2013の吟行作品

やまだみのる

目次

2013年10月14日

能勢の里の村祭り


吉川八幡宮湯立神事

『村まつり』

庄屋門ハローウインのかぼちゃ笑む

風折れの一枝杖とす秋山路

な滑りそ出水の後の秋山路

ボロボロの蜘蛛の囲かかる獣道

秋草を砦としたる農具小屋

どの畦も参道となる村まつり

能勢なれや鎮守の神饌に栗供ふ

鵙猛る湯立神事の湯煙に

ここもまた猪の狼藉畦凹む

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2013年8月20日

8月度近詠


機窓の夕景

『花火』

空蝉をまろばせてをる掌

間延びして音の谺す遠花火

揚花火見せ場なりしに煙邪魔

花火師の黒子めきたる中州かな

盆僧の経はしょりしをな咎めそ

郷関を出でし長子の墓洗ふ

機窓涼し雲の巻舒をパノラマに

原爆忌被爆二世の妻も老い

サングラスとれば慈顔の好々爺

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2013年7月16日

7月度近詠


ポスターの美女

『サングラス』

主逝きて返すすべなき書を曝す

まず美脚でて外車よりサングラス

ホルスタイン連鎖して啼く牧涼し

高牧を蛇行して延ぶ馬柵涼し

火に墨をぶちまけしごと梅雨夕焼

避暑日記一期一会を記しけり

背に主峰前に樹海や避暑ホテル

刑務所の塀の片陰拾ひゆく

次のバスまで地下街を避暑散歩

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2013年6月19日

能勢吟行二日目(蛍狩、能勢温泉、川西郷土館)


能勢温泉全景

川西郷土館・旧平安邸

『至福時』

恋蛍高舞ふ谷戸の山襖

縺れつつ樹間を縫へる恋蛍

農具小屋へと紛れ込む蛍あり

ゴルフ場窓に展けし避暑ホテル

百態の赤松林避暑散歩

句敵の布団はもぬけ明易し

無為という至福の時や縁涼し

一幅を風が持ち上ぐ夏座敷

石灯籠涼し総身苔衣

疲れたる足なげだして夕端居

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2013年6月18日

能勢吟旅一日目(清普寺、野間大けやき、長谷棚田)


