みのる選:2020年12月度
2020年12月25日 | |
海荒れて能登の間垣の冬構へ | 凡士 |
着膨れて見るともなしのテレビかな | 潤道 |
火の中に答を探る焚火かな | 豊実 |
プランター小さき森なし霜柱 | 智恵子 |
蝋燭を手に手に揺らし聖歌隊 | 素秀 |
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2020年12月24日 | |
元気かと息子の電話冬ぬくし | もとこ |
亭々とセコイヤ並木冬晴るる | はく子 |
聖樹に灯子ども食堂サンタ来る | 凡士 |
老夫婦揃ひのマスクして受診 | 三刀 |
雪に色染めて聖樹の灯りけり | 素秀 |
窓なぞる夜露に滲む聖樹の燈 | 素秀 |
蜜蝋を灯して祈る聖夜かな | うつぎ |
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2020年12月23日 | |
友来る爆弾の如鰤提げて | 音吉 |
林道のゲートを鎖して山眠る | 素秀 |
着膨れて日課の握手老園長 | たか子 |
小雪降る街の電飾消えてより | 素秀 |
聖樹灯る窓をジプシー夜の散歩 | うつぎ |
交番に小さき電飾クリスマス | 凡士 |
茅葺きの一村灯る雪景色 | 智恵子 |
大山が見ゆる暮らしや芋洗ふ | 潤道 |
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2020年12月21日 | |
大徳寺下駄裏返る師走かな | 潤道 |
家族又一人増えたりクリスマス | 音吉 |
年用意特価めぐりの妻元気 | たかを |
ポストまで冬三日月をお供にし | たか子 |
コロナ禍をくぐりてけふの冬至の湯 | 凡士 |
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2020年12月20日 | |
電飾の街に孤高の冬の月 | なつき |
少年と渡船を待てる都鳥 | 素秀 |
寄せ植ゑの聖樹に巨き金の鈴 | せいじ |
物忘れ互ひに笑ひ冬ぬくし | 明日香 |
聖菓切る父にはりつく幼たち | むべ |
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2020年12月19日 | |
杉玉の暖簾くぐりて新走り | ぽんこ |
寒柝の音遠ざかる星の夜 | みきお |
病む友の峠越えしと冬日燦 | むべ |
空晴れて白き肩出す庭大根 | 菜々 |
2020年12月18日 | |
煮凝の奥に虚ろな目玉見ゆ | 素秀 |
禅寺の大樹の枝に掛け大根 | 智恵子 |
味噌桶の底に屋号や冬日向 | なつき |
よきことの魁ならむ福寿草 | 潤道 |
三日ぶり先ず除雪して買物に | こすもす |
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2020年12月17日 | |
古の栄華の間歩や山眠る | 凡士 |
味噌桶にたまりの滲む寒灯下 | なつき |
市章旗千切らんと吹く空っ風 | たか子 |
茶の花の蕊美しき金こぼす | 智恵子 |
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2020年12月16日 | |
後ろ手に門松立つを見守りぬ | なつき |
ビル街の日差しの中を風花す | せいじ |
演習林鉄扉を鎖して山眠る | 凡士 |
年用意外なることは夫の役 | たか子 |
荒海の迫りし宿や松葉蟹 | もとこ |
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2020年12月15日 | |
玻璃越しに猫と見て居る深雪かな | こすもす |
山の湯の桶に揺れゐる枯木星 | 素秀 |
交番の赤灯冴ゆる真夜の町 | 凡士 |
ひと葉また地に還らんと朴落葉 | むべ |
寒風の磨きあげたる蓮如像 | 素秀 |
堰落つる水音に募る寒さか | 宏虎 |
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2020年12月14日 | |
ボーゲンに突き出すお尻初スキー | 智恵子 |
亡き母の口調で湯ざめさとしけり | もとこ |
細竹のしなりて重し煤箒 | なつき |
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2020年12月13日 | |
花舗の前真つ赤つかなるクリスマス | たか子 |
術後の目文字くつきりと冬ぬくし | やよい |
大津絵の鬼が睨める歳の市 | 凡士 |
マスクずれ歯抜けばれたる不覚かな | なつき |
御仏のお顔に冬日届きけり | あられ |
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2020年12月12日 | |
やわらかな日差し窓辺に賀状書く | 菜々 |
2020年12月11日 | |
雨晴れて仰ぐ夜空の枯木星 | みきお |
老犬の鼻乾きたる焚火かな | 素秀 |
林道の木洩れ陽に佇つ親子鹿 | 智恵子 |
暦年のマグマをひめて山眠る | 宏虎 |
園児等の声の合唱餅をつく | なつき |
双龍の潜む寺宝の冬襖 | もとこ |
瞑想す木の葉時雨を浴びながら | 明日香 |
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2020年12月10日 | |
にぎやかや障子の内の国訛り | 素秀 |
すき焼きや一言多し鍋奉行 | もとこ |
風倒木なれども冬芽生きてをる | はく子 |
