みのる選:2013年3月度
2013年03月23日 | |
開きたる本そのままに春愁ふ | 満天 |
模糊として夕日呑みこむ春の海 | せいじ |
林立の帆柱の空鳥帰る | 菜々 |
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2013年03月22日 | |
春惜しむ千年楠の幹撫でて | はく子 |
朝凪の湾掠めしは初燕 | なつき |
語り継ぐ民話の里や花馬酔木 | 有香 |
駅名を告ぐ声間遠春眠し | よし子 |
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2013年03月21日 | |
海風の恋人岬たんぽぽ黄 | 菜々 |
傘立てに杖二三本彼岸寺 | 宏虎 |
走り根にな躓きそ春山路 | 百合 |
大鳥居額縁として春の海 | 満天 |
藁屋根の春日たっぷり吸ひ込める | なつき |
春暁に残る灯のあり露天風呂 | 雅流 |
春昼の路地に焼きたてパンを売る | きづな |
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2013年03月20日 | |
若布屑浮かぶ漁港の生け簀かな | こすもす |
艶めくや春の岬の鳶の笛 | ひかり |
沖うらら行き交ふ船を見て飽きず | はく子 |
過疎の村なれど今年も初燕 | 三刀 |
池の面に遊ぶ雲あり葦の角 | 宏虎 |
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2013年03月19日 | |
いかなごの不漁糶人らは無聊 | きづな |
ビオトープ覆ふ梢に初音聴く | わかば |
瑠璃色の池を巡りて青き踏む | うつぎ |
白波の一つ一つに春日燦 | 菜々 |
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2013年03月18日 | |
手を浸す御手洗川へ春日燦 | ひかり |
玉の日に山茱萸は黄を弾きをり | 満天 |
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2013年03月17日 | |
校庭の大楠仰ぎ卒業す | 菜々 |
和太鼓のばち打ち揃ひ卒業す | はく子 |
温かき日差しに伸びる万歩計 | わかば |
2013年03月16日 | |
下萌に紙飛行機の着陸す | さつき |
糶声の一人は女桜鯛 | よし女 |
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2013年03月15日 | |
カーナビは旧道が好き山笑ふ | うつぎ |
山頂の巨大風車に風光る | せいじ |
卒業子見守隊へ感謝のぶ | 満天 |
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2013年03月14日 | |
陽炎ひて白線歪む野球場 | 宏虎 |
蜷の道思案の如くうろうろす | よし子 |
里の山トンネル抜けるたび笑ふ | うつぎ |
銀嶺を左手に右手に青き踏む | 菜々 |
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2013年03月13日 | |
波白く尖る海峡霾ぐもり | わかば |
菜箸の焦げるは宜と目刺し焼く | 有香 |
さへずりの他に音無し布留の宮 | なつき |
園うらら楽譜の碑より曲洩るる | よし女 |
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2013年03月12日 | |
綾なして風の意にそふ糸柳 | よし女 |
復興を祈り続けて春を待つ | ぽんこ |
吾が庭に来て存問の初音かな | うつぎ |
初花へ寄せたる母の車椅子 | わかば |
桜草咲かせベランダ明るうす | はく子 |
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2013年03月11日 | |
蕗味噌の出来は上々一人酌む | うつぎ |
手に汲めば袖口つたふ春の水 | よし子 |
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2013年03月10日 | |
春疾風ダム湖は尖る波の原 | よう子 |
ひと茹でにさみどりと化すめかぶかな | 満天 |
大荒れの春北風バイクなぎ倒す | 有香 |
神杉の参道つづる花馬酔木 | ひかり |
碧天の風に乗りたる揚雲雀 | 宏虎 |
2013年03月09日 | |
コンサート出て春宵の街帰る | 満天 |
つちぐもり海の青色失せにけり | こすもす |
賞の札つけし洋蘭よく香る | よし女 |
群鳩の翻るとき風光る | さつき |
コンサートホールへますぐ木の芽道 | きづな |
洞深き老幹の梅健気なり | わかば |
古城址をめぐる一日や梅日和 | 百合 |
春空に水脈曳きゆくは飛行雲 | さつき |
まんまるに滲む夕日や黄砂降る | うつぎ |
苑うらら八人乗りの乳母車 | よし女 |
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2013年03月08日 | |
摘草の袋見せ合ふ親子かな | さつき |
大甕の口いっぱいに桃生ける | こすもす |
どことなく母似と思ふ雛の顏 | 有香 |
相互ひ歩調をそろへ青き踏む | 雅流 |
雪嶺にアイゼン立てて日の出待つ | よう子 |
陣離れゆくは恋路の鴨ならむ | さつき |
園児らの色帽跳ねる木の芽道 | なつき |
