みのる選:2021年1月度
2021年01月29日 | |
頬よせて白梅の香を愛でにけり | やよい |
春泥の長靴揃ふ集会所 | みきお |
北しぶく獣医は手術中と札 | むべ |
絵本みて間違ひ探し日向ぼこ | 素秀 |
忌竹を越ゆるどんどの大焔 | なつき |
電柱を目安に曲がる雪の径 | 豊実 |
日を孕み冬芽蠢く大樹かな | 凡士 |
|
2021年01月28日 | |
冬木いま御籤の花を満開に | やよい |
置土産おむすびほどの雪だるま | あひる |
酒蔵の杉玉に伸ぶ日脚かな | 千鶴 |
蝋梅の香を内に秘めほぐれそむ | たか子 |
一賀状「生きてまっせ」と書かれあり | 千鶴 |
葉ぼたんの渦のゆるびて寒明くる | もとこ |
雲低く波止を呑み込む寒の濤 | 凡士 |
淡き色足して春めく万華鏡 | 素秀 |
厨事終へし窓より寒満月 | 満天 |
音もなく都大路に雪雑り | むべ |
|
2021年01月27日 | |
岩清水音閉じ込めし氷柱かな | 智恵子 |
浮寝して隠沼の鴨陣なさず | やよい |
大阪の凸凹と見ゆ春霞 | あひる |
炭焼きの屋根に身を寄す雀どち | 素秀 |
参道にあぶり餅食む四温かな | 凡士 |
焚火の輪一枝くべて抜けにけり | そうけい |
梅堅しガイドの手持ち無沙汰なる | たか子 |
|
2021年01月26日 | |
子ら遊ぶ指人形の手袋で | 智恵子 |
湯気ほのと白湯に始まる朝かな | あひる |
どんど火の中心突きてなだめたる | なつき |
自句集に思い出たどり春を待つ | 菜々 |
|
2021年01月25日 | |
歴日の寺門の破風に冬日燦 | せいじ |
豆入りは特に懐かし寒の餅 | こすもす |
雲間より長閑にとどく飛機の音 | あひる |
大鳥居くぐり茅葺雪の茶屋 | 凡士 |
鳶職の屋根に軽々四温晴 | 素秀 |
|
2021年01月24日 | |
梅古木疎なる蕾をふくらませ | 明日香 |
眼を閉じぬ眠り人形久女の忌 | 素秀 |
雪景色顎まで浸かる露天風呂 | 智恵子 |
草庵の腰掛け石に日向ぼこ | せいじ |
|
2021年01月23日 | |
新しき鉛筆揃へ初句会 | 菜々 |
小春日のテラスに母の髪を切る | 智恵子 |
庭灯籠音なく濡らし寒の雨 | 菜々 |
鴨鍋や一句書き留む箸袋 | 凡士 |
埋み火や火起こし鍋にまろむ猫 | 邑 |
どんど果つ燃えざる物の蹴り出され | たか子 |
2021年01月22日 | |
合掌の軒すだれなす大氷柱 | 凡士 |
天平の大塔仰ぎ大根干す | 凡士 |
焚火する大工火種の鉋屑 | 素秀 |
点々と岩場に居るは海苔摘み女 | こすもす |
|
2021年01月21日 | |
懐の小犬顔出す焼芋屋 | なつき |
大寒や墨壺弾く船大工 | 素秀 |
風花す部活の子等の校庭に | あひる |
四温晴心も仄とほころびぬ | たか子 |
片足の戦禍の鳥居冬日さす | ぽんこ |
熱燗や釣果一尾に舌鼓 | 豊実 |
初場所や髷も結へぬが勝ち名乗り | 凡士 |
|
2021年01月20日 | |
わが影をみて背を伸す寒さかな | なつき |
臘梅を活ければほろと金の粒 | 明日香 |
引きずりし手橇の中に子は寝落ち | 豊実 |
ことごとく物に影あり日脚伸ぶ | みきお |
|
2021年01月19日 | |
藁苞を覗く雀や寒牡丹 | 智恵子 |
朝陽燦梢に残るしづり雪 | みづき |
風花の舞ひ散る路地に立ち話 | ぽんこ |
朱を極めいよよ華やぐ寒ぼたん | 邑 |
山里の闇の深さや冬銀河 | 隆松 |
雲上に雪の伊吹峰今朝晴るる | 隆松 |
