2017年の作品

2017 年 12 月 2 日

市ノ池公園


参道へ湯気遊ばせておでん売る

もみぢ茶屋守り偕老を言ひにけり

蓮田枯れ浮かぶ細根の切れつ端

冬陽失せたちまち鬱や池の面

冬ざれてゐても園丁余念なく

天降る日に千手を翳す大枯木

公園を俯瞰してをる大枯木

空谷の風の序破急木の葉雨

石切の絶壁見せて山粧ふ

12 月落穂句会@市ノ池公園

2017 年 11 月 25 日

大和八木今井町


戦国の屋敷跡てふ枯野かな

筒抜けの店誰もゐぬ寒さかな

着膨れて迷ひし路地は行き止まり

旧家には似つかぬ外車うそ寒し

寒さうな旧家の三和土罅走る

絵屏風に連理の鶴や奥座敷

床の間に家宝の秘刀冬座敷

太梁に震禍の亀裂身にぞ入む

冬ともし煤びかりせる太梁に

11 月度吟行句会@今井町

2017 年 11 月 22 日

宝塚黙想の家・売布神社


二タ三筋トラピスチヌの冬菜畑

瞑想のベンチにやまぬ木の葉雨

風狂の心地に浴びる木の葉雨

イエス手を広げて招く紅葉影

日矢燦と祈りの道の枯木影

冬木立祈りの道としるべ立つ

一穢なき十字架の空鳥渡る

手を翳すパワースポット宮小春

小祠もついで詣でや神の留守

11 月度定例句会@黙想の家・売布神社

2017 年 11 月 13 日

広島緑化植物園(広島市東区福田)


