みのる選:2018年12月度
2018年12月28日 | |
湖冴ゆる対岸の灯のまたたきて | 隆松 |
股火鉢して一服す香具師かな | なつき |
飛行雲寒の天空真二つ | 隆松 |
ダミ声の手締め響くや酉の市 | 智恵子 |
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2018年12月27日 | |
一村の眠りに落ちて星冴ゆる | 宏虎 |
夫と肩並べて啜るのつぺい汁 | もとこ |
駅裏はシャッター街や冬ざるる | やよい |
道連れのあれば楽しき枯野道 | たか子 |
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2018年12月26日 | |
トロ箱にふくれつ面の河豚糶らる | 宏虎 |
落柿舎の主も斯くやと日向ぼこ | 菜々 |
歳晩の町に高鳴る救急車 | 満天 |
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2018年12月25日 | |
嘴を背に挿し眠る浮寝鳥 | 素秀 |
煤逃げの主婦らと見たるラドンの湯 | なつき |
乗り遅れ次のバスまで日向ぼこ | はく子 |
看板の骨だけ残る枯野かな | こすもす |
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2018年12月24日 | |
恙なき便りに安堵実南天 | よう子 |
霜柱畝に残りし獣跡 | 智恵子 |
能舞台鳴らす踵の音寒し | 明日香 |
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2018年12月23日 | |
朝霜の虜となりし路駐かな | せいじ |
あやす子のくしやみ浴びたる炬燵かな | なつき |
蓋とれば忽ち香る柚子湯かな | やよい |
シテ方の身じろぎもせず声冴ゆる | 明日香 |
一句得て千転しをる柚子湯かな | うつぎ |
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2018年12月22日 | |
豊作のカボス代用冬至風呂 | 三刀 |
月冴えて一朶の雲も寄せつけず | 菜々 |
数え日のおもちゃ病院混み合へり | なつき |
診察を待ちゐる窓に風花す | 素秀 |
摩天楼ビルの天辺霧纏ふ | ぽんこ |
2018年12月21日 | |
音もなく一村霧に包まるる | 菜々 |
大聖樹外人墓地の丘の上に | 智恵子 |
細雪露天の湯気に消えにけり | 素秀 |
古民家の梁の風格納句座 | やよい |
メサイアの流るる宴枯木宿 | せいじ |
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2018年12月20日 | |
古民家の庭に楚々たり梅蕾む | こすもす |
籾を焼く煙に日矢のをどりけり | よう子 |
ゆきずりの人も寄りくる焚火かな | うつぎ |
と見る間に川霧橋を呑み込みぬ | 素秀 |
一条の煙は谷戸の枯木宿 | うつぎ |
冬雲に届くかと見ゆ大欅 | たか子 |
まなかひに妙見山や冬田道 | 満天 |
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2018年12月19日 | |
うんちくの長き女将やペチカ燃ゆ | たか子 |
ヘアピンの径登り来て枯木宿 | うつぎ |
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2018年12月18日 | |
冬うらら谷戸に傾く一輌車 | 菜々 |
真ん中に焼き跡残る冬田かな | やよい |
枯山の裾縫ふ谷戸の一両車 | ぽんこ |
カルストの枯野を馳せる風の音 | 三刀 |
蕪剥くまあるくまるくまたまるく | 更紗 |
落葉焚取り囲みたる吟行子 | こすもす |
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2018年12月17日 | |
年用意寺男らはみな素足 | たか子 |
湯気たてて参道の客呼び込みぬ | さつき |
枯野ゆく犬に首輪の無かりけり | 素秀 |
袖垣のゆるび直すも年用意 | 菜々 |
炉話に相づちうつも合点せず | なつき |
トンネルを抜けるにつれて枯れ深し | 明日香 |
競輪紙に赤丸つけて毛糸帽 | やよい |
黒雲の裂けるや否や冬日射す | はく子 |
鈴鳴らし猫の媚び来る寺小春 | やよい |
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2018年12月16日 | |
薄ら日に透く古民家の白障子 | せいじ |
オーラスに名乗りて安堵終ひ句座 | なつき |
送電塔踏んまえ立ちて山眠る | 満天 |
訪ね来て嬉しき知らせ息白し | たか子 |
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2018年12月15日 | |
亡き母に届く訃報や年の暮 | もとこ |
留守番の吾にメモ添へおでん鍋 | 宏虎 |
ボロ市に着物着崩す女かな | なつき |
霜夜更け片割れ月の中天に | 菜々 |
凍て空へ離陸機機首を立てにけり | 三刀 |
句座中断窓辺に全き時雨虹 | うつぎ |
2018年12月14日 | |
活断層深く宿して山眠る | 宏虎 |
堆く落葉なだるるなぞへかな | ぽんこ |
メモ書を消してまた足す年用意 | 三刀 |
鴨の引く水脈の三角川幅に | 明日香 |
夫の背に祈る年末賞与の朝 | なつき |
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2018年12月13日 | |
白息の長さを競ふ登校子 | 智恵子 |
星のごと煌めく霜や朝の畑 | そうけい |
冴返る夕空高く匕首の月 | はく子 |
杉美林ちらほら点る実南天 | やよい |
初氷柄杓で叩く手水鉢 | 愛正 |