日かげりてより蝋梅のつつましく | 菜々 |
風花の窓に額を押し付けて | 満天 |
|
2021年01月18日 | |
片側は凍てつきしまま川堤 | こすもす |
牡蠣殻の積み重なりて宴果つ | あひる |
錆び深き手押しポンプや寒の水 | やよい |
左義長の火掻きの竹の爆ぜにけり | なつき |
藁苞に箱入り娘寒牡丹 | 宏虎 |
|
2021年01月17日 | |
電線に音符ならびす寒雀 | やよい |
千代の春ダイヤ婚過ぎ卒寿来る | 宏虎 |
剥製の鷹の眼ひかる榾明り | 凡士 |
寒九の水六腑に染みて薬飲む | やよい |
悴める身体湯船に溶けゆけり | 凡士 |
2021年01月16日 | |
祢宜ひとり烟るどんどを育てをり | せいじ |
鶴首に一茎凛と黄水仙 | 満天 |
隙間風ことことと鳴る鍋の蓋 | 豊実 |
連山に一灯ともる寒さかな | みづき |
愚痴いはず小言もいはぬ懐手 | もとこ |
三寒の朝礼長し消防署 | 素秀 |
どんどの火消えて居眠る祢宜の午後 | あひる |
|
2021年01月15日 | |
健願ひどんど焼を浴びにけり | ぽんこ |
木霊棲む峡を響もす大とんど | うつぎ |
機を織る外は近江の虎落笛 | 凡士 |
記念日の二つ重なり小豆粥 | こすもす |
どんど焼分別されてをりにけり | たか子 |
竹林にいまはの際の冬日燃ゆ | あひる |
浮島の葎が鴨のハレムかな | せいじ |
冬夕焼棚田の畦の幾何模様 | 素秀 |
|
2021年01月14日 | |
長老の片肌脱ぎや弓始 | なつき |
雪雲の裾をこぼるる日射しかな | やよい |
牧牛の尾の先の触れ草萌ゆる | 音吉 |
燃え盛るストーブ囲み相寡黙 | あひる |
枝絡む陽に天を突く冬芽かな | やよい |
臘梅の日差しふふみて香を放つ | 満天 |
託されし老犬撫でて春を待つ | むべ |
|
2021年01月13日 | |
五箇山の結いでつなげる雪下ろし | 凡士 |
竹馬に親の背越ゆる笑顔かな | 素秀 |
どんど燃ゆ躍る炎の影法師 | 智恵子 |
左義長の焦げあと凹む郷の宮 | こすもす |
|
2021年01月12日 | |
大淀の風に機嫌や七連凧 | あひる |
しんしんと降る雪に鹿身じろがず | あられ |
登山具の遺品に夫の胼薬 | むべ |
白き息ぴたと止まりて矢を放つ | なつき |
連凧の忙しく向きを変へにけり | あひる |
|
2021年01月11日 | |
老松の手当のごとく菰巻きす | なつき |
糟糠の妻もほんのり屠蘇の酔 | 宏虎 |
百歳は近くて遠し福寿草 | 宏虎 |
奥能登の二重に構ふ風囲 | 凡士 |
|
2021年01月10日 | |
的中に姿勢揺るがぬ弓始 | なつき |
凍滝といへどかそけき水の音 | 素秀 |
神座すと仰ぐ美空の淑気かな | むべ |
朝まだき風紋のまま川凍る | 明日香 |
御慶述ぶ手に手にほうき清掃日 | たか子 |
2021年01月08日 | |
薺粥庭のはこべら摘みて足す | むべ |
風花のコロナ自粛の街に舞ふ | もとこ |
朝ごとに屋根の積雪確かむる | こすもす |
しずり雪枝撥ね鳥を翔たせけり | 音吉 |
日だまりに鳩のふくらむ寒さかな | 凡士 |
肩ならべ老い励ましつ七日粥 | 小袖 |
|
2021年01月07日 | |
蝋梅の大豆サイズに膨らみぬ | せいじ |
水涸れて地層の貝の息づかひ | むべ |
母がりの目覚め七草たたく音 | 菜々 |
金槌で叩かれてをる鏡餅 | 明日香 |
くちびるに木の匙やさし若菜粥 | 更紗 |
福寿草小笹隠れに子沢山 | うつぎ |
|
2021年01月06日 | |
