斯く敷きてなほ降りやまぬ落葉道
一詩人木の葉時雨に身じろがず
鬼ごつこしてをる園の風落葉
烈風に逆巻く木の葉時雨かな
と見る間に青空失せる冬山路
土踏まずにも感触や落葉道
大魔神仁王立つごと大冬木
風騒の吾を洗礼す木の葉雨
傷心の靴先が蹴る落葉道
ぺちやくちやと荒神さんへ道小春
荒神へ味見のはしご店小春
黄落の大樹仰ぎて南無阿弥陀
一穢なき蒼天黄落日和かな
高舞ふと見しは錯覚黄落す
対峙して黄落競ふ大公孫樹
黄落の洗礼受けて礼参り
小春日に布袋の臍も笑むごとし
広前に余る小春の日差しかな
菊の虻日差し翳ればゐずなんぬ
対峙して居向き確かむ菊あるじ
結界に迫り出して愛づ賞の菊
玉の日に大菊威儀を正しけり
直立す大菊に吾も背筋伸ぶ
堵列して背比べめく賞の菊
虻忙し懸崖菊を上へ下へ
盆菊の古木百態雅を競ふ
日面は虻の天国菊花展
幽谷をと行きかく行き秋惜しむ
塞く岩に七折れ八折れ水の秋
岩走る水音に溪の秋惜しむ
二タ分れして静と動秋の川
覗き見る溪の底ひの秋深し
照り翳るたび万華鏡溪紅葉
一条の日矢が貫く溪紅葉
中腹の湖に一服秋山路
どこまでも真澄の空や山近し
千手の枝翳して木の実降らせけり
秋蝶は気紛れといふカメラマン
とりどりの色の草の実野路愉し
豊の田を喜び撫づる風を見よ
ゆく雲の遅速に窓の秋惜しむ
のろしめく白雲立ちし秋の峰
野菜くず残りし畑に紫苑立つ
八千草を活けて緑の相談所
大鳥居うち仰ぐ天高きかな
こぼるるを句帳に栞るしだれ萩
こぼれてもこぼれても萩無尽蔵
しじみ蝶丈余の萩をのぼりつめ
短冊の揺らぎて萩の風生まる
師の句碑に佇みをれば萩の風
萩叢の高みに仰ぐ子規の句碑
存問の虻にうなづくしだれ萩
草の花添へて絶筆三句の書
風あそぶ丈余の萩の天辺に
禿山の尾根越えて来る秋の声
風に舞ふ木つ葉に非ず秋の蝶
縺れつつ不即不離なる蜆蝶
やんま来て隠沼の面席巻す
切株に蔓からませて草の花
法師蝉千手ひろげし樟大樹
高窓を過りては行く秋の雲
溝萩の屏風立せる池塘かな
喬木に手をあてて聞く秋の声
谿川の七折れ八折れ秋の声
秋の声残念石のうしろより
水漬きたる風倒木の秋の声
瀬波いま瀞に鎮まる秋の声
山影の襞深きより秋の声
白骨化せし立枯の秋の声
橋半ば谿深きより秋の声
楓林の風の序破急秋の声
水豊かなる沢音に避暑心地
瀞にきて鎮まる沢の楽涼し
空谷の風病葉を降らしけり
空谷の樹間を縫ひて黒揚羽
激つ瀬に常濡れとなる岩涼し
一条の洩れ日にをどる羊歯涼し
降り立てば沢吹く風に汗引きぬ
谿深く降りゆくほどに濃紫陽花
瀬しぶきに毬揺れやまぬ濃紫陽花
けもの道めきて嵩なす竹落葉
菖蒲池古都の条理に似し歩板
歌膝にしやがんで愛づる花野かな
梅雨雲の厚きに籠る飛機の音
梅雨雲へ猪突猛進飛機離陸
異な虫も浮沈してをる蝌蚪の国
イナバウワーして風いなす早苗かな
掌に受けてみる鈴なりの小判草
小槌振るごとくに風の小判草
百蝶の憩ふがごとし山法師
山峡の暗さを払ふ山法師
迫り出して水漬く池塘の茂りかな
万緑の広さ深さよ池鏡
時鳥どのへんかしら山襖
遊歩道唄ふごとくに若葉影
わが陰に憩へと仁王立つ大樹
霧吹いてあげやうかしら花菖蒲
相会釈コスモス畑のあちとこち
門川へ卯の花こぼす垣根かな
