みのる選:2020年12月度

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2020年12月27日

12月14日~12月26日投句分

2020年12月26日
産土の臥龍の松も菰巻きすなつき
電飾の映る川面に鴨浮寝素秀
吹き抜けのビルのロビーに大聖樹よう子
すれ違ふ車新雪堆くこすもす
縄張りのあるごとく鴨陣分かつせいじ
手をおけば芯まで凍る力石小袖
柚子風呂に肩の重荷の抜けるごとうつぎ
枯葎半ば埋もれて丁目石はく子
初雪やふるさと便の届きたるよし子
しぐるるや明智の郷は穴太積うつぎ
百選の棚田を抱く枯木山よう子
年の暮動く歩道を駆くる人かかし
寒禽の声飛礫めく神の杜なつき
楼門の紅葉を仰ぐ結願寺よし子
時として反す木霊や山眠るわかば
薄日さす明智の寺の冬桜うつぎ
道幅を狭め商ふ歳の市わかば
石切場秀枝を剪りて松迎へ素秀

2020年12月20日

12月7日~12月12日投句分

2020年12月19日
冬の蟻長き影ひく石畳小袖
別腹と言ひ焼藷を頬張りぬ宏虎
梢みな珠光りせる霜の朝わかば
落暉映へ炎たつごと山紅葉よし子
呼び声の道に飛び交ふ師走市わかば
寒禽の鋭声が射抜く力石よう子
農学部休耕田に麦を蒔くかかし
撫で牛に木の実時雨の容赦無しうつぎ
月冴えて母子観音の白しろとそうけい
力石木の実時雨を弾きをりうつぎ
獅子岩の吐きだす朝の冬日かな素秀
連綿摂津連山紅葉晴よし子
無人駅柵に真白な干大根愛正
コロナ禍の月日を重ね早師走わかば
枯野いまドクターヘリが頭上過ぐこすもす
仏花にと冬菊剪つて呉れにけりはく子
黄ばみたる書を読みなほす漱石忌かかし

2020年12月13日

11月30日~12月5日投句分

2020年12月12日
降りしきる深雪に祈る羅漢の掌素秀
船影もなく冬凪の水平線よし子
回廊を駈けをる風の落葉かな愛正
レシピ付き菊芋並ぶ無人店せいじ
寒椿凛と白磁のつるくびにかかし
魔法の杖あらばと仰ぐ冬銀河うつぎ
着膨れて恙もあらず白寿の賀うつぎ
閉店を告げる張り紙路地寒しよし子
大島の手作りマスク気品ありはく子
極月やコロナ禍なれど小買物わかば
喜寿祝ぎて十年日記買ひにけりかかし
工程は濡れ手ばかりや紙漉女小袖
咲き揃ふ日を思ひつつ球根植ふ菜々
焼栗の試食マスクの動きをりなつき
咲いてよし散ってなほよし姫つばきよし子
音もなく時雨るる嵯峨の石畳よし子
一苦労して立ち上がる炬燵かなうつぎ
紙漉きの捩れ波打つ水の筋宏虎

2020年12月6日

11月23日~11月28日投句分

2020年12月5日
枯蓮自信の持てぬ骨密度よし子
葛湯掻くコツは湯かげん混ぜかげんよし子
逞しき蘭の花芽や冬ぬくしはく子
短命の手相の筈が日向ぼこうつぎ
風捉え風をいなして芒の穂よし子
千枚田天地返しに落葉鋤くかかし
茅葺に飛び火せんとて紅葉燃ゆうつぎ
万歩計ノルマも兼ねて医者通ひ宏虎
鈍色の冬空覆ふ畜舎かななつき
出で立ちは鬼滅の刃七五三こすもす
短日や島の灯早もひとくさりわかば
切通し抜けて藪道笹子鳴く素秀
工場の灯の点滅に浮寝鳥素秀
夕ばえの波うち際に島千鳥素秀
鳴き砂の鳴かずに乾く冬の浜小袖
秋惜しむ琵琶湖周遊船の旅よう子
炭焼の煤けし顔の八重歯かなかかし
小春日や裾野の煙狼煙めく愛正

 

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