みのる選:2016年8月度
2016年08月26日 | |
炎暑来てミスト広場にひとやすみ | はく子 |
クリオネの羽うちふるふ涼しさよ | たか子 |
のけぞりて雨乞いの法螺吹き鳴らす | なつき |
ドライブの窓に伴走秋の雲 | ぽんこ |
日盛りの揚羽入りくる深庇 | 有香 |
あひ揺れてネオンの影と流灯と | さつき |
こころして水やりたれど庭枯るる | 明日香 |
酸欠の金魚のごとく暑に耐ふる | よし女 |
酔芙蓉白無垢なりしあしたかな | あさこ |
おしくらのごと鈴なりの葡萄かな | ともえ |
林立すクレーンの首やいわし雲 | たか子 |
隣より鼻歌漏れて秋涼し | 豆狸 |
|
2016年08月25日 | |
庭木刈る師匠の背へ秋日濃強し | 明日香 |
閉店のほたるのひかり館涼し | 満天 |
貰はれて厨に鎮座大南瓜 | 泰山 |
着るあてのなき江戸褄を虫払 | 豆狸 |
|
2016年08月24日 | |
爽やかや賀茂の河原の潺潺と | 菜々 |
松浜に憩へば処暑の風通ふ | よう子 |
露天の湯かなかな聞きつ足伸ばす | 隆松 |
蒼天の雲居遥かに鳥帰る | 明日香 |
大玻璃に秋の雲ゆくレストラン | 満天 |
窓の外にあきつ群舞すレストラン | はく子 |
|
2016年08月23日 | |
裏木戸に通ふ風あり凌霄花 | まゆ |
ビル街の細き辻裏地蔵盆 | 宏虎 |
青空に薄き半月処暑の朝 | 三刀 |
人影に急げ急げと蟹もぐる | なおこ |
朝市女処暑をいひけりさう思ふ | なつき |
|
2016年08月22日 | |
度を越して慈雨とはならず秋出水 | たか子 |
言ひ足りぬらし夕庭の法師蝉 | うつぎ |
推敲のベランダにくる風は秋 | こすもす |
指染めてブルーベリーを摘みにけり | なおこ |
赤とんぼ乱舞す谷戸の中空に | 宏虎 |
忌に集ふ兄姉老いけり秋灯下 | はく子 |
|
2016年08月21日 | |
秋晴れて掃除ロボット機嫌よし | うつぎ |
一片の雲を台座に望の月 | 菜々 |
施餓鬼会に迷ひし蝿を窓の外に | なつき |
|
2016年08月20日 | |
いないいないばあくり返す大団扇 | なつき |
コンビニを出るに覚悟の猛暑かな | ひかり |
2016年08月19日 | |
反論をする気も失せし大暑かな | たか子 |
おいとます月下美人の香に酔ひて | なつき |
路地涼し猫の屯す漁師町 | まゆ |
梅花藻の花星屑のごと揺るる | なおこ |
蜩や奈落へつづら折る山路 | うつぎ |
豊秋を二タ分したる大河かな | 治男 |
|
2016年08月18日 | |
白無垢の蓮の宝珠や神の池 | はく子 |
真白な築地塀越え黒揚羽 | 菜々 |
朝散歩犬の鼻先露の玉 | 克子 |
新涼や魚板を打てば音澄める | 宏虎 |
愛猫の露まみれなる朝帰り | まゆ |
龍の目のごと暗雲の望の月 | 智恵子 |
|
2016年08月17日 | |
闇に映ゆ五重の塔や万灯会 | ぽんこ |
暗闇にどよめく声や大文字 | 宏虎 |
離陸機の尾灯瞬く涼しさよ | ひかり |
作業着のままに飛び入り踊りの輪 | さつき |
奥宮へ昼も小暗き露の磴 | 菜々 |
|
2016年08月16日 | |
湯上がりの宿下駄鳴らし庭涼し | よう子 |
稜線のシルエット浮く揚花火 | 智恵子 |
茅葺の屋根匂ひ立つ夕立かな | うつぎ |
影絵めく浜の人垣花火待つ | さつき |
惜しみなき拍手の湧きて花火果つ | さつき |
|
2016年08月15日 | |
旱田の亀甲にひび走りけり | まゆ |
とんぼうのへの字に休む竿の先 | たか子 |
大輪の十重に二十重に揚花火 | さつき |
遠ざかる子らの尾灯や盆の月 | 菜々 |
