みのる選:2022年7月度

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2022年7月31日

7月23日~7月29日

2022年07月29日
巡視船瞬き交はす夏の星ひのと
ねんごろに魚網つくろふ島晩夏ひのと
一畝はラインダンスの花オクラあひる
遠雷にそそくさと終ふ立ち話もとこ
法被着て別人となる盆踊り満天
花火師の男気闇に打ち上がるたか子
庭風の通ふ昼寝の座敷かな宏虎
奇声上げ子ら噴水へ駈けだしぬ宏虎
2022年07月28日
燃え尽きてなほ手花火を離さぬ子ひのと
夕焼けに染まる一番風呂の窓宏虎
発車ベル待たず栓抜く缶ビール千鶴
チェーンソーの唸るに似たる蝉時雨満天
花火師の中洲に躍る影法師智恵子
バス停は杭一本や青田道ひのと
2022年07月27日
浜おもと海を見下ろす無人駅澄子
梅干をひとつ含みて暑に耐ふるこすもす
襟足をくすぐる坂の風涼しあひる
青蔦に絡みつくされ廃工場素秀
到来の北の大地のメロン切るみきえ
雨雲の虹を残して去りにけりなつき
下町の老舗銭湯吊り忍澄子
虫捕りの子ら集りて品評会かえる
水やりの最中もぎりてトマト食む千鶴
古畳へこみによろけ土用灸なつき
2022年07月26日
片肘で宿題おさへ扇風機ひのと
風入れの紅型に母なつかしきもとこ
炎天下まっさらな家組まれゆく澄子
夏の蝶ふらりと汽車へ乗り込みぬひのと
2022年07月25日
耳遠き父は寡黙や初盆会あひる
泣き虫を泣かせたまゝに紫蘇刻むひのと
収穫の西瓜赤子のやうに抱く豊実
猛暑中街駆け抜ける救急車満天
2022年07月24日
吹き渡る風を糧とし青田伸ぶ千鶴
うなぎ焼く今日土用なる鐵工所素秀
2022年07月23日
保津川の飛沫に奇声船遊び智恵子
蝉時雨閉ざせし校舎ゆするごと満天
迷ひなく田の水切るや土用干千鶴
入道に大暑の空を明け渡したか子
海と空大きく在りて夏館もとこ
絵手紙の紙をはみだす大花火満天
漣のごとくにそよぐ蓮の池明日香

2022年7月24日

7月16日~7月22日

2022年07月22日
滝壺のマイナスイオン振りかぶるもとこ
海見えて旅の始めの露台かなひのと
2022年07月21日
土用鰻食べて元気や卒寿翁宏虎
飛び石に足跡のこし水着の子なつき
と見る間に山霧容変へにけりあひる
店頭の葭簀を倒す小竜巻素秀
検温の電子音消す蝉しぐれせいじ
走る子の両手はつばさ青田風ひのと
早朝の参道掃除夏つばめこすもす
2022年07月20日
器量よき茄子を選びて糠漬けに千鶴
夏休み見守り隊も夏休み満天
山車曲がる身を捩りつつ反らしつつぽんこ
研ぎたての包丁匂ふ夕立あとひのと
走り根の階なせる杜涼し明日香
立ち話長くなりそう片陰へたか子
置き傘を持ち帰る子や夏休みみきお
険競ふごと立ちのぼる雲の峰きよえ
2022年07月19日
江ノ電を待つ踏切や蝉しぐれ智恵子
大玻璃戸開けるや否や蝉時雨こすもす
梅雨の蝶広葉の裏に翅たたみ明日香
水のやう風のやうにも絵灯籠素秀
大梁に手斧の疵や黴の宿ひのと
2022年07月18日
熱つあつのお茶を啜りて暑に耐ふるもとこ
駆け抜くる雑巾がけの跣足かなひのと
月にある母の俤初盆会あひる
素振りする野球少年雲の峰満天
谷深く入れば修験の一瀑布澄子
かなかなや一息つける峡の空素秀
四ツ辻に京の都を廻す鉾たか子
2022年07月17日
山小屋のテラスへ垂るる銀河かな智恵子
月鉾の軋む車輪や辻回しあられ
桶の水涼しき月を映しけりひのと
廟の扉を開けて蓮見の茶会かななつき
振れば風揺らせば波や舞扇ひのと
2022年07月16日
瀞に吹く風の涼しき川下り素秀
乳歯抜け破顔一笑夏休み千鶴

2022年7月17日

7月9日~7月15日

2022年07月15日
草刈女一服したる通り雨なつき
祇園会の稚児乗り出しておちょぼ口たか子
傘の柄に妻の旧姓夕牡丹ひのと
2022年07月14日
新しき硯へそゝぐ水涼しひのと
水玉をまろばせ遊ぶ風の蓮満天
切り分けて三角錐となる西瓜あひる
重なれる雨の水輪とあめんぼと小袖
何と問ふそう麺飽きたと答ふ夫たか子
絽の羽織ぬぎ長考す若き棋士せいじ
2022年07月13日
吾が耳に合はぬ耳栓蝉時雨むべ
暑き日の涙を誘ふ落語かな宏虎
鎖樋落つる緑雨の涼しかりはく子
風鈴や王手の駒の音高しひのと
蝉の殻背に一太刀浴びし如こすもす
寝付かれぬ子へゆるやかに団扇風ひのと
実柘榴を詠めとて父の旅土産なおこ
2022年07月12日
雨晴れてきたぞと告ぐる蝉時雨きよえ
門柱を抱くがごとく蝉の殻せいじ
沼の上とんぼ縄張り争ひすちい
清方のをんなを思ふ夕立かなもとこ
島離れゆく一舟に月涼しひのと
一山の耳をつんざく蝉時雨千鶴
2022年07月11日
露地親し江戸風鈴のかろき音澄子
一片は独居の友へ西瓜切るあひる
2022年07月10日
透かし見て海の色なるラムネ玉ひのと
蚊遣香満ちをり島の投票所ひのと
一陣の風を起点に青田波千鶴
ひまわりの迷路園児ら手を繋ぎ智恵子
神職ら命綱付け滝の上みきえ
2022年07月09日
山門を潜るにたたむ日傘かなはく子
空蝉のまだ力ある脚の爪満天
雨露の残りし草を刈りにけり千鶴
仏壇の座布団に置く大西瓜なつき
星涼し大往生の通夜帰りこすもす
対岸に白帯なして半夏生豊実
海色に染む磁器皿に島らっきょもとこ
と見る間に梅雨雲脱ぎて山晴るるたか子
絵手紙をはみ出してゐる茄子かなひのと

