みのる選:2021年4月度
2021年4月24日 | |
忘れ潮陽を照返す力あり | 愛正 |
いつせいに堰へ跳ねをり上り鮎 | 素秀 |
白樺の芽吹きの中の足湯かな | はく子 |
訪ね来て雨の御室は葉桜に | 凡士 |
ものうげな日永のラジオ株報づ | 凡士 |
清水の舞台奈落へ落花舞ふ | 和子 |
春愁の回転椅子の軋みかな | うつぎ |
抽斗の奥の口紅春灯し | よう子 |
麗かやと見かう見して風見鶏 | わかば |
スニーカー泥にまみれし遍路かな | 宏虎 |
捨てられぬ昭和レトロの椅子温し | よう子 |
大鍋に筍踊る糠の泡 | よう子 |
蝶々に譲られし木のベンチかな | むべ |
吟行の一歩一歩に囀れる | よし子 |
石畳濡らして古都の若葉雨 | こすもす |
古里は言葉かざらず葱坊主 | うつぎ |
タンカーの航跡白く風光る | わかば |
耕運機行き交ふ里や山笑ふ | かかし |
2021年4月17日 | |
つばくらや淡路瓦のいぶし銀 | うつぎ |
白玉の椿清楚と言ひつべし | はく子 |
落椿拾へば昨夜の雨こぼす | うつぎ |
引潮の浜に吸ひつく屑若布 | なつき |
ダンプカー大吊橋にかげろへる | 素秀 |
雨晴れてきて花の窓明るうす | わかば |
吾が面ふいに翳りて昼の蝶 | むべ |
沈丁の香に誘はれ古刹訪ふ | 愛正 |
山桜高鳴る雨の疏水かな | わかば |
列乱す園児帽子に花の屑 | かかし |
校門の守衛の肩に桜蘂 | むべ |
花見の子リュックにのぞくテディベア | なつき |
甲冑の武士の面差し春の闇 | うつぎ |
下山せし夫の土産や落し角 | むべ |
な滑りそ春落葉積む散歩道 | よし子 |
公園の桜見せんと療法士 | うつぎ |
2021年4月10日 | |
聖書カバー娘らに縫ふ春灯下 | むべ |
春灯下忿怒やはらぐ不動尊 | 菜々 |
春眠をやめて遊べと猫パンチ | かかし |
春陰や土偶の四股のどこか欠け | 凡士 |
杣小屋の板戸を塞ぐ蔦芽かな | 素秀 |
雪解風法衣はためく墓所 | 愛正 |
老いたれば子に従ひて桜狩 | せいじ |
落花巻上げて駈け行くツーリング | よう子 |
靴跡も轍も消して田水張る | なつき |
彩窓のクルス貫く春日かな | むべ |
リハビリの予定を超へし花堤 | かかし |
仏壇の太陽のごと土佐文旦 | うつぎ |
葉ごと食ぶ祖母の流儀や桜餅 | むべ |
馬の背に動くともなき春の雲 | わかば |
夕遍路岬の艀に急ぎ足 | 素秀 |
名も歳も忘れし人や花は葉に | むべ |
シャンソンは別れの歌よ花ミモザ | よし子 |
花見してしばし煩悩封じけり | 宏虎 |
朱の橋の袂に岐かれ花の道 | 小袖 |
山峡を処処に彩る桜かな | わかば |
花の寺極彩色の天井絵 | はく子 |
花吹雪く旧参道に朽ちし茶屋 | うつぎ |
日暮まで解けぬ数独万愚節 | よし子 |
黙々と漁網繕ひ老い長閑 | こすもす |
養花天伏し目に祈るマリア像 | はく子 |
潮吹の岬を染めたる浜大根 | 素秀 |
長堤を埋め尽くして花の雲 | せいじ |
池半分占めて犇めく花筏 | こすもす |
2021年4月3日 | |
長靴の花屑洗ふ園丁ら | むべ |
鰐口を空打ちしをる春疾風 | うつぎ |
雪洞のやうな日輪霾れり | 凡士 |
杉山の襞を埋めて山桜 | うつぎ |
古都駈くる俥夫の背に花の雨 | 凡士 |
花満ちて格いや高し南禅寺 | たか子 |
ナナハンの縦列駐車花の坂 | うつぎ |
インクライン天蓋なせる桜かな | こすもす |
潮引いて現るる断層磯遊 | なつき |
長閑なり乗れば五分で着く渡船 | 小袖 |
卒寿翁杖をうつちやり春耕す | かかし |
教室に追試の二人春休み | 素秀 |
昼網や一番競りは桜鯛 | うつぎ |
汀いま渚のごとし雪柳 | 小袖 |
飛び石の一つぐらつき野芹摘 | なつき |