庭涼し水面に木々の水彩画 | 満天 |
|
2016年08月14日 | |
高階のテラスに小さき門火焚く | たか子 |
夕立の予報空振り庭に水 | 明日香 |
土手草を刈れば空き缶ごろごろと | まゆ |
池の面の樹影を縫ひてとんぼ飛ぶ | ぽんこ |
引き取り手なき豊作の胡瓜かな | 豆狸 |
|
2016年08月13日 | |
青嶺また青嶺を縫ひてハイウェイ | なおこ |
厨事急かせるつるべ落としの日 | たか子 |
2016年08月12日 | |
盆用意老いの手抜きをな咎めそ | 明日香 |
葉隠れに片頬染めし柘榴の実 | 菜々 |
子ら帰りたる校庭に赤とんぼ | 豆狸 |
せせらぎの梅花藻の花掬ひけり | なおこ |
|
2016年08月11日 | |
亡き母に似てきし姉と盆用意 | たか子 |
モノレール曲りて西日避けられず | 菜々 |
|
2016年08月10日 | |
常濡れや光背欠けし滝不動 | なつき |
打ち水に艶めく古都の石畳 | 智恵子 |
手びねりの風鈴殊に機嫌よし | 満天 |
訪ひくれば店は休業秋暑し | こすもす |
秋の雲近江盆地を被ひけり | なおこ |
翡翠を待ち身じろがぬカメラマン | ひかり |
|
2016年08月09日 | |
湯ほてりを冷ますベンチや天の川 | うつぎ |
存問のごと朝窓をつつく蝶 | よし女 |
気休めと知りつつ庭に水を打つ | 三刀 |
|
2016年08月08日 | |
遠花火スローモーション見る如く | ともえ |
電車みな片側に座す大西日 | よう子 |
浴衣着て路上ライブのギタリスト | なつき |
爆竹のごとくに連打揚げ花火 | 菜々 |
旅の宿涼し琵琶湖をパノラマに | なおこ |
|
2016年08月07日 | |
桃を剥く赤きネイルの指曲げて | 豆狸 |
牛の眼に映る風車や牧の秋 | 治男 |
うたた寝のまぶたを射抜く稲光 | さつき |
説法は幽霊の悲話盆の寺 | 菜々 |
山鳩の弾みし声や今朝の秋 | 三刀 |
|
2016年08月06日 | |
惚けたるゴーヤさながらカメレオン | よう子 |
梅花藻の流れに浸す大やかん | うつぎ |
空蝉やわらべ地蔵の肩の上に | 智恵子 |
草茂り獣道めく切通 | 豆狸 |
2016年08月05日 | |
戦争のなき世となれと祈る盆 | たか子 |
月下美人帰宅の夫に開きけり | うつぎ |
|
2016年08月04日 | |
松籟に和する波音いと涼し | ひかり |
母と娘の心置きなき避暑散歩 | なおこ |
潮遠く引きたる沖に土用波 | よし女 |
遠泳の波間に見ゆる島遠し | 智恵子 |
|
2016年08月03日 | |
夜濯ぎのゴルフズボンに塩の飴 | なつき |
朝蝉の鳴き出す迄の庭仕事 | うつぎ |
外つ国の言葉もまじる納涼船 | 豆狸 |
裏側へ回る道あり滝涼し | ともえ |
かなかなの山に谺す里帰り | まゆ |
竹林の一隅にあふ女郎花 | ぽんこ |
|
2016年08月02日 | |
畑の幸抱かえて戻る麦藁帽 | よし女 |
夏野菜見目よきものはよそ様へ | 明日香 |
遠雷や風雲急を告ぐる雲 | まゆ |
夏落葉訪ふ人もなき行宮址 | 菜々 |
|
2016年08月01日 | |
暑に耐ふる水分補給怠らず | 三刀 |
デパ地下の試食めぐりし暑に耐ふる | なおこ |
新涼の信濃の旅の空まさお | たか子 |
蝉しぐれ耳朶豊かなる布袋尊 | 菜々 |
|
2016年07月31日 | |
野に佇てば蜻蛉に包囲されてをり | まゆ |
大夕立町モノクロに一変す | 菜々 |
万緑を貫く千本鳥居かな | ひかり |
|
2016年07月30日 | |
魚の香の漂ふ港揚花火 | まゆ |
一太刀に背なの裂けたる蝉の殻 | ぽんこ |