みのる選:2021年5月度

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2021年5月30日

5月22日~5月28日

2021年05月28日
どくだみにしとど雨ふる業平忌素秀
黙々と園丁の背は汗まみれたか子
かたつむり畳目ほどの歩みかなみきお
大鳥居潜りて蝶は高空へ智恵子
雨に憂し未央柳の長き蕊たか子
2021年05月27日
大口がシャッターチャンスさくらんぼあひる
セコイヤの並木映して池涼しはく子
大岩に光を置くや初蛍素秀
口開けて落つこちさうや燕の子満天
雨晴れて蜘蛛囲に銀の玉雫凡士
どの色も雨に似合ひて七変化宏虎
2021年05月26日
雑草に見え隠れすは蛇苺ぽんこ
亡き父母に句集供へて聖五月たか子
ワクチンの接種は薔薇の診療所あひる
娘と歩くバージンロード聖五月宏虎
川上の藪のにほひや初蛍豊実
カーテンに透けて明るき薄暑光せいじ
夜神楽の姫舞ふ人の喉仏みきお
2021年05月25日
ざりがにのはさみ振り上ぐ溝浚へなつき
朝礼の声とどきくる若葉風満天
2021年05月24日
夏空へ機首を上げゆく機影かなたか子
大和路の日毎に増ゆる代田かな明日香
早々に終へる会議や田植時こすもす
甘藷植う小石混じりの父の畑なつき
2021年05月23日
地について初生り胡瓜曲がりけりなつき
消灯の厨に匂ふらつきよ漬なつき
窓開けて植田の風を招きけ素秀
借農園苗譲りあふ夏帽子そうけい
2021年05月22日
らつきようの輝く白を漬けにけりぽんこ
暮れのこる代田を掠め燕飛ぶなつき
帰省子の十六文の靴並ぶみきお
薫風に駈ける金髪少女かなもとこ
登校の列とりどりに梅雨の傘こすもす
里の風とらえはじめし稲の花みきお
駅舎抜けホーム突つ切る夏つばめ凡士

2021年5月23日

5月15日~5月21日

2021年05月21日
梅雨滂沱庭木に一羽濡れ雀せいじ
福耳の帽子はみ出す新入生みきお
雨に伏す紫陽花剪つて玄関にこすもす
新緑の奥へ奥へと朱燈籠凡士
花嫁のブーケを投げし椰子の影そうけい
子雀の束の間宿る梅雨の軒あひる
梅雨寒し留守電に知る訃報かなせいじ
2021年05月20日
梅雨寒しホットレモンをお代りす満天
梅雨滂沱どこへも行かず誰も来ず菜々
終点の無人改札つばくらめ豊実
パゴダ塔覆ひ居座る梅雨の雲素秀
夕帳まとふ空木の白さかな明日香
ごめ群れて夏の潮満つ船溜り凡士
巣箱掛く樫の梢に風通ふなつき
2021年05月19日
雨しづく若葉をトランポリンとすせいじ
笹の葉を杓として汲む岩清水みきお
雨晴れて葉裏へ急ぐかたつむり智恵子
2021年05月18日
茅葺きの一軒残る青田かなみきお
雨意知りて片目を出しぬ蝸牛明日香
峡谷の緑へトロッコ列車行く凡士
2021年05月17日
大樹影どくだみ十字重ねけりぽんこ
二の腕に長子の気骨代田掻く菜々
万緑に集ひおしゃべりしたきかななおこ
新緑の木洩日突きて太極拳凡士
終電を守宮と待ちし無人駅素秀
代田いま父祖の山々映しけり菜々
干シーツ風に機嫌や五月晴智恵子
連獅子のごと藪揺らぐ青嵐明日香
2021年05月16日
ブラウスはペンギン柄や夏に入るあひる
手裏剣のごとき花置く山法師せいじ
句を詠めと我を励ます河鹿かな明日香
大粒の雨いなしをる雪の下むべ
2021年05月15日
蜘蛛の囲や放置自転車撤去中たか子
千枚の代田整ひ一枚にみきお
乙女らの二の腕まぶし夏来る菜々
麦の秋四方に展けし古墳山たかを
風薫る祈りの道をもとほればむべ
青嵐藪天井に穴を開けもとこ
釣舟の舳先を小突く卯月波みきお

