みのる選:2022年7月度
2022年7月30日 | |
流木に翅立て休む川蜻蛉 | 愛正 |
犬散歩蚊遣火腰にぶらさげて | むべ |
遠雷や重きペダルに変速す | むべ |
夕闇に蚊遣り煙の這ふ三和土 | 愛正 |
油虫押さへて猫の目は爛々 | 素秀 |
蚤の市三尺寝して店主暇 | ぽんこ |
本伏せてまぶた閉づれば蝉時雨 | よう子 |
鎮守の杜ただに激しき蝉しぐれ | はく子 |
蝉しぐれ子と夫の忌を修しけり | はく子 |
黙として酷暑に耐ふる力石 | ぽんこ |
補助輪の取れてどや顔日焼の子 | かかし |
滴りや昼なほ暗き杉美林 | わかば |
縄模様力士浴衣の颯爽と | 素秀 |
八寸の彩り豊か夏料理 | はく子 |
夕立去り竿に数珠なす雨滴かな | はく子 |
峠茶屋ポンと音させラムネ玉 | かかし |
2022年7月23日 | |
蝉しぐれ大波小波繰り返し | はく子 |
目薬師の百度石たつ青葉影 | なつき |
昨夜雨の雫滴る酔芙蓉 | ぽんこ |
元気よとキャンプ場から子のメール | こすもす |
流暢に西瓜を値切る印度人 | 素秀 |
大いなるスーパームーン暈涼し | はく子 |
滴りの落ちて転べる苔の庭 | わかば |
暑に耐へて卒寿の朝の深呼吸 | 宏虎 |
太陽の塔の諸手に夏の雲 | よう子 |
炎昼やじつと我慢の力石 | よし子 |
嵩びくに夏服詰めて旅支度 | むべ |
無住寺の縁を濡らせる夏の月 | 愛正 |
朝粥に塩味を足す大暑かな | よう子 |
風鈴と賛美重なる修養会 | むべ |
手に汗のヘアピンカーブ峠道 | かかし |
2022年7月16日 | |
ビル陰に昭和の長屋金魚玉 | かかし |
大瓶に宝珠をあげし蓮の花 | ぽんこ |
法衣から日焼の手首数珠を振る | 素秀 |
祈りもて始むる朝のミサ涼し | むべ |
グランドゴルフ蝉の応援背に受けて | はく子 |
心まで染まりし森の緑かな | わかば |
水筒に不老水てふ岩清水 | かかし |
子に貰ふ八十路祝の白日傘 | よう子 |
打水に光るパティオの黒御影 | むべ |
2022年7月9日 | |
御手洗を溢るる雫苔の花 | ぽんこ |
手を繋ぐ夫は片陰外れたり | よう子 |
立葵沖の波見る漁夫の妻 | 素秀 |
白日傘六角形の影と行く | よし子 |
大岩を神と崇める木下闇 | ぽんこ |
亡夫の若き日を知る曝書かな | むべ |
園児等の花丸の書の墨涼し | かかし |
味見せよとて伽羅蕗を手の窪に | 愛正 |
園児嬉々お玉杓子に足生えて | こすもす |
絽の羽織脱ぐや佳境の講釈師 | よう子 |
冬瓜煮快気祝ひの鶴の碗 | なつき |
無農薬なる梅そばかす美人なり | なつき |
青々と清しき茅の輪くぐりけり | はく子 |
2022年7月2日 | |
音凉し石畳みゆく男下駄 | ぽんこ |
立葵仲間に入れて立話 | うつぎ |
梔子のつぼむ筆先うす緑 | はく子 |
片影を拾ひて歩く小買物 | わかば |
池の径数多や雨後の梅雨きのこ | こすもす |
鵜篝を窓辺に眺め旅の宿 | 素秀 |
万緑を四囲に朱塗りの太鼓橋 | ぽんこ |
古戦場山の茂りの夕鴉 | ぽんこ |
紫をこぼして雨の花菖蒲 | うつぎ |
運転士西日に向かひ指差喚呼 | むべ |
片蔭を一列に行くランドセル | うつぎ |
玉砂利の箒目崩す梅雨滂沱 | よう子 |
風涼し門前は木のアーケード | なつき |
曾孫抱くコロナマスクは外されず | 宏虎 |
揺らめけるレトロガラスの緑雨かな | うつぎ |
奥の院野鳥の降らす青時雨 | 愛正 |