みのる選:2020年10月度

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2020年10月25日

10月17日~10月23日

2020年10月23日
余白にも句を書き留めて秋惜しむ凡士
陣跡を守る大樹や色鳥来たか子
寒紅の口もときりり稚児の列みきお
木犀の花の屑置くサドルかなせいじ
留石を躊躇なく越え松手入れ明日香
小鳥来る堂に天狗の鬼瓦なつき
2020年10月22日
木犀の香の袋路に迷ひ入る素秀
秋闌けて鳶が輪を描く伊根の海凡士
秋日和老も颯爽歩こう会はく子
杣人の地下足袋並ぶ冬隣みきお
つゆけしや塹壕被ふ木の根方もとこ
飛石の秋の清流稚魚の影ぽんこ
2020年10月21日
銀杏のここだ打ち敷く山路かな宏虎
納竿を見据えしやうに鯔の飛ぶ豊実
空走るタイヤ痕否秋の雲なつき
薄野に埋もれて仰ぐ青き空せいじ
いにしへの古戦場跡鵙猛るこすもす
鶺鴒のタクトに瀬音高鳴りぬ満天
ビル工事足場外れて秋高しやよい
謂われ誦す木の葉しぐれを浴びながらたか子
2020年10月20日
四阿に脚絆紐解く秋遍路素秀
匕首の月茜の残る夕空にはく子
夜神楽の太鼓とよもす峡の里みきお
小鳥来る森はかつての戦跡ぽんこ
秋深し羅漢は石に還りけり凡士
天高く鬨の声聴く茶臼山明日香
2020年10月19日
身に入むや戦火に耐へし礼拝堂むべ
早起きをせむと早寝す秋の夜こすもす
手折りたる薄にほのと重みかなやよい
日を吸ひて石垣走る瑠璃蜥蜴みきお
飴色に透けて大根煮あがりぬたか子
鳥渡る超高層の窓の空凡士
2020年10月18日
少年の右手高々と海螺廻し素秀
錦秋の渋滞も良しいろは坂智恵子
墳丘は泡立草に染まりけりなつき
銅鑼なりて秋航鴎ひきつれてもとこ
墓守の育てし供花の花野かななつき
2020年10月17日
アルプスの銀嶺高く鳥渡る音吉
一堂に武将が揃ふ菊人形宏虎
新米を土産にもたせ子等帰る明日香
菰巻かれ城の歴史を知る古木むべ
弁慶が男泣きする菊人形宏虎

2020年10月18日

10月10日~10月16日

2020年10月16日
鳰の笛池にひろごる山の朝やよい
縄跳びや遅れて跳ねるお下げ髪なつき
出欠を決めかねている夜長かなたか子
水鳥の空つぽの巣や蘆の原むべ
満開の蕎麦に囲まれ長屋門素秀
懐にほとけ三体山粧ふたか子
藤袴アサギマダラの来てをりぬ明日香
朝寒や下駄の早足通し土間素秀
激つ瀬の飛沫に踊る草紅葉智恵子
カーテンに透けて揺らぐは秋の喋みきお
2020年10月15日
木犀に鼻近づけし車椅子せいじ
風見鶏色なき風にと見かう見凡士
金木犀コロナマスクを外し佇つ満天
椿の実五百羅漢の肩に落つはやと
2020年10月14日
行く秋や猫の欠伸がうつりもすこすもす
秋うららジャズの洩れ来る街神戸凡士
黒板に算式残し夜学果つ素秀
帰る友釣瓶落しの影法師むべ
背伸びして押しくら風の曼珠沙華あられ
闇の路地匂ひふくらむ金木犀みきお
飛び立ちし穂にまた戻る蜻蛉かな三刀
2020年10月13日
靴脱ぎの縁に秋日のおもてなしなつき
収穫の手に土薫る鰯雲豊実
鉢植えの里芋抜けば子沢山はやと
鉄扉鎖す修道院の薄紅葉宏虎
作り手の意気込み見ゆる菊花展みきお
2020年10月12日
地蔵堂あふれむばかり菊の供花こすもす
屋外の礼拝も良し秋気澄むせいじ
こがね染む谷戸の一村豊の秋菜々
鏡なす湖面を覆ふ鰯雲もとこ
島のカフェ藷並べ干す定休日なつき
道草の下校子の手にあけびの実あられ
2020年10月11日
苅田うち展けて浮ぶ熱気球凡士
秋寂ぶや供華ひとつ無き芭蕉墓ぽんこ
コスモスの揺るる向かうに保育園満天
草の実や父の遺愛の庭手入れもとこ
2020年10月10日
瀬戸に落つ秋の夕日の大きこと凡士
西日中巨大迷路を脱出すなつき