2021年5月16日

5月8日~5月14日

2021年05月14日
カメラ向けられし鹿の子の好奇心もとこ
粛々と絹の雨降る柿若葉みづき
窓若葉転勤と告ぐ若き医師菜々
水口を閉めて植田の昏れなんと素秀
2021年05月13日
子ら集め野外礼拝若葉風むべ
夏空を独り占めせるカフェテラスたか子
ケアハウス窓に広がる麦の秋たかを
ゴム長も鯵も干されし浦の河岸凡士
玻璃窓を打ち破らんと青嵐なおこ
失敗のケーキ苺で覆ひけりあひる
赤ちゃんの干し物揺らす若葉風みづき
2021年05月12日
風駈けて波打ちやまぬ若楓明日香
濡れ縁の雨の匂ひや夜の新樹宏虎
薫風やネモフィラ越しに水平線素秀
噴水の雲に溶け込むしぶきかなぽんこ
俺が山くっきり映す植田かなこすもす
2021年05月11日
白シャツに風を孕みて登校子素秀
SLの駆け抜けていく麦の秋隆松
園若葉ラジオ体操初参加あひる
味噌蔵の闇の一歩に黴匂ふ素秀
雨の日の風情またよし柿若葉満天
緑陰にウーバーイーツ待機しぬもとこ
2021年05月10日
花樟の香の降り注ぐ通学路なつき
黒潮に初鰹追ふ土佐漁師素秀
畳まれて目玉ばかりや鯉幟凡士
釣り堀に肩を並べし親子かな智恵子
2021年05月09日
賛美歌を歌ふ窓辺に風薫るあひる
コロナ禍に鎖す居酒屋に軒つばめもとこ
ポンポン船土堤埋めつくす除虫菊みきお
溝浚へ終へてはじまる立ち話満天
母の日の電話は母の叱り声素秀
2021年05月08日
足裏に夏の来てゐる渚かな凡士
文字褪せし古碑存問す木下闇明日香
青葉潮へといつせいに出漁す凡士
鳧の子に翻弄されつ朝散歩あひる
春風や見守り隊へ子の笑顔満天

2021年5月9日

5月1日~5月7日

2021年05月07日
泣き声で喧嘩勝つ子や子どもの日なつき
カーネーション百の蕾の押しくらにあひる
京町屋燕も避ける鐘馗さん凡士
酸葉噛む土手に閉ぢたる渡船小屋なつき
青芝に側転競ふ少女どちせいじ
囀ずりの零るる樹下に太極拳みきお
遠近にエンジン響く代田掻き素秀
2021年05月06日
草引けばバネの弾けしごと蚯蚓明日香
ひこばえが隠す大樹の名札かななつき
蒲公英の絮へさしだす掌なおこ
分け合ひぬ野辺のベンチによもぎ餅あひる
麦秋の中より現るる郵便車宏虎
雨晴れてほつれ繕ふ女郎蜘蛛智恵子
寄せ墓を包む大樹の若葉影ぽんこ
リホームのま白き壁に柿若葉満天
2021年05月05日
肩車して軒に差す鯉幟素秀
迎え撃つ爺二刀流子どもの日なつき
校了し窓開け放つ薫風裡むべ
慈母観音まるき背中に若葉風たか子
2021年05月04日
切つ先の尖がるを選び菖蒲買ふたか子
競漕のオールが掴む瀬田の水凡士
豆ごはん振る舞ひて豆売りにけりなおこ
夕散歩畔の野の花摘みもしてはく子
雨蛙伸ばす右足左足明日香
デイケア車到着を待つ薫風裡せいじ
2021年05月03日
天つ藤屑こぼしをる遥拝所なおこ
行く春の川原にひとりハーモニカ凡士
魚屋のあるじ饒舌初鰹宏虎
借景は真白き穂高鯉のぼり凡士
水茄子の絵が張り出され漬物屋あひる
2021年05月02日
芯こぞり立つ百態の城の松なつき
浜焼きの香が吾を呼ぶ初夏の風智恵子
突風を切り裂くごとくつばくらめ豊実
旅僧のつと立ち止まる青嵐もとこ
柏散る百葉箱に嵩なして素秀
道祖神在ます矢倉に鯉のぼり智恵子
2021年05月01日
吟行もできぬコロナ禍春惜しむ智恵子
憂きことを洗ひ流せよ若葉雨たか子
舫ひたるマストに泳ぐ鯉のぼり凡士
若鮎を狙ふ大また堰の鷺素秀

