みのる選:2022年5月度
2022年05月27日 | |
御廟所の砦の松の緑立つ | なつき |
花あげしかたばみなれば抜かでをく | 董雨 |
大甕の浮葉隠れに目高の子 | ぽんこ |
観音のお顔に影す若楓 | ぽんこ |
通院の友に付き添ふ迎へ梅雨 | むべ |
扁額の文字群青や寺涼し | よう子 |
湯上がりのややに全身天花粉 | 千鶴 |
猿石の小首傾げる五月闇 | 明日香 |
|
2022年05月26日 | |
龍神の守る石室木下闇 | もとこ |
山鳩のしわがれ声す夏木立 | 隆松 |
広前は働き蟻の運動会 | うつぎ |
夜の喜雨大地に染みるごと音す | みきえ |
車座を解きてそれぞれ三尺寝 | ひのと |
青山椒噛めば口中風渡る | 凡士 |
|
2022年05月25日 | |
小流れの籠に鎮もるひね胡瓜 | 素秀 |
向日葵の畑の迷路に迷ひけり | みきお |
耕運機止みて静もる亭午かな | みきえ |
玫瑰や能登路の果てのランプ館 | 凡士 |
|
2022年05月24日 | |
烏賊の灯の沖にひしめく日本海 | 宏虎 |
長靴に水汲み遊ぶ夏の庭 | ひのと |
三輪の郷見渡す限り麦の秋 | 明日香 |
長屋路地軒それぞれに額の花 | 凡士 |
堂涼し龍の俯瞰す天井画 | もとこ |
泉汲む忽ち曇るボトルかな | うつぎ |
舞殿の青葉明りに巫女の舞 | なつき |
|
2022年05月23日 | |
かりゆしに袖を通して更衣 | 凡士 |
雨しずく朝日に光る樟若葉 | 満天 |
通し土間抜けてお庭の柿若葉 | みづき |
摺り足の聞こえて来たり夏料理 | ひのと |
風吹けば水の匂ふや杜若 | 素秀 |
イナバウワーしてふらここを漕ぐ子かな | 宏虎 |
銀盆を手に白シャツの給仕かな | ひのと |
|
2022年05月22日 | |
麦秋を凹ませて風駈けゆけり | もとこ |
窓若葉夫婦でハモるリコーダー | うつぎ |
夕暮れの代田を走る電車の灯 | 智恵子 |
上向きに並ぶ蛇口や夏の午後 | 素秀 |
火星への旅夢見る子夏の月 | 宏虎 |
登るたびケルンに小石積み帰る | 千鶴 |
吊りてより海の風呼ぶ貝風鈴 | ひのと |
一望の植田に灯る屋敷林 | 凡士 |
ガシャガシャと薬缶に氷畦を行く | 智恵子 |
|
2022年05月21日 | |
水鏡して巫女舞へる御田祭 | うつぎ |
畑あるじ寄りて愛であふ茄子の色 | みきえ |
黒揚羽ファションショウのごと舞へり | きよえ |
梅雨の寺手に傘袋靴袋 | せいじ |
浜砂利を覆い尽くして昆布干す | あひる |
せつかちの汝れとは見えず新茶汲む | もとこ |
立ち漕ぎや半袖シャツを膨らませ | かえる |
ひと雨にむらさき垂るる燕子花 | 凡士 |
2022年05月20日 | |
明易しゴルフコンペの山泊り | 宏虎 |
部屋の蛾を月の夜空へ放ちけり | たかを |
大幹の樟若葉より鳥語降る | 満天 |
夜市の灯消えていよいよ星月夜 | 素秀 |
草刈機エンジン止めて道案内 | みきお |
離陸機の爆音を聞く木下闇 | もとこ |
髪乾くまでを端居の旅ごころ | ひのと |
負けた子が隠す涙の跡涼し | ひのと |
薫風に賛美すミサの主の祈り | むべ |
|
2022年05月19日 | |
夕焼に遠き戦火を思ひけり | ひのと |
飲み干せばくわらんと鳴りしラムネ玉 | 凡士 |
盛り上がる丘は古墳や青葉闇 | なおこ |
くちなはを避けてよろめく猫車 | ひのと |
藻の花の流れに沿ひぬ堰の門 | 素秀 |
治癒の身に存問のごと庭の蝶 | そうけい |
こぼれたる子燕を巣へ戻しけり | 千鶴 |
|
2022年05月18日 | |
薫風に窓全開の歯科医院 | 満天 |
