みのる選:2020年10月度
2020年10月24日 | |
放ち飼ふ鶏の家出す秋麗 | うつぎ |
能登島の入り江に映る秋灯 | そうけい |
あやす子もあやさるる子も手に木の実 | 小袖 |
山襞を撫でゆく霧の速さかな | わかば |
先生も渡船登校鯔飛べり | なつき |
忠告もどこ吹く風や猫じゃらし | うつぎ |
と見る間にドローンは点に秋高し | せいじ |
笈摺の御朱印乾く秋の晴 | よう子 |
色鳥に息をひそめし探鳥会 | かかし |
行くほどに濃くなる峡の紅葉狩 | わかば |
膝つきて黙と自然薯掘る背中 | よう子 |
お見舞と差し出す子らの手に木の実 | うつぎ |
庭下駄の鼻緒ゆるゆる秋深む | 菜々 |
鵙猛る即身仏の古墳塚 | なつき |
金木犀匂ふ寺町夕の風 | そうけい |
秋うらら腹にキャラ描く飛行船 | せいじ |
ラジオから洩るる懐メロ秋深し | はく子 |
2020年10月17日 | |
葉を返し崖の真葛に風の道 | 素秀 |
捨案山子集め供養す老農夫 | かかし |
天険の城址は雲に山粧ふ | わかば |
黒牛を際立て阿蘇の芒原 | うつぎ |
秋うらら休み休みの庭仕事 | せいじ |
草の露踏みつつ淀の水際まで | はく子 |
清め塩して神木の松手入 | かかし |
男衆野菜乱切り芋煮会 | かかし |
鹿の群れ大和大路をはばからず | 宏虎 |
秋晴れやものよく聞こえよく見えて | よし子 |
高原に風吹きわたり天高し | こすもす |
園丁は地元の農夫ダリア園 | よう子 |
山粧ふ塔の九輪のぬきんでて | わかば |
すぐそことダリア園まで誘はるる | よう子 |
流し目の眦紅し菊人形 | 素秀 |
眼まで枯れて蟷螂一色に | うつぎ |
蕎麦の花本陣跡と幟たつ | なつき |
旅に出てみたくなる日や鰯雲 | うつぎ |
2020年10月10日 | |
名月や一駅前でバス降りる | かかし |
山寺の縁の下までこぼれ萩 | 素秀 |
大聖堂和装マリヤの爽やかに | はく子 |
老い母に呼ばれて仰ぐ窓の月 | せいじ |
露雫溜めてもみづる畦千草 | よう子 |
声に散りまた戻りくる稲雀 | わかば |
先達のリュック鈴鳴る花野道 | なつき |
蕎麦の花さ揺れて蝶を翔たせけり | うつぎ |
蕎麦の花いよいよ白し夕まぐれ | 小袖 |
山粧ひ高速道路開通す | こすもす |
山伏の法螺や山頂霧晴るる | なつき |
堤より川面明るき良夜かな | うつぎ |
蟲の音をワキとしてシテ謡ふべし | 宏虎 |
頬杖をして虫を聞く羅漢像 | 素秀 |
山畠の奥の奥まで蕎麦の花 | 小袖 |
野葡萄のグラデーションに実を結び | わかば |
秋天下燦と出土の耳飾り | はく子 |
2020年10月3日 | |
数独にうつつを抜かす夜長かな | せいじ |
砂をどる湧き水豊か秋の声 | ぽんこ |
道の駅秋の草花写真展 | こすもす |
島の灯のまばらに点る良夜かな | わかば |
水汲場脇に一叢彼岸花 | 小袖 |
転作の村の明るし蕎麦の花 | うつぎ |
純白のウエディングドレス紅葉亭 | はく子 |
色変へぬ松や開かずの勅使門 | よう子 |
嬉しさと淋しさ半々敬老日 | うつぎ |
秋うらら絵解きめきたる島の地図 | なつき |
ほんのりと土の香りや零余子飯 | うつぎ |
案山子翁去りて騒がし群雀 | 小袖 |
農小屋をがんじがらめに藪枯 | よう子 |
ひんがしの雲まで染めて秋夕日 | はく子 |