2021年5月2日

4月24日~4月30日

2021年04月30日
リラの雨煉瓦造りの美術館凡士
菓子舗より出てニアミスやつばくらめあひる
間延びする祈祷太鼓や目借時なつき
目つぶしの日が貫きし庭若葉菜々
工業地区条理を区切るつつじかな素秀
役目なき老も参じる溝浚えみきお
春愁や十二神将眉ひそめもとこ
都草志貴皇子の碑訪ぬれば明日香
雨音の間遠となりて囀れるあひる
園庭に園児の数の鯉幟豊実
2021年04月29日
休耕田ポピーを分けて風の道素秀
軍服の父の若さや昭和の日こすもす
立読みす書肆の店頭春寒し豊実
風の香を土に鋤き込み代田掻く素秀
片脚を山に預けて二重虹たか子
音もなく野仏濡らす春の雨菜々
2021年04月28日
賑はへる日曜菜園豆の花はく子
囀や陸墓は供花の桃源郷ぽんこ
高空に唄ひ雲雀のホバリングはく子
ひとくちに香の弾けたる路地苺素秀
教会の薔薇園に豆画伯たち智恵子
川風におしやべりやまぬ若楓むべ
奥山の源流ここだ山つつじ宏虎
ベダルこぐげんげ浄土を左右に見てあひる
鯉跳ねし波紋ひろがる未草豊実
剪定の切り口香る穀雨かなたか子
ピンクムーンとは気恥づかし月朧せいじ
2021年04月27日
尖塔にしばし留まる春の雲あひる
黒ぼこを裏返しては夏支度たか子
葉桜や妙見二里と標石凡士
猿石の柔和な顔や畦青む明日香
春愁やページ進まぬ書を閉じて満天
かをり愛でてと塀越えて木香薔薇菜々
2021年04月26日
雑草の小花に憩ふ草むしりせいじ
春風に川波綺羅を揉みにけりはく子
墜落と見るや雲雀の横飛びにあひる
呉線に方言弾け春の海智恵子
藤揺れて嬰のおかつぱ撫でにけりなつき
白雲を映す川面に春惜しむ満天
浦翔ける伊根の舟屋の軒燕凡士
虚ろなる埴輪の眼春愁ひむべ
2021年04月25日
群青の空に溶けゆく雲雀かなあひる
交代の母も空振り捕虫網せいじ
薫風や寺ヨガに堂明け放しはく子
鶯のエチュードと聞く雑木山明日香
子の網をひらりと躱す蝶機敏せいじ
ひさかたに菩提寺訪へば初つばめ
鯉のぼり離島に教師着任す宏虎
足伸ばす奥の院まで日永道菜々
春昼や三線の音洩るる京の路地もとこ
2021年04月24日
御簾のごと雨に烟りし芽吹山明日香
十字架を横へ縦へとつばくらめあひる
風やんで代田鏡に谷戸の空隆松
少年の膝頭見せ夏近し素秀
通院の一行日記四月尽たか子
藤房を手に軽きとも重しともなつき
廃線の駅舎今年も燕来る凡士

 

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