やまだみのる

2018年11月3日

市ノ池公園


菊花展   やまだみのる

菊の虻日差し翳ればゐずなんぬ

対峙して居向き確かむ菊あるじ

結界に迫り出して愛づ賞の菊

玉の日に大菊威儀を正しけり

直立す大菊に吾も背筋伸ぶ

堵列して背比べめく賞の菊

虻忙し懸崖菊を上へ下へ

盆菊の古木百態雅を競ふ

日面は虻の天国菊花展

11月落穂句会

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2018年10月18日

北山緑化植物園


水の秋   やまだみのる

幽谷をと行きかく行き秋惜しむ

塞く岩に七折れ八折れ水の秋

岩走る水音に溪の秋惜しむ

二タ分れして静と動秋の川

覗き見る溪の底ひの秋深し

照り翳るたび万華鏡溪紅葉

一条の日矢が貫く溪紅葉

中腹の湖に一服秋山路

どこまでも真澄の空や山近し

10月定例句会@北山緑化植物園

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2018年10月6日

市ノ池公園


木の実   やまだみのる

千手の枝翳して木の実降らせけり

秋蝶は気紛れといふカメラマン

とりどりの色の草の実野路愉し

豊の田を喜び撫づる風を見よ

ゆく雲の遅速に窓の秋惜しむ

のろしめく白雲立ちし秋の峰

野菜くず残りし畑に紫苑立つ

八千草を活けて緑の相談所

大鳥居うち仰ぐ天高きかな

10月落穂句会@市ノ池公園

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2018年9月18日

萩の寺(東光寺)


萩の風   やまだみのる

こぼるるを句帳に栞るしだれ萩

こぼれてもこぼれても萩無尽蔵

しじみ蝶丈余の萩をのぼりつめ

短冊の揺らぎて萩の風生まる

師の句碑に佇みをれば萩の風

萩叢の高みに仰ぐ子規の句碑

存問の虻にうなづくしだれ萩

草の花添へて絶筆三句の書

風あそぶ丈余の萩の天辺に

9月定例句会@萩の寺

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2018年9月8日

市ノ池公園


秋蝶   やまだみのる

二つ瀬の落合ひてより秋の声

禿山の尾根越えて来る秋の声

風に舞ふ木つ葉に非ず秋の蝶

縺れつつ不即不離なる蜆蝶

やんま来て隠沼の面席巻す

切株に蔓からませて草の花

法師蝉千手ひろげし樟大樹

高窓を過りては行く秋の雲

溝萩の屏風立せる池塘かな

9月落穂句会@市ノ池公園

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2018年8月22日

西宮市北山緑化植物園


秋の声   やまだみのる

喬木に手をあてて聞く秋の声

谿川の七折れ八折れ秋の声

秋の声残念石のうしろより

水漬きたる風倒木の秋の声

瀬波いま瀞に鎮まる秋の声

山影の襞深きより秋の声

白骨化せし立枯の秋の声

橋半ば谿深きより秋の声

楓林の風の序破急秋の声

8月定例句会@北山緑化植物園

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2018年7月17日

西宮市北山緑化植物園


沢涼し   やまだみのる

水豊かなる沢音に避暑心地

瀞にきて鎮まる沢の楽涼し

空谷の風病葉を降らしけり

空谷の樹間を縫ひて黒揚羽

激つ瀬に常濡れとなる岩涼し

一条の洩れ日にをどる羊歯涼し

降り立てば沢吹く風に汗引きぬ

谿深く降りゆくほどに濃紫陽花

瀬しぶきに毬揺れやまぬ濃紫陽花

7月定例句会@北山緑化植物園

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2018年6月19日

尼崎農業公園


早苗   やまだみのる

けもの道めきて嵩なす竹落葉

菖蒲池古都の条理に似し歩板

歌膝にしやがんで愛づる花野かな

梅雨雲の厚きに籠る飛機の音

梅雨雲へ猪突猛進飛機離陸

異な虫も浮沈してをる蝌蚪の国

イナバウワーして風いなす早苗かな

掌に受けてみる鈴なりの小判草

小槌振るごとくに風の小判草

6月定例句会@尼崎農業公園

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2018年6月2日

市ノ池公園


山法師   やまだみのる

百蝶の憩ふがごとし山法師

山峡の暗さを払ふ山法師

迫り出して水漬く池塘の茂りかな

万緑の広さ深さよ池鏡

時鳥どのへんかしら山襖

遊歩道唄ふごとくに若葉影

わが陰に憩へと仁王立つ大樹

霧吹いてあげやうかしら花菖蒲

相会釈コスモス畑のあちとこち

6月落穂句会@市ノ池公園

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2018年5月22日

奈良東大寺


築地塀   やまだみのる

路地一つ違ふ静けさ古都涼し

門川へ卯の花こぼす垣根かな

高梯子江戸火消しめく松手入

築地塀右に左に門涼し

贅尽くす邸の緑や築地塀

華語韓語溢れ南大門暑し

片陰や二月堂へと築地塀

欄涼し古都の翠黛パノラマに

袋角いのちの色を宿しけり

5月吟行句会@奈良(東大寺、二月堂)