2022年7月10日

7月2日~7月8日

2022年07月08日
涙ごと汗を拭ひて試合果つひのと
白南風の沖に水脈曳く貨物船素秀
朝涼や銀輪飛ばす下り坂あひる
除草剤使はぬと決め草を引くうつぎ
洛中の灯ともし頃や鱧料理澄子
戻り梅雨暴れ足りぬと地を叩きかえる
2022年07月07日
七夕や星より早く船灯るひのと
点滴を受けつつ眺む夕焼かなみきお
白南風やデツキブラシのリズムよしむべ
尺取りの後ろ見んとて背伸びする明日香
傘寿とて娘に贈られし白日傘はく子
2022年07月06日
一円玉誰も拾はず径涼したかを
笹見へぬ程に短冊星祭みきえ
七夕の大笹飾る駅舎かなみきえ
百合の香に包まれて笑む遺影かなもとこ
奈良墨の艶の涼しき葉書くる澄子
夕立雲去りてぽつりと白き月なつき
2022年07月05日
子等の声たちまち遠き夕立かなひのと
短冊の墨の香ゆかし星祭り澄子
苔涼しわらべ地蔵に日の斑素秀
2022年07月04日
短冊をはみ出す願ひ星祭みきお
蛍火の虜となりて佇つ水際千鶴
冷麦に添えられてゐし茗荷の子かえる
四散すも集ふも速しめだかの子あひる
凌霄花散り重なりし地のほむら満天
水出しのお茶のさみどり半夏生なつき
奔放に育ちくの字のきゅぅりかなせつ子
舌かへて風鈴機嫌よくなりぬみきえ
浜涼し声揃の揃ひし地引綱みきお
穴のあくほどに翡翠睨みをり明日香
海開きなれど沖波寧からず素秀
2022年07月03日
流木のオブジェとなりし旱河素秀
幼子がキスして食べるさくらんぼなつき
白南風や舳先に靡く大漁旗智恵子
待望の雨連れて来し半夏生みきえ
2022年07月02日
冬瓜の売れ残りたる八百屋かな澄子
浮気して離るるもあり蟻の列もとこ
水着からしたゝる水や夜の三和土ひのと
寝返りの度に捩れて夏布団素秀
脚もとに空蝉すがる朱の鳥居智恵子

2022年7月3日

6月25日~7月1日

2022年07月01日
自家製の梅干談義媼どちこすもす
山の蝶ひらひら翔んで森に消ゆきよえ
雲の峰磯隠れなる出で湯かな千鶴
人差し指で足りぬ深さや蝉の穴うつぎ
ロバのパン奏でゆきけり青田道凡士
社家町の小流れ跨ぐ橋涼し凡士
クレヨンの色散らすごとポーチュラカあひる
島唄に賑はい戻り夏迎ふもとこ
2022年06月30日
正面に甲山置く茅の輪かな凡士
田水張り終へて生まるる蝌蚪の国千鶴
氷菓舐めつつ聞き役に徹しけりなつき
ソーダ水泡鎮まりて本題にたか子
水槽に魚の乱舞す亭涼しもとこ
初蝉の声ひと節でとぎれけり澄子
老い母の吾に向けくれし扇風機せいじ
2022年06月29日
釣忍しづく落とせる路地夕べむべ
苗打ちは子らの役目や泥跳ねるみきお
炎昼や床屋の客は我ひとりせいじ
コロナマスクして額には玉の汗智恵子
日日草日照りに耐ふる力あり董雨
この庭を知り尽くしたる蟻の道うつぎ
白南風に田水躍りて畦を越ゆせいじ
熱中症対策午睡おこたらずみきえ
2022年06月28日
夏帽を大きく振つて母呼べりひのと
朽葉嵩なせる中より蛇の首董雨
飛魚のシルエット飛ぶ沖夕焼あひる
片陰に鳶職鞐を緩めたる素秀
茅葺の鐘楼のたつ夏木立もとこ
新聞を読み終へはがす汗の肘なつき
2022年06月27日
傾けて内緒話の日傘かな素秀
猛暑日となりて覚悟の外出かな満天
微笑める羅漢の裳裾苔の花凡士
目を閉ぢて風鈴の音を選りにけり千鶴
せせらぎは山の静脈音涼しはく子
古城址と一碑たちたる樹下涼しせいじ
2022年06月26日
合歓の花咲く頂上が見えそめしあひる
夏帽子キックバイクでよういどんあられ
冷し酒漁火灯り初めしよりひのと
万緑に潰されそうな一軒家満天
三方に海ひらけたる夏座敷澄子
2022年06月25日
石蹴りの枠を描き足す梅雨晴間素秀
雷鳴に首すくめたる講釈師あられ
万緑の山を背負ひて磨崖仏智恵子
この気品秘渓育ちの鮎ならめうつぎ

 

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