みのる選:2020年6月度

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2020年6月28日

6月20日~6月26日

2020年06月26日
骨壺にほのかな温み沙羅の花ひのと
吊橋に腰引けてをる夏帽子智恵子
峰雲や千手拡げてご神木やよい
あぢさゐ苑課外授業の声弾む菜々
風涼し大き魚板の座禅堂なつき
2020年06月25日
花合歓に音なく雨の降りつづくはく子
菅笠の大師の像に沙羅の雨うつぎ
一両車窓全開や青田風かかし
山滴る麓に理学部演習林菜々
旅枕寝がへり幾度明易しぽんこ
梅雨晴の夜空に合はす星座盤ひのと
2020年06月24日
参磴の手摺に蠅の手を合はせやよい
身構へし守宮の喉の息遣ひ宏虎
叡電の青時雨抜け鞍馬へともとこ
山滴るあまたの古刹懐にたか子
譲り合ふ茶屋の縁台五月闇愛正
家敷門番人のごと鬼あざみ智恵子
2020年06月23日
大空の星に紛れし蛍かなたか子
おろしたてエプロン涼し朝支度こすもす
袈裟懸けに河面掠めて夏燕ぽんこ
腹這ひでルーペ片手に野に遊ぶみきお
2020年06月22日
日矢の射す雨戸の隙間明易し満天
山泊り蛍飛ぶ夜を寝惜しみぬみづき
五月雨の水輪に大き鯉の口たか子
折り鶴に息吹き込むや沖縄忌ひのと
2020年06月21日
一日のおまけのやうな梅雨夕焼うつぎ
はや夏至と思ふ厨の夕ごころ素秀
青田波風の甘さの水匂ふ宏虎
児ら去りて音の整ふ夏の川たか子
ピーラーをあてるときゆつと鳴く茄子明日香
梅雨夕焼庭仕の脚立そのままにうつぎ
2020年06月20日
遠山の透けてみどりの金魚玉素秀
一丘のなぞへ埋めて七変化はく子
梅雨晴れ間畑草引かな肥遣らな菜々
青梅雨やもつれし糸のほぐれけりせいじ
よだれ掛け涼し双子のお食ひ初めこすもす
帆立貝口を開けば猫パンチ智恵子

2020年6月21日

6月13日~6月19日

2020年06月19日
枝かぶせ合ふ古城址の大緑蔭なつき
どくだみの十字明るき厨窓うつぎ
奥の間の三味の音洩るる青簾もとこ
モノクロの映画懐かし梅雨籠更紗
近道はけもの道なり木下闇ひのと
汗拭かず由緒をあつく老ガイドたか子
2020年06月18日
地蔵尊の供花なき今日の満天
線香の火付きの悪し梅雨じめりぽんこ
上がり根に苔の花咲く千年樹たか子
うずたかく何処から崩さうかき氷宏虎
道を問ふ人見当たらず立葵やよい
2020年06月17日
緑蔭や静かに閉づる文庫本せいじ
目の前に傘寿の迫る更衣はく子
整へて水色涼し夏布団こすもす
畑の幸青菜づくしの夕餉かな明日香
追熟の青梅かほる厨かなやよい
庭の池どこから来たの青蛙智恵子
2020年06月16日
家中のカーテン洗ひ風涼しやよい
大阪城見えゐて遠し桐の花はく子
投薬の袋の湿り走り梅雨たか子
こむら返り今夜も来さう梅雨の冷うつぎ
2020年06月15日
甲羅干す亀にとどまる糸とんぼなつき
梅雨晴間ベランダに出て深呼吸満天
緑風や媼の和讃のびらかに菜々
夜更かしに短夜さらにちぢめたるはく子
燕の子鳴きたる後の疲れやうたか子
鮎焼きてたかだかと尾の跳ね上がるひのと
湯上がりのテラスの風に足す団扇たか子
古民家の高き敷居や梅雨の土間うつぎ
2020年06月14日
暫くは草の匂ひす蛍の手よう子
妙見のリフト足下の濃紫陽花みづき
ブーケ舞ふグリーンチャペルや風薫る智恵子
胸張りてモデル歩きや羽抜鶏うつぎ
小流れの暮れて蛍の夜となりぬみづき
2020年06月13日
ほうたるの葉裏で灯る青さかなうつぎ
草茂る標の裏にお題目よう子
深爪の指も酸つぱし夏蜜柑素秀
幼みな頬に畳み目昼寝覚宏虎

