みのる選:2021年11月度

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2021年11月28日

11月20日~11月26日

2021年11月26日
金髪の彼が代継よ松手入こすもす
小流れの落葉まぎれに稚魚の影智恵子
小春日やリハビリ兼ねて廻り道満天
耳遠き二人肩寄せ小六月なつき
手マスクに小さき咳や四人部屋むべ
緋毛氈床几かつ散る紅葉よし凡士
白雲のゆっくり過ぎる冬木立ぽんこ
2021年11月25日
雪囲ひ砦となせる合掌家凡士
残像に白き手袋憂国忌もとこ
ウインドー見て着膨れの背を伸ばす満天
秋耕の吾へエールや鳶の笛千鶴
滑り台逆登る児ら寒風裡うつぎ
ビル風にロンド舞ひせる落葉かな凡士
2021年11月24日
枯蓮くの字くの字に凭れあひ素秀
湯豆腐の湯気立つ先の笑顔かなみきお
裏参道彩を重ねて散紅葉もとこ
能登岬海の果てより冬来る凡士
孫に説く紅葉の科学さんぽ道あひる
野地蔵に蓑笠着せて冬支度智恵子
園児らが育みたりし賞の菊せつ子
朝市の姥と掛け合ふ蕪漬凡士
湖涸れてあらはとなるや穴太積隆松
よく肥えし赤子の笑まふ小春かななつき
2021年11月23日
虫喰ひが画材によしと柿落葉凡士
山城の天守が浮ぶ冬霞素秀
大公孫樹天を突くやに黄落す満天
露天湯へ寒灯頼む磴の径凡士
世俗には染まらぬ決意冬薔薇もとこ
推敲に推敲かさね日短しせつ子
老猫のつぶらまなこに日向ぼこみきお
2021年11月22日
針山のごと茅葺を挿す落葉素秀
冬山の馬の背なぜて雲の影せつ子
朝刊にどさとチラシや師走来る満天
2021年11月21日
ベランダにデートすふくら雀かなあひる
とびとびに池塘縁どる石蕗黄なりせいじ
2021年11月20日
夕映へや車窓に展ぐ牡蠣筏凡士

2021年11月21日

11月13日~11月19日

2021年11月19日
ガラス戸に孫の手の跡冬温しあられ
蝕戻る月皓々と冬の天はく子
室生寺の紅葉散り敷く鎧坂明日香
月蝕や玄関出たり入ったりこすもす
マスクからはみ出す笑顔久の句座うつぎ
奥宮へ落葉明かりを頼みけりもとこ
2021年11月18日
どんぐりを手に手に唄ふ園児どちせつ子
新藁に相寄り眠る牛と猫智恵子
よちよちの足跡のこるカーペットあひる
綿虫にさしだす両のたなごころ明日香
穴空きをお面と当つる朴落葉うつぎ
日記買ふ藍の表紙がお気に入り
行く人を金縛りにす落葉風むべ
潮騒を子守唄とす冬の宿もとこ
新米を掬ふ手のひらほの温きみきお
2021年11月17日
この径のどんぐり袴ばかりかなせつ子
居並びて糶場の屋根に冬鴎凡士
背中の子落葉に降ろし小休止豊実
二つ三つレシピ聞きつつ柚子をもぐあひる
カリヨンの空に谺す街小春凡士
若返るダウンベストは娘のおふるあひる
2021年11月16日
行厨に交はりきたる秋の蝶こすもす
園丁の手もと小春の土香るあひる
土ほぐす花壇の手入れ園小春明日香
苑小春お散歩カーから手を振られむべ
ゴトゴトとトロッコ登るみかん山智恵子
園児らの飛び石渡る池小春凡士
川底をくれないに敷く散紅葉満天
紅仄と残して枯るる七変化明日香
社家街の戸ごとに並ぶ菊の鉢菜々
2021年11月15日
風邪気味の夜の祝杯は玉子酒あひる
母の肩揉めば背中に木の葉髪素秀
放棄田を埋めし草も枯れにけり明日香
ねこ車押す影長き枯野道明日香
ヒーローの面つけ帰る七五三なつき
2021年11月14日
月と星入れて仄めく冬夕焼はく子
日の入りの遅き離島の冬夕焼もとこ
鍬と蕪洗ひて仕舞ふ畑仕事みきお
冬の蝶風に煽られ消えにけりみきお
四冠の若き棋士祝ぐ卓の菊せいじ
袴着の雪駄引きずり七五三素秀
黄蝶きて石蕗の黄に紛れけり明日香
2021年11月13日
栄枯知る古道の松の色変へずたか子
窓拭きて部屋に取り込む小春かな智恵子
わたぼこり焼くる匂ひや初炬燵素秀
コンビニのレジに湯気立つおでん鍋凡士

