みのる選:2013年9月度
2013年09月27日 | |
枯蟷螂合掌のごと身じろがず | ともえ |
ガイドらは天平衣装古都の秋 | こすもす |
石塊と見たるは仏草紅葉 | 宏虎 |
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2013年09月26日 | |
部屋めぐり直哉旧居の秋惜しむ | 満天 |
力石ひびに触れもす愁思かな | なつき |
奈良なれや鹿優先で走るバス | つくし |
崩れ簗千切れし旗の傾きぬ | ともえ |
曼珠沙華枯山水の一隅に | ぽんこ |
天高し杉の美林の直線美 | はく子 |
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2013年09月25日 | |
一塚を要としたる豊の秋 | せいじ |
飛火野の樹下に寄り添ふ親子鹿 | つくし |
古都の秋若草山に一望す | 菜々 |
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2013年09月24日 | |
旅立ちの鞄に庭の青みかん | ともえ |
夫はただ待っているだけ栗をむく | なつき |
かなかなの鳴くに目覚めし峡の宿 | きづな |
逃げ足は疾風のごとし稲雀 | 有香 |
宵闇の野小屋に点る秋灯 | 雅流 |
夏休み果ててキャンパス姦しき | せいじ |
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2013年09月23日 | |
もう括る他なし萩の乱れやう | うつぎ |
俎に銀一文字初秋刀魚 | よし子 |
わが背より高きに靡く芒原 | さつき |
カリオンの音谺して秋澄める | 満天 |
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2013年09月22日 | |
農協の帽子被りて案山子立つ | さつき |
堂縁に思ひ思ひや秋の人 | さつき |
秋の雲亡き愛犬にふと似たり | 三刀 |
定置網一湾覆ふ良夜かな | ともえ |
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2013年09月21日 | |
名水で入るるコーヒー秋うらら | さつき |
崩れ伏し歩道を塞ぐしだれ萩 | あさこ |
穂薄の生ける高さを迷ひけり | よし子 |
門鎖しに出でて立待月仰ぐ | 菜々 |
抱き起こしては倒伏の稲を刈る | なつき |
あそんでと吾をとりまく赤とんぼ | うつぎ |
2013年09月20日 | |
尺八の音色聴きませお月さま | 三刀 |
竹棒に帽子を載せて案山子とす | さつき |
夕づつを魁として今日の月 | はく子 |
中天となりて真澄や今日の月 | なつき |
今日の月機窓に仰ぐ旅の果て | 菜々 |
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2013年09月19日 | |
キッチンの窓に名月皿洗ふ | 満天 |
うち仰ぐ満月のほか無一物 | こすもす |
広芝の四方八方秋あかね | ひかり |
老い二人芋名月に肩ならべ | うつぎ |
茶室へと小径を綴る実紫 | はく子 |
澄みわたる峡の中天望の月 | 雅流 |
父母の遺影も並べ月愛でる | 有香 |
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2013年09月18日 | |
客席はざぶとん持参村芝居 | よし子 |
飛機の影いま名月を過ぎりけり | せいじ |
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2013年09月17日 | |
歳時記を座右としたる夜長かな | 宏虎 |
とんぼうの目玉に映る空蒼し | よし子 |
琅かんの林抜け来る風さやか | ひかり |
松浜の木の間を縫ひて秋茜 | こすもす |
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2013年09月16日 | |
また届く宅配便や敬老日 | きづな |
台風一過中天の月円かなり | 有香 |
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2013年09月15日 | |
藷の飯炊いて傘寿の祝膳 | 三刀 |
吠え立てる犬を一瞥穴まどひ | うつぎ |
嫁ぐ子に贈る句を練る長き夜 | なつき |
二百年つづく素語り村祭り | 雅流 |
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2013年09月14日 | |
敬老会園児の歌に励まされ | つくし |
嫁ぐ子に芋の味噌汁婚の朝 | なつき |
曼珠沙華燃ゆ石庭の一隅に | あさこ |
色変えぬ松天に伸ぶ冠木門 | はく子 |
鉾杉の嶮競ひをる秋の空 | ぽんこ |
出囃子の杜に響くは村芝居 | うつぎ |
2013年09月13日 | |
畦道の朝露蹴つてジョギングす | さつき |
裏門は閉ざされしまま露むぐら | きづな |
故郷の島の高きに登りけり | うつぎ |
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2013年09月12日 | |
月光に濡れたる路地を通夜帰り | 宏虎 |
陵の山の高きに登りけり | 雅流 |
地団駄を踏みて毬より栗を出す | あさこ |
露草へしぶきを飛ばす水車かな | さつき |
月光が抱擁したる夫婦岩 | 宏虎 |
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2013年09月11日 | |
早稲晩稲パッチワークとなる棚田 | うつぎ |
赤とんぼ赤いポストを好みけり | よし子 |