2020年6月14日

6月6日~6月12日

2020年06月12日
どくだみに席巻されし生家かなもとこ
番犬と大の仲良し羽抜鶏うつぎ
五月雨の砂場に山の残りたる素秀
神にます村の要の楠若葉ぽんこ
2020年06月11日
立葵バス待つ子らと背比べ智恵子
梅雨に入る四囲の山並みけぶらして菜々
ヨーグルト銀座となりし冷蔵庫せいじ
夏風邪の額いくども母が撫づひのと
2020年06月10日
万緑のつづら折り抜け山上寺明日香
万緑のグラデーションや谷戸の晴隆松
森閑と静もる寺苑青楓やよい
2020年06月09日
滝不動これよりロックガーデンへせいじ
初蝉や少年一人竹刀振る素秀
水底に足跡つゞく植田かなひのと
大いなる暈に潤みて梅雨の月はく子
2020年06月08日
叩かれて健気な一歩田掻牛たか子
三光鳥聞きつ深山の寺を訪ふ素秀
紫陽花を供花に季節を知らせけりうつぎ
風鈴や父の棺に釘打てばひのと
2020年06月07日
合掌を解いて涼しき涙かなひのと
笹敷いて初漁の鮎届きけりうつぎ
学び舎の長き廊下に西日さす智恵子
予定なき日なれば朝寝はばからずなつき
明易しお喋りつづく軒雀満天
2020年06月06日
時鳥遠くに聞きて仕舞風呂うつぎ
一郷の端から端へ杜鵑三刀
探鳥の双眼鏡に谷若葉かかし
亡き父の在りしまま置く籐寝椅子ひのと
里山は今し濃紫陽花浄土なるたか子
アルプスに残る雪ある植田かなやよい
紫陽花の戸ごとに艶を競ひけり満天
雨蛙摘まめば鼓動伝ひける宏虎

2020年6月7日

5月30日~6月5日

2020年06月05日
杉の秀を抜きん出てより月涼し明日香
ランドセルおろし観察蟻の列もとこ
島ひとつ跨ぎてかかる大き虹やよい
指尺で早苗を測る老農夫かかし
2020年06月04日
古城址の土塁にそよぐ姫女苑なつき
すれ違ふ軽トラックに早苗揺るこすもす
湯火照りに開けし玻璃窓月涼しうつぎ
草刈りて大の字に寝るなぞへかなひのと
2020年06月03日
疎に密に古墳の丘のたんぽぽ黄やよい
斜張橋五月の空を切りにけりはく子
百年の庭百年の松涼し菜々
御手洗の水音高鳴り宮涼し満天
祠立つ村人だけが知る泉うつぎ
山の端に一番星や時鳥ひのと
巫女揃ひ天神様の梅をもぐ三刀
2020年06月02日
ぼうふらに雨注ぎゐる手水鉢ひのと
黒潮の風孕ませて袋掛素秀
下闇に佇ちて客待つ人力車智恵子
万緑や大いなる池懐に菜々
河骨の首傾ぎ出し葉影かなたか子
2020年06月01日
麦の秋自転車通学せる子らに菜々
山門で反転したる夏燕宏虎
調律の音色漏れくる夕焼かなひのと
宮の木々ジプシーしつつ夏の蝶やよい
2020年05月31日
猫の目のぎよろりと光る五月闇宏虎
御座船の綺羅撒き散らし濠涼したか子
激流の岩に飛び出すカヌーかな智恵子
ぬか漬のきゅうりも茄子も庭の幸菜々
薫風や手櫛使ひて人を待つうつぎ
2020年05月30日
五月晴エール五筋の飛行雲智恵子
集配のトラック急ぐ街夕焼素秀
下草を刈れば生まれし風の道三刀
傾ぐほど鉦乱れ打つ神輿かな素秀

 

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