みのる選:2022年2月度
2022年02月25日 | |
決断の出来ぬ断捨離日短 | あひる |
東風強し船挫傷すといふニュース | きよえ |
雛飾る老ひたる月日思ひけり | もとこ |
春水の渦の虜や澪つくし | 素秀 |
鳥枝にとまるや否や雪しずり | 隆松 |
春眠し猫の欠伸を貰ひけり | 宏虎 |
いちまいの光となりぬ春の海 | ひのと |
水禽の去りたる川の広さかな | みきお |
兜煮の目玉から食む桜鯛 | 千鶴 |
|
2022年02月24日 | |
桜餅卒寿の女将立つ老舗 | 凡士 |
差しのべしおさな子の手にしだれ梅 | むべ |
描く人の面差しに似し雛かな | やよい |
まだ名無くおぼろげに鳴く仔牛かな | なつき |
糸柳風の形に靡きけり | みきお |
蹴ってみる石ころひとつ春うらら | 明日香 |
春淡し茶筅に残るうすみどり | せいじ |
|
2022年02月23日 | |
旅立ちの島を離るる春帽子 | 凡士 |
コロナ禍の中マスクして卒業す | あひる |
けんかして壊してゆけり雪だるま | ひのと |
ゲーム中ドームの屋根をしづる雪 | こすもす |
ジーパンに膝のぞかすも春ファッション | 満天 |
北窓を開く仏間の写し絵に | みきお |
鰆焼くほどよき味噌の焦げ具合 | みきえ |
庭草の萌ゆるかと見る雨水かな | ふさこ |
|
2022年02月22日 | |
春の波引つ張つてゆく小舟かな | ひのと |
肩の雪払うて酒場覗きけり | ひのと |
御膳屋の幟裂くやに東風強し | せつ子 |
老気楽二度寝覚めても春眠し | 董雨 |
帰る鴨水輪大きく飛び立てり | なつき |
六地蔵囲みて淡き木の芽影 | なつき |
残照に鴨翔つ雫煌めけり | 凡士 |
吾子を背にあやしながらや牡蠣割女 | みきお |
|
2022年02月21日 | |
風花の乱舞アクセル緩めけり | せつ子 |
水やりの我の影追ふ春の蝶 | 智恵子 |
食卓に磯の香満ちて若布飯 | きよえ |
上履きを雪の校舎へ届けけり | ひのと |
大見得の仁王の目玉春の塵 | 素秀 |
強東風に干烏賊踊る島の波止 | 凡士 |
魚屋に鯛の鏝絵や風光る | なつき |
男には負けぬ手足よ雪を掻く | ひのと |
|
2022年02月20日 | |
街灯の誘蛾灯めき春の雪 | うつぎ |
ふと気づく空の青さ梅白し | あひる |
芽柳にもつれはじめし濠の風 | たか子 |
海鳴りの磯に春告ぐ陣太鼓 | 凡士 |
田返しの畦に積まるる捨野菜 | 明日香 |
ひじき刈る波静かなる夜の磯 | 千鶴 |
末黒野の焦げし香雨に匂ひけり | 千鶴 |
縁側は猫のまほろば山笑ふ | ひのと |
捨てられず母の形見の古雛 | ぽんこ |
ようこそと笑む玄関の立雛 | せいじ |
紙雛の直線の影柔らかし | みきお |
薔薇の芽を絡ませ鉄扉閉ざしけり | ひのと |
|
2022年02月19日 | |
八荒や舟子は太き櫂握る | 素秀 |
ひと筆で表情変はる雛の目 | 満天 |
まだ我の入る余地あり涅槃絵図 | うつぎ |
昼暗き常盤木の杜梅真白 | せいじ |
春の雪一字点らぬネオンかな | 宏虎 |
綾なせる鯉に艶増す春の水 | 明日香 |
2022年02月18日 | |
しら梅や書淫に倦みし館の窓 | たか子 |
涅槃図の梟そつぽ向いてをり | うつぎ |
対峙かと見れば合流鴨の陣 | せいじ |
亡き母の描きし雛を飾りけり | あひる |
力石発止と打ちて椿落つ | 凡士 |
薄氷や軋みてひらく朝の門 | ひのと |
春空の機影一筋西へ延ぶ | きよえ |
櫛比なるビル街今朝は春霞 | はく子 |
涅槃会の福火に焚べる御札かな | うつぎ |