高梯子江戸火消しめく松手入
築地塀右に左に門涼し
贅尽くす邸の緑や築地塀
華語韓語溢れ南大門暑し
片陰や二月堂へと築地塀
欄涼し古都の翠黛パノラマに
袋角いのちの色を宿しけり
偕老の手をつなぎゆくバラアーチ
バラアーチ潜る園児とハイタッチ
根上りを埋むばかりに夏落葉
緑陰の此処がよろしとベンチ混む
薔薇大輪呵々大笑の汝れ悼む
青蔦を総身に仁王立つ大樹
蔦葎千古の遺構埋もれしと
蔦葎ついと揺れしは魑魅ならむ
涼風におしやべりやまぬ楓の森
朱の欄に梅見の女人ひとならび
梅の丘攻めあぐるごと人の影
梅の丘雲居をいゆくごと巡る
碑を一太刀に切る梅の影
陣分けて紅白鬩ぐ丘の梅
閻王の秤かたむく春の塵
閻王と眼のあひてより彼岸寒
啓蟄の蟻はや秀つ枝めざしけり
啓蟄の穴うた膝に存問す
美人画を抜けきしやうな女雛かな
をみなみな少女の顔に雛愛づる
金屏に四川の山河展けけり
冠纓のゆるびあやうき古雛
貝合はす遊びを伝へ雛飾る
部屋中に赤が氾濫雛の宿
マッチばこ高御座とす豆雛
七福の神々そろふ豆雛
黒檀の床柱ある御殿雛
歌碑百基玉垣なせる梅の宮
身に入むや霊松殿に枯死の幹
玉垣にしだれて屑をこぼす梅
百様の梅の遅速を愛でにけり
しだれ梅放物線の傘ひらく
万蕾の重しと辞儀す枝垂れ梅
馥郁と香に満つ宮居梅日和
天地人なす枝ぶりやしだれ梅
梅まつりとて結界を開放す
寺門でて春光の海パノラマに
明石の門波の子もなく風光る
指呼の沖しるき潮目に風光る
子午線の沖にいかなご漁れる
国生みの島青むかと遠眼鏡
仇討の悲願籠りし梅ひらく
子午線が海へ貫く梅の山
一女性長き祈りや梅の宮
金婚の一碑に宮の梅香る
蛸必死糶られながらも逃げんとす
糶の鱏口尖らせて不満あり
高値呼ぶ糶の鱸の跳ねにはね
着膨れて糶呼のおじさん強面
叱咤せるごとく糶呼の息白し
革ジャンで隠して糶の指サイン
糶負けて破れかぶれに春愁ふ
糶佳境熱き白息とび交ひて
糶果てて人気減りたる寒さかな
堰落つる町川春を唄ひけり
春光のとどく川底砂をどる
亀甲の石床あらふ春の川
下萌に膝つき祈る震災碑
黒汐の風に南高梅香る
早春の空指す竿やはねつるべ
舌頭にまろばせて利く新走
下戸の吾にあふ甘口の新走
春霞指呼の六甲まだ覚めず
庭師いふ松に聞きつつ手入れすと
鴨進む連理の水尾を重ねつつ
ほらそこと指されし方に鳰をらず
鳰潜る連鎖反応見て飽かず
水走りして鳰突進何事ぞ
水遁の術を見よやと鳰潜く
イエス在さば歩かむ池の薄氷
日溜まりの薄氷岸を離れけり
萌ゆるかと手で分けて見る枯葎
流木をあつめて足りる浜焚火
浜焚火命拾ひし話など
朝散歩ちよつとより道浜焚火
酒気帯びの呂律怪しき浜焚火
煙草に火つけて戻しぬ焚火屑
裏表なく身を焦がす焚火かな
時化の沖指してため息浜焚火
浜焚火漁師志願といふ子らも
トロ箱も腰掛けとなる浜焚火
水鳥のしやくる嘴より玉 しずく
榾の火に翳さしたる手で顔擦る
榾の火の坩堝覗けば舌あそぶ
凸凹の薬缶湯気立つ番所かな
山眠る大火の傷のなほ癒えず
末広に立つ工場の初煙
広池に満つ御降の水輪かな
部活女子菓子頬ばりつ初詣
部活女子急磴一気初詣
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