みのる選:2020年12月度

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2020年12月27日

12月19日~12月25日

2020年12月25日
海荒れて能登の間垣の冬構へ凡士
着膨れて見るともなしのテレビかな潤道
火の中に答を探る焚火かな豊実
プランター小さき森なし霜柱智恵子
蝋燭を手に手に揺らし聖歌隊素秀
2020年12月24日
元気かと息子の電話冬ぬくしもとこ
亭々とセコイヤ並木冬晴るるはく子
聖樹に灯子ども食堂サンタ来る凡士
老夫婦揃ひのマスクして受診三刀
雪に色染めて聖樹の灯りけり素秀
窓なぞる夜露に滲む聖樹の燈素秀
蜜蝋を灯して祈る聖夜かなうつぎ
2020年12月23日
友来る爆弾の如鰤提げて音吉
林道のゲートを鎖して山眠る素秀
着膨れて日課の握手老園長たか子
小雪降る街の電飾消えてより素秀
聖樹灯る窓をジプシー夜の散歩うつぎ
交番に小さき電飾クリスマス凡士
茅葺きの一村灯る雪景色智恵子
大山が見ゆる暮らしや芋洗ふ潤道
2020年12月21日
大徳寺下駄裏返る師走かな潤道
家族又一人増えたりクリスマス音吉
年用意特価めぐりの妻元気たかを
ポストまで冬三日月をお供にしたか子
コロナ禍をくぐりてけふの冬至の湯凡士
2020年12月20日
電飾の街に孤高の冬の月なつき
少年と渡船を待てる都鳥素秀
寄せ植ゑの聖樹に巨き金の鈴せいじ
物忘れ互ひに笑ひ冬ぬくし明日香
聖菓切る父にはりつく幼たちむべ
2020年12月19日
杉玉の暖簾くぐりて新走りぽんこ
寒柝の音遠ざかる星の夜みきお
病む友の峠越えしと冬日燦むべ
空晴れて白き肩出す庭大根菜々

2020年12月20日

12月12日~12月18日

2020年12月18日
煮凝の奥に虚ろな目玉見ゆ素秀
禅寺の大樹の枝に掛け大根智恵子
味噌桶の底に屋号や冬日向なつき
よきことの魁ならむ福寿草潤道
三日ぶり先ず除雪して買物にこすもす
2020年12月17日
古の栄華の間歩や山眠る凡士
味噌桶にたまりの滲む寒灯下なつき
市章旗千切らんと吹く空っ風たか子
茶の花の蕊美しき金こぼす智恵子
2020年12月16日
後ろ手に門松立つを見守りぬなつき
ビル街の日差しの中を風花すせいじ
演習林鉄扉を鎖して山眠る凡士
年用意外なることは夫の役たか子
荒海の迫りし宿や松葉蟹もとこ
2020年12月15日
玻璃越しに猫と見て居る深雪かなこすもす
山の湯の桶に揺れゐる枯木星素秀
交番の赤灯冴ゆる真夜の町凡士
ひと葉また地に還らんと朴落葉むべ
寒風の磨きあげたる蓮如像素秀
堰落つる水音に募る寒さか宏虎
2020年12月14日
ボーゲンに突き出すお尻初スキー智恵子
亡き母の口調で湯ざめさとしけりもとこ
細竹のしなりて重し煤箒なつき
2020年12月13日
花舗の前真つ赤つかなるクリスマスたか子
術後の目文字くつきりと冬ぬくしやよい
大津絵の鬼が睨める歳の市凡士
マスクずれ歯抜けばれたる不覚かななつき
御仏のお顔に冬日届きけりあられ
2020年12月12日
やわらかな日差し窓辺に賀状書く菜々