2020年10月11日

10月3日~10月9日

2020年10月09日
ななかまど深山の池を囲みけり素秀
何するでなくて一人の夜の長しやよい
亡き夫を偲ぶ深山の草紅葉むべ
句帳には花の名ばかり花野道なつき
秋晴や曲がらぬやうに畝作りこすもす
結局は捨てる木の実を拾ひけりたか子
2020年10月08日
揺れやまずカメラ泣かせや秋桜たか子
入日さす真珠筏や秋の海もとこ
能舞台かかと打ち込む音さやか素秀
2020年10月07日
電柱の写らぬ様に薄撮る明日香
真つ直ぐに港へ下る紅葉坂智恵子
訳ありと売られし林檎切れば蜜満天
秋耕の影のびにのび夕日落つ凡士
味噌焦げる香や新米の五平餅なつき
杣道のしるべとなりし烏瓜むべ
2020年10月06日
秋の水一枚岩を滑るかにぽんこ
山霧に湯気混じりゆく有馬かなはやと
二の鳥居潜れば香る菊花展智恵子
2020年10月05日
出はひりす部屋に狭庭の萩の屑うつぎ
新蕎麦や句帳に栞る箸袋素秀
藁ぼつち残る青さの匂ひけりなつき
宿坊の厠一輪菊明り智恵子
カリヨンの優しく響く秋の空宏虎
一刷毛の秋雲に乗り朝日出づせいじ
鳶職のニッカポッカや秋高したか子
2020年10月04日
風吹けば回り出しそう曼珠沙華満天
鹿跳ねて角切り勢子の息弾む宏虎
蟷螂の寄らば切るぞと鎌翳すたか子
2020年10月03日
観月の夕べや平家琵琶奏づ小袖
立待ちの月の在り処か雲明かりはく子
秋草や祈りの道をたもとほりむべ
お点前の指美しき良夜かなうつぎ
ひまはりの種採る子らの学校田なつき

2020年10月5日

9月26日~10月2日

2020年10月02日
振り向かぬ子ら見送りて秋の空みきお
秋寒し島はシャッター街となりもとこ
月今宵病舎の夫も見ゐるらむやよい
カーテンに透けたる影は秋の蝶むべ
口笛の音も軽やか秋の空素秀
月光に濡れてうつくし大甍満天
宮大工秋天背負ひ屋根普請たか子
合掌す雲一朶なき今日の月やよい
月今宵夫を迎へにそこらまで菜々
2020年10月01日
十五夜の遊ぶ雲とてなかりけりはく子
斧ひとつ欠けて蟷螂仁王立素秀
休耕田コンサートめく虫時雨ぽんこ
流鏑馬の二の矢金風切りにけり素秀
こぼれ萩疎水に彩をちらしけりやよい
葛の葉の虜となりし重ね垣むべ
沈む日の光芒洩るる芒原凡士
保育園出て子と仰ぐ今日の月なつき
2020年09月30日
庭掃除して名月を待ちにけり三刀
リモートの面接試験そぞろ寒みきお
回覧板届けし子の手に梨ふたつ智恵子
2020年09月29日
白拍子祀るほこらや露の秋たか子
満開の萩うなだれて雨に伏すこすもす
木の実落つ音に振り向く山路かなはやと
秋灯し手づれに光る聖書台菜々
天空の城の高きに登りけり凡士
2020年09月28日
群青の大海原へ秋の蝶凡士
鰐口を打てば余韻の音さやかたか子
秋思つく十六羅漢みな伏し目ぽんこ
2020年09月27日
澪標叩いて渡る石叩き素秀
栗食めば故郷の山河まなうらに菜々
神々の矛より落ちし島は秋もとこ
2020年09月26日
枯山水砂紋に紅きこぼれ萩凡士
尺ほどの野仏に添ふ曼珠沙華智恵子
秋麗や曾孫懐妊のよき知らせはく子
老翁がひとり稲刈コンバインせいじ
爽涼や肩の力の抜ける朝明日香

 

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