したる池泉かな
振る舞ひの野点に古寺の秋惜しむ
朱の欄に聴く律川の秋の声
源は律川といふ池澄める
浄土模す院の奥処に秋惜しむ
森ここだ露けき石はみな菩薩
カメラ女子身をくねらせて紅葉撮る
梢洩る色葉明かりに朱雀門
露けしや洩れ日とどかぬ深山道
石垣をキャンバスとして蔦紅葉
呂に律にさざめく古都の紅葉川
絹晒し落つ堰堤の秋の水
しば漬の店を梯子や秋遍路
袖合はす山懐に秋意あり
遙拝の比叡遙かに鳥渡る
大原女の径と標や草紅葉
吾妹子の後れつきくる野路の秋
秋興や地場の野菜を家苞に
下闇の碑文に縷々と落城史
夏草や城址といへど土塁のみ
島嶼模す枯山水の石涼し
石庭の箒目に涼もらひけり
蔵屋敷出入り自由や土間涼し
一部屋はクラフト展や夏館
煤びかりせる太梁や夏館
鬼貫碑訪ふも俳諧遍路かな
仮名涼し達筆すぎて句碑読めず
昨夜雨の狼藉憎む牡丹守
朱唇触るるごと屈み見る白牡丹
曇天の暗さを払ふ白牡丹
斯く粋美なりし汝は白牡丹
ひしめくは牡丹にひらく傘の花
ぼうたんにさす傘天地人なせる
散華せしぼうたんの傘畳まるる
牡丹百寺領狭しと艶競ふ
今日明日の命と思ふ牡丹あり
雨もまたよしと池塘の春惜しむ
水面うつ雨音もまた早春譜
唄ふごと雨の水輪や池の春
芽木の雨本降りとなる亭午かな
春雨に濡れて忿怒の仁王石
珠と落つ芽木の瑞枝の雨しずく
春落葉託つ園丁話し好き
簷深き迎賓館の春ともし
集めたる奇石珍石庭の春
大聖樹ポインセチアを籬とす
コロンボのコートに似たるルンペン氏
日向ぼこ小犬はじっとしてをれず
思惟深き磨崖弥勒や冬紅葉
工事場の轍は深く凍てにけり
左義長に燻る片目達磨かな
海跨ぐ橋は朧に浮きにけり
強東風につくばひの水落ち着かず
梅寒し甘酒茶屋へエスケープ
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