2020年12月13日

12月5日~12月11日

2020年12月11日
雨晴れて仰ぐ夜空の枯木星みきお
老犬の鼻乾きたる焚火かな素秀
林道の木洩れ陽に佇つ親子鹿智恵子
暦年のマグマをひめて山眠る宏虎
園児等の声の合唱餅をつくなつき
双龍の潜む寺宝の冬襖もとこ
瞑想す木の葉時雨を浴びながら明日香
2020年12月10日
にぎやかや障子の内の国訛り素秀
すき焼きや一言多し鍋奉行もとこ
風倒木なれども冬芽生きてをるはく子
おでん酒猪口を持参の朋来るよう子
空き缶に椿もらひし辻地蔵智恵子
日あたりの椅子を譲らぬかじけ猫素秀
荷を解けば葉付き大根無農薬満天
落葉道地団駄踏みつ吟行す明日香
2020年12月09日
あひ互ひ息災願ひ賀状書く菜々
倒木の洞へ差し込む冬日燦せいじ
仏前に置く追悼の冬帽子もとこ
もうもうと湯気朝市の松葉蟹凡士
熟し柿落下するのに迷ひ無し潤道
県境や初冠雪の峠越え素秀
地蔵尊宝珠持つ手に散紅葉ぽんこ
2020年12月08日
冬の鷺翔ちて暮色に白を差す凡士
歳取らぬ夫の遺影や年の暮むべ
合掌の囲炉裏の梁の煤光凡士
セコイアの森を要に山眠る素秀
2020年12月07日
健祈るひとこと添へて賀状書く満天
枯沢にまだ新しき靴のあとむべ
光年といへど寒星指呼のうち凡士
ゆるされよ老いの手抜きの歳用意たか子
中天にしるき半月霜の朝三刀
島みかん顔悪けれど味自慢なつき
返り咲く桜を撮りて病む夫へやよい
老の春セーフティ車に乗り替えて明日香
息白き老犬の歩に合はせけりせいじ
病院の廊下は迷路年の暮みきお
燦燦と日に散るいてふ四百齢はく子
2020年12月06日
鯛焼きを立ち食ひせるは塾帰り豊実
空を塗り地を染む法の大銀杏なつき
取手なき鍋蓋をどる根深汁ぽんこ
堂裏にまわれば匂ふ花柊智恵子
正月用千両半分鳥ネット明日香
冬うららはやぶさ二号無事帰還満天
ありなしの風に震へて帰り花せいじ
2020年12月05日
苑小春ドッグリードのぐんと伸びせいじ
カレンダー二つ並びて師走来る潤道
イチローと野球少年冬うららみきお
逝きてなほ続くお歳暮夫の縁むべ
地下街に枯葉の迷ふ夕まぐれ素秀
捨て猫の声の気になる枯野原こすもす

2020年12月6日

11月28日~12月4日

2020年12月04日
通天閣警告の赤冬寒し満天
コロナなどどこ吹く風と日向猫もとこ
医療者へ感謝の聖樹青灯る智恵子
けたたまし諍い絶へぬ鴨の陣やよい
雪吊の棟梁きりり脚絆締め凡士
煌めきつ寄する細波池小春やよい
風にゆれ鯉にゆれたる散紅葉明日香
2020年12月03日
玻璃内に猫の見上ぐる冬の雲こすもす
トロ箱をはみ出す河豚の脹れ面凡士
冬ざれや護岸工事の轍あとせいじ
点滅にポインセチアの浮かぶ窓豊実
パン屑に巴争奪ゆりかもめぽんこ
落葉降る昼なほ暗き古墳かななつき
2020年12月02日
冬満月地球の影の仄かなりむべ
老独りコロナ禍に耐ふ十二月はく子
鯛焼きのはらわたの餡甘かりし宏虎
アンテナに物見してをる寒鴉こすもす
新婚の庭に一畝冬菜畑なつき
2020年12月01日
内海を照らしわたりぬ冬満月三刀
命綱腰に窓拭く師走かなみきお
冬日和蒼天高く双耳峰たか子
短日の赤信号の長きこと満天
古民家の剥げし土塀や石蕗の花やよい
冬帽子取つて一礼磨崖仏みきお
月冴えて一朶の雲も寄せつけず菜々
色かさね紅葉且つ散る通天橋もとこ
神さぶや冬曙の三輪の山明日香
2020年11月30日
笹原を揺らすは熊か木枯しか豊実
おでん串増へて白熱する議論素秀
街の景点描となる冬の霧凡士
すきま風硫黄の匂ふ湯治宿たか子
朝日出てダイヤ光りす霜の畑明日香
湯豆腐の湯気のむかうに妻の顔三刀
2020年11月29日
峡の道落葉時雨となりにけりせいじ
小春日や病舎の夫へゆで卵やよい
総身の葉捨てて大樹の冬支度三刀
2020年11月28日
裸木となりて華燭を身に纏ふ凡士
あたたかし棺に千羽鶴溢れこすもす
あたたかや寺に後継ぎ生まれしとはく子
書きあぐねお礼は後や蜜柑食ぶむべ

 

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