みのる選:2021年3月度
2021年03月26日 | |
枕木に敷く花屑やインクライン | たか子 |
被災地を走る聖火や花開く | あられ |
春霖やインクラインを烟らせて | 明日香 |
哲学の道いま花のトンネルに | せいじ |
飛び跳ねて園児らのゆく芽木の径 | あひる |
南禅寺花の三門くぐりけり | たか子 |
高欄や霞隠れに東山 | もとこ |
花の雨しづかに更くる東山 | 凡士 |
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2021年03月25日 | |
鬩ぎ合ふ光りと影や大桜 | みきお |
天井の龍がぎょろりと堂寒し | 明日香 |
天井の龍が目を剥く春灯 | ぽんこ |
指差す子見えているらし揚雲雀 | 素秀 |
コロナ禍を忘れて古都の桜狩 | たか子 |
華やげる老いの住み家の赤目垣 | 菜々 |
手作りの餡のはみ出るよもぎ餅 | そうけい |
娘の帽子遥か先ゆく春山路 | あひる |
追ひつけばまた離されて春山路 | あひる |
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2021年03月24日 | |
大橋の対岸消ゆる大霞 | 素秀 |
火床より古都を一望芽木の風 | せいじ |
あたたかや博多訛りの孫娘 | もとこ |
春塵や阿形の仁王白眼剥き | たか子 |
家形の埴輪の窓に春の塵 | 凡士 |
風意地悪きな粉飛ばされ草だんご | あひる |
足弱の杖ともなりて春山路 | せいじ |
墓碑の脇引かずに残す土筆かな | こすもす |
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2021年03月23日 | |
トロ箱にパンジー笑ふ港町 | 智恵子 |
鉄橋は弁柄色や花堤 | せいじ |
桜坂越えて展けし紀伊の海 | 素秀 |
浜宿の庭いつぱいに若布干す | なつき |
おのころの海峡またぐ橋朧 | 凡士 |
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2021年03月22日 | |
笑ふ山ロープウェイでひとツ飛び | はく子 |
春空にノンちゃんのゐるやうな雲 | 凡士 |
蒲公英の絮乗り込んでをる電車 | 凡士 |
コロナ禍やテレワークなる春炬燵 | せいじ |
落椿卓の器に浮かべけり | ぽんこ |
揚げひばりそこから淀の見ゆるかと | はく子 |
春陰や夫の名なぞる共同墓 | むべ |
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2021年03月21日 | |
風紋に漣立ちて菖蒲の芽 | ぽんこ |
学び舎の子ら待つ窓辺風信子 | 智恵子 |
ミサの鐘くぐもりとどく春の雨 | はく子 |
北窓を開けば飛騨の風通ふ | 凡士 |
大空と海の溶け合ふ春霞 | ぽんこ |
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2021年03月20日 | |
釈迦像は俯向き加減春ぼこり | たか子 |
咲き満ちて小米花の名偽らず | そうけい |
ひと筆の墨痕光る春灯下 | せいじ |
卒業の窓に洩れくる児の返事 | 豊実 |
2021年03月19日 | |
暗闇に愚痴吐くごとき浅蜊かな | もとこ |
吃水の見えつ隠れつしじみ舟 | 宏虎 |
彼岸寒故郷は遠くなりにけり | 満天 |
海原のごとまほろばの麦青む | 明日香 |
畑打ちの媼時々腰のばし | こすもす |
自転車族屯してをる春野かな | せいじ |
膝掛けに愛犬くるむ車椅子 | なつき |
仏足石指のまにまに春落葉 | ぽんこ |
両の掌に栞る木の芽の芳しき | むべ |
縺れてはしだれて重し雪柳 | そうけい |
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2021年03月18日 | |
田一枚ぺんぺん草の花浄土 | あひる |
トロッコの走る菜の花日和かな | 凡士 |
若布採る竿一本や老漁師 | なつき |
母がりへ子ら大笊によもぎ摘む | そうけい |
大工らの紫煙くゆらす春の昼 | むべ |
残る日を花の下にて話さうか | 音吉 |
