みのる選:2016年5月度
2016年5月27日 | |
潮入に群れてふぐの子躍如たり | 豆狸 |
黒書院白書院へと廊涼し | 菜々 |
獅子口を焦がさんばかり薪能 | さつき |
街騒を隔つ城内松涼し | ひかり |
新茶来る一筆箋に元気かと | 満天 |
尺取の宙測りをる葉先かな | よし女 |
驚愕や五寸の百足お風呂場に | 明日香 |
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2016年5月26日 | |
就活のスーツの徒らに若葉萌ゆ | あさこ |
玄関の三和土涼しと犬眠る | ぽんこ |
はまなすや沖に巨船と漁り舟 | よう子 |
古城址を埋め尽くしたる草いきれ | 豆狸 |
笛の音が闇を切り裂く薪能 | さつき |
耳鳴りにあらず今のは時鳥 | よし女 |
洞窟の涼し柱状摂理また | こすもす |
雨の路地右に左に四葩愛づ | ひかり |
センセーションてふ薔薇殊によく香る | なおこ |
時鳥雨が来るぞと叫びけり | うつぎ |
薬指小指を立てて枇杷を剥く | ともえ |
薫風裡おしゃべり尽きぬカフェテラス | さつき |
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2016年05月25日 | |
岬鼻の海に向く墓地夏つばめ | なつき |
ゆくりなく子鹿と出会ふ山路かな | あさこ |
欄に寄れば鯉くる橋涼し | ひかり |
江ノ電はいまし若葉の切通し | 智恵子 |
下闇に水軍一等兵の墓 | さつき |
能面の影魑魅のごと薪能 | なつき |
新緑の園に真つ赤な滑り台 | さつき |
明易しだあれもいない無人駅 | 豆狸 |
山藤の屑こぼす道逍遥す | あさこ |
自転車で駈ける新樹の並木道 | なおこ |
警官の表敬並び更衣 | うつぎ |
あめんぼう青天井の水面駈く | 豆狸 |
陽光を弾きて眩し樟若葉 | 宏虎 |
アンネ像囲みて薔薇の薫りけり | こすもす |
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2016年05月24日 | |
夏雲を貫きて消ゆ飛行雲 | 豆狸 |
お隣の声筒抜けや路地薄暑 | さつき |
夏草に埋もれて露座の風化仏 | よし女 |
赤と黄と園二タ分けすチューリッブ | あさこ |
対岸は茅花流しの銀の波 | 豆狸 |
熱中症かもしれぬこのだるさかな | 明日香 |
薫風に安産祈願の旗なびく | さつき |
老鶯のしばなく山路吟行す | あさこ |
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2016年05月23日 | |
結界と見たる竹垣木下闇 | まゆ |
読経めく左右の蛙田通夜帰り | こすもす |
余花にあふ山湖の径を分け入れば | ひかり |
古民家のひと梁ごとに燕の巣 | 智恵子 |
愛犬が吾を導く若葉道 | 豆狸 |
雀の子ホームにたたら踏みにけり | さつき |
薔薇園はビルの谷間の笑窪かな | 菜々 |
感謝多謝夫の手作り豆ごはん | 明日香 |
せせらぎの楽が涼しきカフェテラス | 満天 |
ハミングもとびだす若葉風の径 | 泰山 |
山里の過疎の盆地に鯉幟 | さつき |
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2016年05月22日 | |
金婚の妻に感謝し新茶汲む | 宏虎 |
狼煙めく煙ひとすじ麦の秋 | 三刀 |
軍服の父しか知らず杜若 | たか子 |
釣人の波止にひしめく五月晴 | 智恵子 |
重さうに首うなだるる雨の薔薇 | まゆ |
門入るや否やに百花ばら香る | 菜々 |
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2016年05月21日 | |
白壁にゴースト躍る薪能 | なつき |
手植えとは思えぬ植田美しき | たか子 |
軒先に自慢の薔薇や理髪店 | まゆ |
弓を引く古希の媼や立葵 | 治男 |
嬰児の大きな欠伸聖五月 | 宏虎 |
2016年05月20日 | |
山菜を一抱へして母戻る | まゆ |
炎いま阿鼻叫喚す薪能 | なつき |
謎めきし古墳を覆ふ蔦若葉 | 菜々 |
苔清水小さき水車の音きしむ | 隆松 |
洞窟の土間は常濡れ苔の花 | こすもす |
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2016年05月19日 | |
猫の夫落武者のごと戻りけり | まゆ |
麦秋の家並みはなべて能登瓦 | よう子 |
夏燕うちで巣作りしてほしい | 明日香 |
梢洩る日のもみ合へる青嵐 | よし女 |
昨夜の雨嘘のごとくに若葉晴れ | ひかり |
エプロンにこぼれ葉受くる茶摘みかな | なつき |
虹色の水滴溜めて四葩の葉 | なおこ |
五月雨をふふみていよよ苔青し | たか子 |
回廊にさ揺らぐ影や若楓 | ぽんこ |
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2016年05月18日 | |
