みのる選:2022年2月度
2022年2月26日 | |
神輿蔵ひたと閉ざされ梅開く | はく子 |
浮び来る鯉の大口水温む | 凡士 |
雪深き峡の駅舎の灯の淡し | よう子 |
薄氷の朝日をはじく汀かな | わかば |
雄鶏のつつくにまかせ落椿 | 素秀 |
梅東風や一つ傾ぎし六地蔵 | なつき |
薄氷の中に蠢くものの影 | わかば |
学僧の新説をかし涅槃絵図 | うつぎ |
青空を見よと指さす松の芯 | むべ |
赤子抱きお礼参りの梅の寺 | よう子 |
山笑ふ鑿音高き石切り場 | 凡士 |
雨水なる菜園通ひ日課とす | かかし |
囀りにすれ違ひたる笑顔かな | むべ |
僧総出大涅槃図の掛りけり | うつぎ |
キャタピラの轍の跡にもの芽出づ | こすもす |
畦道を塗りはじめけり犬ふぐり | こすもす |
春の風邪机の上のうす埃 | 愛正 |
梟もけふは地に降り涅槃変 | うつぎ |
2022年2月19日 | |
剪定の済みたる小路浅間見ゆ | 愛正 |
春寒や頬さす風の尖りをり | わかば |
鶯の声の過ぎりし切通し | 素秀 |
小流れの光に遊ぶ春の鳥 | むべ |
せせらぎの奏でそめたり蕗の薹 | 素秀 |
白寿なる友健やかや梅の句座 | こすもす |
木喰仏の虫食ひの面あたたかし | うつぎ |
淡雪の竹林駈くる人力車 | 凡士 |
焼網に身を捩りあふ霰餅 | 愛正 |
神木の千手を翳す芽吹きかな | うつぎ |
よく空いて春日の席を置く電車 | よう子 |
盆梅に括るうぐひす飛ぶ構へ | なつき |
くれないのおちよぼ口見せ梅ふふむ | むべ |
手習ひの窓の下なる猫の恋 | よし子 |
ショベルカー雪解河原に動き出す | こすもす |
2022年2月12日 | |
二ン月の雪に晒して草木染 | 凡士 |
末黒野の道の青きを踏みにけり | よう子 |
あひ誘ひ合ひ立春の野に集ふ | うつぎ |
丘の上の園記念樹の梅開く | はく子 |
薄氷の鳳凰堂を映しけり | 凡士 |
マスクしてコロナ失せよと豆を打つ | よし子 |
降り止まず除雪車も立ち往生す | こすもす |
早春のせせらぎを聞く白杖子 | むべ |
妙見の山烟らせて野を焼ける | うつぎ |
暖かき雨へ首伸ぶきりんかな | 素秀 |
村息吹くごとおちこちと野を焼ける | よう子 |
駄菓子屋に夫とより道路地の春 | なつき |
ジョギングの靴も新調寒明くる | 愛正 |
立春の陽に浮き出でし句碑の文字 | うつぎ |
春めくや地球儀廻し旅ごころ | かかし |
田起こしの黒き土塊力満つ | よう子 |
たんぽぽに弾む一会の会話かな | 小袖 |
上りきし古墳の丘の梅開く | はく子 |
源流のかそけき水の温みけり | かかし |
春立ちて川面にゆらぐ陽の光 | よし子 |
枯れ果てしごとき盆梅蕾持つ | わかば |
2022年2月5日 | |
女正月孫のままごと客となり | なつき |
友訪ふや梅の里なる鄙の家 | むべ |
春のカフェ好みのカップ選びけり | なつき |
冬凪ぐといへど波よす舟屋かな | 素秀 |
蛸壺に水仙活けて海人の家 | うつぎ |
朝刊の誤植にあらず冬の蠅 | うつぎ |
冬服のポケット去年の覚書 | よし子 |
冬ざれの山裾赤き一両車 | よう子 |
白樺の幹より白し霧氷林 | 愛正 |
超高層ビルの底ひに出初式 | 素秀 |
蔀戸を潜り冬日の堂内へ | はく子 |
トタン屋根叩く霰に飛び起きぬ | こすもす |
笹鳴きに出勤の足緩めけり | むべ |
夫の待つ駅へ凍て星道連れに | よう子 |
梅香る穴太積なる里の道 | 凡士 |
魁としてさみどりの蕗の薹 | わかば |
探梅の道ゆきバードウォッチング | 凡士 |
女神像翳すもろ手に冬日燦 | はく子 |
日の当たるなぞえに溢れ水仙花 | わかば |
本読みのうたた寝誘ふ春隣 | むべ |