春泥にまみれて戻る家出猫 | 素秀 |
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2021年03月17日 | |
釣船の渦潮抜けて沖根へと | 素秀 |
蝋涙を溶かさうべしや春日差し | たか子 |
春望やのたりと与謝の海展け | 凡士 |
見てごらん指呼の秀枝に初桜 | 明日香 |
コロナ禍や手話で感謝す卒業子 | 智恵子 |
一列に並ぶミントの若芽かな | あひる |
初花や歩けて感謝試歩百歩 | やよい |
月まどか黄砂憎しと思ひけり | 明日香 |
見はるかす竜馬の視線春の海 | みきお |
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2021年03月16日 | |
母と子の追ひつ追はれつ青き踏む | そうけい |
娘ら去にてうつらうつらと春眠し | あひる |
牧開き十勝の麓に駒放つ | 凡士 |
会へぬまま永久の別れや鳥雲に | はく子 |
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2021年03月15日 | |
両岸の茶畑つなぐ木橋かな | せいじ |
片言の経誦すごとき初音かな | たか子 |
菜の花の果ては岬の灯台へ | 凡士 |
ベビーカー双子の笑顔桃の花 | 満天 |
木津川を上るさざ波風光る | あひる |
山葵田の奔り水手に掬ひ飲む | 素秀 |
野遊びの疲れ足湯に寛ぎぬ | 凡士 |
芽柳の川筋に沿ふ温泉宿かな | こすもす |
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2021年03月14日 | |
梅東風に尖る明石の門波かな | 宏虎 |
土筆摘む淀川堤老いけらし | はく子 |
ぎしぎしと唸る水車や蕗の薹 | 凡士 |
芽柳の風に縺るる朱雀門 | ぽんこ |
足に馴染む介護シューズや青き踏む | やよい |
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2021年03月13日 | |
白亜紀の地層に葎黄水仙 | 素秀 |
荒波の能登を眼下に鳥帰る | 宏虎 |
うららかやケーキを買ひに車椅子 | やよい |
白壁に交差する影初燕 | 素秀 |
三世代もて合唱すイースター | あひる |
2021年03月12日 | |
母の里訪ふがならひや木の芽時 | 菜々 |
菜の花の鉄路が続く海岸線 | 素秀 |
春眠の言ひわけ数多生れにけり | あひる |
指太き夫も土筆の袴取り | なつき |
靴紐を結びなおせばすみれ草 | たか子 |
介護謝す誕生ケーキあたたかし | やよい |
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2021年03月11日 | |
春陰やいまだ手付かずてふ除染 | せいじ |
花柄の杖もて散歩春うらら | 満天 |
鎮魂の一本松に春立ちぬ | 凡士 |
白木蓮の天へ乾杯全開す | はく子 |
消えさうで消えぬ蝋燭春の風 | 素秀 |
古雛仲良くのぞく老夫婦 | なつき |
十年なる鎮魂の沖風光る | やよい |
蘖のひと芽ひと芽に力あり | みきお |
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2021年03月10日 | |
花博の跡地と札や犬ふぐり | せいじ |
島ぢゅうで祝ふ最後の卒業式 | 凡士 |
崑ちゃんの看板立てて村長閑 | 明日香 |
鉄棒にぶらさがり見る春夕焼 | 素秀 |
春の日を弾く畝間の潦 | 明日香 |
駐車場残りし雪を籬とす | こすもす |
初蝶来観音像の掌に | ぽんこ |
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2021年03月09日 | |
海に向く崖に水仙なだれ咲く | こすもす |
千枚の田の果て春の海に落つ | 凡士 |
挙げし爪海より青し汐まねき | 素秀 |
川底に動くもの増え水温む | 満天 |
雑木道左右のなぞへに薮椿 | もとこ |
待合のマスクの患者鶴を折る | なつき |
近道は凸凹の畦草萌ゆる | うつぎ |