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2013年03月07日 | |
豆雛マッチの箱を高御座 | うつぎ |
会釈して遠足に道譲りけり | よし女 |
首伸ばし芽柳つつく鴨をかし | さつき |
いぶし銀なる宝冠や古ひひな | 菜々 |
辛口の酒を好みて目刺焼く | よう子 |
石庭の箒目著き梅の寺 | わかば |
踏青や煌めくダム湖眼下とす | 雅流 |
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2013年03月06日 | |
春耕の一と鍬土竜塚崩す | 雅流 |
我先に駆けだす子らや山笑ふ | さつき |
都府楼も霾るなかに沈みけり | せいじ |
藤蔓に帽子取られし踏青子 | よし女 |
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2013年03月05日 | |
おほどかに袖ひろげたる古代雛 | うつぎ |
まろびては駈ける子犬や土手のどか | ともえ |
小港の糶湧き立てり桜鯛 | よし女 |
車窓今近江平野や麦青む | はく子 |
禅寺の廊下春日をはじきをり | さつき |
目じるしのスカイツリーも春霞 | せいじ |
家宝なる三百年の雛飾る | 菜々 |
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2013年03月04日 | |
湧き水の躍り春光まきちらす | さつき |
瓔珞のこころもとなき古雛 | はく子 |
啓蟄や試し履きせるスニーカー | よし女 |
手入れよき苔庭に満つ春日かな | さつき |
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2013年03月03日 | |
春光のあふるる電車客疎ら | さつき |
黄水仙灯台の立つ岬鼻 | 宏虎 |
窮屈やパック詰めなる蕗の薹 | よし女 |
急坂に喘ぐダンプや山笑ふ | ぽんこ |
芽柳の数珠とつながる雨雫 | さつき |
修二会辞し南大門に星仰ぐ | きづな |
2013年03月02日 | |
ふりかかる修二会の火の粉背に肩に | きづな |
青空を切りて数多のつばくらめ | さつき |
前夜祭などと言ひもし雛の酒 | 三刀 |
母の手に眠れる嬰や春の園 | 百合 |
枝垂れ梅吾が肩に触る茶屋床机 | さつき |
めくり癖つきし暖簾や雛の宿 | なつき |
手びねりに点茶ふるまふ雛あるじ | 菜々 |
手に受ける木彫雛の重さかな | よし女 |
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2013年03月01日 | |
山焼きの合図四方より火が走る | よし女 |
村道にたち並びたる紙雛 | 小袖 |
ぼんぼりに灯点りてより雛の宴 | 英子 |
時代ものなる表札や雛の宿 | きづな |
御手洗に膨れ溢るる春の水 | ぽんこ |
盆の上にまめつぶほどの雛飾る | はく子 |
存問に似し啓蟄の庭手入れ | 有香 |
雛飾り少女のこころ戻りけり | こすもす |
庭池に浮かぶは雛の遊び舟 | 菜々 |
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2013年02月28日 | |
雀どち上を下へや芽木の枝 | ぽんこ |
山火果て大石小石現れにけり | よし女 |
よべ雨にほぐれし畑を耕せる | 雅流 |
木道の普請されゐる春山路 | 英子 |
雛飾る酒量り売る店先に | なつき |
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2013年02月27日 | |
ようやくに鳴りて喝采瓢の笛 | はく子 |
春眠し理髪鏡にテレビ逆 | 宏虎 |
鴨浮寝昆陽のさざなみ揺りかごに | 菜々 |
春寒く覚めたる寝床出で難し | あさこ |
春の山駱駝のこぶに似たりけり | 宏虎 |
春禽の嘴にくはへし小枝かな | せいじ |
消防車勢揃ひさせ山を焼く | よし女 |
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2013年02月26日 | |
天を突くスカイツリーに風光る | はく子 |
大の字に寝ころべば草芳しき | 宏虎 |
山火燃ゆ古代は海の底といふ | よし女 |
いかなごの相場如何にと魚の棚 | わかば |
池渡る風の序破急糸柳 | 菜々 |
迫る火に放つ迎へ火野を焼ける | 三刀 |
春愁や明日の天気は雨予報 | 満天 |
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2013年02月25日 | |
杉山のヴェールとなりしまだら雪 | ともえ |
逆巻きて火が風を呼ぶ野焼きかな | 三刀 |
全開す礼拝堂に芽木の風 | 菜々 |
薔薇の園素足に立てるマリア像 | 菜々 |
鳥の影芽柳に透くダム湖かな | 雅流 |
まぎれなき春子と見れば榾の瘤 | なつき |
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2013年02月24日 | |
広畑の中に一と本梅白し | さつき |
春の雪落ち行く谿の奈落かな | よう子 |
カメラマン体くねらす臥竜梅 | つくし |
手びねりの個性揃ひや立雛 | 満天 |
露天湯にわれ一人なる朧かな | はく子 |
花のごと神籤結はれて梅蕾む | 満天 |
斯く老いて苔むす幹の芽吹きけり | 宏虎 |
冠雪の富士象嵌す館の窓 | はく子 |