ここ一ヶ月ほど、昼夜なくホトトギスの声が聞こえます。私の住んでいるのは開発団地ですがすぐ近くに鉢伏山や鉄拐山など六甲の端山が連なっているので意外と珍しい野鳥たちも飛来してくるようです。
ホトトギスは夜間に鳴き渡ることも多い…と聞きましたが、早朝まだ明けやらぬ頃、新聞配達のバイクの音に覚めて耳を澄ましていると、間遠に "キョッ、キョッ、キョッ" という声が聞こえるときがあります。
そして昨日の夕方、庭の水やりをしているとき頭上を "テッペンカケタカ!" と鳴きながら飛んでいく姿を目撃しました。本当に鳴きながら飛んでいくのですね。
ホトトギス鳴きつるかたを眺むればただ有明の月ぞ残れる
小倉百人一首八十一番の後徳大寺左大臣のこの歌はなじみがあります。旺文社の古語辞典の解説には、
"ホトトギスが一声鳴いて過ぎた。その方向を眺めると、そこにはすでにホトトギスの姿は見えず、空には、ただ明け方の月が残っている。"
とありますが、一度でもホトトギスを見聞きした体験があると作品を鑑賞するときにも実に味わい深く、実感として受け入れることができます。
俳句における季語も同じで、歳時記で見つけただけの季語を詠んでも決して他人を感動させることはできません。実体験を通して季語の本質を知り、それを自分の感覚として覚えることが何よりも大事なのです。
句ができてもできなくても気にすることはありません。ひたすら吟行体験を重ねていくことでそれをものすることができるのです。
俳句づくりで最も大切なのは、知識やテクニックを覚えることではありません。確かにそれらも必要ですが、それ以前に俳句センス(物事の微妙な感じや機微を感じとる能力・判断力。感覚。)を磨くことのほうが遥かに重要なのです。
センスは訓練することでいくらでも鍛えることができます。 画家の卵たちの訓練法に例えると理解しやすいでしょう。彼らに課せられる訓練はひたすらデッサンの繰り返しです。 そこで求めれれる基本的な要素はアングルの捉えかたと省筆です。 理屈や知識として覚えるのではなく、日々の修練の積み重ねによってやがて個性となって華ひらくのだと私は思います。
俳句の場合に置き換えてみましょう。
まず感動を見つけること、次にどう切り取るかを試行錯誤しながら具体的に連想できるように簡潔なことば(省筆)で写しとるのです。このような学びを忍耐強く続けることであなたのセンスが磨かれていくのです。ある場所で一句を得たらそれで良しとして、すぐまた別な句材を求めて歩きまわる。あなたの吟行スタイルはこんなふうになっていませんか?
"句を詠む時間より移動する時間のほうが多い"
これでは多作は難しいです。次の二点だけを意識して実践してみてください。
- できるだけ同じ場所にとどまって、そこで多作する。
- 考えて纏めようとせず、パッと見てひらめいた直感だけをメモする。
これと思う対象と出会ったら、前から、横から、また後ろからと視点やアングルを変えて観察します。離れて見たり、あるいはぐっと近づいて見たりすることも大事です。花芯に埋もれている虫や雨粒などを写生するには、さらに接近して虫眼鏡状態で観察しないといけません。
一箇所にとどまって心を遊ばせていると思いがけない変化に出会ったり、いろいろ連想もひろがってくるので五句や十句はすぐに授かります。類句であったり未完成であっても構いません。ひたすらメモするのです。これが多作の秘訣であり基本なのです。
常識的な観念や知識という色眼鏡をかけて眺めているだけでは新鮮な句は授かりません。極端な言い方をすれば、小動物を観察するために膝を折り大地に手をついて顔を近づけるくらいの好奇心なくしては一期一会の出会いを見つけることはできません。幼子たちはみなそうしているでしょう。
難しいことではなく実に簡単な原理なのが、添削でいくら口酸っぱく指摘しても理解される方は少ないです。結句は自分で気づいて習得されるしかないのです。ぜひ勇気を出して新しい一歩を踏み出してください。
しばらくサボっていた散歩を再開しました。以前は毎朝小1時間ほど歩いていたのですが、夏場は熱中症予防のために30分ほどを朝夕に分けて歩くようにしました。腰痛や肩こりにもウオーキングが一番効果があるようです。
今朝は夜明けからホトトギスがよく啼いています。今の団地に住んで40年になります。当時はもっと野鳥の声が聞こえていましたが、開発が進んでずいぶん減りました。それでも、アオジ、シジュウガラ、ジョウビタキ、ウグイス、オオルリ、ホトトギスなどの声は聞くことができます。みのる庵のバードバスには、スズメやヒヨドリ、シジュウガラが常連としてやってきて水浴びをしています。
私はパソコンで作業するとき、囀の BGMを聞きながらすすめることが多いです。おすすめのサイトをご紹介しておきます。YouTubeなのですが画像は白樺林の静止画なのでパソコンの負担にはなりません。ウグイス、ホトトギス、シジュウガラなどのポピュラーな鳴き声がメインですが、時々サンコウチョウなども聞こえます。聞き分けの練習にも最適なので是非試してみてください。