2021年11月14日

11月6日~11月12日

2021年11月12日
寒暁に白寿の媼大往生千鶴
鴉二羽組んず解れつ枯木立むべ
火球過ぎ何事もなき冬銀河素秀
阿羅漢の肩押しやまず神渡し素秀
縁に座し小春日和を充電す董雨
着ぶくれの妹背モールで分かれけりあひる
みかん剥く独居の部屋に香りけりみきお
2021年11月11日
縁石にリュックの並ぶ落葉道なつき
鎌翳し武蔵然たる枯蟷螂凡士
北風に諍ひぞめく神の楠素秀
海底に日の斑の揺らぐ小春かなもとこ
散歩道今日はここまで日の短菜々
干せば雨入れれば晴るる冬の空満天
ガレージに簾のごとく大根干すこすもす
今日もまた同じ草叢残る虫むべ
2021年11月10日
身にしむや地震に折れたる一断碑ぽんこ
白雲の流るる川面照紅葉満天
黒雲を射抜きて釣瓶落としの日はく子
悪態を一つ覚えて七五三素秀
うしろから追ひ抜かれたる落葉道みきお
寺紅葉貫主と記念写真撮るこすもす
濡れて着く喪中のはがき初時雨せいじ
革ジャンが社務所に消えて緋袴に凡士
石蕗咲きて色なき庭の華やぎぬぽんこ
2021年11月09日
水平線大きく撓む小春かなもとこ
妻がゐて不調の我にホットレモンせいじ
紅白の小菊で市章菊花展なつき
冬帽子鳥居の上へ願ひ石明日香
音もなく庭木々濡らし時雨来る満天
紅葉谷またぐ吊り橋揺れ止まず智恵子
寝静まる茅葺きの里星流るみきお
木の葉舞ふ緑青の屋根反りに反り明日香
彩少し添へて墨絵や紅葉山凡士
馬止の傾く宿場冬ざるるたか子
実千両色付く庭の一隅に董雨
2021年11月08日
灯台へ螺旋階段天高しもとこ
朝の鴨思ひ思ひに陣なさずうつぎ
辻裏の地蔵にほのと冬日差たか子
座す膝へ紅葉舞ひ落つ浮見堂むべ
秋さぶや解体を待つ大観音素秀
2021年11月07日
達筆の御朱印もらふ神の留守宏虎
秋惜む岬から岬へ島めぐりもとこ
石畳駈けて枯葉の遊びをり明日香
重なりし亀なだれ落つ池小春あひる
2021年11月06日
木犀の香に集ひきて立ち話満天
足つかぬ椅子で順待つ七五三なつき
秋惜しむ如く旋回コウノトリこすもす
冬隣勉強机の向きも変へ菜々
角隠し渡る松廊菊日和智恵子
秋高く高炉の煙直立すやよい
老いてなほ野球少年草紅葉かかし

2021年11月7日

10月30日~11月5日

2021年11月05日
風の意に添ひて縺るる花すすきたか子
風化して痩せし羅漢に秋惜しむはく子
水車舞ひ水草紅葉浮き沈み董雨
時雨るるや湖に漂ふ棄て小舟宏虎
2021年11月04日
富士山遠く望む松浜新松子智恵子
陸軍墓地一基残らず菊の供華ぽんこ
迷ひたる小蟻とともに柚子届くあひる
わが庭の紅葉しをりて出す便りみづき
2021年11月03日
ねころべば窓よぎりゆく鰯雲あひる
色変へぬ松橋立の砂嘴一里凡士
おめもじす最古の仏画文化の日はく子
座右とす電子歳時記文化の日満天
紅葉して九十九折れたる峠道董雨
矢印を進めば薫る菊花展みきお
毬のごとリスの頬つぺや冬支度智恵子
ウエーブのごと風に伏す尾花かなたか子
鶏頭の深紅の鶏冠朝日射すやよい
2021年11月02日
蒼天や桜紅葉は穴ばかりあひる
行く秋の九輪の空を鳶の笛凡士
柿をもぐ先ずは背伸びで届くとここすもす
気嵐の沖に飛び交ふ汽笛かな智恵子
踏み入れば足裏にやさし落葉嵩千鶴
木犀の香やあの世まで届かばやうつぎ
巫女の鈴高く振りたる神の留守なつき
2021年11月01日
微笑仏ゐます茶の花日和かなもとこ
遠山の冬霞せる湖の朝隆松
海峡をまたぐ主塔や小春凪千鶴
飛びついて来し間歩跡の草虱うつぎ
牧師館一輪挿しに蓼の花むべ
秋時雨三千院の庭の黙宏虎
2021年10月31日
健啖の卒寿三人秋闌ける千鶴
2021年10月30日
寒き朝もろ手包みに湯呑干すみきお
供花挿せばいづくともなく秋蝶来うつぎ
羅漢寺へ老には険し磴の秋はく子
病む父に千羽鶴折る夜長かななつき
銀木犀ひしめき咲きて香りけりあひる

 

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