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2013年09月10日 | |
入院も避暑と思えば苦にならず | 三刀 |
腕まくりして細腕の案山子かな | なつき |
一渓の岩の大小水澄める | 雅流 |
虫の音にこころ安らぐ仕舞風呂 | 満天 |
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2013年09月09日 | |
ホームまで葛押し寄せる山の駅 | うつぎ |
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2013年09月08日 | |
秋の夜のスカイツリーは五輪色 | つくし |
爽やかに存問交はす垣根越し | 菜々 |
露天湯に手足のばせば虫浄土 | よし子 |
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2013年09月07日 | |
秋天へセコイア鉾を競ひけり | 菜々 |
背高の秋草丁目石隠す | 雅流 |
2013年09月06日 | |
天高く響く部活の子らの声 | 満天 |
雨脚のカーテンとなる梅雨の窓 | 三刀 |
嵐去り軽鳧の一家に大事なし | さつき |
病床に俳句三昧暑に耐ふる | 三刀 |
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2013年09月05日 | |
新涼やスキップ踏みて朝散歩 | さつき |
これからも二人三脚老の春 | 三刀 |
秋天を二タ分けしたる飛行雲 | はく子 |
みそなはす磨崖地蔵に早稲香る | 雅流 |
赤れんが倉庫真青き秋天下 | なつき |
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2013年09月04日 | |
あるなしの風に騒ぎて竹の春 | 宏虎 |
コスモスの広野に通ふ風のあり | よし子 |
背比べするごと紫苑立ち並ぶ | きづな |
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2013年09月03日 | |
爽やかにお礼を述ぶる喪主若し | 満天 |
神の杜広し間遠に法師蝉 | ぽんこ |
電線を搦めて宙へ葛の蔓 | せいじ |
鰯雲校舎の空を埋めけり | 菜々 |
新米と大書され着く宅急便 | あさこ |
草の花降りつぐ雨に伏しにけり | つくし |
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2013年09月02日 | |
長き夜の愉し明日は休業日 | こすもす |
通夜終へて帰るさの道虫しぐれ | 満天 |
虫すだく工事現場の駐車場 | せいじ |
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2013年09月01日 | |
銀ぶらの慣れぬヒールや秋暑し | なつき |
微笑める千手観音初紅葉 | ぽんこ |
八朔祭祝ひ南京玉すだれ | うつぎ |
栗供ふ亡き子に声をかけもして | あさこ |
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2013年08月31日 | |
爽やかやカーテンコール鳴り止まず | さつき |
愁思憑くアントワネット展を出て | 菜々 |
野路の秋山辺の道一人旅 | せいじ |
球探しせる野球子に猫じやらし | 治男 |
2013年08月30日 | |
星月夜光年の距離思ひけり | 宏虎 |
慈雨に濡れ庭の秋草起ち直る | 雅流 |
地獄絵をちらと見る子や地蔵盆 | なつき |
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2013年08月29日 | |
海凪ぎて秋日に金紙揉むごとし | 有香 |
片腕の痺れてゐたり昼寝覚 | あさこ |
生徒らの農園葡萄朝市に | うつぎ |
蟻の列渋滞すれど秩序あり | うつぎ |
あきつ群る古墳を望む大池に | せいじ |
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2013年08月28日 | |
雲の峰より直立す飛行雲 | よし子 |
蝿叩き空打ちをして満を持す | うつぎ |
少女らのかかとは着けず阿波踊り | なつき |
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2013年08月27日 | |
ぶだう狩り袋の隙間覗いては | なつき |
御手洗をあふれ出づ水涼新た | 満天 |
たもとほる湖畔の道の風は秋 | 百合 |
渦潮に揉まるる釣瓶落としの日 | 宏虎 |
閻魔堂広前ここだ蝉の穴 | なつき |
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2013年08月26日 | |
天井の音は電車や地蔵盆 | 菜々 |
名水に喉をうるほす残暑かな | はく子 |
バネ競ふごとくに跳ねる田のばった | さつき |
大剪定されて秋空ひらけけり | 有香 |
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2013年08月25日 | |
見るだけと金魚すくひを離れぬ子 | なつき |
刈り時を知りて躍如す稻雀 | こすもす |
峡の宿涼し見下ろす街の灯も | さつき |
絶景の嶺々と見る間に霧の海 | ともえ |
水仕終へ耳に至福や虫浄土 | 菜々 |
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2013年08月24日 | |
炎天に掲げる校旗はためかず | さつき |
芒野に見え隠れする園児帽 | 宏虎 |