みのる選:2022年3月度
2022年03月25日 | |
春雨に俥夫の駈けゆく渡月橋 | 凡士 |
子供らの声に北窓開きけり | たか子 |
たゆとふやまばらとなりし残り鴨 | もとこ |
日をはじくなずな畑に蝶屯 | あひる |
ひと雨に芽吹く銀杏や御堂筋 | 凡士 |
履き慣らす登山シューズに初音聞く | 豊実 |
野菜畑砦のごとくほとけの座 | あひる |
園うらら一期一会の花談義 | やよい |
|
2022年03月24日 | |
猫の首あち見こち見や春の蝿 | 素秀 |
拝みつつ食ぶ仏壇の桜餅 | ひのと |
満開の桜が似合ふ陸軍墓地 | ぽんこ |
囀りや散歩のペアの二本杖 | こすもす |
茎立や今も変はらぬ三角田 | うつぎ |
リハビリの足元縫ひて初蝶来 | なつき |
|
2022年03月23日 | |
ワイパーの切る雨粒や戻り寒 | 豊実 |
店頭に魚を焼きて春うらら | 満天 |
春雨の水輪の下に錦鯉 | むべ |
茎立や畑から見ゆ母の墓 | うつぎ |
船過ぎり水面の桜くづれけり | ひのと |
椎茸のコマ打つ音のこだませり | みきお |
野良猫に尻尾巻く犬花菜道 | もとこ |
春雨にテールランプの滲む道 | みきえ |
|
2022年03月22日 | |
ネオン街色とりどりや春の雨 | あひる |
手作りの野菜も並ぶ梅見茶屋 | みづき |
カリヨンの高鳴る空を鳥帰る | 凡士 |
支払ひはいつでもよろし島長閑 | ひのと |
暦年の苔むす幹や臥竜梅 | 明日香 |
徒長枝の一枝添へある梅見膳 | みづき |
カラフルな力士幟や街の春 | こすもす |
春寒の息吹きかけて判子押す | ひのと |
|
2022年03月21日 | |
乗り換へのホームに花菜畑展け | 凡士 |
新しき板塔婆増ゆお中日 | 明日香 |
露座観音辛夷の白をまぶしめり | はく子 |
火渡りの生木泡ふく彼岸祭 | 千鶴 |
曳航の水脈きらめきて暮れのこる | 凡士 |
春愁やブログ更新出来ぬまま | たか子 |
春泥や農家の庭の深轍 | うつぎ |
舷に映りし波の綾うらら | ひのと |
ひとひらの花びら付けて苺食ぶ | あひる |
|
2022年03月20日 | |
杏咲く家目印と訪ねけり | ふさこ |
自転車を畦に押しゆく彼岸僧 | 素秀 |
春耕の土脹らませ脹らませ | 千鶴 |
踏青や仏花彩る閼伽の水 | ぽんこ |
薺道不即不離なる老夫婦 | むべ |
部屋籠り詮無き雨の彼岸かな | もとこ |
少年と見しは少女や青き踏む | ひのと |
春愁や乗換えホーム間違えて | こすもす |
合格と一言だけの電話かな | ひのと |
|
2022年03月19日 | |
呼び鈴に手櫛一かき木の葉髪 | たかを |
パドックの馬の毛艶や風光る | はく子 |
会釈して春泥の道ゆづりあふ | ひのと |
春暁や漁解禁の船溜り | 凡士 |
2022年03月18日 | |
トンネルを抜けでし吾に初音かな | こすもす |
島々を影絵に瀬戸の春満月 | 素秀 |
腕白も目を潤ませて卒業す | 満天 |
あたたかや埒にもたれて馬定め | もとこ |
やはらかき雲春嶺に触れゆけり | ひのと |
音程を涙に外す卒業子 | 智恵子 |
|
2022年03月17日 | |
河馬の仔の初見参や水温む | 凡士 |
退院は夫の新車で風光る | なつき |
春光を撥ねて疾駆す競べ馬 | うつぎ |
芽柳に撫でられてをるお濠端 | 凡士 |
水温む水琴窟は賑やかし | もとこ |
囀りへ向けて留め置く乳母車 | ひのと |
買はざりし的中馬券春の夢 | はく子 |
|
2022年03月16日 | |
茶会終へしづかな春の炉となりぬ | ひのと |
山笑ふ仰向けとなり猫眠る | 宏虎 |
解体の船引かれゆく沖霞 | ひのと |
銀輪の力士の袷膨らみて | あひる |
朝より夕べ賑はふ花こぶし | せつ子 |
気のすまぬ時そつぽ向く春の駒 | 董雨 |
桜餅商ひ継ぎて三百年 | むべ |
|
2022年03月15日 | |
白魚の夕日に透くるいのちかな | ひのと |
一湾の縮緬波に風光る | せいじ |
嬉しきは新メンバーと初桜 | たか子 |
|
2022年03月14日 | |
春禽の翔ちてひろがる水の綺羅 | あひる |
水温むあまた画架立つ中之島 | 凡士 |
ランドセル背負つたまんま春の野へ | ひのと |
引き波に砂礫が奏づ春の楽 | せいじ |
一斉に祈る手のごと白木蓮 | むべ |
老いうららひねもす畑の草引いて | 千鶴 |
海昏れて舟屋にほのと春灯 | 凡士 |
|
2022年03月13日 | |
Vの字の伸び縮みしつ雁帰る | 宏虎 |
蹴り返すボールにお礼あたたかし | たか子 |
のどけしや地蔵と並ぶ見守り隊 | 素秀 |
童画展原色ばかり暖かし | たか子 |