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2018年12月12日 | |
二三行息災問うて年賀状 | 満天 |
診察券ポインセチアの横に出す | うつぎ |
境内に広ごる落葉煙かな | 明日香 |
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2018年12月11日 | |
音もなく庭石濡らす夕時雨 | 菜々 |
老い二人小さき聖樹に星飾る | たか子 |
目つぶれば故郷の山河日向ぼこ | うつぎ |
椎の樹に一句碑の添ふ庵小春 | せいじ |
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2018年12月10日 | |
百五十段を一気や息白し | せいじ |
畳蹴る否やに気合寒稽古 | たか子 |
雀どち遊ぶ小春の精米所 | 小袖 |
菊畑の香にそふ畦をたもとほり | そうけい |
渋滞は覚悟の上や町師走 | なつき |
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2018年12月09日 | |
せせらぎの小石に渋滞する木の葉 | ぽんこ |
風花へ散歩の夫を見送りぬ | よう子 |
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2018年12月08日 | |
梟の声近くして露天の湯 | 智恵子 |
やはらかな峡の日差しに子守柿 | 菜々 |
2018年12月07日 | |
店先に溢るるポインセチアかな | 満天 |
三輪車漕ぐ子のあとに着膨れて | なつき |
牡蠣料理広島弁の同窓会 | 宏虎 |
電飾にがんじがらめとなる冬木 | 満天 |
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2018年12月06日 | |
同窓会老いまたよしと菊の酒 | 宏虎 |
山峡の十戸に木の葉時雨かな | うつぎ |
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2018年12月05日 | |
トーマス号蒸気吐きつつ紅葉峡 | 智恵子 |
茅葺の庭の一隅冬紅葉 | やよい |
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2018年12月04日 | |
大鷺の飛びて同化す冬の雲 | 愛正 |
連山のシルエットなす冬夕焼 | ぽんこ |
冬ぬくし上着を肩にサラリーマン | 菜々 |
画展見て帰るさの道夕時雨 | たか子 |
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2018年12月03日 | |
烏どち何か諍ふ枯野かな | こすもす |
作務僧ら襷掛けして障子貼る | 菜々 |
枯蓮矢刀折れに沈みけり | たか子 |
ざくざくと子らに踏まるる霜柱 | 智恵子 |
コンサート果てし余韻や街師走 | よう子 |
うら枯れの野を打つ雨の音寂し | 三刀 |
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2018年12月02日 | |
道を塞く風倒木に冬芽あり | せいじ |
饒舌な炎なだめつ落葉焚く | なつき |
青空へ産毛の透ける冬芽かな | こすもす |
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2018年12月01日 | |
オカリナのめをと合奏冬ぬくし | 明日香 |
2018年11月30日 | |
川涸れてあらはになりし巌かな | 隆松 |
落葉して明るくなりし街路かな | 満天 |
猿回し芸二つだけ冬うらら | なつき |
岩肌に縋るがごとき散紅葉 | 明日香 |
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2018年11月29日 | |
白雲のひっかかりたる枯木かな | そうけい |
すっぴんを忘れ試食にマスク取る | 智恵子 |
冬うらら知恵の輪石を潜らばや | うつぎ |
灯凍つる終電あとの無人駅 | 愛正 |
箸の穴いくつ飴色煮大根 | やよい |
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2018年11月28日 | |
落語めく法話に和む報恩講 | こすもす |
ロープウエイいま錦繍のトンネルへ | 満天 |
大琵琶の眼下に展け比良小春 | はく子 |
昔馬車駈けし道とや紅葉溪 | よう子 |
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2018年11月27日 | |
人の列自づと蛇行紅葉坂 | せいじ |
寒夜覚めへこみ直せり羽根枕 | なつき |
夫の家事なかなか上手風邪ごもり | ぽんこ |
廃屋の窓だけ残り蔦紅葉 | うつぎ |
句の道に終点はなし翁の忌 | 宏虎 |
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2018年11月26日 | |
しざるごと冬靄晴るる琵琶湖かな | 満天 |
大文字火床縁どる草紅葉 | せいじ |
外苑は銀杏散り敷く黄の世界 | 智恵子 |
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2018年11月25日 | |
拭き上げし窓に小春の空いつぱい | やよい |
靄かけて眠り初めたる畝傍山 | 菜々 |
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2018年11月24日 | |
お茶室の屋根に散り積む銀杏かな | さつき |
一と本の冬の紅葉に歌ごころ | 菜々 |
金婚の旅を寿ぐやに冬満月 | やよい |
煌めける波に浮沈す鴨の陣 | 三刀 |