下闇の謎めく岩に謂れあり | ぽんこ |
若葉してメタセコイアは森統ぶる | 菜々 |
自ずから歌がとびだすバラアーチ | 満天 |
村中に新茶の幟はためきて | さつき |
獣道抜けて洗礼滝しぶき | 智恵子 |
広々とひろがる中洲風光る | まゆ |
蔦しげる肩幅ほどの古墳道 | 菜々 |
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2016年05月17日 | |
姦しく尽きぬおしゃべり薔薇の卓 | ぽんこ |
起伏野を埋めつくして芝桜 | 隆松 |
薔薇アーチくぐりてピアノ調律師 | とろうち |
試歩の杖一歩一歩に薔薇香る | 菜々 |
佇めばれんげ野の風やはらかし | まゆ |
テラスへと通ふ疎水の風涼し | よう子 |
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2016年05月16日 | |
大粒の雨に直立花菖蒲 | さつき |
窓の陽をあつめて赤しシクラメン | まゆ |
昏れなづむ空に際立つ山法師 | 満天 |
五月雨にけぶる湖上に竹生島 | 隆松 |
茶摘婆手も早ければ口達者 | なつき |
樹下涼しみずはのめの神なほ奥に | 菜々 |
火ばさみで捕らえし毛虫また落とす | 明日香 |
カーテンをあけてあけてと若葉風 | なおこ |
道曲がる度に新緑色変わる | 隆松 |
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2016年05月15日 | |
新樹光街を貫く大通り | ひかり |
よき日陰つくり葉桜広がりぬ | ともえ |
清流に沿ひゆくバスの窓涼し | さつき |
初なりの庭の胡瓜をまるかじり | 菜々 |
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2016年05月14日 | |
連山の翠黛しるき五月かな | 明日香 |
雨晴れて靄を払ひし春の山 | 隆松 |
人肌の温みが大事新茶汲む | さつき |
たんぽぽの絮蹴散らして犬駆ける | とろうち |
蟹二匹ハイタッチしてすれ違う | 治男 |
行き違ふ水上バスの水脈涼し | ひかり |
大楠を倒さんばかり青嵐 | 泰山 |
翠巒を二タ分けしたる神の滝 | 菜々 |
2016年05月13日 | |
薫風の中和太鼓の乱れ打ち | 満天 |
運河いま行く手に立ちし雲の峰 | ぽんこ |
麦秋の広きを駈けて風あそぶ | たか子 |
薫風や丸太造りのベーカリー | とろうち |
ビル街の園はオアシス薔薇かおる | ひかり |
薫風や茶畑に立つ大風車 | さつき |
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2016年05月12日 | |
岩走る水に煌めく苔の面 | 智恵子 |
島巡るレンタサイクル風薫る | さつき |
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2016年05月11日 | |
試歩疲れ木陰を探す薄暑かな | ぽんこ |
朱の門に触れもす風の若楓 | なおこ |
楠大樹緑陰なせる宮門跡 | よう子 |
笑みたまふ慈母観音へ初蝶来 | 明日香 |
上皇の汲みし泉の今も湧く | 治男 |
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2016年05月10日 | |
あるなしの風に錐揉む竹落葉 | 満天 |
ふんはりと夏霧山を包みけり | 明日香 |
迷ひ込む子雀に句座てんやわんや | ひかり |
天つ藤屑をこぼせる遥拝所 | なおこ |
広畑を十字返しやつばくらめ | ぽんこ |
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2016年05月09日 | |
右左新緑せまるドライブウエー | ぽんこ |
宇治山の緑雨に鎮む茶筅塚 | 菜々 |
息止まるかと思ふほど青嵐 | なおこ |
ひとすじの水脈引く海や明早し | 明日香 |
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2016年05月08日 | |
壬生狂言腕たくましき白拍子 | なつき |
肩ぐるまされ藤房にとどきけり | 智恵子 |
庭に得し一握の幸豆ごはん | 菜々 |
遊船の波桟橋を揺らしけり | なつき |
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2016年05月07日 | |
白壁に薔薇つるませし美容室 | せいじ |
夏草が鉄路を隠すゼロ番線 | たか子 |
薄暑かな出だし揃わぬ吹奏楽 | よう子 |
校歴の百年を知る楠若葉 | 菜々 |
セル着れば肩の荷おりし如軽し | ともえ |
2016年05月06日 | |
風の意に従ひ芽吹く柳かな | ともえ |
里山の起伏野を染む芝桜 | 三刀 |
夕凪や泳ぎ疲れし鯉のぼり | とろうち |