イベントの木の葉プールに子らはしやぐ

おしゃべりをしつつ地団駄紅葉冷

ハイカーも牛歩となりぬ紅葉坂

紅葉坂数珠つながりの駐車かな

元気出せ勇気出せよと紅葉燃ゆ

洩れ日さす紅葉時雨の小径かな

珠玉の日洩らす天蓋紅葉かな

ぎんなんを家苞に買ふ留守詣

焼芋を頬ばりながら姦しき

俳友の H さんを訪ねて@広島緑化植物園

2017 年 10 月 17 日

北山緑化植物園


秋さぶや小蘭亭の藪騒も

石庭に秋思然たる老画伯

雨に伏す秋草叢も園の興

雨晴れて園の八千草起ち直る

苑至福曲水の斯く澄めりけり

王羲之の書なる一碑に時雨傘

はく息のため息に似て時雨冷

ハイカーの休み処にきのこ展

極彩が自己主張せるきのこ展

10 月度定例句会@北山緑化植物園

2017 年 10 月 6 日

市ノ池公園


雨粒のつきて蜘蛛の囲役立たず

倒れんと傾く紫苑一と括り

風いなしては起ち直る紫苑かな

傾きて驟雨に耐ふる紫苑かな

紅葉狩降りみ降らずみ亦愉し

田一枚手つかずのまま草紅葉

野路愉し草の実黒く亦赤く

蔓ひけば異な草の実も道づれに

築地塀越えてたわわに柿実る

10 月度落穂句会@市ノ池公園

2017 年 9 月 29 日

能勢路の秋


能勢電車一駅ごとに秋深む

鷺の嘴宝さがしす刈田かな

小田うずむ狗尾草の朝日影

枯蟷螂睨むまなこはエメラルド

産土神へ千種の畦をジグザグに

秋晴の主峰孤高の鳶放つ

秋灯や雑木隠れに一末社

毬割れて豊頬の栗顔だしぬ

地団駄の靴に腑抜けや虚栗

9 月度吟行句会@秋の能勢路

2017 年 9 月 19 日

西宮市緑化植物園


入れかはり立ちかはりして道をしへ

飛石をひとつとばしに道をしへ

押せばあく園の奥扉や道をしへ

絵図になき怪しき岨へ道をしへ

小流れを越ゆに橋なし道をしへ

セラピーの森と標やみちをしへ

憩へとぞ森の汀へみちをしへ

斯く群れてとんぼう木々にぶつからず

風折れの枝が道塞く秋山路

9 月度定例句会吟行@西宮緑化植物園

2017 年 9 月 2 日

鹿島神社・市ノ池公園


背高のコスモス風にハイタッチ

千切れたり合体したり秋の雲

斯く灼けてゐても石人笑み湛へ

ゆく雲の迅さにしざる秋の嶺

法師蝉序破急唱へ一と休み

風紋の駈けめぐりをる稲田かな

浮草の花に蜻蛉の恋生る

秋草の籬に駐車里の茶屋

険磴を跨ぐ山門天高し

9 月落穂句会@市ノ池公園&鹿島神社

2017 年 8 月 30 日

六甲高山植物・広島


ハンモック深海のごと山毛欅樹林

暑に耐へむサイコロステーキ二つ三つ

避暑散歩二の足が出ぬかずら橋

東雲の空気うましと避暑散歩

稲の露朝日を弾きはじめけり

落ち合ひて早朝散歩月見草

口中に飴玉あそぶ避暑散歩

光陰を語り草とす樹下涼し

団栗で創る小トトロ大トトロ

今年の夏休み期間中に詠んだ作品を整理しました。右側三句は家族で六甲ドライブしたときの作品、残りは、広島帰省で詠んだ作品です。

2017 年 8 月 22 日

六甲山牧場・摩耶天上寺


山巓のティアラと見しは避暑ホテル

牧涼し自家製ミルク一気飲み

反芻の牛と目の合ふ秋思かな

行く雲に遊ぶは玻璃の秋の蝿

高牧の起伏をなぞる飛燕かな

秋草を分けて先師の碑に見ゆ

摩耶涼し佛母の寺に寛ぎぬ

降臨のごと霧まとふ天上寺

かなかなや焦土の寺跡訪ふ山路

8月度特別吟行@六甲山牧場・摩耶天上寺

2017 年 7 月 18 日

布引の滝


滝道の起点の歌碑は定家卿

滝落ちてきし水瀞に憩ひをり

瀞涼し簾となりて堰落つる

嬲られて滝つぼ出でぬ芥かな

歌碑あれば誦して存問滝の道

天霧らふ岩頭を見よ飛滝神

千畳の岩二タ裂きに滝落つる

茶屋の窓額縁として滝落つる

滝しぶき浴びて機嫌やたかつむり

7月度定例句会@布引の滝

2017 年 7 月 8 日

市ノ池公園


クハと声残しとびこむ大蛙

梅雨茸洩れ日に傘を広げけり

梅雨茸苔のなぞへに里づくり

天地人なして団結梅雨茸

樹液垂る幹幾筋も蟻の道

隠沼の砦となせる夏の草

浮草の花浄土より亀の首

木道を一閃せしは瑠璃蜥蜴

梅雨濁りすれど生きとし生けるもの

7月度落穂句会@市ノ池公園

2017 年 6 月 21 日

北山緑化植物園


岩に描く矢印はなに登山道

神籬のてつぺんだけが青嵐

育苗のポットが並ぶ木下闇

吊橋の涼しと欄に一と並び

緑化園猪垣の扉の押せば開く

沢涼し瀬石踏んまへ渡りけり

一片の病葉宿す瀬石かな

葉洩れ日を揉むせせらぎの波涼し

天網のごとく楓樹や沢涼し

6月度定例句会@北山緑化植物園

2017 年 6 月 2 日

市ノ池公園


天狗岩抽んでてをる青嶺かな

一刷けの白雲かずく青嶺かな

泰然と主峰裾野は青嵐

噴水を囲む花壇はゴッホの黄

島嶼なすうき草畳池広し

もがくごと水掻く四肢や亀涼し

漣を縫ひゆく鯉の影涼し

さながらに桃源郷やさつき展

片陰に石人ならぶ石工小屋

6月度落穂句会@市ノ池公園

2017 年 5 月 26 日

山田池公園


ハプニング楽し迂回の野路うらら

茅花みなわれに辞儀する野路愉し

魁は白の屯やしょうぶ池