凧糸の弧の美しき初御空 | せいじ |
獅子舞のあとを付きゆく中華街 | 智恵子 |
礼者顔して窓に来る雀かな | たか子 |
裸木を翔ちては戻る群雀 | 満天 |
池静か逆さ紅葉に色づきて | やよい |
甲高き声の発矢と初稽古 | 素秀 |
セコイアの枯れて天地の柱なす | むべ |
|
2021年01月05日 | |
淑気満つ千本鳥居通り抜け | 凡士 |
初凪やおのころ島を遥かにし | たか子 |
寒禽の声透き通る神の杜 | やよい |
めし屋混む客は手に手に破魔矢持ち | たか子 |
探梅や歩き初む子に抜かれもし | むべ |
|
2021年01月04日 | |
単線となりて始まる雪景色 | こすもす |
リハビリの成果うべなひ去年今年 | やよい |
高枝に鴉もの見す冬木立 | せいじ |
旅終へし安堵我家の雑煮食ぶ | たか子 |
|
2021年01月03日 | |
老の春夫の分まで生き抜かむ | はく子 |
大淀の風をはらみて凧揚る | 菜々 |
コロナ禍やマスクの御慶な咎めそ | こすもす |
籠居の父と詣でる三日かな | なつき |
共白髪なる偕老の祝箸 | 宏虎 |
脈々と秩父連山初御空 | むべ |
まつさらな青空高く吾子の凧 | 豊実 |
初景色沖に孤高の島の影 | 三刀 |
|
2021年01月02日 | |
笛に舞ふ巫女あどけなき初神楽 | 智恵子 |
退院を待ち侘ぶ部屋の初明かり | やよい |
白息を吐きて叔父貴の土佐なまり | 素秀 |
交番に日の差し込んで鏡餅 | 凡士 |
生かされてゐるを実感する初日 | むべ |
2021年01月01日 | |
国産みの斎庭に凍てしさざれ石 | たか子 |
松影の揺るる蹲ひ淑気満つ | 菜々 |
大楠の枝の高きに初鴉 | 素秀 |
年少の順が習ひと屠蘇を注ぐ | せいじ |
初日の出西の月にも手を合わせ | 明日香 |
定年を迎える年の初日かな | 豊実 |
初空の茜に向かふ一番機 | 凡士 |
|
2020年12月31日 | |
まどかなる月を仰ぎて年惜しむ | 菜々 |
最終の飛機の尾灯や大晦日 | 凡士 |
キッチンの虜になりて年用意 | 満天 |
生かされて初曾孫へとお年玉 | 宏虎 |
|
2020年12月30日 | |
藁匂ふ大注連縄や鷲の門 | 素秀 |
年の瀬やウーバーイーツ駆ける音 | もとこ |
字たらずのような一日冬籠 | 邑 |
寒柝の裏拍取りて犬吠えぬ | むべ |
寒柝の遠ざかるまで窓を開け | 豊実 |
寒の月磨き上げたる玻璃窓に | せいじ |
|
2020年12月29日 | |
忠魂碑裏は山茶花落ちどころ | たか子 |
看板は右書き屋号注連飾る | 凡士 |
皺の手をかざしあひたる囲炉裏かな | 潤道 |
|
2020年12月28日 | |
母逝きてこころもとなき年用意 | もとこ |
煤逃げの家苞に買ふ御座候 | 凡士 |
野良猫の呼べば媚び寄る冬日向 | やよい |
数へ日や抜き差しならぬ歯科通ひ | うつぎ |
|
2020年12月27日 | |
炬燵から聞こゆお手玉数へ唄 | 素秀 |
万両や写経する座に加はりぬ | みづき |
マスクして世事みな遠くなりにけり | みづき |
弁当の届く夜勤や子のサンタ | 智恵子 |
|
2020年12月26日 | |
童らの地団駄攻めや初氷 | 音吉 |
凍み豆腐旨く炊けたとお供えす | 智恵子 |
暁光の一筋走る雪野かな | 隆松 |
年暮るるクレーンは全て首を折り | たか子 |
スケーター夜叉ともなりて舞ひにけり | もとこ |
ゆくりなく明智の里の帰り花 | うつぎ |
寒月を揚ぐ橋立の砂嘴の松 | 凡士 |