ボランティア総出の田植ゑ千枚田 | 凡士 |
風涼し手作りといふ藍暖簾 | みきえ |
若葉風巫女の導く綿帽子 | 豊実 |
御神水注ぎ御田植始まりぬ | うつぎ |
納屋の扉を開けるや否やつばくらめ | せつ子 |
香にめぐる四通八達薔薇の径 | 明日香 |
大胆な径路図と見し蜷の道 | うつぎ |
畑の蓼ごめんごめんと抜きにけり | 千鶴 |
爺の網ひとふりで蝶捕えけり | かえる |
|
2022年05月17日 | |
五月晴ブルーベリーの結実す | 董雨 |
宙の虻花粉まみれの足見せて | 素秀 |
野苺に素通り出来ぬ山育ち | うつぎ |
揺れやまぬ磯の小舟の影涼し | 千鶴 |
な咎めそ御田に太き蜷の道 | うつぎ |
花あふち天蓋なせる古墳かな | こすもす |
風の声水の声聴く座禅草 | 宏虎 |
湧水に胡瓜のをどる古道かな | 凡士 |
蛙啼き止みて御田に笙ひびく | よう子 |
投網打つ背中に落つる夕日かな | みきお |
揺るる蕗コロボックルに似たりけり | 素秀 |
召天日なる朝卓に薔薇手向く | むべ |
|
2022年05月16日 | |
だれよりも先づ婿殿へ新茶汲む | ひのと |
逆潮に渦巻く卯波大鳴門 | 宏虎 |
大芍薬一夜の雨に散華しぬ | 千鶴 |
風抜ける味噌蔵長き麻のれん | 智恵子 |
柿若葉艶増し油絵のごとし | 素秀 |
つばくらのの出入口ある厩舎かな | 澄子 |
チャペルへと杖つく坂に風薫る | あひる |
御田植や丹波の郷の一之宮 | うつぎ |
神事待つ御田を囃す蛙かな | うつぎ |
散り敷いてなほ咲き継げるえごの花 | 豊実 |
鯉あまた群るる水面に緑さす | きよえ |
|
2022年05月15日 | |
子燕の巣立ちの朝の駅舎かな | 凡士 |
豆飯の炊けて香のたつ夕餉かな | 満天 |
青苔に寝転んでをる稚児地蔵 | 智恵子 |
母を待つ子の眼差しや夕立中 | ひのと |
庵涼し北山杉を籬とす | せいじ |
境内のベンチで句会青葉風 | なおこ |
コンサートへと潜りゆく薔薇アーチ | こすもす |
早乙女の笠にのぞきし束ね髪 | よう子 |
駿河より一筆添えて新茶来る | もとこ |
釣船の浮沈して見ゆ卯波かな | 素秀 |
早乙女の真白き脚の脚絆かな | うつぎ |
|
2022年05月14日 | |
燕の巣峡の駅舎の四隅占む | うつぎ |
噺家の落ちの間合ひや夏羽織 | 千鶴 |
梅酒瓶ことりと響く夜のしじま | むべ |
戸締りについて来る子や星涼し | ひのと |
薔薇屋敷あるじ自慢のアーチかな | もとこ |
巻舒しつ山襞昇る夏の霧 | 明日香 |
万緑へ一直線やハイウェイ | みきえ |
2022年05月13日 | |
方円の窓が切り取る庭若葉 | せいじ |
雨の小屋吊り玉葱の匂ひ満つ | 千鶴 |
あるなしの風に舞ひ散る竹落葉 | 満天 |
青時雨港の見える丘にたち | むべ |
春草の宝庫となりぬ更地かな | みきえ |
香水も昔のままや同窓会 | ひのと |
若葉燃ゆ樹下に連なる人力車 | 智恵子 |
糶声の一段高き初鰹 | 宏虎 |
バリトンは九十翁や風薫る | 凡士 |
中空に蛸をどりせる青毛虫 | せつ子 |
|
2022年05月12日 | |
伽羅蕗の煮たつ香りに母恋し | もとこ |
筍を売る朝掘りと大書して | 宏虎 |
潮臭き漁網繕ふ波止薄暑 | 凡士 |
ガンダムの巨像霞に立ちにけり | ちい |
短夜や最終章を脱稿す | むべ |
立ち憩ふ橋の真上に夏の雲 | 素秀 |
|
2022年05月11日 | |
一升餅重しと泣く子宮五月 | やよい |
久にあふ知己とぺちやくちや若楓 | もとこ |
青葉潮浴びて船頭仁王立ち | ひのと |