池広し砦のごとく夏木立

喬木の覆ふ奈落の道涼し

小さき虻居眠るごとし未草

三尺寝族が四阿占領す

大砲のレンズを据ゑし木下闇

片陰に数珠なす人や美食店

5 月度吟行句会@枚方市山田池公園

2017 年 5 月 20 日

明石漁港


沖遠く黄砂に消ゆる巨船かな

漁夫で混む一膳飯屋襤褸テント

林立す発電風車島涼し

蛸をかしトロ箱逃げて叩かるる

水槽の狭しと跳ねる糶の鰤

糶佳境びしよ濡れとなる土間涼し

五指をもて丁々発止糶涼し

汀石洗ひては引く波涼し

橋涼し明石大門を一跨ぎ

特別企画・明石吟行

2017 年 5 月 16 日

尼崎農業公園


尻餅のしるきあとある苜蓿

ジョギングの土堤を綴りて苜蓿

縱橫に幾何学模様畝涼し

水難碑代田一望せる丘に

目潰しの日矢うち仰ぐ夏木立

森閑として喬木の樹下涼し

脳天を射んと錐揉む竹落葉

竹落葉忍者のごとく藪駈くる

夏草の宝庫や猪名の川堤

5 月度定例句会

2017 年 5 月 9 日

市ノ池公園


朽木めく老幹なれど芽を吹きぬ

試歩の腰伸ばして仰ぐ青嶺かな

根上りもベンチとなりぬ遠足子

野に遊ぶ一人駈ければ我も我も

遠足子声をかければハイタッチ

園児らの黄色い声や山若葉

もこもこと隆起せるごと山若葉

つばくらめ一閃白くまた黒く

大鳥居貫きながら燕来る

5 月度落穂句会@高砂市市ノ池公園

2017 年 4 月 18 日

尼崎上坂部公園


起伏野の天辺四方の風薫る

起伏野を駈けて転んで子ら遊ぶ

春愁ふなぞへに美脚なげだして

先生の両手取りあふ遠足子

そら窓のある四阿や山桜

箍ゆるみ風に崩るるチューリップ

菖蒲の芽芥だたみを出でにけり

汝れ悼む逍遥の道余花にあふ

自ずから序破急風の花吹雪

4 月度定例句会

2017 年 4 月 7 日

市ノ池公園


茎立ちて風いなしをる花菜かな

そっぽ向き見えぬ値札や植木市

花菜畑越しに手をふる笑顔かな

宝殿の岩山濡らす春の雨

草青む池塘の水の色もまた

群落といへど粗密やたんぽぽ黃

歳問へど媼は花下に笑ふのみ

釣り上げし大魚を青む土堤の上に

にはたずみ桂馬跳びもす春堤

4 月度落穂句会

2017 年 3 月 31 日

多田神社


神木の深き洞よりもの芽出づ

茎立を突つつき散らす鵯のボス

落椿禰宜の熊手に掃かれけり

黒ぼこの畝にしみこむ春の雨

芽ぐまんとして仁王立つ御神木

降り続く雨の重さに椿落つ

神木に凭れて杜の春惜しむ

政所跡と碑のたつ樹下涼し

橋涼し足下に奏づ瀬音また

3 月度吟行句会

2017 年 3 月 21 日

中山寺


鎖樋ドレミドレミと春奏づ

花屑をとれば機嫌や鎖樋

ほとばしる春の息吹や鎖樋

鎖樋落つる水音も早春賦

春雨の唄ふがごとし鎖樋

芽木の枝綺羅星のごと雨滴

梅の園とゆき巡りて汝れ悼む

閻王にひれ伏し祈る老遍路

一杓の春水手向く水子仏

3 月度定例句会

2017 年 3 月 3 日

市ノ池公園


空濠に天を仰ぎし落椿

空濠に降り立てば草芳しき

下萌えにでんぐり返る猫の野良

紋白蝶花菜浄土をジプシーす

切岸の横つ腹から春の水

高鳴りて筧を落つる春の水

花菜畑迷路のごとくたもとほり

蒼天へ春禽散らす秀枝かな

日射すとき土堤のたんぽぽみな笑顔

落穂句会 3 月例会

2017 年 2 月 21 日

夙川カトリック教会


遺品なる手ずれの聖書あたたかし

みことばを記す一碑に草萌ゆる

オルガンの楽堂に満つ淑気かな

彩窓の春日ピエタに届きけり

聖堂の堅き木椅子に春愁ふ

聖堂に額づきをれば百合匂ふ

歌うたひ出せば聖堂寒からず

磔像に点すチャペルの春灯

懺悔室出ても春愁はらひえず

定例句会 2 月度

2017 年 2 月 3 日

市ノ池公園


園の門に立つや蠟梅匂ひけり

探梅や野鳥の森と標立つ

禿山の天辺に湧く春の雲

フレームに入りて目鼻の潤ひぬ

速歩組おしゃべり組や踏青子

足弱の妻の侍者とし青き踏む

目白来てアクロバットす梅の枝

梅盛る紅白岨に対峙して

漣のひたよす汀もの芽出づ

落穂句会 2 月例会@市ノ池公園

2017 年 1 月 17 日

仁川百合野町地すべり資料館


鴨をかし尻を突つつきあひにけり

日向鴨嘴をぺちやくちや居眠りぬ

吾に媚びて寄りくる鳩と日向ぼこ

阪神忌人のきづなをな忘れそ

ハイカーも碑に黙祷す阪神忌

語り部の彼も老いたり阪神忌

碑の霊の寧かれと訪ふ阪神忌

被災地の碑に佇てば草芳しき

復興の町や如何にと登高す

GH 定例初句会 1 月度@仁川百合野町
PS:この日がひかりさんとの最後の吟行となりました。

2017 年 1 月 6 日

市ノ池公園


小春日の山路をバードウオッチング

ほ句談義しつつ山路の梅探る

雲切れて冬日ひろごる池の面

風倒樹水漬きし池塘冬ざるる

落葉嵩分けて顔出す物芽あり

海光にシルエットなる枯木立

池塘なるわれらに鴨の陣遠し

日射すみち網目模様に枯木影

焼痕の禿山なれど草萌ゆる

落穂初句会 1 月度@市ノ池公園

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