みのる選:2022年9月度
2022年09月23日 | |
鶺鴒の遊べる川に鎌洗ふ | 素秀 |
田を渡る風に稲穂の重さあり | うつぎ |
砲台跡海を眼下に風は秋 | ふさこ |
古刹へと辿る長坂曼殊沙華 | せいじ |
露天湯に稲刈終へし顔そろふ | ひのと |
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2022年09月22日 | |
吊り橋の影くつきりと秋の潮 | あひる |
水神の岩祠より秋の蝶 | 豊実 |
海峡を渡る車列や鰯雲 | あひる |
家並みの途切れ車窓に豊の秋 | 澄子 |
過疎の村生徒総出の落穂狩 | みきお |
膝で寝る犬の温もり秋寒し | かえる |
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2022年09月21日 | |
泣くやうに艫綱軋む夜寒かな | ひのと |
神杉の木漏れ日を浴ぶ曼珠沙華 | 明日香 |
日の高き一番風呂よ草刈女 | なつき |
木々あまた倒れ野分の置き土産 | 千鶴 |
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2022年09月20日 | |
四つ目垣少し緩みて野分去る | たか子 |
突上げし指にとまりしあきつかな | 素秀 |
祝はれて背筋伸ばせり敬老日 | なつき |
落人の道はこのへん花芒 | むべ |
一滴に味引き締まる阿波すだち | せつ子 |
夜行バス窓うつ秋の雨に覚む | 素秀 |
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2022年09月19日 | |
賛美歌の声澄みわたる秋の空 | あひる |
秋蝶をしばし留めて旅鞄 | ひのと |
吠ゆるかに怒涛なす雲台風来 | きよえ |
女王の柩千草の花の蓋 | せいじ |
古希迎ふ敬老の日の初祝ひ | あられ |
沖泊の船に灯ともる夜霧かな | ひのと |
握り跡残る鍬の柄天高し | みきお |
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2022年09月18日 | |
秋晴や駆けだしさうに靴ならぶ | ひのと |
秋扇を天に翳して踊り果つ | ひのと |
けだものの目鼻となりて茸狩 | 澄子 |
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2022年09月17日 | |
老舗宿備前の壺に千草活け | たか子 |
曼珠沙華さざ波寄する湖畔かな | みきえ |
碑に停まりたるとんぼうの思慮深し | たか子 |
天高し足場積み上ぐ金属音 | たかを |
虫の音のリズムはいまし子守唄 | きよえ |
2022年09月16日 | |
竹春の葉擦れさやけし嵯峨小径 | 宏虎 |
蜻蛉の翅が一枚落とし物 | かえる |
子規句碑に添ひし丈余の萩愛づる | たか子 |
寡婦となり早七年や栗供ふ | ひのと |
新蕎麦をすすりかしまし旅楽し | もとこ |
更待や夜勤の仮眠室の窓 | 豊実 |
剥く吾子の肘まで落つる梨の汁 | そうけい |
元気だせよと叱咤する鵙高音 | 明日香 |
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2022年09月15日 | |
幼な子の背伸びの先に柿ひとつ | かえる |
珈琲を淹れて独りの夜長かな | 澄子 |
発掘の遺跡に群るる赤とんぼ | なつき |
広芝をスクランブルす秋津かな | せつ子 |
紅芙蓉きりりと絞り今日を閉づ | 満天 |
蒲の穂に触れもし水上橋渡る | ぽんこ |
魚信なき竿立て掛けて寝待月 | 豊実 |
青蜜柑剥きたる爪の芳しき | むべ |
三つ編みを解いて花野に遊びけり | ひのと |
秋霖に浮かぶ巨岩は石舞台 | 明日香 |
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2022年09月14日 | |
矢印を曲がれば匂ふ菊花展 | みきお |
青空へ縺れやまずよに蝶の恋 | あひる |
野の花と共に供へる新走り | 澄子 |
白々と激つ瀬に秋惜しみけり | 明日香 |