表札の裏に潜りし守宮の子 | うつぎ |
明易や一鳴き鳶の高空に | 素秀 |
ゆく春や旅のチラシの山積みに | みづき |
|
2022年05月10日 | |
草引かれ右往左往やてんとむし | 董雨 |
老鶯に励まされつつ磴登る | 明日香 |
雲引きて飛機は夕焼の東京へ | あられ |
雨晴れて何はともあれ草むしり | 千鶴 |
街薄暑パントマイムの白き顔 | 凡士 |
叱られて足ぶらぶらと夕端居 | ひのと |
瀬音背に渡る飛び石歌碑涼し | 明日香 |
玉葱を包む新聞紙の戦禍 | せいじ |
傘立てにきのふ来た子の捕虫網 | ひのと |
|
2022年05月09日 | |
巨石積む百間堤代田風 | うつぎ |
薔薇一輪活けて窓辺の予約席 | ひのと |
豆の種うなじで土を持ち上げぬ | 豊実 |
大声とともに筍届きたる | かえる |
玉葱の匂ひ残りし軍手干す | 千鶴 |
登校の列を乱せし仔猫かな | 澄子 |
|
2022年05月08日 | |
七輪に火の色のこる鮎の宿 | ひのと |
里道の取り放題の小判草 | うつぎ |
水口の水落ち着きて夏来る | 素秀 |
麦藁帽故郷の土に丸き影 | 素秀 |
母の日や母となる娘の声弾む | 千鶴 |
|
2022年05月07日 | |
旅衣解けば吉野の時鳥 | 素秀 |
立ち止る芭蕉の句碑や白日傘 | こすもす |
麦わら帽振つて別るる峠かな | みきお |
まづ浴衣なほされてゐる舞稽古 | ひのと |
引退の古馬の眼澄める牧五月 | 凡士 |
湧き水と戯れやまずあめんぼう | せつ子 |
2022年05月06日 | |
森林浴コースの小道風涼し | せいじ |
噴水のせめぎ合ひして争はず | うつぎ |
魚篭の魚大きく跳ぬる立夏かな | ひのと |
金網を伝ふしずくや薔薇の雨 | 素秀 |
山毛欅林にひかる一筋山清水 | 凡士 |
|
2022年05月05日 | |
代田いま青天井を映しけり | こすもす |
借景に天守を置いて鯉幟 | 凡士 |
万緑へ土管トンネル出でにけり | なつき |
丁寧語使ふ孫来し子供の日 | もとこ |
村芝居隣村から子を借りて | みきお |
星よりも街の灯遠き代田かな | ひのと |
綺羅放つ伊吹の尾根の残り雪 | 隆松 |
|
2022年05月04日 | |
飛行雲吐き出してをる鯉のぼり | あられ |
春山路古希祝ひなる登山靴 | あひる |
庭隅に一家犇めく梅雨茸 | うつぎ |
ベンチとす大切株や百千鳥 | みきお |
新緑の森駆け抜けてドッグラン | かえる |
学窓の玻璃に張りつく雨蛙 | 凡士 |
黄水仙海へ雪崩るる岬鼻 | 澄子 |
燕どち宙返りしてぶつからず | こすもす |
兄妹の手型足型こどもの日 | なつき |
|
2022年05月03日 | |
満開の薔薇に驟雨の容赦なく | 澄子 |
写し絵に子らのお手紙こどもの日 | なつき |
水底の世界は透けてあめんぼう | うつぎ |
日焼けせし辞書や憲法記念の日 | 豊実 |
さつき燃ゆ墓苑に空き地ほつほつと | なつき |
行く春や母によく似たこけし買ふ | ひのと |
若葉風総身に受けてペタル踏む | 満天 |
たんぽぽを嗅いで仔犬の綿まみれ | かえる |
明易や沖の汽笛に目の覚めて | 千鶴 |
|
2022年05月02日 | |
健やかに生きて九十路や柏餅 | 澄子 |
制服もぴったりあひし聖五月 | 満天 |
後ずさり出来ぬまいまい枝の先 | みきお |
朝寝してゴミ収集車手渡しに | 董雨 |
吹く風に草が応へし夏野かな | ひのと |
濯ぎ物干すに必須夏帽子 | みきえ |
郭公の声の谺す牧の朝 | 智恵子 |
つばくらめ紙飛行機とニヤミスす | 凡士 |
