みのる選:2021年2月度

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2021年2月28日

2月22日~2月27日投句分

2021年2月27日
春風や大瀬戸渡る波の綺羅わかば
節分草足首埋まる腐葉坂愛正
ゆくりなき初音に辺り見渡せり小袖
春疾風三角波を研ぎにけりわかば
参道を行けば囀り天降るごとこすもす
鉢にぶら下がる苺の二三粒はく子
霞む日の暮れて眉山の電波塔素秀
人住まぬけはいの庭に梅匂ふよし子
魚屋の口上長き遅日かなむべ
薄氷を踏みし園児の列乱れかかし
蔵元を訪へば梅が香満ちにけり小袖
春うらら池塘を亀のずり落ちぬせいじ
ビル風に立ちて人待つ春ショールよう子
天を衝くセコイア並木芽吹きそむせいじ
息触るるほどに膝行涅槃絵図うつぎ
海苔粗朶の市松模様風光るうつぎ
廃業の酒屋の軒の古巣かななつき
玻璃磨く春の山河を撫づるごと凡士
幾万歩踏みし古道や山笑ふ凡士
手をつなぐ偕老に山笑ひけりうつぎ
ダイヤ婚寿ぐ金盃に桃の酒宏虎

2021年2月21日

2月15日~2月20日投句分

2021年2月20日
うららかや犬と主のペアルックはく子
コロナ禍のマスク近づく寝釈迦かなうつぎ
老夫婦今年限りと耕せりかかし
飛石に屈み掬へば水温むせいじ
陣敷きて伏兵然と浮寝鴨うつぎ
桜湯に嫁となる娘の笑顔かなよう子
真つ先に芽吹く醜草抜かれけりうつぎ
春一の風の和らぐ昼下がりわかば
助手席に洩るる寝息は受験生むべ
コロナ禍の窓あけ入るる春の風こすもす
盆梅の白散りてよし緋毛氈なつき
カルストの主峰に四囲の風光る素秀
不易なる淀の流れや春の鴨はく子
下萌えにスキップで来るおさげの子宏虎
レコードの針音懐かし春の昼かかし
語り部の物の怪めきて冴返る凡士
たんぽぽのぽつと顔出す河川敷はく子
涅槃図の雲居馳せるは摩耶夫人小袖

2021年2月14日

2月8日~2月13日投句分

2021年2月13日
園長の太鼓一打に豆を撒くかかし
海峡に若布刈りゐる親子船素秀
干されゐし漁網の匂ふ春の浜こすもす
摘みし手に香の移りたる蕗の薹わかば
鷺と鵜の尻向け合うて砂州長閑うつぎ
がに股で小躍りしたる追儺鬼なつき
春潮の満ちて廃船洗ひけり素秀
提琴の音伸びやかや春立ちぬむべ
風光る仏舎利塔の白燦とはく子
雪つぶて爺の背中に容赦なくなつき
かいつぶり潜りしままにゐずなんぬはく子
湖の綺羅敷き延べて風光るうつぎ
寒夕焼瀬戸いつときの熾火かな凡士
礎石のみ残る廃寺や木々芽吹くせいじ
暖かやパン種のよく発酵すむべ
巣立ちゆく部屋に一輪水仙花よう子
娘木偶角を隠して阿波の春素秀
焼き立てパン匂ふ店先春隣よし子

2021年2月7日

2月1日~2月6日投句分

2021年2月6日
ハミングもでて軽やかに蒲団干すむべ
朝市の声の威勢に目刺買ふなつき
一斉に水面を駈けて鴨翔ちぬせいじ
マッサージされゐる背なに初音聞く素秀
見え隠れしつつ一渓春奏づせいじ
雪の宿上がり框に自在鉤凡士
狼星を見上げ十年の夜警かな凡士
蛇行して大河は海へ春霞せいじ
雪しまく洞に雀の一家族かかし
老大樹薄紅色の冬芽満つ凡士
白鷺の冬日纒ひて飛来せりはく子
一株は鳥に残して耕せりよう子
探梅や行き交ふ人と二三言素秀
顔洗ふ寒九の水に火照りけりうつぎ
窓四温ひつくり返す砂時計素秀
陽光を刎ねし尾びれや寒の鯉小袖
暖かき日差しに背筋伸ばしけりわかば
潜つても浮いても一羽ダムの鳰うつぎ
節分草我が誕生日知りて咲くうつぎ
春めくや墨絵ぼかしに淡路島宏虎

 

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