2018年の作品

2018年12月8日

斯く敷きてなほ降りやまぬ落葉道

一詩人木の葉時雨に身じろがず

鬼ごつこしてをる園の風落葉

烈風に逆巻く木の葉時雨かな

と見る間に青空失せる冬山路

土踏まずにも感触や落葉道

大魔神仁王立つごと大冬木

風騒の吾を洗礼す木の葉雨

傷心の靴先が蹴る落葉道

12月落穂句会@市ノ池公園

2018年11月21日

ぺちやくちやと荒神さんへ道小春

荒神へ味見のはしご店小春

黄落の大樹仰ぎて南無阿弥陀

一穢なき蒼天黄落日和かな

高舞ふと見しは錯覚黄落す

対峙して黄落競ふ大公孫樹

黄落の洗礼受けて礼参り

小春日に布袋の臍も笑むごとし

広前に余る小春の日差しかな

11月定例句会@清荒神

2018年11月3日

菊の虻日差し翳ればゐずなんぬ

対峙して居向き確かむ菊あるじ

結界に迫り出して愛づ賞の菊

玉の日に大菊威儀を正しけり

直立す大菊に吾も背筋伸ぶ

堵列して背比べめく賞の菊

虻忙し懸崖菊を上へ下へ

盆菊の古木百態雅を競ふ

日面は虻の天国菊花展

11月落穂句会@市ノ池公園

2018年10月18日

幽谷をと行きかく行き秋惜しむ

塞く岩に七折れ八折れ水の秋

岩走る水音に溪の秋惜しむ

二タ分れして静と動秋の川

覗き見る溪の底ひの秋深し

照り翳るたび万華鏡溪紅葉

一条の日矢が貫く溪紅葉

中腹の湖に一服秋山路

どこまでも真澄の空や山近し

10月定例句会@北山緑化植物園

2018年10月6日

千手の枝翳して木の実降らせけり

秋蝶は気紛れといふカメラマン

とりどりの色の草の実野路愉し

豊の田を喜び撫づる風を見よ

ゆく雲の遅速に窓の秋惜しむ

のろしめく白雲立ちし秋の峰

野菜くず残りし畑に紫苑立つ

八千草を活けて緑の相談所

大鳥居うち仰ぐ天高きかな

10月落穂句会@市ノ池公園

2018年9月18日

こぼるるを句帳に栞るしだれ萩

こぼれてもこぼれても萩無尽蔵

しじみ蝶丈余の萩をのぼりつめ

短冊の揺らぎて萩の風生まる

師の句碑に佇みをれば萩の風

萩叢の高みに仰ぐ子規の句碑

存問の虻にうなづくしだれ萩

草の花添へて絶筆三句の書

風あそぶ丈余の萩の天辺に

9月定例句会@萩の寺

2018年9月8日

禿山の尾根越えて来る秋の声

風に舞ふ木つ葉に非ず秋の蝶

縺れつつ不即不離なる蜆蝶

やんま来て隠沼の面席巻す

切株に蔓からませて草の花

法師蝉千手ひろげし樟大樹

高窓を過りては行く秋の雲

溝萩の屏風立せる池塘かな

9月落穂句会@市ノ池公園

2018年8月22日

喬木に手をあてて聞く秋の声

谿川の七折れ八折れ秋の声

秋の声残念石のうしろより

水漬きたる風倒木の秋の声

瀬波いま瀞に鎮まる秋の声

山影の襞深きより秋の声

白骨化せし立枯の秋の声

橋半ば谿深きより秋の声

楓林の風の序破急秋の声

8月定例句会@北山緑化植物園

2018年7月17日

水豊かなる沢音に避暑心地

瀞にきて鎮まる沢の楽涼し

空谷の風病葉を降らしけり

空谷の樹間を縫ひて黒揚羽

激つ瀬に常濡れとなる岩涼し

一条の洩れ日にをどる羊歯涼し

降り立てば沢吹く風に汗引きぬ

谿深く降りゆくほどに濃紫陽花

瀬しぶきに毬揺れやまぬ濃紫陽花

7月定例句会@北山緑化植物園

2018年6月19日

けもの道めきて嵩なす竹落葉

菖蒲池古都の条理に似し歩板

歌膝にしやがんで愛づる花野かな

梅雨雲の厚きに籠る飛機の音

梅雨雲へ猪突猛進飛機離陸

異な虫も浮沈してをる蝌蚪の国

イナバウワーして風いなす早苗かな

掌に受けてみる鈴なりの小判草

小槌振るごとくに風の小判草

6月定例句会@尼崎農業公園

2018年6月2日

百蝶の憩ふがごとし山法師

山峡の暗さを払ふ山法師

迫り出して水漬く池塘の茂りかな

万緑の広さ深さよ池鏡

時鳥どのへんかしら山襖

遊歩道唄ふごとくに若葉影

わが陰に憩へと仁王立つ大樹

霧吹いてあげやうかしら花菖蒲

相会釈コスモス畑のあちとこち

6月落穂句会@市ノ池公園

2018年5月22日

門川へ卯の花こぼす垣根かな

高梯子江戸火消しめく松手入

築地塀右に左に門涼し

贅尽くす邸の緑や築地塀

華語韓語溢れ南大門暑し

片陰や二月堂へと築地塀

欄涼し古都の翠黛パノラマに

袋角いのちの色を宿しけり

5月吟行句会@奈良(東大寺、二月堂)

