みのる選:2021年7月度
2021年07月23日 | |
河童忌や書架には文庫本ばかり | 凡士 |
胎内のごとくくの字に吾子昼寝 | もとこ |
対岸に人影揺るるキャンプの火 | 素秀 |
民宿の手摺りに並ぶ水着かな | 智恵子 |
炎昼の木陰に憩ふ警備員 | せいじ |
摩天楼ビルの狭間に雲の峰 | せいじ |
|
2021年07月22日 | |
汗滂沱失せし財布の見つからず | たか子 |
大声に読み上げ算や蝉しぐれ | 凡士 |
磨崖仏青葉の影を文様に | 明日香 |
コロナ禍にどこか控えめ蝉の声 | 菜々 |
涼風に窓開け父の体拭く | なつき |
|
2021年07月21日 | |
透けし腹ブルーラメめく目高かな | もとこ |
日のめぐみたつぷり梅の干しあがる | はく子 |
凪ぎわたる渚一里を朝散歩 | 凡士 |
石磴を通せんぼする萩葎 | ぽんこ |
ピカピカの新車に映る雲の峰 | たかを |
車窓いま若布干す浜通過中 | あひる |
片陰や手刀切つて擦れ違い | 隆松 |
|
2021年07月20日 | |
味深き丹波の土の夏野菜 | たか子 |
泡ひとつ水面に残し源五郎 | 智恵子 |
|
2021年07月19日 | |
炎昼やカレーの匂ふ島のカフェ | なつき |
向日葵の顔を濡らして日照雨過ぐ | みづき |
水差しに簾越しなる日の揺らぎ | せいじ |
寿老神耳をつんざく蝉時雨 | ぽんこ |
片陰にコロナマスクをずらしけり | たか子 |
|
2021年07月18日 | |
梅雨明やひねもす廻る洗濯機 | 満天 |
風鈴の乱れ打ちなる観音寺 | もとこ |
海風に貝風鈴の機嫌よし | むべ |
参道の大天蓋は青楓 | 隆松 |
苔庭へ開けて花頭窓涼し | 菜々 |
|
2021年07月17日 | |
臥す母の背中さすりて明易し | 更紗 |
土用波砂のお城を呑み込みぬ | 智恵子 |
ばち挙げて祭太鼓の揃ひたる | 素秀 |
夕焼け背に今日の最後の波に乗る | 凡士 |
2021年07月16日 | |
露涼し外湯へ続く石畳 | 素秀 |
雨晴れて雫煌めく蜘蛛の網 | かえる |
目を剥ける達磨大師にさくらんぼ | ぽんこ |
門柱に祈るがごとく蝉の殻 | やよい |
風鈴の響きわたりし蔵の街 | 更紗 |
風掴み風鈴の舌上機嫌 | たか子 |
|
2021年07月15日 | |
ミニ句会茶房の氷菓溶けぬ間に | たか子 |
烏賊釣の灯の散らばりし星の沖 | 花茗荷 |
木道のつづく限りに夏の草 | 明日香 |
病む父の薄き身体や籐寝椅子 | なつき |
せせらぎの楽足下とす橋涼し | 宏虎 |
大玉のスイカ砕けり河馬の口 | あひる |
涼風へ開けて古刹の花頭窓 | 菜々 |
|
2021年07月14日 | |
鉾町の屏風祭や京の宵 | 凡士 |
夕立去る土に匂ひを残しけり | たか子 |
片陰に内緒話の女の子 | 素秀 |
島の夏青海原へドローン飛び | もとこ |
なす胡瓜不揃ひなれど庭の幸 | 智恵子 |
湯上りの子ら逃げ回る天花粉 | 智恵子 |
通天橋視界を埋む青楓 | はく子 |
看取る夜の雷鳴じつと聞いてをり | なつき |
|
2021年07月13日 | |
夏雲へ紙ヒコーキの尾翼立つ | 素秀 |
湧き水にをどけゆらげる冷し瓜 | あひる |
トロ箱に大西瓜売る朝市女 | なつき |
|
2021年07月12日 | |
渓流に任せて揺らす素足かな | 豊実 |
保育士の声かき消されプールの子 | たか子 |
骨切りの音も肴や祭鱧 | 凡士 |
|
2021年07月11日 | |
庭に咲くカサブランカの王者振り | うつぎ |
梅花藻を揺らして豊かなる流れ | みづき |
泥まみれ地下足袋覗く三尺寝 | 凡士 |
梅雨の傘手紙を胸にポストまで | 豊実 |
語り部の目に赤く映ゆ夾竹桃 | 智恵子 |
|
2021年07月10日 | |
梅雨出水日本列島総なめに | 満天 |
窓の風涼し一雨過ぎてより | こすもす |
広々とホルスタインの夏野かな | あひる |
まだ声を聞かねど庭に蝉の穴 | せいじ |
生温き風さきだててはたた神 | むべ |
2021年07月09日 | |
小流れの堰を塞かるるあめんぼう | やよい |
糸やなぎ風に縒りてはまたほどけ | 菜々 |
松原を海へと駈くる跣足かな | 素秀 |
