みのる選:2016年6月度
2016年06月24日 | |
鳥語降る緑陰広場太極拳 | ぽんこ |
あひ互ひ日傘傾げて路地親し | たか子 |
柿の実の落ちて凹みしトタン屋根 | よし女 |
水鉄砲爺の笑顔に命中す | 宏虎 |
雨蛙歩板にたたら踏みにけり | せいじ |
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2016年06月23日 | |
葦叢を薙ぎ倒しゆく出水川 | まゆ |
さみだるる南無と彫られし切崖に | なつき |
古惚けた昭和の扇子愛用す | 三刀 |
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2016年06月22日 | |
百年の学舎泰山木真白 | 菜々 |
仏壇へ供ふま白の四葩かな | 明日香 |
青葦の葎を縫ひて川蛇行 | うつぎ |
佇めば頬撫ず野辺の青田風 | 宏虎 |
砂浜に響く槌音海開き | 智恵子 |
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2016年06月21日 | |
刻を告ぐ魚版の音も梅雨じめり | 宏虎 |
さみだるる旧街道の石畳 | 菜々 |
倒れ臥す四葩を起こし杖を添ふ | 明日香 |
雨粒に打たれ頷く梅雨茸 | さつき |
花栗の香にむせる能勢電車 | うつぎ |
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2016年06月20日 | |
一陣の旋風菖蒲田一大事 | あさこ |
雨靴を履きし後悔梅雨晴るる | たか子 |
鍔広を被り一病隠しけり | あさこ |
下闇におはす羅漢の顔に苔 | 豆狸 |
梅雨の憂さ祓ふ調べや宮雅楽 | ひかり |
散る沙羅にしののめあかりさしにけり | 菜々 |
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2016年06月19日 | |
草刈りの鎌研ぐ明日は晴予報 | 豆狸 |
ストローでまわす氷の音涼し | さつき |
夕立の止むを待てずに軒出づる | まゆ |
さなぶりや顔に泥つけ夫帰る | 明日香 |
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2016年06月18日 | |
無農薬胡瓜驚くほど太し | 満天 |
老い母に寄りそひ仰ぐ月涼し | まゆ |
一斉に起き上がる豚はたた神 | 治男 |
カルストの起伏野歩む白日傘 | さつき |
旱魃のダム底に罅走りけり | 智恵子 |
薫風裡卒寿の夢の続きみる | 三刀 |
2016年06月17日 | |
あご紐ののびきってゐる麦わら帽 | 豆狸 |
蛍火をまとひて聖樹さながらに | まゆ |
口開けて吾に媚びくる鯉涼し | あさこ |
浜つ子の白き歯見せて帆立焼く | 智恵子 |
花栗の湧き立つ里や芭蕉道 | なつき |
翅畳み広葉にすがる梅雨の蝶 | 明日香 |
紫陽花の左右になだるる切り通し | あさこ |
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2016年06月16日 | |
四阿の砦となせる濃紫陽花 | 満天 |
せせらぎの高鳴るあたり蛍群る | うつぎ |
梅仕事厨に満つる香りかな | たか子 |
網棚に忘れものなる夏帽子 | 豆狸 |
なだれ咲くホタルブクロへ滝しぶく | 明日香 |
恙なき日々の幸せ梅漬ける | 菜々 |
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2016年06月15日 | |
梅雨しげし猫の居座る勝手口 | 菜々 |
万緑の激流分けてカヌーゆく | 智恵子 |
湯上がりのテラスの風に足すうちわ | たか子 |
桐の花廃工場の一隅に | 治男 |
六地蔵祀る御手洗蝌蚪の国 | ぽんこ |
月見草かつてぼた山ありし辺に | 豆狸 |
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2016年06月14日 | |
木隠れに彼と彼女や蛍狩り | ひかり |
さわさわと薫風生る大欅 | なおこ |
ビール干し介護疲れを癒やしけり | うつぎ |
雨に伏し将棋倒しの小判草 | ぽんこ |
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2016年06月13日 | |
木漏れ日の綺羅まき散らす山清水 | 隆松 |
あるなしの風に頷く手毬花 | よし女 |
青時雨森のごとくに大欅 | うつぎ |
水打ってのれん一枚めくりけり | なつき |
これよりは獣道なり夏薊 | まゆ |
嶮磴の左右になだるる濃紫陽花 | 智恵子 |
対岸の闇の深さや蛍飛ぶ | さつき |
蜻蛉の翔ちては戻る池の岩 | 三刀 |
うち仰ぐ木の葉隠れに青葉梟 | なおこ |
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2016年06月12日 | |
魚市の高天井に燕の巣 | さつき |
踏切を待つ吾に隣る立葵 | さつき |
一筆箋添へて実梅の宅急便 | 三刀 |
せせらぎの闇より蛍生まれけり | 豆狸 |
フラダンスしなやかに伸ぶ指涼し | 満天 |
吊り橋に立ち往生や青嵐 | うつぎ |
勧進瓦積む床下に蟻地獄 | よし女 |
岩走る水凸凹と音涼し | 隆松 |
紫陽花に傾ぐ標や宿場道 | ひかり |
万緑の峪の深さやかつら橋 | 宏虎 |
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2016年06月11日 | |