2018年5月16日

偕老の手をつなぎゆくバラアーチ

バラアーチ潜る園児とハイタッチ

根上りを埋むばかりに夏落葉

緑陰の此処がよろしとベンチ混む

薔薇大輪呵々大笑の汝れ悼む

青蔦を総身に仁王立つ大樹

蔦葎千古の遺構埋もれしと

蔦葎ついと揺れしは魑魅ならむ

涼風におしやべりやまぬ楓の森

5月定例句会@大井戸公園(薔薇、古墳)

2018年3月20日

朱の欄に梅見の女人ひとならび

梅の丘攻めあぐるごと人の影

梅の丘雲居をいゆくごと巡る

碑を一太刀に切る梅の影

陣分けて紅白鬩ぐ丘の梅

閻王の秤かたむく春の塵

閻王と眼のあひてより彼岸寒

啓蟄の蟻はや秀つ枝めざしけり

啓蟄の穴うた膝に存問す

3月定例句会@中山寺(梅林)

2018年3月5日

美人画を抜けきしやうな女雛かな

をみなみな少女の顔に雛愛づる

金屏に四川の山河展けけり

冠纓のゆるびあやうき古雛

貝合はす遊びを伝へ雛飾る

部屋中に赤が氾濫雛の宿

マッチばこ高御座とす豆雛

七福の神々そろふ豆雛

黒檀の床柱ある御殿雛

3月自由吟行@佐藤家のひなまつり

2018年3月3日

歌碑百基玉垣なせる梅の宮

身に入むや霊松殿に枯死の幹

玉垣にしだれて屑をこぼす梅

百様の梅の遅速を愛でにけり

しだれ梅放物線の傘ひらく

万蕾の重しと辞儀す枝垂れ梅

馥郁と香に満つ宮居梅日和

天地人なす枝ぶりやしだれ梅

梅まつりとて結界を開放す

3月落穂句会@曽根天満宮

2018年3月1日

寺門でて春光の海パノラマに

明石の門波の子もなく風光る

指呼の沖しるき潮目に風光る

子午線の沖にいかなご漁れる

国生みの島青むかと遠眼鏡

仇討の悲願籠りし梅ひらく

子午線が海へ貫く梅の山

一女性長き祈りや梅の宮

金婚の一碑に宮の梅香る

2月吟行句会@人丸山

2018年2月28日

蛸必死糶られながらも逃げんとす

糶の鱏口尖らせて不満あり

高値呼ぶ糶の鱸の跳ねにはね

着膨れて糶呼のおじさん強面

叱咤せるごとく糶呼の息白し

革ジャンで隠して糶の指サイン

糶負けて破れかぶれに春愁ふ

糶佳境熱き白息とび交ひて

糶果てて人気減りたる寒さかな

2月吟行句会@明石漁港

2018年2月20日

堰落つる町川春を唄ひけり

春光のとどく川底砂をどる

亀甲の石床あらふ春の川

下萌に膝つき祈る震災碑

黒汐の風に南高梅香る

早春の空指す竿やはねつるべ

舌頭にまろばせて利く新走

下戸の吾にあふ甘口の新走

春霞指呼の六甲まだ覚めず

1月定例句会吟行

2018年2月3日

庭師いふ松に聞きつつ手入れすと

鴨進む連理の水尾を重ねつつ

ほらそこと指されし方に鳰をらず

鳰潜る連鎖反応見て飽かず

水走りして鳰突進何事ぞ

水遁の術を見よやと鳰潜く

イエス在さば歩かむ池の薄氷

日溜まりの薄氷岸を離れけり

萌ゆるかと手で分けて見る枯葎

2月落穂句会

2018年1月17日

流木をあつめて足りる浜焚火

浜焚火命拾ひし話など

朝散歩ちよつとより道浜焚火

酒気帯びの呂律怪しき浜焚火

煙草に火つけて戻しぬ焚火屑

裏表なく身を焦がす焚火かな

時化の沖指してため息浜焚火

浜焚火漁師志願といふ子らも

トロ箱も腰掛けとなる浜焚火

2018年1月定例句会(明石浦漁港吟行句)

2018年1月5日

水鳥のしやくる嘴より玉 しずく

榾の火に翳さしたる手で顔擦る

榾の火の坩堝覗けば舌あそぶ

凸凹の薬缶湯気立つ番所かな

山眠る大火の傷のなほ癒えず

末広に立つ工場の初煙

広池に満つ御降の水輪かな

部活女子菓子頬ばりつ初詣

部活女子急磴一気初詣

2018年1月落穂句会

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