小つむじに高舞ひ落花田に道に | 泰山 |
卯浪立つ沖よりとどく汽笛かな | 智恵子 |
薫風に手足伸ばして体操す | 満天 |
濠の水染むるばかりに落椿 | 泰山 |
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2016年05月05日 | |
山吹や岩にしぶきて谷の水 | とろうち |
雨晴れていよよ眩しき山若葉 | せいじ |
序破急の潮騒のごと青嵐 | よう子 |
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2016年05月04日 | |
釣り人の寛ぐ背なに若葉風 | 智恵子 |
自家製の苺頬ばる至福かな | 明日香 |
丘の上や眼下の海に卯浪たつ | たか子 |
桐の花雨が洗ひし空ま青 | なつき |
切つ先をそつと押しやり菖蒲の湯 | たか子 |
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2016年05月03日 | |
夏の蝶急磴のぼりつめんとす | さつき |
万緑を抽んでてをる丹の鳥居 | とろうち |
卯波寄すテトラポットを鳴かせもし | 宏虎 |
頂きし新筍の産毛撫づ | なおこ |
十哲の墓石を数ふ青葉影 | なつき |
慈悲塔のしとねのごとく花すみれ | ぽんこ |
群鳩を翔たせし空は聖五月 | 菜々 |
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2016年05月02日 | |
風よ吹け園児の仰ぐ鯉のぼり | ぽんこ |
外濠に沿ひてジョギング風薫る | ひかり |
直立の托鉢僧に風薫る | こすもす |
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2016年05月01日 | |
お静かにてふ貼り紙や燕の巣 | たか子 |
吟行子道後の旅の春惜しむ | 明日香 |
わたしには格闘技なり布団干す | よし女 |
草刈機唸りそめたる日曜日 | さつき |
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2016年04月30日 | |
かわらけの放物線や谷若葉 | よう子 |
マネキンは裸にされて四月尽 | 満天 |
若葉風色ある様な無いような | 宏虎 |
青嵐帽子おさへて笑ひあふ | なおこ |
2016年04月29日 | |
小港の若布干されし防波堤 | 智恵子 |
幹ねじれたる老幹の藤淡し | なおこ |
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2016年04月28日 | |
百千鳥抱擁したる楠大樹 | たか子 |
鋭角に向き変ふ鯉や水温ぬ | ぽんこ |
わき見して連とはぐれし街薄暑 | よう子 |
麦秋の彼方に高層ビルの群 | よし女 |
春昼やジャスミン茶でもいかがです | なおこ |
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2016年04月27日 | |
研磴の燃ゆるつつじにひとやすみ | ぽんこ |
菓子口に新茶をふふむ至福かな | ともえ |
春惜しめとぞ小雨ふる露天風呂 | なおこ |
池普請終へたる水に鯉躍如 | ひかり |
大牡丹慈しみをるたなごころ | たか子 |
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2016年04月26日 | |
大剪定されし大木直立す | 明日香 |
春風や壁画の乙女ハープ弾く | 菜々 |
厩出しと心通はす牧馬かな | なおこ |
方丈の反り屋根高く桐の花 | 三刀 |
休み田に竿立ち並べ鯉のぼり | ひかり |
山腹のソーラーパネル春日燦 | ぽんこ |
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2016年04月25日 | |
無農薬新茶が人気筋らしき | さつき |
幼な顔並びし都をどりかな | ともえ |
懸かり藤愛でつつめぐる宮の杜 | こすもす |
春愁やごろりとまはす摩尼車 | なおこ |
一声の後の沈黙牛蛙 | 有香 |
梅雨じめりしたる速達とどきけり | よし女 |
古色はた春塵なれや秘仏厨子 | 菜々 |
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2016年04月24日 | |
手のひらを開けば泥の小蟹かな | なつき |
銀輪を連ね駈けゆく春田道 | 豆狸 |
縺れつつ蝶中空へ消えにけりは | ひかり |
新茶汲む手もみの労をねぎらひて | さつき |
新茶摘み天気が勝負村総出 | さつき |
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2016年04月23日 | |
山上の足湯に憩ふ遍路かな | なおこ |
奈良公園どのみちとるも春の鹿 | 明日香 |
筍の土乾きをる亭午かな | うつぎ |
春愁や糸繰車廻しもし | 菜々 |