やまだみのる

2018年9月18日

萩の寺(東光寺)

萩の風   やまだみのる

こぼるるを句帳に栞るしだれ萩

こぼれてもこぼれても萩無尽蔵

しじみ蝶丈余の萩をのぼりつめ

短冊の揺らぎて萩の風生まる

師の句碑に佇みをれば萩の風

萩叢の高みに仰ぐ子規の句碑

存問の虻にうなづくしだれ萩

草の花添へて絶筆三句の書

風あそぶ丈余の萩の天辺に

9月定例句会@萩の寺

2018年9月8日

市ノ池公園

秋蝶   やまだみのる

二つ瀬の落合ひてより秋の声

禿山の尾根越えて来る秋の声

風に舞ふ木つ葉に非ず秋の蝶

縺れつつ不即不離なる蜆蝶

やんま来て隠沼の面席巻す

切株に蔓からませて草の花

法師蝉千手ひろげし樟大樹

高窓を過りては行く秋の雲

溝萩の屏風立せる池塘かな

9月落穂句会@市ノ池公園

2018年8月22日

西宮市北山緑化植物園

秋の声   やまだみのる

喬木に手をあてて聞く秋の声

谿川の七折れ八折れ秋の声

秋の声残念石のうしろより

水漬きたる風倒木の秋の声

瀬波いま瀞に鎮まる秋の声

山影の襞深きより秋の声

白骨化せし立枯の秋の声

橋半ば谿深きより秋の声

楓林の風の序破急秋の声

8月定例句会@北山緑化植物園

2018年7月17日

西宮市北山緑化植物園

沢涼し   やまだみのる

水豊かなる沢音に避暑心地

瀞にきて鎮まる沢の楽涼し

空谷の風病葉を降らしけり

空谷の樹間を縫ひて黒揚羽

激つ瀬に常濡れとなる岩涼し

一条の洩れ日にをどる羊歯涼し

降り立てば沢吹く風に汗引きぬ

谿深く降りゆくほどに濃紫陽花

瀬しぶきに毬揺れやまぬ濃紫陽花

7月定例句会@北山緑化植物園

2018年6月19日

尼崎農業公園

早苗   やまだみのる

けもの道めきて嵩なす竹落葉

菖蒲池古都の条理に似し歩板

歌膝にしやがんで愛づる花野かな

梅雨雲の厚きに籠る飛機の音

梅雨雲へ猪突猛進飛機離陸

異な虫も浮沈してをる蝌蚪の国

イナバウワーして風いなす早苗かな

掌に受けてみる鈴なりの小判草

小槌振るごとくに風の小判草

6月定例句会@尼崎農業公園

2018年6月2日

市ノ池公園

山法師   やまだみのる

百蝶の憩ふがごとし山法師

山峡の暗さを払ふ山法師

迫り出して水漬く池塘の茂りかな

万緑の広さ深さよ池鏡

時鳥どのへんかしら山襖

遊歩道唄ふごとくに若葉影

わが陰に憩へと仁王立つ大樹

霧吹いてあげやうかしら花菖蒲

相会釈コスモス畑のあちとこち

6月落穂句会@市ノ池公園

2018年5月22日

奈良東大寺

築地塀   やまだみのる

路地一つ違ふ静けさ古都涼し

門川へ卯の花こぼす垣根かな

高梯子江戸火消しめく松手入

築地塀右に左に門涼し

贅尽くす邸の緑や築地塀

華語韓語溢れ南大門暑し

片陰や二月堂へと築地塀

欄涼し古都の翠黛パノラマに

袋角いのちの色を宿しけり

5月吟行句会@奈良(東大寺、二月堂)

2018年5月16日

尼崎大井戸公園

楓の森   やまだみのる

偕老の手をつなぎゆくバラアーチ

バラアーチ潜る園児とハイタッチ

根上りを埋むばかりに夏落葉

緑陰の此処がよろしとベンチ混む

薔薇大輪呵々大笑の汝れ悼む

青蔦を総身に仁王立つ大樹

蔦葎千古の遺構埋もれしと

蔦葎ついと揺れしは魑魅ならむ

涼風におしやべりやまぬ楓の森

5月定例句会@大井戸公園(薔薇、古墳)

2018年3月20日

中山寺

梅の丘   やまだみのる

朱の欄に梅見の女人ひとならび

梅の丘攻めあぐるごと人の影

梅の丘雲居をいゆくごと巡る

碑を一太刀に切る梅の影

陣分けて紅白鬩ぐ丘の梅

閻王の秤かたむく春の塵

閻王と眼のあひてより彼岸寒

啓蟄の蟻はや秀つ枝めざしけり

啓蟄の穴うた膝に存問す

3月定例句会@中山寺(梅林)

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