瀬を曲がるたび春水の楽変ふる
若楓透けて日の洩る渓日和
眼福や渓空に透く若かえで
池鏡芽木は五彩を競ひけり
亀うらら五体投地に甲羅干
池塘人思ひ思ひに春惜しむ
ついてくる虻の羽音や苑うらら
道をしへカメラ覗けばゐずなんぬ
ゆくりなき吟行日和道をしへ
勝ち戻る騎手春天へ拳あげ
春塵に拾ひ確かむ捨て馬券
鞭一打なく勝馬となれりけり
鼻筋の白きは血筋春の駒
ギャロップの鬣なびく春光裡
うららかやパドック囲む競馬女子
騎手乗りてよりの気合や競べ馬
啓蟄の大地ゆるがせ草競馬
春愁や後塵拝す本命馬
しろがねの月下に涅槃したまへり
沙羅双樹隠れは魑魅か涅槃変
大涅槃絵図は渚のごと余る
慟哭を聴かむと涅槃図の裏へ
大涅槃絵図の裏より吟行子
阿難陀ひとり蒼白涅槃変
猫舌にのせて涙す大根焚
耶蘇の吾もともにいただく大根焚
大福火浴びてコロナ禍祓ひけり
初空やマスクはずして深呼吸
初御空豊旗雲を刷きにけり
先師在す初御空へとまず御慶
孫二人バステノールと御慶のぶ
孫たちの笑顔はじけるお年玉
初凪や震源の島泰然と
黙祷に晨朝明くる阪神忌
夢希望絆と点る阪神忌
空き瓶の舟を漕ぎゐる春の汐
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