春セータ若いと言はれ背すじ伸ぶ | もとこ |
朧月波が波押す舟だまり | みきお |
|
2022年02月17日 | |
火に焼かれ身を反りかへす干鰈 | ひのと |
春眠し釣師の竿に魚信なく | 素秀 |
庭の木々弛めてしづる深雪かな | 千鶴 |
機影いま春満月にさしかかり | みきえ |
児ら質問責めや涅槃の絵解僧 | うつぎ |
|
2022年02月16日 | |
雪解けて鉄路ひとすぢ伸びゆけり | ひのと |
細波を馳す春光の魚影かな | なつき |
臥す吾に厨の夫のあたたかし | 明日香 |
春一番あひ撃ち合へる祈願絵馬 | ふさこ |
遠霞稜線淡く緩びけり | 明日香 |
|
2022年02月15日 | |
涅槃図の白象鼻を振りて泣く | よう子 |
春雨や夫の背丈に傘さして | せつ子 |
日々届く旅のカタログ春隣 | たか子 |
踏青や犬のリードの伸び縮み | みきお |
|
2022年02月14日 | |
春雪が友禅模様描く棚田 | 明日香 |
釣り人に小鷺隣りて春の堀 | むべ |
豆粒の万蕾つけし梅瑞枝 | 和子 |
翠黛のはんなりとしてうららけし | 明日香 |
水仙や島の岬は風粗く | 凡士 |
若布刈竿交互に挿して親子船 | 素秀 |
|
2022年02月13日 | |
約束のごとく顔出し名草の芽 | 素秀 |
レジ袋腰に揺らせて草摘める | 素秀 |
チョコ供ふバレンタインの仏前へ | 千鶴 |
愛のチョコ食ぶ夫からのお裾分け | なつき |
陽春に併走江ノ電人力車 | 智恵子 |
|
2022年02月12日 | |
接種後の三十分の日向ぼこ | せいじ |
春日燦おもちやのクマの干されけり | もとこ |
威勢よき杜氏の手拍子寒造 | 凡士 |
起伏野に菜の花さじき展けけり | 千鶴 |
姦しき鳥語出窓のヒヤシンス | みづき |
春泥を蹴散しゆくは耕運機 | せつ子 |
背伸びして鈴の緒振れば山笑ふ | ひのと |
2022年02月11日 | |
下萌を脱兎駈けしてあそぶ犬 | 満天 |
石ひとつ置きたるが墓下萌ゆる | はく子 |
雛飾るわが手遊びの雛の絵も | やよい |
飛翔せるスノーボードの空碧し | あひる |
堵列せる陸軍墓碑に草萌ゆる | ぽんこ |
春風に乗りて特急縄電車 | なつき |
叱られて春の炬燵の隅にゐる | ひのと |
早春の雲を串刺しゆく機影 | たか子 |
垂直にお尻を立てて鴨潜る | せつ子 |
|
2022年02月10日 | |
広芝の斑模様に青みそむ | せつ子 |
起重機の春昼月へ鉤かけて | もとこ |
海風の香のとどきくる花菜道 | 智恵子 |
冬霧の帳あけゆく里の朝 | やよい |
春の雪乗せて戻りし検診車 | ひのと |
真つ直ぐに大路は雪の比叡へと | あひる |
父偲ぶ振り子時計や冬座敷 | みづき |
風花や夫と日課のウォーキング | なつき |
|
2022年02月09日 | |
マネキンの淡きブラウス春隣 | 満天 |
竹林のそよぎて春の空を掃く | せいじ |
三代目は女杜氏や寒造 | 凡士 |
老眼鏡掛けて爪切る春日向 | みきお |
楽しげに除雪す親子頬真つ赤 | こすもす |
子を寝かすやうに畳みぬ春袷 | ひのと |
|
2022年02月08日 | |
腕白や霜柱踏み尽くすまで | よう子 |
ボール蹴り靴も飛ばす子春隣 | もとこ |
春光を御手に掬ひし観音像 | ぽんこ |
|
2022年02月07日 | |
春泥に筵かぶせて上棟式 | 千鶴 |
物影のなべて柔らか春障子 | みきお |
朱の橋の影を過ぎりて春の鯉 | 明日香 |
くず野菜土に返れと畑返す | 明日香 |
徐行運転雪国の道皆優し | こすもす |
春雪を跨いで来たり郵便夫 | ひのと |