春昼の遅々と進まぬ読書かな | もとこ |
葱坊主ドミノ倒しに風に伏す | あひる |
|
2022年05月01日 | |
老幹に苔の太りし緑雨かな | あひる |
降る雨に大口開けて鯉幟 | うつぎ |
新緑のアーチの先に異人館 | きよえ |
緑陰に祈る白亜のマリア像 | せいじ |
信号待ち頭上掠めてつばくらめ | やよい |
水底のあめんぼの影沓を履く | うつぎ |
新緑の斑をなしぬ雑木山 | 宏虎 |
パンジーの風を掬いて大風車 | はく子 |
巣を作りはじめしと見る若葉影 | 明日香 |
花菫咲く城壁は野面積 | 澄子 |
草のびて八十八夜の雨後の畑 | 千鶴 |
|
2022年04月30日 | |
コロナ禍の連休お庭でキャンプかな | 智恵子 |
四囲の山膨れ迫りて夏来る | 明日香 |
痩身を隠すは難しうすごろも | やよい |
抽斗にテレホンカード昭和の日 | うつぎ |
新道より観る旧道の懸り藤 | うつぎ |
縁石へ覆いかぶさり立浪草 | あひる |
缶コーヒー飲み干す目線つばめ飛ぶ | たか子 |
2022年04月29日 | |
昭和の日笑みし遺影の母若し | なつき |
須磨沖に浮かぶ帆船風光る | みきえ |
尺取りや五体投地の枝の先 | みきお |
風呂敷を解けば筍まろび出づ | ひのと |
しゃぼん玉影もろともに壊れけり | はく子 |
間遠なる蛙の声は子守唄 | 素秀 |
雨けぶる東京タワー昭和の日 | むべ |
|
2022年04月28日 | |
他所行きの母のよこがほ春日傘 | ひのと |
ガラス窓より緑さす理髪店 | 宏虎 |
磨り硝子染めてさ揺らぐ庭若葉 | せいじ |
人伝てに廃業知りぬ花の宿 | ひのと |
留学生筍飯に舌つづみ | むべ |
春光に水面眩しき沈下橋 | 素秀 |
目印の欅の大樹芽吹くなり | 澄子 |
桜蕊だらけの磴や踏み惑ふ | こすもす |
|
2022年04月27日 | |
泣きどころなのに笑へる村芝居 | なつき |
カーテンの揺れに戯れつく仔猫かな | 宏虎 |
茶畑や萌黄が陣を広げをり | かえる |
郭公や空の奥行き思ひけり | むべ |
巣立鳥羽色のまだ整はず | 豊実 |
北窓を開く間遠に海鳴りす | 澄子 |
歳時記の糸とじ直す日永かな | やよい |
能登の塩八十八夜の潮を汲む | 凡士 |
|
2022年04月26日 | |
衣擦れは吐息に似たり春障子 | ひのと |
春塵や止まる遺品の置時計 | なつき |
節くれ手春耕の鍬振り上げて | 千鶴 |
雪柳風にワルツををどりけり | みきえ |
梅日和活断層の真上てふ | 澄子 |
あれそれと会話尽きざる日永かな | もとこ |
一頻り山鳩啼いて谷若葉 | 凡士 |
|
2022年04月25日 | |
また一尾家族の増えし鯉のぼり | もとこ |
若人の尖る靴先入社式 | みきお |
風涼し北斗星なす庭の石 | せいじ |
傾きし鉢を上げれば大百足 | 明日香 |
石庭の島嶼を渡る風涼し | せいじ |
夕立に土の匂ひの湧き上がる | みきお |
追ひついて二つとなりし春日傘 | あひる |
|
2022年04月24日 | |
音も無く降る雨窓に春惜しむ | 満天 |
洗車場の水に生まるる春の虹 | かえる |
深春や二度寝の夢はきれぎれに | もとこ |
ひと筆のこけしの眉や余花の雨 | 凡士 |
カーネーション母の墓前に手向けけり | きよえ |
豌豆の莢に数へる豆の数 | あひる |
背にありし子が藤房に手を伸ばす | 素秀 |
|
2022年04月23日 | |
春光や苔押し分けて立つ実生 | 豊実 |
雨ごとに玉ねぎ球を膨らます | 千鶴 |
通天橋湖のごとくに若楓 | せいじ |
くずきりの暖簾の奥の長通路 | あひる |