みのる選:2021年6月度
2021年6月26日 | |
著莪の花貴船へつづく峠道 | よし子 |
水馬雲居を闊歩するごとし | かかし |
幼子に負けぬ日焼や古希の夫 | なつき |
廟所訪ふ木戸の一歩に陰涼し | なつき |
青葉潮遠眼差しに龍馬像 | 凡士 |
病棟は青葉の海に沈むごと | せいじ |
潮の香を乗せてテラスの風涼し | わかば |
転がして値札確かむ真桑瓜 | よう子 |
乙訓の水に育ちし白牡丹 | よし子 |
外湯まで樹間の道や青時雨 | 素秀 |
北嶺を遥かに望む窓涼し | せいじ |
大広間向日葵高く活けにけり | むべ |
明易や外へ出せとぞ猫パンチ | こすもす |
2021年6月19日 | |
水族館涼しイルカの芸達者 | こすもす |
塗畦にひたひた迫る代田水 | せいじ |
農家カフェ吊す玉葱一品に | かかし |
一面に風の遊べる芥子の丘 | はく子 |
緑陰に従軍の碑と力石 | 凡士 |
への字口歪め息吐く蟇 | 素秀 |
あめんぼう水面の雲をジプシーす | 宏虎 |
釣り終へて水平線の大夕焼 | かかし |
簾吊る一人暮らしの二階にも | よう子 |
黒潮の沖の明りや枇杷熟るる | よう子 |
十薬の錆びし小路に雑貨売る | なつき |
梅の実の樋に色づく旧家かな | 素秀 |
2021年6月12日 | |
あの猫のふと来なくなり梅雨の入り | よし子 |
煮こぼれる麦茶の薬缶傷だらけ | よう子 |
青葉闇碇錆びたる鎮魂碑 | なつき |
円相の茶掛を床に夏座敷 | 凡士 |
青葉してふくらむ月見櫓跡 | なつき |
黒南風の浜に漁網の山二つ | こすもす |
玉解いて木道狭む芭蕉かな | 愛正 |
宇治はよし茶そば啜れば若葉風 | はく子 |
月山を望みて摘めるさくらんぼ | わかば |
借景は白鷺城や薪能 | 凡士 |
山門へあぢさゐの海進むごと | むべ |
昼寝せる母を擽るややの足 | よう子 |
夕焼空祈り心地に鍬仕舞 | かかし |
杣が家の祈りに似たり夕河鹿 | 素秀 |
筋塀の五線譜めきぬ濃あぢさゐ | むべ |
賑やかな塒雀や街薄暑 | はく子 |
山門をくぐり牡丹の磴のぼる | よし子 |
東北の旅の土産のさくらんぼ | わかば |
2021年6月5日 | |
緑陰に椅子持ち出してジャズフェスタ | 凡士 |
五月雨にひよの鋭声の差しかたむ | むべ |
日々届くややの写真や聖五月 | はく子 |
図書館へ回り道する月見草 | こすもす |
背の順に並ぶ通学麦の風 | 愛正 |
梅雨曇もやしの髯根とる無心 | むべ |
ちょん髷がサングラスして山手線 | 凡士 |
吊り橋の谿は濁流梅雨深し | 凡士 |
梅雨晴れ間巫女の緋袴小走りに | なつき |
飲み干して水筒を振る夏帽子 | よう子 |
袋掛樹下に一服若夫婦 | 素秀 |
降りしきる松葉に埋もる力石 | 凡士 |
ナイターに拳上げもすテレビ席 | うつぎ |