ののさまへ供ふ新米ひとつまみ | ひのと |
影もまた恋のリズムや揚羽蝶 | あひる |
白寿なほこころざしあり秋そうび | 董雨 |
寝ころびし顔をくすぐる花芒 | 素秀 |
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2022年09月13日 | |
健吟を願ひて子規忌修しけり | たか子 |
立待や庭に見得きる松の影 | 豊実 |
どの書にも父の遺筆や秋燈下 | ひのと |
火口なる奈落の水の澄みにけり | 素秀 |
遠山の裳裾真白き蕎麦の花 | せつ子 |
鰹木の菊の御紋へ秋日燦 | 明日香 |
古暖簾褪せし酒蔵新走り | 智恵子 |
宅急便父丹誠の今年米 | 智恵子 |
いつぷくのお薄に和む萩の寺 | 宏虎 |
車椅子止めし路端の草紅葉 | そうけい |
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2022年09月12日 | |
祈る児の手の先まんまるお月さま | せつ子 |
投錨の音朝霧へ消えゆけり | ひのと |
十六夜に寄る木星の淡きかな | 豊実 |
地球儀をまはして夜学始まりぬ | ひのと |
恙無く仕舞湯に聴く虫の声 | せつ子 |
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2022年09月11日 | |
草千里白露にまつ毛濡らす馬 | 智恵子 |
十六夜やこけしにもある夜の顔 | 素秀 |
開け放つ生家の仏間鬼やんま | みきお |
十六夜にゆふべの残り団子食ぶ | むべ |
大琵琶を覆ひつくして鰯雲 | たか子 |
街灯の尽きたる路に月新た | ひのと |
園児らの返事高らか小鳥来る | たか子 |
火灯窓風の芒の影法師 | 智恵子 |
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2022年09月10日 | |
ものがたり始まりさうな野分雲 | あひる |
萩活けて匂ひの残る手を合はす | ひのと |
虫の音に露天気分のわが家風呂 | 素秀 |
2022年09月09日 | |
ひぐらしの間遠となりて夕日落つ | もとこ |
推敲に推敲せよと法師蝉 | せつ子 |
女王逝く大虹かかる宮殿へ | 千鶴 |
わが前を蝶のいざなふ花野径 | 澄子 |
秋霖や逝きし夫の男傘 | むべ |
鎌捨ててすくむ翁や秋の雷 | 素秀 |
秋灯し鞍馬の里の小糠雨 | あひる |
時化の日は沖見るばかり秋団扇 | ひのと |
ゆつくりと水車吐き出す秋の水 | 宏虎 |
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2022年09月08日 | |
イヤホンの片耳はずす虫の夜 | なつき |
青栗を蹴つて競ふや下校道 | かえる |
刈り入れの済みし畦道捨案山子 | みきお |
草野球とんぼと共に盗塁す | 満天 |
釣り銭を両手で受くる秋祭 | ひのと |
雲裂けて隠沼に射す秋日かな | 素秀 |
早起きの子が数へみる牽牛花 | あひる |
沿道に飛び火の如く曼珠沙華 | 澄子 |
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2022年09月07日 | |
帯となり白衣となりて山の霧 | たか子 |
風渡る尾根の細道吾亦紅 | 智恵子 |
舟ひとつ浮かべて湖の澄めりけり | ひのと |
青柿の顔のぞきをる葉かげかな | あひる |
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2022年09月06日 | |
砲台の残る島影鳥雲に | みきお |
出羽三山ななめに仰ぐ案山子かな | ひのと |
成人の吾子と楽しむ夜長酒 | もとこ |
木立抜け秋麗の富士あらたなり | 澄子 |
秋あざみ挿して職員室の窓 | あひる |
荒海の如く波打つ稲穂かな | 千鶴 |
山頂にパゴダの白き霧の町 | 素秀 |
ひと日終へ老には長し秋の夜 | ふさこ |
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2022年09月05日 | |