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2021年03月08日 | |
ふらここに投出す靴の白きかな | 素秀 |
川沿ひを白一色に雪柳 | 満天 |
明日嫁ぐ子の部屋の窓春夕焼 | 邑 |
水琴窟手水に応へ春奏づ | 智恵子 |
初音をば存問と聴く朝かな | うつぎ |
搗く鐘の音も攫はれ春一番 | 凡士 |
目を凝らす微かに動く蜷の道 | やよい |
春水を鯉の背鰭が二タ分けに | 豊実 |
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2021年03月07日 | |
夫婦してパズルに無口春炬燵 | たか子 |
外されし薦に蠢く地虫かな | やよい |
鉄砲のやうに潮吹く浅利かな | あひる |
磐石の凹みにひとつ落椿 | みきお |
存分に春の風吸ふ象の鼻 | 凡士 |
春の水不動にかけて句碑めぐり | 凡士 |
田園を聴いて微睡む春の昼 | 音吉 |
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2021年03月06日 | |
大玻璃が吾と春霖隔ており | あひる |
牧開夕日に伸びる牛の影 | 素秀 |
連理なす神の大杉春日燦 | 明日香 |
火の影に揺るる小面薪能 | 素秀 |
格子より清きかんばせ雛めぐり | もとこ |
2021年03月05日 | |
枝先に雨滴連ねて芽吹きそむ | 満天 |
生駒嶺に龍這ふごとく棚霞 | たか子 |
龍馬訪ひめぐる木屋町春時雨 | 凡士 |
包装紙春の色なり内祝 | こすもす |
磯蟹の目の忙しなき潮溜 | 智恵子 |
川下る舟水仙の岸はなれ | あひる |
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2021年03月04日 | |
意地悪な春の嵐に乱れ髪 | こすもす |
余所見して春泥に足とられけり | ぽんこ |
とりどりの芽吹きに触れつ車椅子 | やよい |
コロナ禍や尊徳像もマスクされ | もとこ |
鯉跳ねて池面の木立ぐしやぐしやに | 明日香 |
強東風に向き定まらぬ風見鶏 | みきお |
朝靄の湖にゆらめく蜆舟 | 凡士 |
路地裏の風まぎれなく沈丁花 | むべ |
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2021年03月03日 | |
別々に動く双子や雛飾る | こすもす |
雛まつり紅引く吾子のおちよぼ口 | 智恵子 |
少しずつ伸びゆく試歩や風光る | やよい |
ゆったりと朧月夜へ観覧車 | 豊実 |
春風裡老いのデートのお買物 | あひる |
春宵の路上ライブやケーナの音 | 凡士 |
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2021年03月02日 | |
一輪車乗れて笑顔や桃の花 | みきお |
春の雨糸の絡まるミシン掛 | なつき |
ジオラマの小さき町並み春灯す | 凡士 |
竹薮を振り回したる春一番 | 明日香 |
よちよちに尻餅つかれ犬ふぐり | 智恵子 |
春色のスカーフ妻にプレゼント | せいじ |
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2021年03月01日 | |
宮の梅三三九度の指白し | 智恵子 |
梅東風や祈願の絵馬の犇めきて | みきお |
老犬の腹に潜りし仔猫かな | たかを |
襷なす飛行機雲や梅の丘 | こすもす |
ぎょろ目むく閻魔大王春の塵 | ぽんこ |
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2021年02月28日 | |
老犬は小屋で半眼春の月 | 素秀 |
一山の芽吹きを待てる野辺地蔵 | 素秀 |
コーヒーの香に春眠の覚めにけり | あひる |
旅の宿門燈籠に春ともし | 凡士 |
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2021年02月27日 | |
安寧を願ひし菩薩梅の丘 | たか子 |
文旦の皮剥く指に気合ひ入れ | あひる |
顔少しそらしてをりし古雛 | なつき |
園児らの前にならへや梅日和 | もとこ |