わが庵の狭庭に余る小春かな
ホバリングしてをる虻や石蕗日和
ぼろぼろの蜘蛛囲に縋る主かな
釣果などどうでもよろし日向ぼこ
一条の日矢に水底紅葉燃ゆ
やや疲れ見せたるもあり賞の菊
虻たちの宴たけなはや石蕗日和
紅葉狩グルメ目めての妻が供
喜びを相頒かちあふ温め酒
灘五郷蔵し六甲山粧ふ
もの見して枯木の烏啼きにけり
炎上のごとき夕日の櫨紅葉
利き酒に饒舌となる木の葉髪
あつあつのうどんを所望紅葉冷
山錦して舎利塔を荘厳す
シスターのベールに触れて銀杏散る
友禅を晒す水面の散り紅葉
水ナ上へハの字ハの字や鴨の水脈
闘志なく枯蟷螂の慈眼かな
蟷螂の裳裾はいまだ枯れてをらず
枯蟷螂といへど碧眼もてりけり
老い吾を相哀れむか枯蟷螂
わが庵の居心地如何枯蟷螂
縋る枝よりも枯れゐし蟷螂かな
斯く枯れてなほ鎌挙ぐる蟷螂かな
枯れし頸かしげ吾を見る蟷螂かな
琅玕に玉の日絡む小春かな
苑小春和服美人の一と屯
玉のごと小春日まろぶ小川かな
冬日いま悲恋の塚を抱擁す
竹林の風に縺るる秋日影
秋澄むや水琴窟の音もまた
苔庭へ錐揉み落つる竹落葉
草庵の侘びさぶ秋を聴きにけり
穂高嶺の山襞しるき秋日影
手庇に遠嶺の秋を惜しみけり
木道は二本丸太や秋山路
ガイド指す主峰忽ち霧隠れ
抽ん出し主峰は雪を被きけり
澄む水に裳裾を映す主峰かな
いま下りて来しと秋嶺指されけり
立ち枯れとして澄む湖に直立す
峡谷の大吊橋に秋惜しむ
木隠れに仰ぐ岩頭滝落つる
滝壺は天降る木洩れ日もみにけり
呂に律に奏づ瀬音や滝の道
百丈の岩を研ぎつつ滝落つる
切り岸に雪崩るる風の歯朶涼し
噴水のラインダンスや遊歩道
春陰のカメラは無聊野鳥待つ
たもとほる百万本のバラの香に
水底に日の斑のをどる泉かな
所化僧ら総出で磴の雪を掻く
ゆくりなく雪の濁世や涅槃変
読経いま寝釈迦覚めよと堂に満つ
虎も威をうち捨てて哭く涅槃絵図
裾の辺に異な虫の這ふ涅槃絵図
所化僧の絵解き怪しき涅槃かな
飛簷より喝と落ちたる雪解かな
殉国者慰霊塔たつ雪間かな
ベンチみな深雪を積みてやくたたず
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