GHではそれ程難しく指摘していませんが、俳句結社などではかなり厳しく指導される事が多いので、出来るだけ意識して日頃から習慣づけるほうがよいと思います。とりあえず今日は基礎的なことについて纏めてみます。
歴史的仮名遣いとして論理的なきまりはあるようですが、それらを規則として覚えるよりも慣れるほうがいいでしょう。解らないときはネット辞書で調べてみましょう。
おもう(おもふ)【思う】
ちょう(てふ)【蝶】
というような、表示が出るのですぐにわかります。以下のようなサイトもあります。
拗音とは「きゃく(客)」や「きょう(今日)」などの『ゃ』『ゅ』『ょ』で表記される音、もしくは擬態語・擬音語の「くゎっと(目を見開き)」などの『ゎ』『っ』で表記される音のことです。
また、促音とは「取った」や「がっこう(学校)」などの小さな『っ』で表記される音のことです。『つまった音』と説明すると分かりやすいかもしれません。
歴史的仮名遣いでは、これらは全て大文字で書くのが一般的なので俳句の場合は、この表現法に慣れておきましょう。ただし、英語のカタカナ表記の場合は、「ストツプ」「キヤバレ」「キツプ」とするよりも、「ストップ」「キャバレ」「キップ」とするほうがわかりやすいです。
これは現代仮名遣い、歴史的仮名遣いの区別なく次の基準で判断します。絶対的なルールではないですが、青畝先生はきちんと使い分けておられます。
動詞の場合:夕焼ける
名詞の場合:夕焼(夕焼け…とは使わない)
その他の事例:釣忍(釣り忍)、落葉(落ち葉)、立話(立ち話)、夕立(夕立ち)
仮名遣い、拗音・促音については直して採るようにしています。送り仮名については基本的に作者の意図を尊重してそのままが多いですが、体言止めになるケースでは直しています。
ようやく念願叶って滝見茶屋での句会が実現できました。布引滝へは十数回以上通っていると思うのですが昨日ほど迫力のある豪快なシーンは私も初めてでした。
茶屋の女将は、食事のまえに私達がビールで乾杯する…という設定でメニューを考えてくださったみたいで、ちょっと手違いでした。でも手作りの素朴な料理は美味しかったです。もう200円奮発したらエビ天がつくそうなので紅葉のシーズンにもう一度行ってみたいですね。交通費に加えてタクシー代、食事代とご負担をかけましたが、豪快な梅雨滝にみなさんが喜んでくださったのでよかったです。
吟行俳句で大切なのは言葉選びや表現の巧拙ではなくて、個性的な目の付け所だと私は思います。前者は添削でお手伝いできるのですが後者は作者の感性なので添削することはできません。誰にも真似できない視点を養うためには一期一会の出会いを出来るだけ具体的により深く観察する訓練が重要です。
渓流の道で沢山の瑠璃蜥蜴と出会いましたが、ただそれだけでとどまってしまうと常識的な俳句しか生まれません。静止した蜥蜴がふと首をかしげた瞬間とか、どんなところから現れて何処に消えたか、人の目と出会った蜥蜴が喉仏を動かしながら逃げ去るタイミングを図っている刹那とか、そうした動きにも注意を払って観察しているとより個性的な句が授かるでしょう。
静かな貯水池で珍しい川鵜を見つけましたが、川鵜という季語の本質を考えたとき、貯水池と川鵜を組み合わせても他の人の共感を得るのは難しいです。この場合は、具体的な川鵜の動きを観察しながら過去の記憶へ連想を広げて、川や入り江で餌を漁っているかのように川鵜の所作に焦点を絞って詠むのが無難なのです。見たままを写生することが基本ですけれども、数多の吟行の記憶を駆使して句を詠むことも大事です。つまり吟行は未熟であった過去の記憶を引き出して完成品にするための引き金を見つけることでもあるのです。
同行者の作品からも学ぶことができます。想をそのまま真似てはいけませんが、「なるほどこうゆう見方もあったのね…」というヒントを得ることは多いです。成績結果だけに固執せず他の人の作品から学ぶという謙虚さも大事なことですね。
来週(7月23日)の布引吟行は、今のところ参加者は10名です。蒸し暑いこの時期の吟行は、俳諧夏行とも言えますが、布引渓流の道は比較的涼しいですから気軽に避暑気分で楽しみましょう。
深い緑を湛えた布引ダムと水量たっぷりの梅雨の滝はとても迫力があって豪快です。「滝を詠む」ことだけに執着せずに幅広く心を遊ばせて一期一会を探しましょう。吟行で大切なのは、まず季語を見つけることです。そして季語を見つけたら具体的に想が湧いてくるまでそこで立ち止まりましょう。当日使えそうな季語を羅列してみます。
登山(登山道)、避暑(避暑散歩)、滝(滝茶屋、梅雨の滝、滝の道)、万緑(緑陰、下闇、木下闇)、梅雨(梅天、梅雨雲、梅雨曇)、夏草(夏花、花畑) 等々、たくさん見つかります。人数も少ないので吟行中に気づいたらまたアドバイスします。
そして困ったときの一番の季語は「涼し」です。
沢涼し、渓涼し、川涼し、径涼し、磴涼し、橋涼し、池涼し、滝涼し、茶屋涼し、森涼し、山涼し、門涼し、卓涼し、窓涼し、樹下涼し、木々涼し、岩涼し、羊歯涼し、草涼し、等々
いかがですか、探せば無限にあるでしょう。ただ、これらを言葉として頭で覚えていても役には立たないのです。あなたは吟行中に自分の知識の中から季語を探す…というスタイルになっていませんか? 大切なのは眼前の対象から涼しさ(季感)を見出す俳句眼なのです。そしてそれを養うのが吟行の真の目的なのです。
吟行中は知識や理屈をはなれて自由に心を遊ばせること、幼い頃の遠足や道草で経験した好奇心を思い出しながら愉しむのです。句ができてもできなくてもいいのです。仲間と楽しく吟行できる幸せを感じられれば十分もとは取れると思います(^o^)
7月度の落穂句会で吟行した、向島公園をご紹介します。5月に高砂神社を吟行しましたが、そのときに時間切れで行けなくなったので、今回改めて赴きました。
海浜公園として整備された入江の西側は昔ながらの堤になっていて白砂青松100選に選ばれているそうで老松の林が美しいシルエットを落としていました。その先端の岬に文久3年(1863)、姫路藩が設置したという砲台の跡があり記念碑が建てられていました。
高砂港の築港には、地元の名士苦楽松右衛門も関わったと記されていて、堤防の石積みなどに古き時代のよき名残を見ることができました。