清普寺

野間大けやき

『栗の花』

万緑へ投げ入れしごと修験堂

蟻地獄大中小と揃ひけり

百代の輪塔深き木下闇

子蜥蜴の吾を一瞥して逃ぐる

茅花流し能勢の石仏順拝す

能勢路いまどの道とるも栗の花

注連古りて大緑陰をなせりけり

大けやき谷戸の梅天支へをり

足跡のハの字ヘの字や田草取り

源流の青嶺へ畳む棚田かな

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2013年6月2日

秋吉台・南禅寺


秋吉台に展けるカルスト

インクライン

『カルスト』

カルストの岩の疎密や青野原

起伏野を浮沈して往くバス涼し

カルストの一望千里風光る

展望台涼しカルストパノラマに

万緑の底ひの道をドライブす

なぞへなす玉垣涼し御用邸

踏青子行き交ふインクラインかな

新緑へ水かげろふや水路閣

高欄の足下を埋む寺若葉

ガイド指す京都五山や欄涼し

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2013年4月17日

西武庫公園


公園内にある美しい桜池

『春惜しむ』

緑陰にママチャリ止めて立ち話

ルンペン氏花のベンチを独り占め

ルンペン氏襤褸を纏へど花衣

蒲公英の黄のなだれ咲くなぞへかな

川波の風紋やまぬ光風裡

池塘人思ひ思ひに春惜しむ

池の面の蒼天へ舞ふ落花かな

鳩翔ちて落花畳を乱しけり

余花白し園も奥なる一隅に

落花屑吹き寄せられし汀かな

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2013年3月27日

小林聖心女子学院


校門を入るとイエス様の像が・・・

『山茱萸』

はくれんの大樹あたりを払ひけり

キャンパスの茶庭は今し竹の秋

雨意兆す暗さ山茱萸黄なりけり

黒ぼこの畠にひともと山茱萸黄

花の雲聖母の丘に展けけり

試歩の汝に聖母の丘の草青む

赤松の樹間を綴る山つつじ

俳句にはうとしと笑ふ桜守

女生徒ら駈け下りていく花の坂

幾たびも振りかへり見る花の坂

2013年3月19日

垂水なぎさ街道


恋人岬にあった誓いの鍵

『ビオトープ』

糶果てし土間に散らばる若布屑

舷に陽炎ふ波の影うらら

波止日永蛸壺山と積みしまま

根釣人テトラポットを天狗とび

ケッケキョと心もとなき初音かな

庇なす芽木の梢やビオトープ

稚魚群れて春の日躍るビオトープ

泥神楽たてたるはなに池温む

木洩れ日のスポットライト目高群る

浦凪ぎて刃がねびかりや春日燦

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2013年3月2日

藤井寺・佐藤家のひなまつり


佐藤家の豆雛たち

『豆 雛』

渡御雛陶の小舟に傾きぬ

豆雛ルーペがあればなと思ふ

カメラマン土下座して撮る豆雛

ともしらがなる偕老の豆雛

道化師のつどふがごとく豆雛

豆雛うち揃ひたる手盆かな

乱れ髪なほすすべなし古雛

首少し傾ぎて愁ふ古雛

まつすぐに立つは至難や古雛

梅宮に隣りてひそと尼の寺

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2013年2月27日

伊丹・昆陽池


梢の鵜

『昆陽の鴨』

日向鴨呪文のごとく嘴うごく

陣乱す浮気な鴨のをりにけり

震災を知るもをるべし昆陽の鴨

丿乀と居向きばらばら鴨浮寝

逍遥す池塘に鴨の陣遠し

西行の一碑に見ゆ枯野径

遠足子らのしんがりは二才組

園児らの桃色帽子野に遊ぶ

唄口にあてがふ朱唇ひょんの笛

てのひらに愛でてうぐひす餅食ぶる

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2013年2月19日

芦屋川・滴翠窯(滴翠美術館内)


細雪碑

『踏 青』

谷崎碑囲むわれらに春の雪

春光や三尺堰を落つる水

裏山の覚めよと奏づ春の川

踏青や句仲間といふ宝物

幾重にも堰落ちて水温みけり

水際石動くと見れば春の鴨

春愁の青鷺となりかたまりぬ

陶房の人みな寡黙春の昼

春昼の陶房女人ばかりなる

春陰の石人はいま瞑想裡

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2013年2月16日

淡路島・黒岩水仙郷



『水 仙 郷』

風光るおのころ島へ架かる橋

水仙郷へとドライブす渚道

ヘアピンの岨また岨や水仙郷

千万の金壺まなこ水仙郷

玩具めく奈落の駐車水仙郷

杖二本水仙郷も苦にならず

焼芋を頬ばりもしてフルムーン

春の海大玻璃窓に昏れなんと

鳥雲に海を見下ろす露天風呂

道の駅あれば寄り道旅うらら

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2013年1月25日

黒川の里・炭焼き




『菊 炭』

岩戸鎖すさまの炭窯燻りぬ

盤石を鎧ひ炭焼く巨大窯

絶やさじと炭の窯守る気骨翁

生涯を炭焼きに賭すその為人

一山家訪ね菊炭家苞に

茸榾砦と組みし山家かな

全身が洞となりたる大枯木

百態の台場くぬぎの枯れ姿

風倒木ごと横たはり河涸るる

峡空へ朽木の尖る冬河原

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2013年1月15日

白鶴酒造資料館・西宮神社


白鶴酒造資料館

『どんど』

石塔の傾ぐは震禍初戎

逸りがちなる火をなだめどんど守る

仮名文字の釘と曲がりてどんど燃ゆ

左義長の玄人筋とみたりけり

停車場ホーム越しなる御慶かな

酒蔵門大蛇のごとき注連飾る

責め具なる男柱や寒造

舌頭にまろばせて利く新走り

利き酒や指で拭きたる紅のあと

と見る間に失せる日差しや白障子

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