おでん酒猪口を持参の朋来る | よう子 |
空き缶に椿もらひし辻地蔵 | 智恵子 |
日あたりの椅子を譲らぬかじけ猫 | 素秀 |
荷を解けば葉付き大根無農薬 | 満天 |
落葉道地団駄踏みつ吟行す | 明日香 |
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2020年12月09日 | |
あひ互ひ息災願ひ賀状書く | 菜々 |
倒木の洞へ差し込む冬日燦 | せいじ |
仏前に置く追悼の冬帽子 | もとこ |
もうもうと湯気朝市の松葉蟹 | 凡士 |
熟し柿落下するのに迷ひ無し | 潤道 |
県境や初冠雪の峠越え | 素秀 |
地蔵尊宝珠持つ手に散紅葉 | ぽんこ |
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2020年12月08日 | |
冬の鷺翔ちて暮色に白を差す | 凡士 |
歳取らぬ夫の遺影や年の暮 | むべ |
合掌の囲炉裏の梁の煤光 | 凡士 |
セコイアの森を要に山眠る | 素秀 |
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2020年12月07日 | |
健祈るひとこと添へて賀状書く | 満天 |
枯沢にまだ新しき靴のあと | むべ |
光年といへど寒星指呼のうち | 凡士 |
ゆるされよ老いの手抜きの歳用意 | たか子 |
中天にしるき半月霜の朝 | 三刀 |
島みかん顔悪けれど味自慢 | なつき |
返り咲く桜を撮りて病む夫へ | やよい |
老の春セーフティ車に乗り替えて | 明日香 |
息白き老犬の歩に合はせけり | せいじ |
病院の廊下は迷路年の暮 | みきお |
燦燦と日に散るいてふ四百齢 | はく子 |
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2020年12月06日 | |
鯛焼きを立ち食ひせるは塾帰り | 豊実 |
空を塗り地を染む法の大銀杏 | なつき |
取手なき鍋蓋をどる根深汁 | ぽんこ |
堂裏にまわれば匂ふ花柊 | 智恵子 |
正月用千両半分鳥ネット | 明日香 |
冬うららはやぶさ二号無事帰還 | 満天 |
ありなしの風に震へて帰り花 | せいじ |
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2020年12月05日 | |
苑小春ドッグリードのぐんと伸び | せいじ |
カレンダー二つ並びて師走来る | 潤道 |
イチローと野球少年冬うらら | みきお |
逝きてなほ続くお歳暮夫の縁 | むべ |
地下街に枯葉の迷ふ夕まぐれ | 素秀 |
捨て猫の声の気になる枯野原 | こすもす |
2020年12月04日 | |
通天閣警告の赤冬寒し | 満天 |
コロナなどどこ吹く風と日向猫 | もとこ |
医療者へ感謝の聖樹青灯る | 智恵子 |
けたたまし諍い絶へぬ鴨の陣 | やよい |
雪吊の棟梁きりり脚絆締め | 凡士 |
煌めきつ寄する細波池小春 | やよい |
風にゆれ鯉にゆれたる散紅葉 | 明日香 |
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2020年12月03日 | |
玻璃内に猫の見上ぐる冬の雲 | こすもす |
トロ箱をはみ出す河豚の脹れ面 | 凡士 |
冬ざれや護岸工事の轍あと | せいじ |
点滅にポインセチアの浮かぶ窓 | 豊実 |
パン屑に巴争奪ゆりかもめ | ぽんこ |
落葉降る昼なほ暗き古墳かな | なつき |
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2020年12月02日 | |
冬満月地球の影の仄かなり | むべ |
老独りコロナ禍に耐ふ十二月 | はく子 |
鯛焼きのはらわたの餡甘かりし | 宏虎 |
アンテナに物見してをる寒鴉 | こすもす |
新婚の庭に一畝冬菜畑 | なつき |
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2020年12月01日 | |
内海を照らしわたりぬ冬満月 | 三刀 |
命綱腰に窓拭く師走かな | みきお |
冬日和蒼天高く双耳峰 | たか子 |
短日の赤信号の長きこと | 満天 |
古民家の剥げし土塀や石蕗の花 | やよい |
冬帽子取つて一礼磨崖仏 | みきお |
月冴えて一朶の雲も寄せつけず | 菜々 |
色かさね紅葉且つ散る通天橋 | もとこ |
神さぶや冬曙の三輪の山 | 明日香 |
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2020年11月30日 | |
笹原を揺らすは熊か木枯しか | 豊実 |
おでん串増へて白熱する議論 | 素秀 |
街の景点描となる冬の霧 | 凡士 |
すきま風硫黄の匂ふ湯治宿 | たか子 |
朝日出てダイヤ光りす霜の畑 | 明日香 |
湯豆腐の湯気のむかうに妻の顔 | 三刀 |
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2020年11月29日 | |
峡の道落葉時雨となりにけり | せいじ |
小春日や病舎の夫へゆで卵 | やよい |
総身の葉捨てて大樹の冬支度 | 三刀 |
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2020年11月28日 | |
裸木となりて華燭を身に纏ふ | 凡士 |
あたたかし棺に千羽鶴溢れ | こすもす |
あたたかや寺に後継ぎ生まれしと | はく子 |
書きあぐねお礼は後や蜜柑食ぶ | むべ |