青田波二タ分けにして道ますぐ | こすもす |
冷麦や小皿にふたつさくらんぼ | 豆狸 |
碧天へ背くらべなす立葵 | 宏虎 |
まくなぎに術なし両の手に荷物 | たか子 |
子燕の貌より大き口開く | 宏虎 |
酒蔵の土間すみずみに水を打つ | さつき |
梅雨湿りせし朝刊の重さかな | たか子 |
2016年06月10日 | |
窓繰れば雨が止んだと時鳥 | 豆狸 |
点滅の蛍火滲む川面かな | さつき |
グーの手の開けば青き梅ひとつ | こすもす |
路線バス満員通過青葉寒 | なおこ |
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2016年06月09日 | |
今朝のこと忘るる父と蛍見る | 豆狸 |
露草の瑠璃散らしたる陸墓かな | ぽんこ |
米どころ近江は今し麦の秋 | ひかり |
噴水いま水上バスを弧の中に | 菜々 |
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2016年06月08日 | |
城濠へ枝のなだるる若楓 | ぽんこ |
紫陽花の白きを飾る厠かな | なおこ |
おばさんは三代目てふ蓬餅 | さつき |
と見る間に青田となりて風渡る | 有香 |
駈けまはる吾子を見守る日傘かな | よう子 |
万緑の森の向かふに湖と空 | 隆松 |
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2016年06月07日 | |
トンネルを出て目つぶしの新樹光 | さつき |
合戦のごと向かひ立つ幟かな | まゆ |
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2016年06月06日 | |
簾越し三味の音洩るる祇園かな | 宏虎 |
万緑や腰掛け石に似し礎石 | うつぎ |
田植機の泥の轍や里の道 | さつき |
万緑に尖りし屋根はパン工房 | 宏虎 |
たんぽぽや母を座らせ庭床屋 | まゆ |
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2016年06月05日 | |
幼稚園うさぎ小屋にも簾かけ | なおこ |
樽舟にじゅんさい採るは未だ少女 | 智恵子 |
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2016年06月04日 | |
下闇の延命水に行列す | 宏虎 |
夕立あと一人二人と軒離る | ともえ |
2016年06月03日 | |
溺れゐるかなぶんぶんを救出す | よし女 |
満天の星へ紛れし恋蛍 | 宏虎 |
手花火の終の玉とぞ惜しみけり | あさこ |
ほんのりと片頬染めて梅熟るる | 菜々 |
夏帽子風に飛びさう展望台 | 宏虎 |
園丁ら蚊とり線香ぶら下げて | なおこ |
東天に赤き火星や涼み台 | 有香 |
夏汐の海へ傾く電車かな | 豆狸 |
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2016年06月02日 | |
さくらんぼおちょぼ口して種を吐く | 宏虎 |
小気味よく胡瓜を刻むリズムかな | うつぎ |
町中が白くなりたる更衣 | 三刀 |
バラアーチ潜りて異人館を訪ふ | 豆狸 |
国宝の池の水面のいと涼し | なおこ |
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2016年06月01日 | |
一灯に火蛾狂ほしき無人駅 | 宏虎 |
ウェルカムボード掲げし薔薇アーチ | 泰山 |
池渡る風に睡蓮覚めにけり | よし女 |
集ひたる道真贔屓夏期講座 | うつぎ |
長生きの金魚自慢す翁かな | さつき |
藁屋根と玉垣結び蜘蛛の糸 | よし女 |
SLの駆け抜けてゆく麦の秋 | 隆松 |
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2016年05月31日 | |
丸き背を鏡に正し更衣 | うつぎ |
万緑の谷戸を見下ろす一詩人 | 隆松 |
朗々と吟ずテノール声涼し | よう子 |
有り無しの風にこぼるる夏の萩 | 泰山 |
睡蓮や衛兵のごと鯉屯 | まゆ |
ミサの鐘四方にこだます万緑裡 | 宏虎 |
シテとワキ鳴き交はすごと蟇 | 宏虎 |
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2016年05月30日 | |
群落の羊歯狂ほしき青嵐 | まゆ |
ラムネ飲むカランコロンと玉鳴らし | ともえ |
万緑の山の胎内鍾乳洞 | 菜々 |
下闇の龕に鎮もる力石 | 豆狸 |
緑風に髪なびかせて騎馬乙女 | 菜々 |
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2016年05月29日 | |
老幹の洞の中なる若葉かな | まゆ |
祝福のライスシャワーや薔薇アーチ | こすもす |
学舎より合唱聞こゆ薫風裡 | なおこ |
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2016年05月28日 | |
雨意兆す紫陽花の毬落ち着かず | 満天 |
下闇に片寄せられし無縁墓 | 菜々 |
夕立を避ける軒なくビルばかり | ともえ |
石一つケルンに積みて山開き | たか子 |
若楓揺れて水面に触れんとす | なおこ |
襞々に夏霧残る深山晴 | 明日香 |
波涼し漁船行き交ふ瀬戸の海 | 豆狸 |