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2018年5月16日

尼崎大井戸公園


楓の森   やまだみのる

偕老の手をつなぎゆくバラアーチ

バラアーチ潜る園児とハイタッチ

根上りを埋むばかりに夏落葉

緑陰の此処がよろしとベンチ混む

薔薇大輪呵々大笑の汝れ悼む

青蔦を総身に仁王立つ大樹

蔦葎千古の遺構埋もれしと

蔦葎ついと揺れしは魑魅ならむ

涼風におしやべりやまぬ楓の森

5月定例句会@大井戸公園(薔薇、古墳)

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2018年3月20日

中山寺


梅の丘   やまだみのる

朱の欄に梅見の女人ひとならび

梅の丘攻めあぐるごと人の影

梅の丘雲居をいゆくごと巡る

碑を一太刀に切る梅の影

陣分けて紅白鬩ぐ丘の梅

閻王の秤かたむく春の塵

閻王と眼のあひてより彼岸寒

啓蟄の蟻はや秀つ枝めざしけり

啓蟄の穴うた膝に存問す

3月定例句会@中山寺(梅林)

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2018年3月5日

藤井寺佐藤家のひなまつり


豆雛   やまだみのる

美人画を抜けきしやうな女雛かな

をみなみな少女の顔に雛愛づる

金屏に四川の山河展けけり

冠纓のゆるびあやうき古雛

貝合はす遊びを伝へ雛飾る

部屋中に赤が氾濫雛の宿

マッチばこ高御座とす豆雛

七福の神々そろふ豆雛

黒檀の床柱ある御殿雛

3月自由吟行@佐藤家のひなまつり

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2018年3月3日

高砂曽根天満宮


梅日和   やまだみのる

歌碑百基玉垣なせる梅の宮

身に入むや霊松殿に枯死の幹

玉垣にしだれて屑をこぼす梅

百様の梅の遅速を愛でにけり

しだれ梅放物線の傘ひらく

万蕾の重しと辞儀す枝垂れ梅

馥郁と香に満つ宮居梅日和

天地人なす枝ぶりやしだれ梅

梅まつりとて結界を開放す

3月落穂句会@曽根天満宮

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2018年3月1日

明石人丸山


風光る   やまだみのる

寺門でて春光の海パノラマに

明石の門波の子もなく風光る

指呼の沖しるき潮目に風光る

子午線の沖にいかなご漁れる

国生みの島青むかと遠眼鏡

仇討の悲願籠りし梅ひらく

子午線が海へ貫く梅の山

一女性長き祈りや梅の宮

金婚の一碑に宮の梅香る

2月吟行句会@人丸山

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2018年2月28日

明石漁港の糶


魚糶   やまだみのる

蛸必死糶られながらも逃げんとす

糶の鱏口尖らせて不満あり

高値呼ぶ糶の鱸の跳ねにはね

着膨れて糶呼のおじさん強面

叱咤せるごとく糶呼の息白し

革ジャンで隠して糶の指サイン

糶負けて破れかぶれに春愁ふ

糶佳境熱き白息とび交ひて

糶果てて人気減りたる寒さかな

2月吟行句会@明石漁港

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2018年2月20日

魚崎郷酒蔵めぐり


下萌   やまだみのる

堰落つる町川春を唄ひけり

春光のとどく川底砂をどる

亀甲の石床あらふ春の川

下萌に膝つき祈る震災碑

黒汐の風に南高梅香る

早春の空指す竿やはねつるべ

舌頭にまろばせて利く新走

下戸の吾にあふ甘口の新走

春霞指呼の六甲まだ覚めず

1月定例句会吟行

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2018年2月3日

市ノ池公園


薄氷   やまだみのる

庭師いふ松に聞きつつ手入れすと

鴨進む連理の水尾を重ねつつ

ほらそこと指されし方に鳰をらず

鳰潜る連鎖反応見て飽かず

水走りして鳰突進何事ぞ

水遁の術を見よやと鳰潜く

イエス在さば歩かむ池の薄氷

日溜まりの薄氷岸を離れけり

萌ゆるかと手で分けて見る枯葎

2月落穂句会

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2018年1月17日

明石浦漁港


浜焚火   やまだみのる

流木をあつめて足りる浜焚火

浜焚火命拾ひし話など

朝散歩ちよつとより道浜焚火

酒気帯びの呂律怪しき浜焚火

煙草に火つけて戻しぬ焚火屑

裏表なく身を焦がす焚火かな

時化の沖指してため息浜焚火

浜焚火漁師志願といふ子らも

トロ箱も腰掛けとなる浜焚火

2018年1月定例句会(明石浦漁港吟行句)

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