鎌を引く花かたばみを避けもして | あひる |
台風の魁カーテン揺れ通し | こすもす |
駅長の奏づるピアノ星月夜 | ひのと |
遠山を越え迫りくる野分雲 | せいじ |
折りとれば露の重さの蛍草 | 素秀 |
叡山に谺すごとく法師蝉 | せいじ |
爽やかや十七文字が吾を呼ぶ | たか子 |
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2022年09月04日 | |
澄む川面遡るやに白き雲 | 満天 |
朝月や海より明くる漁師町 | ひのと |
離れへの足をとめたる秋海棠 | 明日香 |
来し方や受洗記念の九月来ぬ | せいじ |
竜胆にひと息つきて山の道 | あひる |
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2022年09月03日 | |
満たさるる故に募りし秋思かな | 明日香 |
小流れに誘はれ散る桐一葉 | 智恵子 |
高牧の起伏に群るる夕蜻蛉 | せいじ |
石蹴りの石持ちかへる秋の暮 | ひのと |
地鎮祭終へし更地へ月さやか | ひのと |
2022年09月02日 | |
露けしや草で拭へる花鋏 | ひのと |
しやがむ子の頭を撫づるゑのころ草 | 素秀 |
相聞の鹿の聲きく夜明け前 | 澄子 |
ゆくりなく旅に出会ひし流れ星 | たか子 |
自販機は火蛾の虜や近づけず | 智恵子 |
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2022年09月01日 | |
雨乞ひの宮に的射る音澄めり | なつき |
母子像の伏し目やさしき秋日かな | ひのと |
秋風に軋みやまずよ舫ひ舟 | たか子 |
稲妻の折れ入る溪の深きかな | 素秀 |
ゲリラ雨嘘のごとくに星月夜 | 智恵子 |
長き夜が足りぬ思ひ出話かな | なつき |
四阿に誰かの栞小鳥来る | ひのと |
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2022年08月31日 | |
空つぽのゴンドラ霧の山頂へ | ひのと |
つる草の絡みつきたる秋簾 | せいじ |
また来るね小さき指切り夏休み | みきお |
川に沿ふサイクルロード葛の花 | せいじ |
断捨離の逡巡として秋暑し | もとこ |
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2022年08月30日 | |
振り向かず駅に消えゆく帰省の子 | なつき |
山襞の霧押し上げて雨上がる | たか子 |
さやけしや駅頭に聴くバイオリン | むべ |
夕霧に湖底めくなり峡の里 | 澄子 |
荒畑を分けて狼藉鹿の道 | 素秀 |
白粉花ねむりに入りし亭午かな | あひる |
秋晴や日の匂ひする子のつむじ | ひのと |
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2022年08月29日 | |
パフェ崩しながら秋思の銀の匙 | むべ |
風呂掃除して帰りたる帰省の子 | なつき |
一村の命の疎水山澄めり | 澄子 |
流木をベンチに島の星月夜 | ひのと |
秋すだれ浜風抜ける海の家 | 千鶴 |
子ら去りて夫婦で分くる缶ビール | なつき |
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2022年08月28日 | |
長き夜や凪待つ水夫の針仕事 | ひのと |
鴨川のデルタにまろび夏惜しむ | せいじ |
竹箒はき目くつきり涼新た | うつぎ |
山霧の晴れし刹那や鹿過ぎぬ | 澄子 |
眠る子に癒やされ送る団扇風 | かえる |
食べる顔浮かべて葡萄送りけり | 千鶴 |
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2022年08月27日 | |
履き慣れぬ鼻緒ぎくしやく浴衣の子 | たか子 |
団扇手に母の愚痴聞く里帰り | みきお |
志し半ばの訃報身にぞ沁む | たか子 |
相槌をうちつつ秋思募りけり | もとこ |
糊ききしエプロン広げ涼新た | むべ |
大富士をかけのぼるやに秋の月 | 澄子 |