ラムネ抜くぽんと昭和の音すなり | 宏虎 |
どくだみの香を束ねつつ鎌を引く | あひる |
目鼻なきお地蔵さまや木下闇 | こすもす |
扇風機まわり続けて忘れられ | あひる |
|
2021年07月08日 | |
梅雨滂沱街一瞬にモノトーン | たか子 |
夏暁の鳥語に耳を澄ます犬 | むべ |
雨粒のつきしままなる茄子をもぐ | こすもす |
母の忌の早寝の父や星まつり | なつき |
海亀の帰る背中に浜灯り | 素秀 |
万緑を背に妍きそふ朱の裳階 | 明日香 |
風鈴のお喋りやまぬ路地の風 | たか子 |
|
2021年07月07日 | |
箱舟に摘まむ三つ指蓴菜女 | 智恵子 |
風鈴の鳴りてややあり風届く | たか子 |
掬ひたる指の形に夜光虫 | 素秀 |
狩衣の絹の光沢夏祓 | うつぎ |
|
2021年07月06日 | |
直立し大雨に耐ふ立葵 | ぽんこ |
浴衣着て乙女となりし六年生 | やよい |
旅の吾に梯梧咲き満つ島日和 | もとこ |
端居して免許返納決めし父 | なつき |
夕市へ紅の鼻緒の素足かな | うつぎ |
|
2021年07月05日 | |
水鉄砲メタボの臍を狙ひうち | なつき |
締込みの子の四股高く宮涼し | 素秀 |
麻服の皺の馴染める齢かな | もとこ |
|
2021年07月04日 | |
かわらけの夕焼越えゆく屋島かな | 素秀 |
青簾連なり揃ふ京町家 | 智恵子 |
太陽の塔抱擁す雲の峰 | もとこ |
籐椅子の飴色光る曲がり縁 | 智恵子 |
板廊の足裏に絡む梅雨湿り | せいじ |
沐浴や新米パパの汗光る | やよい |
|
2021年07月03日 | |
もてなしの白湯を甘露と夏遍路 | 素秀 |
忌を修す仏間に父のパナマ帽 | もとこ |
凌霄花歩道を染めるほどに敷く | はく子 |
味噌蔵のいにしえ伝ふ麻のれん | 智恵子 |
峰雲の天辺みてるキリンの目 | 凡士 |
ハンモック薄き一冊読了す | むべ |
千年宮雌雄の岩の滝涼し | なおこ |
紙垂涼し一木一草神宿る | うつぎ |
釣糸に引つかかりたる海月かな | 豊実 |
礼拝堂涼し一番乗りの朝 | せいじ |
2021年07月02日 | |
司書のぼる細き梯子や書架涼し | むべ |
足爪に彩施して梅雨明くる | もとこ |
梅雨深し昼ともし洩る学び舎に | 満天 |
葉隠れにお化け胡瓜となりにけり | やよい |
母の歩に合せてくぐる茅の輪かな | うつぎ |
尼寺の徒ら賑やかに梅漬ける | 智恵子 |
馬鈴薯の花の大地を釧網線 | 凡士 |
|
2021年07月01日 | |
一病の平癒願ひて笹飾る | やよい |
神木の太き上がり根苔の花 | こすもす |
合歓咲いて水辺の風に揺れやまず | もとこ |
頑張ってきた七変化剪定す | 明日香 |
品書きは女将の筆や川床料理 | 宏虎 |
稲荷社の金の御幣や木下闇 | うつぎ |
よくしゃべる電化製品梅雨籠 | なつき |
木洩れ日の遊ぶ泉が水源地 | せいじ |
|
2021年06月30日 | |
船渡御の沖へ繰り出す太鼓の音 | たか子 |
五月晴雲つかむ手の太極拳 | 素秀 |
龍神を祀る祠の苔涼し | せいじ |
磊磊に堰かれて激つ渓涼し | せいじ |
|
2021年06月29日 | |
朝涼や湖風渡る遥拝所 | 隆松 |
夏草や汲み上げポンプ錆しまま | たかを |
水琴窟青蔦つたふご神水 | なつき |
足生えし蝌蚪泥煙あげて逃ぐ | なつき |
夏草や訪ふ人もなき忠魂碑 | ぽんこ |
|
2021年06月28日 | |
浮き草を小突きて遊ぶ稚魚の群 | 智恵子 |
スキップしおませな仕草初浴衣 | みづき |
遠雷や間遠に迫る雨柱 | 智恵子 |
太陽の塔がハグする夏野かな | もとこ |
|
2021年06月27日 | |
門灯の守宮に留守を頼みけり | 満天 |
自転車でめまとい突破川堤 | 豊実 |
昼寝覚とんちんかんの返事して | 明日香 |
蓮咲くと聞きて散歩の道変ふる | はく子 |
重なりし土嚢の破れ草茂る | せいじ |
青田風一陣吹きて水匂ふ | 宏虎 |
|
2021年06月26日 | |
薄雲をいなして白き梅雨の望 | はく子 |
百人の体操揃ふ園涼し | あひる |
人影に四散素早き蝌蚪の群 | やよい |
島の墓所グラジオラスの咲きのぼる | なつき |