蒼天に万華鏡なす庭紅葉
枝絡む日に甦る冬紅葉
散紅葉しとねに祇王祇女の墓
紅葉影去来の墓に余りけり
堆き落葉籬に去来墓
落柿舎の広縁借りて日向ぼこ
底抜けに青き空あり木守柿
落柿舎にいとま心や添水打つ
錦秋の嵐峡つつむ夕帷
ロープウエイ指呼の奈落に一瀑布
ゴンドラはガラスの箱や山粧ふ
大楠に凭れて杜の秋を聴く
広芝の丘の天辺秋桜
コスモスの丘にパノラマ港町
コスモスの丘を統べゐる大風車
行く雲に心通はせ秋惜しむ
白杖に秋思のベンチ譲りけり
秋バラの疎なるがよろしカフェテラス
秋天下鳥語にまさる子らの声
万葉苑歌碑を愛でつつ萩芒
句を拾ふ径にどんぐり拾ひけり
雲一朶なき蒼天を小鳥来る
風に舞ふ木っ葉にあらず秋の蝶
玉の日に誘はれ出でし冬の蝶
庭雀らにありあまる小春かな
空真澄水色絵の具塗りしごと
木の実独楽いまはのきはの震へかな
稲刈れば四散す蝗虫はた蛙
雲晴れてより上機嫌稲刈り機
稲掛くる吾に目つぶしの落暉かな
稲架隠れ盗賊鴉うろうろす
雁行に似たる麓田の稲架襖
稲掛けを終へて老骨棒となる
老い母が落穂拾ひす夕まぐれ
と見る間に昏れゆく谷戸の稲架襖
稲架昏れて山の端出づる一つ星
大秋晴一朶の雲も行かしめず
岩鼻を踏んまへて立つ秋の人
照り翳る山路の秋の日は気まま
みちをしへ日の斑の径に紛れけり
山上のダム湖へ岨のみちをしへ
下山子とすれ違ひたるみちをしへ
木洩れ日を縫ひて機嫌やみちをしへ
吟行子たちを導くみちをしへ
遣水の細りし苑に秋惜しむ
一会なる雨もまたよし古都の秋
夢殿の軒に樋なし秋驟雨
な滑りそ秋雨そぼつ石畳
直角に根性曲がる糸瓜あり
稔田の真ん中凹みゐるは何
雨の糸切っては返すつばくらめ
早稲晩稲グラデーションや千枚田
豊の秋塚を要となせりけり
大和路の葛襖なる切り通し
画架立てて絵を描くでなし秋の人
石投げて秋思うべなふ湖畔かな
老い母の杖ともなりて避暑散歩
幾重にも起伏野綴る花野かな
夕日いま主峰を染むる花野かな
白樺の林を縫ひてあきつ群る
天国も斯くやと巡る花野かな
クラークの右手指す天の高きかな
機窓涼し百万ドルの灯を翼下
迷路めく金魚田の畦めぐりけり
金魚田の汀を恋へる糸蜻蛉
金魚田の静寂間遠に牛蛙
金魚田の畦たもとほる白日傘
金魚田の風青田へと移りけり
金魚田のほどよき濁りかと思ふ
金魚田の里に傾く電車かな
金魚田に鉛色射す梅天下
過疎化して富むとは見えぬ金魚村
谿わたる風にぺちゃくちゃ若楓
大庇なせる巌や滝の道
滝の道落合橋に岐れけり
みどり児のごと小さき手や山椒魚
口あけばアンパンマンや山椒魚
大き口開けば真白山椒魚
この川の透明度みよ山椒魚
岩鼻に孤独うべなふ滝見人
春陰に不即不離なる番鴨
摩天楼ビル屹立す花堤
船頭の指呼に天守や花見舟
句仇ら呉越同舟花見舟
刻告ぐる大噴水や中之島
花万朶数多の杖に支えられ
水上バス末広がりに水脈涼し
橋半ば水都の春を惜しみけり
ギャルどちら美脚なげだす花筵
とゆきかく池駈け巡り風光る
たもとほる水上橋に風光る
芽柳に遠山はまだ覚めやらず
春風や錦水亭へ綺羅の波
椎大樹要としたる梅の丘
句輩ぺちゃくちゃ梅のベンチかな
抽ん出し塔の九輪や芽吹き山
梅林へ矢印恃む奥社道
うららかや杭と見えしは亀の首
雛屏風連理の鶴を描きけり
雛屏風花鳥諷詠散らしたる
眉薄き有職雛の気品かな
骨董を趣味とす雛の宿あるじ
斯く古りて寝乱れ髪の雛もあり
私語やめて聞かむ雛の囁きを
座ることなきが定めや立ち雛
憂い皺一筋もなき古雛
灯ともりてより雛の間の艶めきぬ
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