淀の葦焼きて春立つ大けぶり | 凡士 |
梅東風にあひ打ちあへる恋の絵馬 | 宏虎 |
|
2022年02月06日 | |
畑より戻りし夫へくず湯かな | 明日香 |
野を駆けて来し子に春の匂ひあり | ひのと |
春寒し地球儀廻すだけの旅 | 凡士 |
描く眉毛左右揃はず春寒し | 満天 |
したたかな寒の戻りやシチュー煮る | 千鶴 |
吹き募る風に高舞ふ春の雪 | せいじ |
芽を吹きてメタセコイヤは背を正す | はく子 |
|
2022年02月05日 | |
春禽の声に朝窓繰りにけり | せつ子 |
母の膝奪ひ合うてはあたたかし | ひのと |
菜の花の島々結ぶ連絡船 | みきお |
膝深く曲げ寒明けの太極拳 | 素秀 |
玄関に泥つき大根置かれあり | せつ子 |
凍雲に日輪の暈にじみけり | むべ |
春浅き生簀の底に魚眠る | ひのと |
春泥を蹴散らす子らの草野球 | 智恵子 |
2022年02月04日 | |
追儀豆踏みて赤鬼よろけたり | やよい |
春を待つ色紙短冊掛け替へて | 満天 |
見晴るかす沖の群青春めきぬ | 素秀 |
雪だるま七個並びし週間予報 | こすもす |
大泣きの吾子にくずおれ追儀鬼 | やよい |
ふらここや小さきマントひるがへし | あひる |
春光の飛沫さながら雀散る | ひのと |
|
2022年02月03日 | |
コロナ菌失せよと年の豆を撒く | 満天 |
室咲きの花園とせむ棺の中 | あひる |
寿の案内書とどく春隣 | せつ子 |
くれなゐの帯胸高に鬼やらひ | ひのと |
恵方巻丸太のごとく積まれ売る | みきえ |
子の頬に飯粒一つ春立てり | なつき |
|
2022年02月02日 | |
あたたかや存問メール音符つき | あひる |
笹の葉の風花さらと受け流し | よう子 |
参列の叶わぬ葬や春寒し | あひる |
寒晴の空へ新船組み上がる | ひのと |
ポンポン船隅田川ゆく光風裡 | 智恵子 |
雪垣に仄と灯の洩る合掌家 | 凡士 |
漁良しと届く電信島小春 | ひのと |
|
2022年02月01日 | |
春泥の靴の散らばる書道塾 | ひのと |
左右から畦塗りはじむ夫婦かな | みきお |
母逝きし朝や真白き春の雲 | あひる |
日脚伸ぶ鍵の振れゐるランドセル | 素秀 |
早梅や墓誌に加へし白き文字 | なつき |
春山路椚伐る音谺して | 凡士 |
フラスコの光透かしてヒヤシンス | もとこ |
春迎ふ老いたればこそダンディーに | せいじ |
|
2022年01月31日 | |
赤マフラーして吟行すわれ白寿 | 董雨 |
けんけんぱして春泥を飛び越し来 | ひのと |
落合に三川せめぐ春隣 | たか子 |
ランドセルからこぼれたる福の豆 | ひのと |
長箸に伸びる素麺寒造り | 千鶴 |
美容師の指圧に眠し春の昼 | よう子 |
あたたかや人を繋ぎて母逝けり | あひる |
鉢分けの苗元気さう春きざす | 明日香 |
|
2022年01月30日 | |
調律のギター爪弾く春隣 | 素秀 |
天守閣春満月を掲げけり | みきお |
下ごしらへ夫の気配りあたたかし | 明日香 |
焼藷の笛がわたしを呼んでゐる | むべ |
色鉛筆削りそろへて春を待つ | ひのと |
墨痕に微かな震へ寒見舞 | ひのと |
参道の左右なる冬芽存問す | ぽんこ |
春愁のわが無精ひげな咎めそ | せいじ |
|
2022年01月29日 | |
下萌の足裏を弾く散歩かな | あひる |
金坑の手掘の跡のあたたかし | 宏虎 |
朝霧の晴れて山容泰然と | 千鶴 |
野を行けば春の空あるにわたづみ | あひる |
聞こえくる市歌のチャイムや日脚伸ぶ | せつ子 |
熱燗や儲からぬ日は口閉ざし | ひのと |