みのる選:2022年1月度

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2022年1月30日

1月24日~1月29日投句分

2022年1月29日
宝塔の屋根に集ひて寒雀なつき
冬の日の光芒ひろぐ凪の海わかば
寒月や猫の密会ガラス越し素秀
あひ互い声かけそびるマスクかな凡士
朝詣で供花のバケツの厚氷よう子
指先で山崩し選る初みくじなつき
北風に押されてかへる家路かなむべ
朝日出づ霜のダイヤを散りばめてうつぎ
雪しまく五重の塔のシルエットよう子
寒禽の声に研がるる力石うつぎ
風花や高灯籠の苔むしてはく子
霰打つ打たるる儘に万歩計うつぎ
と見る間にそらかき曇り風花すわかば
冬凪の沖は補陀落かと思ふ素秀
力石四角三角宮四温はく子
さざんかの花びら載せて力石はく子
雪時雨人影のなき直売所愛正
風花が向かってくるよ一両車よし子
タイヤ跡S字を描く雪の朝こすもす
浮き玉の一つ一つに冬鴎素秀

2022年1月23日

1月17日~1月22日投句分

2022年1月22日
体育館凍つに健康体操すはく子
寒風にたてがみなびく御崎馬素秀
吉書揚花丸の書もをしみなくかかし
洞に在す無縁仏に初日影うつぎ
駄菓子屋にバス待つ子らへ冬日燦素秀
水仙郷ダイヤ通りにバスは来ずよし子
本堂の影を正せる寒の月よし子
新しき眼鏡の向かう寒茜むべ
リハビリの足を延ばしぬ探梅行素秀
恙なく笑みて跨ぎぬ去年今年宏虎
検問の灯の弧を描く寒風裡うつぎ
福寿草出でて白砂を零しけりよう子
寒林に出会ふ郵便配達夫うつぎ
大粒の苺供へて父悼むなつき
初売の抽選会は外れなしかかし
懐手せしままに聴く訃報かなうつぎ
あたたかや鳥語ゆたかに宮の森わかば
寒稽古小さき拳が板を割る小袖
降る雪や丹後に古し天主堂凡士
大鳥居くぐりてよりの淑気かなこすもす
鰭酒の熱きを吹きて香に酔ひぬよう子
姉希望妹きぼう書初すよう子
竹割るる音谺せり夜の雪凡士
広縁へさす老松の初日影愛正

2022年1月16日

1月10日~1月15日投句分

2022年1月15日
追伸に雪の深さを知らす文素秀
マスクして福娘みな同じ顔凡士
遠嶺に茜広ごる初景色はく子
風花の触れては消ゆる辻地藏うつぎ
老妻へ感謝の御慶申しけり宏虎
法螺貝に続く僧列淑気満つはく子
御神籤を冬芽の枝に結びけり素秀
修正会の法鼓の音堂を震はしむはく子
初暦明るき日々を記したくわかば
羽子板をラケットに替へ負けまじくよう子
気に入りの服の毛玉を取る七日なつき
年賀状喪中の吾に寅吠ゆるなつき
湯治場の炉辺を囲める国訛り凡士
生かされて初風呂に酔ふ卒寿かな宏虎
亡夫眠る西の方より風花すむべ
息白くみな連れ立ちて産土神へうつぎ
句敵ら今日は仲良く女正月うつぎ
温むる思ひあれこれ初湯殿わかば

2022年1月9日

1月3日~1月8日投句分

2022年1月8日
餅食べて戦後の日々を語り草宏虎
焚初の菊炭窯に神酒注ぐ凡士
初稽古片肌脱ぎに弓を射る凡士
歳末やパズルの様な駐車場よう子
晦日蕎麦お疲れさまと二人卓かかし
菰巻かれ老松天へ傾きぬ愛正
モノクロの夢より醒めて雪明りうつぎ
数独に耽けて跨ぎぬ去年今年こすもす
ねんねこの母のうなじに涎あとよう子
ヘアサロン百寿の母に年賀状凡士
信楽や狸の首に門飾素秀
指示棒の気象予報士まず御慶うつぎ
寄す波に堪ゆる礁の夕千鳥素秀
花鋏研いでそれから年用意むべ
初鶏の鳴くをうつつに二度寝かな素秀
投句日記す花丸暦果つかかし

2022年1月2日

1月27日~12月1日投句分

2022年1月1日
ぼろ市の大風呂敷を風除けにうつぎ
果大師見かけぬ香具師案じけりなつき
財布抱き買ふ気の客や果大師なつき
流木を井桁に組みて磯焚火凡士
ぼろ市の刀商ふお姉さんうつぎ
極楽門の内外違はず年の市はく子
蔦紅葉走りて渓の岩襖素秀
どう見てもガラクタばかり蚤の市はく子
冬霞模糊と浮ぶは八ヶ岳愛正
太子会の読経そびらに年の市はく子
町家かと見れば交番京小春うつぎ
口閉じてふかぶか浸かる柚子湯かなむべ
盲導犬吐く息白し霜の朝凡士
笹鳴のこれより奥は獣道かかし
ぼろ市の古びし布に雅あり小袖

 

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