みのる選:2021年1月度

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2021年1月31日

1月25日~1月30日投句分

2021年1月30日
寒満月天狗ゐさうな鞍馬寺凡士
寒暁の海を見たくて夫誘ふよう子
南紀かな冬田に早もトラクターよう子
人恋うる馬の眸に風花すうつぎ
籠り居の油断が呼びぬ春の風邪うつぎ
薄氷踏みもし池塘散歩かなわかば
笹鳴きとおぼしき声や藪の道こすもす
寒天干す四囲の山垣砦としよし子
おいでやす京の老舗の箱火鉢かかし
枯れ尽くしたる河川敷人を見ずはく子
懐かしき夫の癖字や寒灯下むべ
塀越しの枝の先なる冬至梅愛正
大瀞も奇岩も隠す今朝の雪素秀
土手走る白き道着は寒稽古素秀
寒の水飲んで六腑を清めんと宏虎
と見る間に綿雪を吸ふ舗装路せいじ
勝浦の湯巡り船や湯治旅よう子
初天神恋の御籤をひいてみるよし子
足踏みしバス待つ園児霜の朝凡士
蕗の薹でたと施設の母に文小袖
京菓子の模様あれこれ女正月小袖
マスクして同じ顔なる姉妹うつぎ
寒風にかき消されたる昼の月むべ
冬の鷺大堰堤に仁王立素秀

2021年1月24日

1月18日~1月23日投句分

2021年1月23日
つつがなく在りし日思ひ小豆粥むべ
炭窯の天辺に臍煙吐くうつぎ
火と煙捩れて猛る大とんどうつぎ
炭窯の白煙噴きて人寄せず小袖
一日一訓六波羅蜜と新暦うつぎ
黒帯を目指し熱気の寒稽古かかし
水脈消えしところが境池凍るせいじ
しぐるるやビルの狭間のなまこ壁凡士
母の忌に約束のごと梅開く素秀
ととのひて白息消ゆる弓始なつき
自分史の句集ひもとく冬籠かかし
炭焼きの煙隠れに杣の影うつぎ
尺八をこぼるる息の白きかな素秀
小夜更けて厨芳し生姜湯むべ
ゆくりなく散歩の途次の冬さくらはく子
海峡の暗きを打てる寒の雨わかば
千枚田酒を吹きかけ鍬始かかし
あの鴨は逆立ち好きと見たりけりせいじ

2021年1月18日

1月11日~1月16日投句分

2021年1月16日
初日の出高層ビルのすき間よりよし子
残んの世夫の分まで老の春はく子
退院のあるじを迎ふ寒紅梅むべ
廃校舎あとに老松色変えずよし子
大架橋影絵となりし寒夕焼せいじ
明けやらぬ空に一と声初鴉わかば
天空に結ぶ噴煙初淺間愛正
所在なく糸のさすらふ懸凧よう子
駅ピアノ演奏中や松の内かかし
狂言に笑ひ誘はれ明の春うつぎ
書初や硯の陸の薫り立つわかば
ふつふつと味噌桶ならぶ冬灯なつき
雪間いまホルスタインの模様めくこすもす
のど飴を舌にまろばせ寒に耐ふよし子
マッチ擦る役を賜り初竈素秀
広芝に敵味方なく御慶かなこすもす
朝市の客寄せとなる焚火かなうつぎ
初霞へと漕ぎ出せる渡舟かな素秀

2021年1月10日

1月4日~1月9日投句分

2021年1月9日
蹲に浮かびて一つ龍の玉素秀
漣に滑るが如く浮寝鳥こすもす
初春の野に翻る凧せいじ
百歳の母の音頭で屠蘇祝ふかかし
枯蘆の原に広がる夕日かなせいじ
健の文字添へてぞ写経筆始かかし
廃校となりし分校山眠るよし子
新しき鉛筆削り初日記よう子
湯豆腐の鍋煮えてきて膝行すよし子
刃物研ぎ大繁盛す年の市なつき
コロナ禍や予約でとどく福袋そうけい
粉雪をしばし留めてソフト帽素秀
古日記母の看取りの記録かなわかば
福寿草黄金びかりす日の窓辺わかば
古時計刻きざむ音去年今年よし子
淀晴れて雪の比叡を遥拝すせいじ
狐火の噂立ちたるつづら坂素秀

2021年1月3日

12月28日~1月2日投句分

2021年1月2日
冬銀河はやぶさ号も紛るべしかかし
ダム涸れて蛇腹めきし地肌見ゆうつぎ
行く程に深雪となりぬ山路かなこすもす
宝殿の羨道奥処まで冬日はく子
城濠の狭しとせめぐ鴨の陣わかば
冬麗や大手門へと松並木はく子
石蕗黄なり庭に袖垣四ツ目垣はく子
音冴ゆる鎮守の杜の砂利踏めば愛正
飛行雲一引き過る寒天田よう子
探鳥の双眼鏡に冬木の芽かかし
木喰仏守る末寺の冬菜畑よう子
寒天干す空に一筋飛行雲うつぎ
一人居の誰に憚らむ大嚔うつぎ
神鶏の鳴声長く寒旱素秀
冬ぬくし電話受診の医師の声そうけい

 

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