渓谷の蒼き底より雉子の声 | 素秀 |
遠近に釣人の居て波止の春 | きよえ |
春うらら洗濯物にかくれんぼ | ふさこ |
|
2022年03月12日 | |
春風にあち見こち見す風速計 | たか子 |
春光をリレーするごと波たたむ | せいじ |
2022年03月11日 | |
山門へ険磴濡らす木の芽雨 | 宏虎 |
潮騒を間遠に聴きて花菜畑 | 智恵子 |
探梅の坂振り向けば海みゆる | もとこ |
黙祷を解けばまぶしき春の海 | ひのと |
まず黙祷捧げ句会や黄水仙 | こすもす |
懐に千本鳥居山笑ふ | はく子 |
|
2022年03月10日 | |
隆々の肩に春塵仁王像 | みきお |
椋大樹侍るごとくに水仙花 | はく子 |
昨夜雨に山が膨らむ木の芽時 | 満天 |
大いなる梅の枝垂れの傘の中 | 千鶴 |
白梅の枝透かし見る天守かな | ぽんこ |
弟は姉の言ひなり雛納 | ひのと |
東北忌海にぶつけし男泣き | ふさこ |
|
2022年03月09日 | |
見晴し台あつちはどつち山笑ふ | たか子 |
外つ国の止まぬ侵攻春愁ふ | みきえ |
マネキンを着せ替へてより春の窓 | ひのと |
もの芽出づ茅葺屋根の天辺に | むべ |
起伏野に浮き沈みせる春日傘 | せいじ |
水切りを競ふ子供ら鴨帰る | 凡士 |
解体の瓦礫の山へ春の虹 | 豊実 |
|
2022年03月08日 | |
童顔の百歳笑まふ雛の宿 | 素秀 |
春寒し更地と化しぬ隣組 | 満天 |
幾世紀経て出土せし塚の春 | 明日香 |
偕老のお茶で乾杯せる春野 | せいじ |
老姉妹若き日語る雛祭り | みきお |
朝日浴びプリズム光りせる雪野 | 隆松 |
春光のあまねく窓辺針仕事 | やよい |
|
2022年03月07日 | |
夫婦塚肩よせあひぬ春風裡 | 菜々 |
杣道の門番然と花薊 | 素秀 |
降車して気づく春です忘れ物 | みきえ |
雪間原迷彩柄を描きけり | こすもす |
白杖の佇み聞ける百千鳥 | みきお |
パンジーの花殻摘みを日課とす | 明日香 |
杖あまた支ふ大樹の垂れ梅 | やよい |
山寺の鐘うちひびき山笑ふ | 満天 |
雪解風とらへ高舞ふ鳶を見よ | 凡士 |
日のすみれ背伸びするやに花立つる | きよえ |
洞だらけなる老幹の梅真白 | ぽんこ |
立雛を棚に一人の散らし寿司 | はく子 |
|
2022年03月06日 | |
深海に似し朧夜の倉庫街 | 素秀 |
啓蟄や児は三歳と指立つる | なつき |
放課後へ春泥の靴飛び出せり | ひのと |
鉄塔は銀のかんざし山笑う | 和子 |
|
2022年03月05日 | |
腹の中見せたる羅漢春ぼこり | たか子 |
水甕に舌伸ばす猫水温む | みきお |
2022年03月04日 | |
小流れに躍る陽射しや藻草生ふ | 智恵子 |
しばらくはこのままにせん落椿 | せいじ |
寄り道を叱られてゐる遅日かな | ひのと |
海坂に春の入日の柔らかし | 凡士 |
深呼吸啓蟄の窓全開す | あひる |
落椿寧かれとわが手のひらに | 満天 |
飛機雲二本溶けゆく春の空 | あられ |
|
2022年03月03日 | |
耳元で確かめ開く種袋 | みきお |
桃の花過疎となりたる本籍地 | 凡士 |
酔ひたるは女ばかりや雛の家 | ひのと |
うすうすと山笑ふ日となりにけり | 素秀 |
ちらし寿司うずら卵の雛添へ | やよい |
集ひしは昔乙女の雛の宴 | もとこ |
啓蟄や欠片繋げば火焔土器 | 凡士 |
|
2022年03月02日 | |
余白なき伝言板や春時雨 | 満天 |
うららかな日や外つ国は戦火なる | もとこ |
海の香を天日に広げひじき干す | みきお |
|
2022年03月01日 | |
春キャベツ剥けば青虫転げ落つ | 智恵子 |
引き揚ぐる小舟に光る若布かな | みきお |
せめぎ合ふ渦の落差や春の潮 | 千鶴 |
虹が出てゐますよとバス止まりけり | ひのと |
二歩下がり仰ぐ白梅空真青 | なつき |
涅槃絵図象仰向けに嘆きをり | たか子 |
|
2022年02月28日 | |
蹲踞の水を貫く春日かな | ぽんこ |
野に遊ぶまた同じ子が鬼となり | ひのと |
補助輪の子の背を押して春堤 | 素秀 |
散り敷くは古墳の径の落椿 | 和子 |
耕人の鍬を杖とす桃の樹下 | 素秀 |
|
2022年02月27日 | |
手の平を添へて大樹の春を聞く | 豊実 |
片足で艪を漕ぐ漁師若布刈舟 | みきお |
愛称はいねむり観音梅日和 | たか子 |
受験絵馬掛けて隣の絵馬読めり | なつき |
|
2022年02月26日 | |
春ぼこり拭いて地球儀回しけり | あひる |
斜張橋弦かき鳴らし春疾風 | 凡士 |
舞ふ人の影しなやかに春障子 | ひのと |